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第一章
第76話 【家・4】
しおりを挟む「引っ越し祝いを持ってきたついでにどんな家に仕上がったのか案内してもらおうと思ったが、二人の様子から相当凄かったみたいだな」
玄関の外に居たのはエドガーさんだった。
エドガーさんは俺の引っ越し祝いを持ってきて序に、完成した家を見ようと考えていたみたいだ。
「おじさん、見る前に覚悟しておいた方が良いわよ。最初から最後まで何度も驚いたけど、最後が一番凄かったわ」
「エレノアちゃんにそこまで言わせるなんて、クリス君は一体どれ程凄い家を建てたんだ? 外から見た限り、相当金は使ったようだが……」
「エドガーさんだったら分かると思いますけど、大体商会の三ヶ月分くらいの売上と同等ですかね?」
「……凄まじいな」
エドガーさんは最初から現在も携わっているので、大体の売上は把握している。
その為、俺の言葉を聞いて驚いた顔をし、深呼吸をしてからそう言った。
その後、食事の途中だったので残りをサッと食べ、アリシアさん達をリビングに残し、エドガーさんにも家の中を案内した。
「二人が疲れた顔してるのも納得がいった。まさか、クリス君がここまで家に金を掛けるとは思いもしなかった」
「おじさんの言葉がこの家を作ったのよ」
「確かにそうだが……正直、居候していたから家に対してそこまで無頓着だと思ってたんだよ。だから手頃な家を買って、少し改装して住むだろうと思ってた。それがまさか、ここまで家に対して金を掛けるとは」
「それは私も同じ意見だわ。だって、アリシアの家に住んでる時は狭い部屋にハクと一緒に住んでたクリス君が自分で家を持つようになったら、こんなに大きな家を建てたんだもの誰だってそう思うわ」
エドガーさんとノアさんの言いたい事も分かる。
数ヵ月、アリシアさんの家に居候していた身の俺がいざ自分の家を持つとなったら、急に大工を呼んで作り出し。
更に家に対して、かなりのお金を投資したのだから驚くのも無理はない。
「どうせだったら自分の考えた最高の家に住みたいなと思いまして、でも貴族の家よりかは大きくはないとは思いますよ? 敷地的にそこまではありませんから」
「だけど中の造りは、貴族の家よりも良いと思うわよ。特に水回りに関してはね。おじさん、トイレのあれ見た?」
「見た。本当は今日中の方が良いが、準備もあるから明日登録に行く予定だよ」
温水機能付きトイレは、エドガーさんから直ぐにでも商品化してくれと頼まれた。
ただ設置済みのを取り外して登録するのは、まだ使って無いがちょっと嫌なので登録用に新しく作る事にした。
「引っ越し祝いに来たつもりが、仕事がまた増えたな……」
「良かったね。最近、私の所に来て落ち着いて来たって言ってたでしょ」
「嬉しい報告として言ってたんだけどね。まあ、忙しい方が私としても嬉しいけどね」
「でしたら、他にもこの家を作っていて商品にした方がいいかも知れない物を考えたんですけど、それも登録して商品化に向けて動きますか?」
家の購入と同時に俺は、いくつかの商品のアイディアが浮かんできた。
これまでは日常的に使う物として、せっけんや入浴剤といった風呂に限定した物ばかりだった。
しかし、家を手に入れて生活を豊かにする為に魔道具を自作するようになった。
その一つが温水機能付きのトイレで、他にもアイディアは浮かんでいる。
「……せめて一ヵ月に一つとかに絞れないかな? 新しい魔道具は世間も喜ぶと思うけど、多すぎたらそれはそれで情報過多で売れない可能性もあるし」
「そうですね。取り合えず、最初はあのトイレから出してみて周りの反応を見てみますか」
その後、エドガーさんは明日の事もあるので帰宅する事になり、アリシアさん達もまた遊びに来ると約束をして家を出て行った。
「なんだか一気に静かになったな」
「がう。がうがう!」
「広い庭に遊んで欲しいのか? まあ、少しくらいなら良いぞ」
やる事も多少あるが、ハクが遊びたい様子だったので庭に出てハクと一緒に遊ぶ事にした。
そして夜は引っ越し初日と言う事もあり、全部の風呂に湯を張って色んな風呂を堪能した。
正直、やり過ぎた感も否めないが作って正解だった。
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