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第三章
第四話
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フローレンスにとって、テニスを観ているのは楽しかった。ボールがあっちに行ったりこっちに来たりして、目で追いかけるのは楽しかったし、コートの左右に分かれたプレーヤーたちがそれぞれ必死にボールを追いかけるのも、見ていてワクワクした。ジョセフ王太子が食事の席で情熱的にテニスについて語るのも、分かる気がした。
「テニスって面白いですね!」
コートにいた面々が休憩のために観客席にやってきた時、フローレンスは興奮気味に言った。
「そうだろ?」
王太子は得意げに言った。
「相手との駆引きもあるから、それがまたいいんだ!」
彼は明るく笑った。他の貴族の子たちも同じように明るい表情だ。
「駆引きもあるんですね?難しそう。」
フローレンスはなおも興味津々といった感じだ。
「まあ、それはもっとテニスについて詳しくなってからかな。最初はテニスって楽しい!くらいで大丈夫だよ。」
王太子は爽やかな笑顔を見せ、
「フローレンスもテニスやってみるかい?」
と聞いてきた。
「ええっ?!」
フローレンスは運動はとても苦手で、まさか自分がプレーするなんて想像もできなかった。
「いや・・・、私は、遠慮します。」
そう言って恥ずかしそうに断った。
「そう?」
王太子は、若干つまらないというような表情を見せ、再び仲間たちとコートに戻った。
その後王太子たちは1時間ほどテニスをしてから、その日はお開きとなった。フローレンスは、自分はテニスなんてできないけど、王太子やその仲間たちが楽しそうにプレーしているのを観るのが、自分にとっても楽しみになっていると気づいた。
「また、連れて行ってください!」
フローレンスは、帰り道の馬車で、王太子に向かって無邪気に笑った。
「ああ、いいとも。」
王太子も、よく日に焼けた精悍な顔つきでニッコリと笑って答えた。
「次はフローレンスもやってほしいなあ。」
「ええ~、それはどうかな~?」
2人はじゃれ合うくらい、仲がよくなっていた。
「テニスって面白いですね!」
コートにいた面々が休憩のために観客席にやってきた時、フローレンスは興奮気味に言った。
「そうだろ?」
王太子は得意げに言った。
「相手との駆引きもあるから、それがまたいいんだ!」
彼は明るく笑った。他の貴族の子たちも同じように明るい表情だ。
「駆引きもあるんですね?難しそう。」
フローレンスはなおも興味津々といった感じだ。
「まあ、それはもっとテニスについて詳しくなってからかな。最初はテニスって楽しい!くらいで大丈夫だよ。」
王太子は爽やかな笑顔を見せ、
「フローレンスもテニスやってみるかい?」
と聞いてきた。
「ええっ?!」
フローレンスは運動はとても苦手で、まさか自分がプレーするなんて想像もできなかった。
「いや・・・、私は、遠慮します。」
そう言って恥ずかしそうに断った。
「そう?」
王太子は、若干つまらないというような表情を見せ、再び仲間たちとコートに戻った。
その後王太子たちは1時間ほどテニスをしてから、その日はお開きとなった。フローレンスは、自分はテニスなんてできないけど、王太子やその仲間たちが楽しそうにプレーしているのを観るのが、自分にとっても楽しみになっていると気づいた。
「また、連れて行ってください!」
フローレンスは、帰り道の馬車で、王太子に向かって無邪気に笑った。
「ああ、いいとも。」
王太子も、よく日に焼けた精悍な顔つきでニッコリと笑って答えた。
「次はフローレンスもやってほしいなあ。」
「ええ~、それはどうかな~?」
2人はじゃれ合うくらい、仲がよくなっていた。
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