【完結】婚約破棄された伯爵令嬢と、おっちょこちょいな男子学生

第一章

第三話

キャサリンはそれからというもの、口数がめっきり減ってしまった。ブラッシュ伯爵も夫人も、キャサリンになんと声をかけてよいか、分からない状態であった。

しばらくしてから、ブラッシュ伯爵夫妻はまた娘の結婚相手を見つけてこようという話になった。ある日、ブラッシュ伯爵が食事の席でキャサリンに

「なあ、まあ、侯爵殿のことは残念だったが、また新しい人を見つけてこようと思うんだ。」

と言った。夫人も、

「そうよ、婚約破棄するような相手なんて、結婚前に分かってよかったわ。また次のチャンスがあるわよ。」

と言った。２人とも、極力明るく振る舞おうとした。

しかし、少しの沈黙の後、キャサリンは口を開いた。それは、伯爵夫妻にとって意外な言葉だった。

「お父様、お母様、ご心配ありがとうございます。結婚、たしかに、したいけど、それよりもやりたいことがあって。」

伯爵夫妻は困惑した顔で互いを見た。再び２人が娘の方を見ると、キャサリンの口から

「私、大学に行ってみたいの。ほら、女学校を卒業してから勉強は終わったじゃない？実は以前からもっと勉強を続けたいと思っていて。」

という言葉が飛び出した。