【完結】若き伯爵に見初められた町娘

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第二章

第五話

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「すみません。」

あれ?私、話しかけられてる?バレー伯爵に?

たしかにバレー伯爵の声だ。心臓が急にバクバク鳴って、外に聞こえるんじゃないかと思った。落ち着け、落ち着け。ゆっくりと後ろを振り返った。

「はい、何かご用ですか?」

つとめて冷静に、冷静に返事をした。

「すみません、生物学の本はありますか?その、カエルの本とか?」

生物学?カエル?

落ち着け、どの棚に何の本が置いてあるか、全部知っているはずだ。なのに、頭が真っ白になった。

ようやく冷静さを取り戻して、場所を思い出した。

「こちらになります。」

ゆっくりと歩いて伯爵を案内した。

「ありがとう。」

伯爵はそう言うと、再び本棚を見始めた。
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