屁理屈娘と三十路母

小川 梓

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ポテトサラダ

ポテトサラダ 05

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 なぜ、ブレーキ役が必要になるのかは、色々な側面があるが、一番大きい部分は、三十路の母はいまだに乙女の世界に生きている。というところにあるだろう。
母の口から出てくる言葉は中学生の私よりも幼いことがある。誰かに頼らないと不安でしかたないような、そんな言葉が出てくるからだ。
そして、母は私の母でありながら、まだ女として生きていきたい。
「今日、武村さんのところに行くんだけど、ゆみは一緒に行く?」
 武村さん、とは、母の新しい彼氏のこと。
「いや、私は家にいるよ」
「そう、じゃあ、今日の夕食、作って置いておくから、帰ったら温めて食べといて」
「了解」
母は母として私を育ててくれている。それでも、私を邪魔だと思ったことはあると思う。
21歳という時期に結婚して3年で離婚をした。もっと遊びたい気持ちもあっただろう。私がいることでだめになった恋もあるだろう。それでも母は私をここまで育て上げた。だから、母に新しい恋人ができることは喜ばしいものだ。
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