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第六話 魔王軍のきんきゅうかいぎ
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2時間後。
ここは魔王城10階、大会議室、国に関わるような会議はここで行われる。今回はそこで幹部長ケルエックの裏切りについての緊急会議が行われていた。
ん~。それにしてもこのロリが魔王だなんて未だ信じられないな。まぁこんだけの人が魔王って言うならそうなんだろうけど。
今回の会議は11人の幹部の中から、集まれる者が来ている。その数は娯楽長、統治長、調査長、外交長を抜いた7人、それにルードとシャエル、魔王、久我が加わり合計11人で会議が行われている。
幹部達は久我を訝しげな目で見ている。
「魔王様。その男は何者ですか。」
スキンヘッドで上半身半裸の筋骨隆々の財政長ダンダ・フマエルが疑問を魔王に投げる。
「そういえば、みんなにはあまり話してなかったのう。こいつは久我冬人。異世界の住人じゃ。そしてわしの対等契約者でもある。」
一気に騒がしくなる。
「異世界の住人というのはどういうことですか。」
「対等契約というのはどういうことなんじゃ。」
金髪の執事みたいな格好をした若い男、魔王守護長ライン・クラックと白ひげを生やし、白衣を纏った、マッドサイエンティストっぽい爺、開発長ウェンダル・ウイズが魔王に質問する。
「待て待て質問は一つずつにせい。まず、異世界の住人というなはな…、ミハイン、レーダーに異変があったのは、いつ頃じゃ。」
「約10時間前です。」
円卓の中で一番近い、メガネを掛け、マントを羽織った、いかにも頭が良さそうなミハインに皆は視線を向ける。参謀長ガガラド・ミハインが答える。
「そうか。」
ミハインに向けた視線を今度は魔王に戻す。
「わしはその時何をしていたかというと、魔法の開発をしていたんじゃ。すると、何かを感じたんじゃ。すると、それが契約の合図だったというわけじゃ。しかも、相手は今までにない反応、魔力を感じんかったんじゃ。」
また、騒がしくなる。
「なぜ、契約が結ばれたんですか?」
短いモヒカンで、暑そうな格好をした、優しそうな男、物資長カトゥン・ラーズが聞く。
「知らん。おそらく、魔素の流れが異常
「魔王よ。この世界に魔力を持たない生物なんているのか?」
金髪で鎧を着た、圧の強く、強そうな女性、軍事長エイダ・リゼが疑問を投げかける。
「だから、異世界の住人というわけじゃ。」
周りが納得する。
「で、ですが、こいつは謎の力を使いましたよ。いきなり足が早くなったり、見えない壁を貼ったり。」
全体的に白く、髪は白金で、背中に白い羽根をはやした、シャエルが慌てながら言う。
あれ?能力のこと、この前言ってなかったっけ?
「さっきも言った気がするが、幹部達は聞いとらんかったな。これもいい機会じゃ。シャエルももう一回聞くといい。ミハイン!」
うるさっ。
すると、ミハインが立って、魔法のスライドっぽいのを出して説明をし始める。
「まずは、対等契約についてです。この図を見てください。」
そこには、人の中に丸が描かれている図が2つあった。
「対等契約とは、主従契約とは違い、魔力量が同じでないと発動できません。
丸の中が同じ範囲、紫で塗られる。
「そんなものがあったのか。」
開発長がつぶやく。
へー、あんまり有名じゃないんだ。
「皆さんは魔王の魔力量をご存知でしょう。」
魔王だから、魔力量スゴイんだろ…
「ゼロじゃな。」
開発長が言う。
「え?ゼロなの?魔王なのに?」
思わず口が滑る。
幹部の皆さんの視線がこっちに注がれる。
「貴様その口の…!」
魔王守護長クラックが言いかけるが、それを魔王が止める。
「よい。口の利き方は、わしが許した。」
「何故ですか⁉」
「わしの契約者じゃから。」
クラックが黙る。
「はぁ、皆も良いな。フユトはわしと同等に扱え。命令じゃ。」
「「御意‼」」
クラック以外の幹部たちが口を揃えて答える。
なんか、カツッって音が聞こえたような。
「クラック。」
魔王がクラックに視線を向ける
「ぎ…御意。」
クラックが不満そうに答える。
「やっぱ魔王なんだ。」
幹部に気付かれないように、目の前にいる魔王に言う。
「はぁ、お主まだ信じとらんかったんか。」
だって、ロリだもん。
「そんなことより、ミハイン続きを。」
そう言われミハインが続きを話す。
「対等契約の効果の一つとして能力の共有があります。例えば、フユトさんあなたは異世界の住人なのに私達の言葉やおそらくカラツ・カラツの言葉も理解できているのでしょう。これは魔王様が私達やセクト族の言葉が理解できるからです。」
そうなんだ。
「ちょっと待て、俺は確かにあんた達の言葉はわかるが、そのカラツ・カラツやセクト族ってなんのことだ?」
「カツカツカチカツカツカツカチ。」
「あ、あんたさっきの廊下で…」
「カツ。カツカチカチ。」
「やっぱり!」
虫長カラツ・カラツとはさっき廊下で見たでっかいカマキリだった。
「おい!お前、カラツ様の言葉がわかるのか⁉」
ルードが驚きながら、叫ぶ。他の幹部達も多少驚いている。
「お前ら、うるさいぞ。今、ミハインが説明してるところじゃろが。」
魔王が空気を戻す。
「それでは、続けさせていただきます。能力の共有ということでしたが、これが
シャエルの質問につながります。」
「ミハイン様、すると、あの力は魔王様の能力ということですか?」
シャエルが問う。
「そうだ。魔王様の能力“想像”によるものだ。」
そんな力持ってんだ。
「あと、付け加えておくと、今は仮契約状態じゃから、フユトはわしの能力の1%も使えんし、本契約したとしても、10%の能力を使えるようになるのも、時間がかかるじゃろうな。」
1%未満で部下の剣、防げるんだ。
「1%未満で防がれた…?鍛えなくては…」
どこからかそんな声が聞こえた。
「魔王様のおっしゃる通り対等契約にはこういう課題もあるのです。」
そこで、魔王が手をパンッと打つ。
「さて対等契約についてはこれで終わりじゃ。今から本題に入る。」
幹部たちの顔が険しくなる。
「皆このことについてどう思う。」
魔王がそう言うと、財政長フマエルが手をあげる。
「よい、申せ。」
フマエルが魔王に向け一礼する。
「そもそも、本当にケルエックは裏切ったのでしょうか?にわかに信じられんのですが。」
「わしもそう思います。」
開発長ウイズがフマエルの意見の同意する。
「シャエル、あの映像を見せるのじゃ。」
魔王が言うとシャエルが何やら、投影の魔法を発動させ、会議前に見た映像を見せる。
「本当にあいつは裏切ったのか…」
「ケルエックめ…、魔王様を裏切りよって…」
魔王守護長クラックと軍事長リゼが失望の色を明らかにする。
「カツカツカツカツ?」
カルツがカツカツしゃべる。
「そうじゃな、わしもあやつが裏切るとは思えんな。」
幹部たちが黙り込む。
そこで、俺は一つの疑問を持った。
「あのー、そもそも、ケルエックさんってどういう方何でしょうか?」
するとミハインがこちらを向き、
「ケルエックは、優秀なエルフでしたよ。我々をうまくまとめて、魔王様にも忠誠を示していました。私も彼が魔王様を裏切るとは思えませんね。」
エルフってやっぱりいるんだ。それにしてもそれを聞く限りそのケルエックって人が裏切るとは思えないなぁ…もしかして!
「他人を洗脳するっていう魔法ってあるんですか?」
「簡単な洗脳魔法はありますが、こんなに他者の思考を変えるような魔法は聞いたとありませんねぇ。」
ミハインが答える。
こんな頭良さそうなひとが言うんなら、無いか…。いい線行ったと思ったんだけどな…。
「ミハイン様。」
突然ルードがミハインに呼びかける。
「どうしたルード。」
「ミハイン様、その洗脳の魔法ですが、私達アダン族の古代魔法にそのような魔法があります。その魔法の名前は、”ミンド・カンセッド”。他人の記憶を消して、自分の好きな記憶を対象に埋め込むというものです。」
こわ。
「そんな魔法があってたまるか!」
リゼが叫ぶ。
「しかし、その魔法を成功させるには大量の魔力と、大量のアダン族の命を必要とされています。」
こわ。
「本当にそんな魔法が成功したら、魔素が異常反応を起こすぞ。はっ!もしかしてそれで…」
魔王が長考モードに入る。
すると、いきなり会議室に耳の長い金髪のエルフが、モニターらしきものに映し出される。
「ケルエック!貴様!」
クラックが叫ぶ。
「ん?お前どこかで会ったか?」
「やはり記憶が消されておるな。」
「まぁ良い。魔王はどこにおる?んー、あっ、貴様か!」
ケルエックは魔王ではなく、ミハインを指差す。
「いやわたしでは…」
「レステラに聞いていた通り、悪の親玉っぽい雰囲気だな。今から一週間後に貴様らの国を滅ぼす。これも我らバロン族のためだ。それではな。」
画面からケルエック去っていった。
「レステラ…。」
ルードが呟く。
「なんじゃ?ルードなんか知っておるのか?」
「レステラはアダン族の族長で、とても残忍かつ、狡猾なやつです。」
すると、モニターに別の人物が現れる。
「そんな風に思われていたなんて、僕は心外だなぁ。」
画面にはメガネをかけて、教授みたいな帽子をして黒髪の人物が現れる。
「レステラ…!貴様一体誰を犠牲にしたんだ‼」
「君の家族はよく頑張ってくれたよ。」
「貴様‼」
「外道じゃな。」
「君が魔王だろぅ?ケルエックは記憶を一回消したから、少しおバカになっちゃったけど。ケルエック様は今では私達アダン族の希望の光だよ。」
「ケルエックをアダン族の王にしたか。」
「そうだよ。僕たちレステラ派はケルエック様がいなかったら、カルネン派に押しつぶされるところだったよ。」
「まだ、カルネン様は生きているのか⁉」
「ホントしぶといやつだよ。早く消えてくれないかなぁ。まぁいいや。まっ、とりあえず一週間後楽しみにしてるよ。」
モニターが消える。
「やなやつだなぁ。」
俺は思ったことそのまま口に出す。
「そうじゃな、まぁ色々ルードには聞きたいことはあるが、それはこの戦争が終わってからじゃな。」
魔王がそう言うと、ルードが顔を伏せる。
「それにしても、彼奴等は私達をなめ過ぎでしたね。」
ミハインは言う。
「魔王様に剣を向けるとは笑止‼」
クラックは叫ぶ。
「さて、皆に報告するか。」
フマエルは落ち着いて言う。
「あの野郎…一発ぶった斬ってやろうか。」
リゼは呟く。
「次はどの子を使おうかのう。」
ウイズは不適な笑みを浮かべる。
「今回、全然喋れませんでしたねぇ。」
カトゥンは何かを恨む。
「カツカツカチカチ…。」
カラツはカツカツする。
「また、めんどくさいことになっちゃった。」
シャエルが呆れる。
「レステラ…!」
ルードは静かに怒りを燃やす。
「もうしゃべって良いかの…。それじゃ、今から一週間後我らの誇りをかけた戦が始まる。皆、心してかかれ‼」
「「御意‼」」
「は、はーい。」
「フユトさん、御意、ですよ。」
ミハインがこっちに語りかける。正直怖い。
「ぎょ、御意。」
ここは魔王城10階、大会議室、国に関わるような会議はここで行われる。今回はそこで幹部長ケルエックの裏切りについての緊急会議が行われていた。
ん~。それにしてもこのロリが魔王だなんて未だ信じられないな。まぁこんだけの人が魔王って言うならそうなんだろうけど。
今回の会議は11人の幹部の中から、集まれる者が来ている。その数は娯楽長、統治長、調査長、外交長を抜いた7人、それにルードとシャエル、魔王、久我が加わり合計11人で会議が行われている。
幹部達は久我を訝しげな目で見ている。
「魔王様。その男は何者ですか。」
スキンヘッドで上半身半裸の筋骨隆々の財政長ダンダ・フマエルが疑問を魔王に投げる。
「そういえば、みんなにはあまり話してなかったのう。こいつは久我冬人。異世界の住人じゃ。そしてわしの対等契約者でもある。」
一気に騒がしくなる。
「異世界の住人というのはどういうことですか。」
「対等契約というのはどういうことなんじゃ。」
金髪の執事みたいな格好をした若い男、魔王守護長ライン・クラックと白ひげを生やし、白衣を纏った、マッドサイエンティストっぽい爺、開発長ウェンダル・ウイズが魔王に質問する。
「待て待て質問は一つずつにせい。まず、異世界の住人というなはな…、ミハイン、レーダーに異変があったのは、いつ頃じゃ。」
「約10時間前です。」
円卓の中で一番近い、メガネを掛け、マントを羽織った、いかにも頭が良さそうなミハインに皆は視線を向ける。参謀長ガガラド・ミハインが答える。
「そうか。」
ミハインに向けた視線を今度は魔王に戻す。
「わしはその時何をしていたかというと、魔法の開発をしていたんじゃ。すると、何かを感じたんじゃ。すると、それが契約の合図だったというわけじゃ。しかも、相手は今までにない反応、魔力を感じんかったんじゃ。」
また、騒がしくなる。
「なぜ、契約が結ばれたんですか?」
短いモヒカンで、暑そうな格好をした、優しそうな男、物資長カトゥン・ラーズが聞く。
「知らん。おそらく、魔素の流れが異常
「魔王よ。この世界に魔力を持たない生物なんているのか?」
金髪で鎧を着た、圧の強く、強そうな女性、軍事長エイダ・リゼが疑問を投げかける。
「だから、異世界の住人というわけじゃ。」
周りが納得する。
「で、ですが、こいつは謎の力を使いましたよ。いきなり足が早くなったり、見えない壁を貼ったり。」
全体的に白く、髪は白金で、背中に白い羽根をはやした、シャエルが慌てながら言う。
あれ?能力のこと、この前言ってなかったっけ?
「さっきも言った気がするが、幹部達は聞いとらんかったな。これもいい機会じゃ。シャエルももう一回聞くといい。ミハイン!」
うるさっ。
すると、ミハインが立って、魔法のスライドっぽいのを出して説明をし始める。
「まずは、対等契約についてです。この図を見てください。」
そこには、人の中に丸が描かれている図が2つあった。
「対等契約とは、主従契約とは違い、魔力量が同じでないと発動できません。
丸の中が同じ範囲、紫で塗られる。
「そんなものがあったのか。」
開発長がつぶやく。
へー、あんまり有名じゃないんだ。
「皆さんは魔王の魔力量をご存知でしょう。」
魔王だから、魔力量スゴイんだろ…
「ゼロじゃな。」
開発長が言う。
「え?ゼロなの?魔王なのに?」
思わず口が滑る。
幹部の皆さんの視線がこっちに注がれる。
「貴様その口の…!」
魔王守護長クラックが言いかけるが、それを魔王が止める。
「よい。口の利き方は、わしが許した。」
「何故ですか⁉」
「わしの契約者じゃから。」
クラックが黙る。
「はぁ、皆も良いな。フユトはわしと同等に扱え。命令じゃ。」
「「御意‼」」
クラック以外の幹部たちが口を揃えて答える。
なんか、カツッって音が聞こえたような。
「クラック。」
魔王がクラックに視線を向ける
「ぎ…御意。」
クラックが不満そうに答える。
「やっぱ魔王なんだ。」
幹部に気付かれないように、目の前にいる魔王に言う。
「はぁ、お主まだ信じとらんかったんか。」
だって、ロリだもん。
「そんなことより、ミハイン続きを。」
そう言われミハインが続きを話す。
「対等契約の効果の一つとして能力の共有があります。例えば、フユトさんあなたは異世界の住人なのに私達の言葉やおそらくカラツ・カラツの言葉も理解できているのでしょう。これは魔王様が私達やセクト族の言葉が理解できるからです。」
そうなんだ。
「ちょっと待て、俺は確かにあんた達の言葉はわかるが、そのカラツ・カラツやセクト族ってなんのことだ?」
「カツカツカチカツカツカツカチ。」
「あ、あんたさっきの廊下で…」
「カツ。カツカチカチ。」
「やっぱり!」
虫長カラツ・カラツとはさっき廊下で見たでっかいカマキリだった。
「おい!お前、カラツ様の言葉がわかるのか⁉」
ルードが驚きながら、叫ぶ。他の幹部達も多少驚いている。
「お前ら、うるさいぞ。今、ミハインが説明してるところじゃろが。」
魔王が空気を戻す。
「それでは、続けさせていただきます。能力の共有ということでしたが、これが
シャエルの質問につながります。」
「ミハイン様、すると、あの力は魔王様の能力ということですか?」
シャエルが問う。
「そうだ。魔王様の能力“想像”によるものだ。」
そんな力持ってんだ。
「あと、付け加えておくと、今は仮契約状態じゃから、フユトはわしの能力の1%も使えんし、本契約したとしても、10%の能力を使えるようになるのも、時間がかかるじゃろうな。」
1%未満で部下の剣、防げるんだ。
「1%未満で防がれた…?鍛えなくては…」
どこからかそんな声が聞こえた。
「魔王様のおっしゃる通り対等契約にはこういう課題もあるのです。」
そこで、魔王が手をパンッと打つ。
「さて対等契約についてはこれで終わりじゃ。今から本題に入る。」
幹部たちの顔が険しくなる。
「皆このことについてどう思う。」
魔王がそう言うと、財政長フマエルが手をあげる。
「よい、申せ。」
フマエルが魔王に向け一礼する。
「そもそも、本当にケルエックは裏切ったのでしょうか?にわかに信じられんのですが。」
「わしもそう思います。」
開発長ウイズがフマエルの意見の同意する。
「シャエル、あの映像を見せるのじゃ。」
魔王が言うとシャエルが何やら、投影の魔法を発動させ、会議前に見た映像を見せる。
「本当にあいつは裏切ったのか…」
「ケルエックめ…、魔王様を裏切りよって…」
魔王守護長クラックと軍事長リゼが失望の色を明らかにする。
「カツカツカツカツ?」
カルツがカツカツしゃべる。
「そうじゃな、わしもあやつが裏切るとは思えんな。」
幹部たちが黙り込む。
そこで、俺は一つの疑問を持った。
「あのー、そもそも、ケルエックさんってどういう方何でしょうか?」
するとミハインがこちらを向き、
「ケルエックは、優秀なエルフでしたよ。我々をうまくまとめて、魔王様にも忠誠を示していました。私も彼が魔王様を裏切るとは思えませんね。」
エルフってやっぱりいるんだ。それにしてもそれを聞く限りそのケルエックって人が裏切るとは思えないなぁ…もしかして!
「他人を洗脳するっていう魔法ってあるんですか?」
「簡単な洗脳魔法はありますが、こんなに他者の思考を変えるような魔法は聞いたとありませんねぇ。」
ミハインが答える。
こんな頭良さそうなひとが言うんなら、無いか…。いい線行ったと思ったんだけどな…。
「ミハイン様。」
突然ルードがミハインに呼びかける。
「どうしたルード。」
「ミハイン様、その洗脳の魔法ですが、私達アダン族の古代魔法にそのような魔法があります。その魔法の名前は、”ミンド・カンセッド”。他人の記憶を消して、自分の好きな記憶を対象に埋め込むというものです。」
こわ。
「そんな魔法があってたまるか!」
リゼが叫ぶ。
「しかし、その魔法を成功させるには大量の魔力と、大量のアダン族の命を必要とされています。」
こわ。
「本当にそんな魔法が成功したら、魔素が異常反応を起こすぞ。はっ!もしかしてそれで…」
魔王が長考モードに入る。
すると、いきなり会議室に耳の長い金髪のエルフが、モニターらしきものに映し出される。
「ケルエック!貴様!」
クラックが叫ぶ。
「ん?お前どこかで会ったか?」
「やはり記憶が消されておるな。」
「まぁ良い。魔王はどこにおる?んー、あっ、貴様か!」
ケルエックは魔王ではなく、ミハインを指差す。
「いやわたしでは…」
「レステラに聞いていた通り、悪の親玉っぽい雰囲気だな。今から一週間後に貴様らの国を滅ぼす。これも我らバロン族のためだ。それではな。」
画面からケルエック去っていった。
「レステラ…。」
ルードが呟く。
「なんじゃ?ルードなんか知っておるのか?」
「レステラはアダン族の族長で、とても残忍かつ、狡猾なやつです。」
すると、モニターに別の人物が現れる。
「そんな風に思われていたなんて、僕は心外だなぁ。」
画面にはメガネをかけて、教授みたいな帽子をして黒髪の人物が現れる。
「レステラ…!貴様一体誰を犠牲にしたんだ‼」
「君の家族はよく頑張ってくれたよ。」
「貴様‼」
「外道じゃな。」
「君が魔王だろぅ?ケルエックは記憶を一回消したから、少しおバカになっちゃったけど。ケルエック様は今では私達アダン族の希望の光だよ。」
「ケルエックをアダン族の王にしたか。」
「そうだよ。僕たちレステラ派はケルエック様がいなかったら、カルネン派に押しつぶされるところだったよ。」
「まだ、カルネン様は生きているのか⁉」
「ホントしぶといやつだよ。早く消えてくれないかなぁ。まぁいいや。まっ、とりあえず一週間後楽しみにしてるよ。」
モニターが消える。
「やなやつだなぁ。」
俺は思ったことそのまま口に出す。
「そうじゃな、まぁ色々ルードには聞きたいことはあるが、それはこの戦争が終わってからじゃな。」
魔王がそう言うと、ルードが顔を伏せる。
「それにしても、彼奴等は私達をなめ過ぎでしたね。」
ミハインは言う。
「魔王様に剣を向けるとは笑止‼」
クラックは叫ぶ。
「さて、皆に報告するか。」
フマエルは落ち着いて言う。
「あの野郎…一発ぶった斬ってやろうか。」
リゼは呟く。
「次はどの子を使おうかのう。」
ウイズは不適な笑みを浮かべる。
「今回、全然喋れませんでしたねぇ。」
カトゥンは何かを恨む。
「カツカツカチカチ…。」
カラツはカツカツする。
「また、めんどくさいことになっちゃった。」
シャエルが呆れる。
「レステラ…!」
ルードは静かに怒りを燃やす。
「もうしゃべって良いかの…。それじゃ、今から一週間後我らの誇りをかけた戦が始まる。皆、心してかかれ‼」
「「御意‼」」
「は、はーい。」
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ミハインがこっちに語りかける。正直怖い。
「ぎょ、御意。」
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中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
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こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
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9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
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面白いじゃないか(^ω^)
ps魔王って良いよな(●´ω`●)
投稿頑張ってね私も頑張る
ありがとうございます!
一緒に頑張りましょう!