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あぁ、デビュータントですか
しおりを挟む楽しみしていた念願の特別授業は週に1回のペースで受けている。
しかし、楽しみにしていた特別授業なのに、今日の私の表情は晴れない。気を抜けばため息を吐いてしまう。
「シャルロット様、調子が悪いのですか?」
「違うんです、姉さんは来月あるデビュータントが嫌らしく…」
クロヴィスは一緒に外出した時から“姉さん”と私を呼ぶようになった。特別授業にも一緒に参加するようになったクロヴィスは、何故か私に懐いているような気がする。
何もしていないのに懐かれてしまい、正直困惑している。
「うーん、デビュータントを避けることはできませんからね…」
デビュータントとは、貴族の子ども達が社交界にデビューすること。来月あるデビュータントには同世代の殆どが参加してダンスを踊ったり、人間関係を築いたりする。
王宮で開かれるパーティのため、ランベール殿下ももちろん参加。
婚約者候補から外された私が行ったら、遠巻きに陰口を言われ馬鹿にされるのが目に見えている。それだけでも気が重いのに、このデビュータントはランベール殿下の婚約者を探す意図もあるのよね。
私が選ばれることはないだろうけど、ゲームの強制力が働くかもしれない。
…憂鬱になるのも仕方がないでしょう
「私がパートナーです、安心してください」
今までの仮面のような顔が嘘のように、攻略対象らしいキラキラとした笑顔で私の顔を覗き込んできた。頬を赤くしつつも、私の手をぎゅっと握り安心させようとしてくれる。
その姿は警戒心の強い野良猫が飼い主に懐いたかのようで………とても可愛いらしい…ってダメだ!!
なんて恐ろしい子だ、危うく絆されるところだった。クロヴィスが攻略対象である限り、私の命を左右する危険人物だ。
「あはは…クロヴィス、ありがとう」
「姉さんをお守りするのは当然のことです」
あぁ、このキラキラ天使をどうにかして!
可愛いすぎて心臓がばくばく煩いし、眩しくて目が開けられない!
「そういえばデビュータントにスチュワート家の次男ラルフ様も参加されるはずなので、交友を持たれてはいかがですか?」
「ラルフ様ですか?」
「えぇ、スチュワート家は商売で成功している家系で、外国との取引も多くしています。シャルロット様にとって大切な繋がりになるのではないでしょうか?」
商売で成功していて
海外との取引もしている
そして同世代の子ども
それは是非とも仲良くしていただきたい!
フィリップによると、スチュアート家は男爵で貴族の中だと位が1番低い。元は平民で商売の功績を認められ男爵となった。その後も国に貢献しており3世代続けて男爵として地位を与えられた凄腕の家系。
ラルフ様は平民に多い茶髪に茶色の瞳らしく、貴族からは見下されることが多いという。
ここでも身分社会というものが付き纏ってくるのか…
「社交界の地位を築きたいのであればラルフ様はお友達に向かないかもしれません」
「そのようなことに興味はありません、私はラルフ様とお近づきになりたい!」
貴族らしくない私がラルフ様とは話が合うかもしれない。まだ会ったことのないラルフ様に、私は期待を抱いた。
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