見えちゃう仏壇店員さん

清笑 句呂人 

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1件目 出会い

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「いらっしゃいませ」

仏壇店の店長をしている私は売り場での作業を止め、ご来店いただいたお客様へ声をかけ様子をうかがう。

落ち着いた様子で仏壇を眺め相談をしている50代ぐらいの夫婦と、おそらくどちらかのお母様であろう仏壇を眺めているお婆様の3人組のようだ。

私はいつものように

「小型仏壇でお探しですか?」と尋ねた。

「えぇ、急に亡くなったもので用意しなければいけないのであれば小さい方が場所に困らないかと。。。」

「そうですね。今ある家具に合わせて購入される方も増えてきていますのでご希望通りに探すことができると思いますよ」

私はそう伝えながら、お婆様が着いてきてるということはご主人の仏壇は一緒に決めたいとかなのだろう。と考えていた。

色味やデザイン、使い勝手などを色々と話をして

「これにしようかな。」

と、仏壇のデザインが決まったようだ。

旦那さんも多少意見はあったようだが妻に任せようと思っていると最初に言っていたので決定時はスムーズだった。

「お母様もこちらのお仏壇で宜しそうですかね?」
私はせっかく来店してくれているので確認だけはしてあげたかった。

お婆様はニコリと微笑みうなずいてくれた。

ご夫婦は振り向いた後に私に向かい

「喜ぶと思います。」

という返事をした。



(なんだ?この違和感?辛い時期だから気を使ってるという感じじゃないぞ?)

ひっかかるものがありながらも、ご成約となるので作業を進めていくことにした。

「ではこちらのお仏壇で注文書の作成させていただきますのでお掛けになって少々お待ちください。」

私はそう声をかけ、バックヤードへ入り必要書類を出し記入のために売り場へ戻った。

(あれ・・・?)

私は忘れ物があったような素振りをしながらバックヤードに引き返した。

「悪いんだけど、あの夫婦お婆さんだけ立たせて自分らだけ座ってるからそこの椅子1つ出してあげて」

私はパートさんに声をかけ売り場へ出て行き

「ご迷惑おかけして申し訳ございません。少々お待ちくださいね。」

とだけお婆さんに声をかけて作成を始めた。


仲悪いのか?と作成しながら気にかけて見ていると椅子を持って出てきたパートさんが首をかしげそのまま戻ってしまった。


作成を終えた私はバックヤードに行き中の様子を確認した。


「店長の言ってるお婆さんどこにいる?」







(おいおい、そうゆうことかよ。。。)

私は信じられないが一連の違和感が全て解消される考えを持ってしまった。



幽霊が見えてんのか!!!

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