暇だから、ちょっと拷問を…

清笑 句呂人 

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はじまり

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「何でこんな事をしているんだろう…。」
目の前には自分の彼女。正確には数時間前まで彼女だった女。
12月の息を吐けば白くなる寒さの夜中、人通りのない車道脇の樹々の中で、両手を吊られ目隠しをした状態。
女は誰に向けた言葉か分からないが謝り続けている。

どうやらこの状態を作ったのが僕だとは夢にも思わないようだ。
思いつきだったのもあり、すぐにバレて悪ふざけで終わると思っていたのでここまでになってしまい戸惑いを感じつつある。

当初の予定通り聞きたいことだけ聞くか、と女に向かって足を進めると草の音がした。
女はすぐに反応しこちらに謝っている。
そして知らない男の名前が3人ほど出てきた。
そう、僕は遊ばれていたのだ。
その後に続く下品な言葉の数々。そういう行為をしてきていたのかと不快な感情で染まっていく。

交際中は至って普通のカップルだった。
男の影を感じつつも「友達」と言われてしまえばそれまでだ。
さっきも待ち合わせ場所で話していた男。友達と言っていたがあまりにも態度には好意が溢れていた。
相手の男を誤魔化すように戻ってきたので場所を変え追求したら別れ話。

意味は理解したし仕方がないと思っていた。
1人で飲んで終電近くになったので帰るかと思ったところ、今1番見たくない光景。そう女とさっきの男の姿…

仕方がない。というのは感情ではなく言い聞かせている言葉なんだと理解した。
「怒り」が今の感情で、求めるものは謝罪。
謝らせたところで…という気持ちもあるがまず突き抜けた感情はそこだった。

なにより僕の時間が女の暇つぶしに使われていたことが許せなかった。

暫く遠目に見ていると男に用事があるのかタクシーを止め、乗り込み別れてしまった。
もう終電は無くなっていた。
どうするんだ?と思っていたらスマホを取り出しどこかへ電話。

ブーブーブー…
思いもよらない僕のスマホが震え出した。
「まだ飲んでたりする?」
僕の行きつけのバーのことを知っているからだろう。
要件を聞くと、謝りたい。説明したい。とのこと。
僕は、ちょーど駅に向かってるとだけ伝え電話を切った。


会った時のことはそんなに覚えていない。
説明など誤魔化しで、謝罪は軽いもの。タクシーかホテルの選択肢だからタクシーにしたぐらい。
さっきの男との一部始終を見られていたとは思わないこの女の吐く言葉は嘘しか出てこない。

この時ふと「どれだけ隠し事しているんだろ?」と興味を持ってしまった。
女は大分酔っていたのか寝てしまったので自宅付近で止め、裏通りの樹々の中へ移動した。

「気分は犯罪者だな。」などと考えていたがシンプルな仕掛けなだけ手際良く進む。
ようやく女が起きる頃には冷静になってしまい。
「何でこんな事をしているんだろう…。」
となってしまった。
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