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異界の国のアリス
リーゼロッテのお店
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「とにかく、ついてきなさい。そこで教えて差し上げますわ」
「……」
「なんで一歩下がるんですの?」
「甘い事言ってついてくるよう言う人には近寄らないよう教育されてるから……」
「いい加減にしないと、ほんと往復ビンタじゃすみませんわよ?」
そうは言うけどさー。
「だって、話がポンポン進み過ぎてちょっとどうかなって気がするし。初対面の私にあんまし公に出来ない事情を明かすのも怪しいっていうか」
「そんな今さら過ぎる事を言われた事実にビックリですわ……!」
呆れたような表情をするリーゼロッテ。おかしい、私はマトモな事言ってるはずなのに。
なんか念話で溜息が聞こえてくるのが更に妙だ。何故だ。
「まあ、いいですわ。貴方のお馬鹿さんな頭にも理解できるように言うなら、私は自分の見る目ってやつを信じてますの。それが全てですわ」
「なんか想像以上にふわっとした答えが返ってきて愕然としてるんだけど」
「うっさいですわね! 天眼の説明しても貴方には理解できないでしょう⁉ 説明して差し上げましょうか、半日くらい!」
「ごめんなさい」
「よろしい!」
まあ、たぶん魔女の天眼とかいうのには不思議な力があるんだろなー、くらいは想像ついた。
まさか私のステータス見れるとは言わないだろうけど。いや、そういう可能性もあるかな?
どうだろう。うーん。
「じゃあ、ついてきなさい。私の店に案内しますわ」
「お店とか持ってるんだ」
「私、薬師だと自己紹介しましたわよね……⁉」
お薬屋さんって言ったら俗っぽいって言ったくせにー。お店持ってるならお薬屋さんでいいじゃんか……というのは、言ったら怒るだろうから言わないでおこう。私えらい。
「なんか人里離れた森の小屋とかで暮らしてるのかと思った」
「なんでそんな面倒な事しなきゃいけないんですの……」
「俗っぽいの嫌みたいな事言ってなかったっけ」
「俗っぽいのは貴方の表現でしてよ」
「そうかなあ」
言いながら、リーゼロッテは街の中心の方へと歩いていく。
むう、俗っぽいとかいう割には儲けてるのかな?
それとも天眼とかってやつの力が関係してる?
『アルヴァ、天眼ってどういう能力あるの?』
『貴様、躊躇なく頼りにくるな……』
『いいじゃん。アルヴァなら私に分かるように言えるでしょ?』
『……様々な魔法能力を秘めた眼だ。半永久的なマジックスクロールと言って理解できるか?』
『あ、オッケー。よく理解できた』
『魔女によって天眼の能力は異なる。この魔女には、対人関係に役立つ能力があるのだろうな』
ふむふむ、なるほどなるほど?
でもなんか、すっごい狙われそうだなあ……うーん。
「さ、着きましたわよ!」
「おおー……」
リーゼロッテ魔法薬店、と描かれた何やら派手な看板がつけられた建物がある。
うん、なんていうか。
「すごく俗っぽい……」
「なっ! このセンスが分からないんですの⁉」
「なんかエッチな薬とか売ってそう」
「とんでもない風評被害はやめてくださるかしら⁉」
「だって無駄にキラキラしてるし……」
魔法なんだろうか、こんな昼間から看板がキラキラ電飾みたいに光ってる。
これは酷い。俗っぽさの極みだ。夜に通ったら大人向けのお店かと思うぞ私。
「女の子っぽくて可愛いと評判ですのに……センスが古いのではなくて?」
「ええー……マジかあ……」
まあ、この辺にこんな看板のお店、他にないもんね。最先端でハイセンスなのかもしれない。
キラキラして宝石がいっぱいついてるみたい、と言えないこともない。
「とにかく、中にお入りなさい」
「中もキラキラしてたらやだなあ……」
言いながら中に入ると、キラキラはしてなかったけどフリルだった。
ふむ……ふむう。
「内装はなんか理解できる」
「理解できなかったら、貴方はなんでそんな格好してるんだって話になりますわよ……?」
そういえば私も女の子の極みみたいな恰好だったね!
なんか慣れてるせいか、つい忘れがちになる。
「この瓶に入ってるの、何?」
「虫よけですわ。振りかければ大体の虫を寄せ付けませんわよ」
「ふーん。こっちは?」
「咳止めですわね」
「なんで虫よけの隣にあるの……?」
思ったより真面目にお薬屋さんだ。あ、違う。薬師だったわね。
ドアのカギを閉めたリーゼロッテはホウキを壁にたてかけて、お店のカウンターのところの椅子に座る。
「さて、早速ですが本題に入りましょうか」
「おっけー」
「貴方、躊躇なくカウンターに座りますわね」
「だって私の椅子ないし」
立って長くなりそうな話を聞くとかとんでもない。
「まあ、いいですわ。えーと、貴方、例の事件を追ってきたんですわよね?」
「違法奴隷商人の事件でしょ? 私もちょっと目をつけられたみたい」
「でしょうね。連中にとって見目麗しい人間は高値の商品に見えるでしょうから」
ま、美少女だからね。でもまあ、さっきから気になってた事が1つある。
「ていうかさ。リーゼロッテはなんでグレイたちに依頼してるの?」
「そんなに不思議なことかしら」
「うん、不思議。だって……魔女族って、魔族であって人間族じゃないでしょ?」
「……」
「なんで一歩下がるんですの?」
「甘い事言ってついてくるよう言う人には近寄らないよう教育されてるから……」
「いい加減にしないと、ほんと往復ビンタじゃすみませんわよ?」
そうは言うけどさー。
「だって、話がポンポン進み過ぎてちょっとどうかなって気がするし。初対面の私にあんまし公に出来ない事情を明かすのも怪しいっていうか」
「そんな今さら過ぎる事を言われた事実にビックリですわ……!」
呆れたような表情をするリーゼロッテ。おかしい、私はマトモな事言ってるはずなのに。
なんか念話で溜息が聞こえてくるのが更に妙だ。何故だ。
「まあ、いいですわ。貴方のお馬鹿さんな頭にも理解できるように言うなら、私は自分の見る目ってやつを信じてますの。それが全てですわ」
「なんか想像以上にふわっとした答えが返ってきて愕然としてるんだけど」
「うっさいですわね! 天眼の説明しても貴方には理解できないでしょう⁉ 説明して差し上げましょうか、半日くらい!」
「ごめんなさい」
「よろしい!」
まあ、たぶん魔女の天眼とかいうのには不思議な力があるんだろなー、くらいは想像ついた。
まさか私のステータス見れるとは言わないだろうけど。いや、そういう可能性もあるかな?
どうだろう。うーん。
「じゃあ、ついてきなさい。私の店に案内しますわ」
「お店とか持ってるんだ」
「私、薬師だと自己紹介しましたわよね……⁉」
お薬屋さんって言ったら俗っぽいって言ったくせにー。お店持ってるならお薬屋さんでいいじゃんか……というのは、言ったら怒るだろうから言わないでおこう。私えらい。
「なんか人里離れた森の小屋とかで暮らしてるのかと思った」
「なんでそんな面倒な事しなきゃいけないんですの……」
「俗っぽいの嫌みたいな事言ってなかったっけ」
「俗っぽいのは貴方の表現でしてよ」
「そうかなあ」
言いながら、リーゼロッテは街の中心の方へと歩いていく。
むう、俗っぽいとかいう割には儲けてるのかな?
それとも天眼とかってやつの力が関係してる?
『アルヴァ、天眼ってどういう能力あるの?』
『貴様、躊躇なく頼りにくるな……』
『いいじゃん。アルヴァなら私に分かるように言えるでしょ?』
『……様々な魔法能力を秘めた眼だ。半永久的なマジックスクロールと言って理解できるか?』
『あ、オッケー。よく理解できた』
『魔女によって天眼の能力は異なる。この魔女には、対人関係に役立つ能力があるのだろうな』
ふむふむ、なるほどなるほど?
でもなんか、すっごい狙われそうだなあ……うーん。
「さ、着きましたわよ!」
「おおー……」
リーゼロッテ魔法薬店、と描かれた何やら派手な看板がつけられた建物がある。
うん、なんていうか。
「すごく俗っぽい……」
「なっ! このセンスが分からないんですの⁉」
「なんかエッチな薬とか売ってそう」
「とんでもない風評被害はやめてくださるかしら⁉」
「だって無駄にキラキラしてるし……」
魔法なんだろうか、こんな昼間から看板がキラキラ電飾みたいに光ってる。
これは酷い。俗っぽさの極みだ。夜に通ったら大人向けのお店かと思うぞ私。
「女の子っぽくて可愛いと評判ですのに……センスが古いのではなくて?」
「ええー……マジかあ……」
まあ、この辺にこんな看板のお店、他にないもんね。最先端でハイセンスなのかもしれない。
キラキラして宝石がいっぱいついてるみたい、と言えないこともない。
「とにかく、中にお入りなさい」
「中もキラキラしてたらやだなあ……」
言いながら中に入ると、キラキラはしてなかったけどフリルだった。
ふむ……ふむう。
「内装はなんか理解できる」
「理解できなかったら、貴方はなんでそんな格好してるんだって話になりますわよ……?」
そういえば私も女の子の極みみたいな恰好だったね!
なんか慣れてるせいか、つい忘れがちになる。
「この瓶に入ってるの、何?」
「虫よけですわ。振りかければ大体の虫を寄せ付けませんわよ」
「ふーん。こっちは?」
「咳止めですわね」
「なんで虫よけの隣にあるの……?」
思ったより真面目にお薬屋さんだ。あ、違う。薬師だったわね。
ドアのカギを閉めたリーゼロッテはホウキを壁にたてかけて、お店のカウンターのところの椅子に座る。
「さて、早速ですが本題に入りましょうか」
「おっけー」
「貴方、躊躇なくカウンターに座りますわね」
「だって私の椅子ないし」
立って長くなりそうな話を聞くとかとんでもない。
「まあ、いいですわ。えーと、貴方、例の事件を追ってきたんですわよね?」
「違法奴隷商人の事件でしょ? 私もちょっと目をつけられたみたい」
「でしょうね。連中にとって見目麗しい人間は高値の商品に見えるでしょうから」
ま、美少女だからね。でもまあ、さっきから気になってた事が1つある。
「ていうかさ。リーゼロッテはなんでグレイたちに依頼してるの?」
「そんなに不思議なことかしら」
「うん、不思議。だって……魔女族って、魔族であって人間族じゃないでしょ?」
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