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プラスアルファ4.5
ロクナとおでかけ
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着替えたヴェルムドールとロクナの二人はザダーク王国の南方の街、エルグラッドに来ていた。
エルグラッドは南方で一番大きい街であり、他の地方との交流の中心点でもある。
通常であれば、こうした街は四方将の拠点を中心に形成される。
それは四方将が他の魔族から尊敬を集める存在であるのも無関係ではない。
当然南方でも南方将ラクターは同様に尊敬を集めている。
だからこそ、通常であればエルグラッドはラクターの南方軍本部の近くに形成されていてもおかしくはない。
しかし、そうではない。
ラクターの南方軍本部……通称「南方要塞」と呼ばれる場所は、深い山々の間に造られており、魔族といえど気軽に行き来できるような場所ではない。
簡単に言えば、交通の便が非常に悪いのである。
ドラゴンロードサービスですら道路条件が悪く運行できないという有様であり、自然と交流の拠点は平地の街エルグラッドへと集約されたのだ。
ちなみにではあるが、このエルグラッドにも南方軍の施設はある。
街の中央に造られた巨大な城は南方軍副本部と仮に呼称されており、現在名称を公募中だそうである。
「はー……でっかい城ねえ。何これ、悪ノリしすぎなんじゃないの?」
そんな城を見上げていたロクナが、呆れたような口調で呟いた。
実に驚くべき事実であるが、ノルムの最近技術が惜しげも無く投入された南方軍副本部は、アークヴェルムの魔王城よりも巨大な……文字通り、天を貫くような大きさの城である。
「ラクターが任せるって言ったらこうなったらしいぞ」
「あー……」
面白そうに言うヴェルムドールに、ロクナは納得したように頷く。
四方将の中でも、ラクターは特殊だ。
暗黒大陸で最も古い魔族であり、ドラゴン達の頂点である。
更に最も機嫌を損ねてはいけない魔族ランキングでも堂々の一位だ。
逆らった魔族を拳で北部まで殴り飛ばしたとかいう噂まであるが、それが嘘か本当か判断がつかないのがラクターの恐ろしさでもある。
ちなみにヴェルムドールが一度冗談交じりに聞いてみたところ、「流石にそれはねえよ。北部まで飛ばしたいんだったら、ブン投げねえとな」とかいう、非常に頼もしい回答が返ってきたこともある。
つまり、簡単に言えばラクターは恐れられているのである。
この辺り、アイドル扱いのファイネルとは対極にあるともいえる。
「最初は下手に手を抜いたら殺されると思って真剣に設計してらしいんだけどな。そのうち、こうしたらもっと喜んで貰えるんじゃないかっていう職人気質的なものが顔を出したらしい」
「職人気質って言うのかしら、それ」
「言うらしいぞ。ノルムの間ではな」
結果として出来上がったのが、この南方軍副本部であるわけだが……当のラクター本人は、あまり近寄らないらしい。
「まあ、結果としてはこうして観光資源になってるわけだしな」
南方では山岳部は鉱山都市、平野部は鍛冶と商業の都市になっている。
このエルグラッドも鍛冶で栄えている街であり、ノルム達が日々腕を競っている。
しかし、ただ鍛冶の街というだけではイマイチ印象が薄く、それ故に各都市では名物となるものを作るべく努力しているのだが……そういった意味で、嫌でも目立つ南方軍副本部のあるエルグラッドが交流の中心点となるのは仕方ないとも言えるだろう。
「それもそうね……あ、ほら見てよ。南方焼きだってさ」
ロクナが、近くに並んだ店舗に目を向ける。
ヴェルムドールが観光資源と評したのは別に比喩でもなんでもなく、南方軍副本部はエルグラッドの名物なのである。
故に、南方軍副本部が正面から見える大通りでは、南方軍副本部にちなんだものがたくさん売られているのである。
ちなみに今ロクナが言った南方焼きとは、小麦を粉にしたものと卵を混ぜて出来た生地に野菜、そして突撃猪の肉を小さく切ったものをたっぷりと混ぜて焼いたものだ。
当初は塩をつけるのが主流だったが、最近では香辛料をたっぷりと使ったソースも出てきている。
「食べるか?」
ヴェルムドールが店に視線を向けると、ロクナは少し考えるように顎に指をあてる。
「ふーむ……どうしようかしら。あれ、結構ガッツリ系よね。いきなりあんなの食べたら、後でもっと美味しそうなの出てきた時に悲しいことになるんじゃないかしら」
「お前なら三枚食べてもまだいける気がするがな」
そんな失礼な事を言いながら、ヴェルムドールは店へと近づいていく。
ザダーク王国では一般的なカウンター式の店の店主はヴェルムドールに気付き、陽気な挨拶をする。
「よう、いらっしゃい! どうだい、うちの南方焼きは南方で……あー、まあ、なんだ。ともかく美味いぜ!」
「随分自信がありそうだな? 一枚貰おう」
「はいよ、お代は大銅貨四枚だ! すぐ仕上げるからよ!」
南方で一番、と言いたかったらしい店主に笑いかけながら、ヴェルムドールは大銅貨四枚をカウンターに置く。
実際に南方で一番などと吹聴すると我こそ一番という殴り合いに発展する為、こうした事を言わないのはザダーク王国での暗黙のルールになっている。
「ちょっと、ほんとに買っちゃったの?」
「ああ。俺も食べたくなってな。半分ずつなら他があっても大丈夫だろう?」
「半分って……」
「まあ、手も汚れるしな。まずロクナが半分食べて、残りを俺が食えば問題ない。だろう? それとも、やっぱり一枚全部食うか?」
ヴェルムドールの色々とズレた台詞に、ロクナは思わず額をおさえる。
そういう問題ではないのだが、困った事にヴェルムドールは全く意に介していない。
「ちょっと待った。あー、ちょっと待って。その分け方、ヴェ……じゃなくて、自分で思いついたの?」
「ん? いや、ニノの奴と向こうに行ってた時期に……な」
「ニノか……そうか、アイツかあ……」
いつも不機嫌な顔の緑色のメイドナイトを思い浮かべて、ロクナは溜息をつく。
確かにニノならそういうことをしれっとした顔でやるだろうし、それに慣れれば、それを普通の行動としてヴェルムドールも認識するだろう。
ニノとしてはそれが狙いだったのだろうが、それがロクナに炸裂するなどとは考えていただろうか。
「ハハハ、仲いいなあ。兄ちゃん達は観光かい?」
「ああ。まあ、観光っていえば観光だな」
それを聞いて何を勘違いしたのか、店主はヴェルムドールの背後にいるロクナへと視線を向ける。
「ああ、そっか。そうだよな、観光っていうよりはデートだわな! うはは、こりゃすまん。しかし、それならもっとこうよ、甘ったるいもんとかのほうがいいんじゃねえの?」
「うっせーわよバカ。余計な事聞いてねえで仕事なさいな」
「おお、こえぇ。兄ちゃん、尻にしかれるぞ?」
苦笑するヴェルムドールは店主から何かの葉で包んだ南方焼きを受け取ると、それをロクナへと手渡す。
「ほら、行こう」
「仲良くなー」
ニヤニヤしている店主を睨み付けるロクナの背を押しながら、ヴェルムドールは店から離れる。
「ったく、なんなのよあの店……あ、でも生意気に美味いわね」
「美味いならよかったじゃないか。ああ、それとな?」
ブツブツ言いながら南方焼きを齧るロクナに、ヴェルムドールは声をかける。
「ふぁふぃひょ」
「うん、まずは飲み込め。な?」
ロクナがゴクリと飲み込んだのを確認してから、ヴェルムドールは再度口を開く。
「今日の俺は、シオンと呼べ。せっかく変装しても名前がそのままだったら意味ないしな」
「シオン? それって……」
「向こうに居た時に使ってた名前だよ」
向こう、つまりシュタイア大陸のことである。
ヴェルムドールが魔王ではなく、ただの人間シオンとしてニノと共に潜り込んでいた時の名前だ。
「そりゃアレかな。今日は普通の魔族として扱えってことかしら」
「ん……まあ、それでもいいぞ」
ロクナはヴェルムドールの返答に頷くと、食べかけの南方焼きをその手に押し付ける。
「そっか。じゃあヴェルっち、これ残りあげる」
「おい、ほとんど食ってないじゃないか……っていうか呼び方」
「いいのよ」
ロクナはそう言って、ヴェルムドールの腕に自分の腕を絡ませる。
「バレやしないわ。この世界でヴェルっちをヴェルっちって呼んでいるのは、アタシだけだもの」
「そう、か?」
「そうよ。それよりもね、ヴェルっち」
ロクナは、ヴェルムドールの顔を見上げる。
困ったようなその顔を見て、悪戯っぽく笑う。
「問題はアタシの呼び方よ。何かこう、いい愛称考えなさいな?」
「む、それもそうか」
「そうよ。ほらほら、早く」
ヴェルムドールは小さく唸ると、一つの言葉を口にする」
「……ロナ。ロナでどうだ?」
「センスないわねー、そのまんまじゃないの。ま、それで許してあげる」
ぐっ、と言って黙り込むヴェルムドールの頬をつついて、ロクナはヴェルムドールの身体を自分の身体でドンと押す。
「ほらほら、一日は短いわよ? 次行きましょ、ヴェルっち」
「ああ、分かったよ……ロナ」
呼ばれて、ロクナは嬉しそうに顔をゆるめる。
それはヴェルムドールにからは見えない角度。
そう、まだバレてはいけない。
今はまだ、やるべき事の多すぎる魔王様からは気付かれない距離感を保つ。
でもきっと、このくらいは許されてもいいはずだ。
今この瞬間だけは、ロクナの為だけのヴェルっち。
そして……ヴェルムドールの為だけの、ロナ。
今はまだ、それだけでいいのだ。
************************************************
魔神さま遭遇後にフォローの無かったロクナ主役話のフォローでした。
ロクナなりに傷ついたプライドを癒す為に出てきておりませんでしたが、復活です。
エルグラッドは南方で一番大きい街であり、他の地方との交流の中心点でもある。
通常であれば、こうした街は四方将の拠点を中心に形成される。
それは四方将が他の魔族から尊敬を集める存在であるのも無関係ではない。
当然南方でも南方将ラクターは同様に尊敬を集めている。
だからこそ、通常であればエルグラッドはラクターの南方軍本部の近くに形成されていてもおかしくはない。
しかし、そうではない。
ラクターの南方軍本部……通称「南方要塞」と呼ばれる場所は、深い山々の間に造られており、魔族といえど気軽に行き来できるような場所ではない。
簡単に言えば、交通の便が非常に悪いのである。
ドラゴンロードサービスですら道路条件が悪く運行できないという有様であり、自然と交流の拠点は平地の街エルグラッドへと集約されたのだ。
ちなみにではあるが、このエルグラッドにも南方軍の施設はある。
街の中央に造られた巨大な城は南方軍副本部と仮に呼称されており、現在名称を公募中だそうである。
「はー……でっかい城ねえ。何これ、悪ノリしすぎなんじゃないの?」
そんな城を見上げていたロクナが、呆れたような口調で呟いた。
実に驚くべき事実であるが、ノルムの最近技術が惜しげも無く投入された南方軍副本部は、アークヴェルムの魔王城よりも巨大な……文字通り、天を貫くような大きさの城である。
「ラクターが任せるって言ったらこうなったらしいぞ」
「あー……」
面白そうに言うヴェルムドールに、ロクナは納得したように頷く。
四方将の中でも、ラクターは特殊だ。
暗黒大陸で最も古い魔族であり、ドラゴン達の頂点である。
更に最も機嫌を損ねてはいけない魔族ランキングでも堂々の一位だ。
逆らった魔族を拳で北部まで殴り飛ばしたとかいう噂まであるが、それが嘘か本当か判断がつかないのがラクターの恐ろしさでもある。
ちなみにヴェルムドールが一度冗談交じりに聞いてみたところ、「流石にそれはねえよ。北部まで飛ばしたいんだったら、ブン投げねえとな」とかいう、非常に頼もしい回答が返ってきたこともある。
つまり、簡単に言えばラクターは恐れられているのである。
この辺り、アイドル扱いのファイネルとは対極にあるともいえる。
「最初は下手に手を抜いたら殺されると思って真剣に設計してらしいんだけどな。そのうち、こうしたらもっと喜んで貰えるんじゃないかっていう職人気質的なものが顔を出したらしい」
「職人気質って言うのかしら、それ」
「言うらしいぞ。ノルムの間ではな」
結果として出来上がったのが、この南方軍副本部であるわけだが……当のラクター本人は、あまり近寄らないらしい。
「まあ、結果としてはこうして観光資源になってるわけだしな」
南方では山岳部は鉱山都市、平野部は鍛冶と商業の都市になっている。
このエルグラッドも鍛冶で栄えている街であり、ノルム達が日々腕を競っている。
しかし、ただ鍛冶の街というだけではイマイチ印象が薄く、それ故に各都市では名物となるものを作るべく努力しているのだが……そういった意味で、嫌でも目立つ南方軍副本部のあるエルグラッドが交流の中心点となるのは仕方ないとも言えるだろう。
「それもそうね……あ、ほら見てよ。南方焼きだってさ」
ロクナが、近くに並んだ店舗に目を向ける。
ヴェルムドールが観光資源と評したのは別に比喩でもなんでもなく、南方軍副本部はエルグラッドの名物なのである。
故に、南方軍副本部が正面から見える大通りでは、南方軍副本部にちなんだものがたくさん売られているのである。
ちなみに今ロクナが言った南方焼きとは、小麦を粉にしたものと卵を混ぜて出来た生地に野菜、そして突撃猪の肉を小さく切ったものをたっぷりと混ぜて焼いたものだ。
当初は塩をつけるのが主流だったが、最近では香辛料をたっぷりと使ったソースも出てきている。
「食べるか?」
ヴェルムドールが店に視線を向けると、ロクナは少し考えるように顎に指をあてる。
「ふーむ……どうしようかしら。あれ、結構ガッツリ系よね。いきなりあんなの食べたら、後でもっと美味しそうなの出てきた時に悲しいことになるんじゃないかしら」
「お前なら三枚食べてもまだいける気がするがな」
そんな失礼な事を言いながら、ヴェルムドールは店へと近づいていく。
ザダーク王国では一般的なカウンター式の店の店主はヴェルムドールに気付き、陽気な挨拶をする。
「よう、いらっしゃい! どうだい、うちの南方焼きは南方で……あー、まあ、なんだ。ともかく美味いぜ!」
「随分自信がありそうだな? 一枚貰おう」
「はいよ、お代は大銅貨四枚だ! すぐ仕上げるからよ!」
南方で一番、と言いたかったらしい店主に笑いかけながら、ヴェルムドールは大銅貨四枚をカウンターに置く。
実際に南方で一番などと吹聴すると我こそ一番という殴り合いに発展する為、こうした事を言わないのはザダーク王国での暗黙のルールになっている。
「ちょっと、ほんとに買っちゃったの?」
「ああ。俺も食べたくなってな。半分ずつなら他があっても大丈夫だろう?」
「半分って……」
「まあ、手も汚れるしな。まずロクナが半分食べて、残りを俺が食えば問題ない。だろう? それとも、やっぱり一枚全部食うか?」
ヴェルムドールの色々とズレた台詞に、ロクナは思わず額をおさえる。
そういう問題ではないのだが、困った事にヴェルムドールは全く意に介していない。
「ちょっと待った。あー、ちょっと待って。その分け方、ヴェ……じゃなくて、自分で思いついたの?」
「ん? いや、ニノの奴と向こうに行ってた時期に……な」
「ニノか……そうか、アイツかあ……」
いつも不機嫌な顔の緑色のメイドナイトを思い浮かべて、ロクナは溜息をつく。
確かにニノならそういうことをしれっとした顔でやるだろうし、それに慣れれば、それを普通の行動としてヴェルムドールも認識するだろう。
ニノとしてはそれが狙いだったのだろうが、それがロクナに炸裂するなどとは考えていただろうか。
「ハハハ、仲いいなあ。兄ちゃん達は観光かい?」
「ああ。まあ、観光っていえば観光だな」
それを聞いて何を勘違いしたのか、店主はヴェルムドールの背後にいるロクナへと視線を向ける。
「ああ、そっか。そうだよな、観光っていうよりはデートだわな! うはは、こりゃすまん。しかし、それならもっとこうよ、甘ったるいもんとかのほうがいいんじゃねえの?」
「うっせーわよバカ。余計な事聞いてねえで仕事なさいな」
「おお、こえぇ。兄ちゃん、尻にしかれるぞ?」
苦笑するヴェルムドールは店主から何かの葉で包んだ南方焼きを受け取ると、それをロクナへと手渡す。
「ほら、行こう」
「仲良くなー」
ニヤニヤしている店主を睨み付けるロクナの背を押しながら、ヴェルムドールは店から離れる。
「ったく、なんなのよあの店……あ、でも生意気に美味いわね」
「美味いならよかったじゃないか。ああ、それとな?」
ブツブツ言いながら南方焼きを齧るロクナに、ヴェルムドールは声をかける。
「ふぁふぃひょ」
「うん、まずは飲み込め。な?」
ロクナがゴクリと飲み込んだのを確認してから、ヴェルムドールは再度口を開く。
「今日の俺は、シオンと呼べ。せっかく変装しても名前がそのままだったら意味ないしな」
「シオン? それって……」
「向こうに居た時に使ってた名前だよ」
向こう、つまりシュタイア大陸のことである。
ヴェルムドールが魔王ではなく、ただの人間シオンとしてニノと共に潜り込んでいた時の名前だ。
「そりゃアレかな。今日は普通の魔族として扱えってことかしら」
「ん……まあ、それでもいいぞ」
ロクナはヴェルムドールの返答に頷くと、食べかけの南方焼きをその手に押し付ける。
「そっか。じゃあヴェルっち、これ残りあげる」
「おい、ほとんど食ってないじゃないか……っていうか呼び方」
「いいのよ」
ロクナはそう言って、ヴェルムドールの腕に自分の腕を絡ませる。
「バレやしないわ。この世界でヴェルっちをヴェルっちって呼んでいるのは、アタシだけだもの」
「そう、か?」
「そうよ。それよりもね、ヴェルっち」
ロクナは、ヴェルムドールの顔を見上げる。
困ったようなその顔を見て、悪戯っぽく笑う。
「問題はアタシの呼び方よ。何かこう、いい愛称考えなさいな?」
「む、それもそうか」
「そうよ。ほらほら、早く」
ヴェルムドールは小さく唸ると、一つの言葉を口にする」
「……ロナ。ロナでどうだ?」
「センスないわねー、そのまんまじゃないの。ま、それで許してあげる」
ぐっ、と言って黙り込むヴェルムドールの頬をつついて、ロクナはヴェルムドールの身体を自分の身体でドンと押す。
「ほらほら、一日は短いわよ? 次行きましょ、ヴェルっち」
「ああ、分かったよ……ロナ」
呼ばれて、ロクナは嬉しそうに顔をゆるめる。
それはヴェルムドールにからは見えない角度。
そう、まだバレてはいけない。
今はまだ、やるべき事の多すぎる魔王様からは気付かれない距離感を保つ。
でもきっと、このくらいは許されてもいいはずだ。
今この瞬間だけは、ロクナの為だけのヴェルっち。
そして……ヴェルムドールの為だけの、ロナ。
今はまだ、それだけでいいのだ。
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魔神さま遭遇後にフォローの無かったロクナ主役話のフォローでした。
ロクナなりに傷ついたプライドを癒す為に出てきておりませんでしたが、復活です。
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