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6.5

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「本当に、ありがとうございました!」

私は、ガバッ!と勢いよくお辞儀をした。

「どういたしまして」

彼と二人、駅のホーム。

彼が捕まえてくれた痴漢はさすがの満員電車で抵抗出来ず(あと、周りの乗車客も助けてくれた)、次に止まる駅で下ろされて駅員さんに連れられて行ってしまった。

話を聞かせて欲しい、と言う鉄道警察官に経緯を説明し、やっと解放されて今に至る。

その間、彼はずっとそばに付いていてくれた。

「私、痴漢なんて初めてで、どうしていいか分からなくて……」

思い出して、体が勝手に震える。

俯き、唇を噛み締め、必死に耐えた。

ポンポンッと、不意に頭に温かい感触。

顔を上げると、彼が微笑んでいる。

「怖かったよね……」

その笑顔を見たらなんだかホッとして、ポロポロと涙が零れた。

「……はい」

彼は、私が落ち着くまで、そばにいてくれた。
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