婚約から始まる「恋」

観月 珠莉

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*49* 対戦相手

それから、直ぐにママに連絡をして、先日の一件についてお詫びした。
ママは、私が傷つかないならば良いと言って理解を示してくれた。
その後、お母さんには直嗣さんと話し合った内容を報告して、そのまま宝生院家に住む事になった。
執事の斎賀さんの仕事はとても速くて、夜には独り暮らしをしていた時に使っていた必要な物が全て整っていた…。

そして、直嗣さんも仕事が終わった後に、住むのに最低限必要な物を携えて宝生院家に戻ってきた。

「お帰りなさい。」

私は、直嗣さんをお出迎えする。

「ただいま、さくら。こんな風に出迎えて貰える日を夢見ていたよ。」

直嗣さんは、本当に嬉しそうに笑った。
私達は、一緒にダイニングに向かう。
ダイニングには、お母さんが居て、それはそれは凄い歓待ぶりだった。

「あぁ、こんな風に一緒に食事が出来る事を夢見ていたのよ。」

お母さんは、ホクホクご機嫌に言う。
私は、ちょっとだけ現実的な視点を持っていて、皆さん…夢、見過ぎです…と思ったのは、口には出せない。

「父さんは?」
「今日は会食も無いって言っていたし、間もなく戻って来るのではないかしら?」
「私も、急なお話なので、きちんとご挨拶させて頂きたいです。」
「お義父さまが勝手に進めている話から派生しているのだし、そんなに堅苦しく挨拶する必要は無いけれど…さくらちゃんの顔が見られる事を喜ぶと思うわ。」

そんな風に話している間に、七代目当主が帰ってきた。
執事の斎賀さんに迎えられた七代目当主は、そのままダイニングにやってきた。

「お帰りなさい、あなた。」
「あぁ、戻ったよ。直嗣とさくらさんも居たのかね。」
「父さん、お帰り。」
「あの…今日から暫くお世話になる事になりました。ご迷惑をお掛け致しますが、よろしくお願い致します。」
「あぁ、静子から聞いているよ。色々と巻き込んですまないね。自分の家だと思ってゆっくり過ごすと良い。」
「ありがとうございます、お言葉に甘えます。そして、あの…お帰りなさいませ。」
「あぁ、ただいま。」

七代目当主も笑顔で答えてくれる。

「斎賀、私も一緒に食べるよ。それから、親父が言っているお見合い相手についての話をしよう。」

七代目当主は、斎賀さんに食事の準備を指示すると、そのまま席に着き、徐にお見合い相手についての話を始めた。

「ようやく、親父が何処とお見合い話を進めているのかわかったよ。」
「で、何処だったの?」

お母さんは、前のめりで質問する。

「佐山だったよ。」
「…それは、確かに大きいわね。」

歴史的には、まだまだ古い財閥も沢山あるけれど、それでも充分に力のある名の知れた財閥との縁談だった…。
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