婚約から始まる「恋」

観月 珠莉

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*60* 最強の酔っ払い

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みのりちゃんの言葉に反応して、直嗣さんがガバリと私を引き剥がし、真剣な目で見つめられた。

「さくら…お前…。」

直嗣さんが話し掛けてきたが、酔っ払いの最強な私は、意に介さずフラフラとみのりちゃんと藤原先輩の下へ戻って行った。
勿論、その様子を見て茫然としていた直嗣さんの表情を覚えている事も無く、気持ち良い状態を持続させた私だった。

「お帰り、さくら。幸せになるのよ。」

みのりちゃんは酔っている私に言うが、この酔いが覚めたら…私は、間違いなく政治家並みに記憶にございません、なはずだ。

「うん、幸せになるよぉ~♪」

最強の酔っ払いは、次にみのりちゃんに抱き付き、絡まる事にした。
あ、これ、私の事ね。

「さぁ、酔っ払い!!帰りましょう。」
「う~ん…何処に?」
「霧ヶ谷、俺ん家にでも泊まりに来るか?」

今日の藤原先輩は冗談まで言うらしい…。

「藤原さん、何言ってるんですか!?さくらは、家に連れて行きますよ!!」
「じゃあ、俺も泊まりに行っちゃおうかな~。」

あれ?…藤原先輩って…もしかして、みのりちゃんの事好きなのかなぁ~…なんて酔っぱらった頭で考えた時には、口から先に言葉が出ていた。

「藤原先輩もみのりちゃん家に一緒に泊まりに行きましょう~!!」
「さ、さくら!!」

みのりちゃんは珍しく慌てている。

「この後も、みのりちゃん家で無礼講です~!!」

やっぱり、酔っ払いって最高~!!

**********

翌日…みのりちゃんに怒られた…すっごく。
でも、全然記憶が無い。
そして、何で藤原先輩がここに居るの?

「あの…藤原先輩もお泊りですか?」
「まぁ…そう言う事だ。」
「私、お邪魔さんでしょうか?」

藤原先輩を覗き込んで確認する。

「さくらッ!!そう言う事じゃないから!!!!!!」

みのりちゃんが珍しく焦っている気がする。
でも、そこはみのりちゃん…あっという間に何時ものペースを取り戻した。

「さくら、昨日の夜、気持ち良く酔っぱらっている間に作戦は決行しておいたから。」
「作戦って…本当に?」
「あぁ、俺も協力させて貰った。色々と面白かったぞ。」
「……?」
「まぁ、この後どう転ぶかは解らないけれど、上手く行くんじゃないかしら?」
「ありがと…で、良いのかな?」
「どういたしまして。」

みのりちゃんは自信満々の表情で、そう言った。

「藤原先輩も色々と巻き込んでしまってすみません。」
「いやいや、俺も面白かったからいいよ。」

藤原先輩は、本当に状況を楽しんだみたいで、軽く流してくれた。
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