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【01】 薔薇の誘い
*001* 門限破り常習犯
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今夜の月は、何だか赤味を帯びていた。
月明かりに呼応するように、社員寮の庭に植えられているバラの花達は甘ったるい香りを滲ませ、何か、セレナの心をザワつかせるような雰囲気を漂わせていた。
「もぅッ、今日は凄くネチッこかったなぁ…。いくら脚フェチだからって、しつこ過ぎだってば!! 二度目は無いわね。」
社会人になっているとは言え、未婚の女性が帰るには、顔を顰めてしまう程度には月が西の方へと傾いていた。
パンプスの足音が鳴らないように、門の前で靴を脱ぎ、そろりそろりと寮の敷地を歩く。
バラの花が似合う洋館は、古くはあるが、会社の寮とするには、余りに趣きがある建物だった。
ここは、海外のアンティークな品物を扱う商社の寮だ。
セレナは、この商社の社員で、現在二十八歳になる。
見目麗しい彼女は、引く手数多で、夜遊びもひととおり経験済だった。
また、育った環境にも恵まれており、旧華族の血を引く家柄で、この商社を経営する血筋であった。
贅沢に慣れ過ぎている環境で育った彼女には、モラルというものは存在していない。
それは、彼女の責任だけでは無く、明らかに幼い頃から目にしてきた環境が大きく人格形成に影響を与えていると言っても良いだろう。
まだ成人する前から、充分過ぎる情報と目の当たりにする猥褻な行為に囲まれていた彼女は、周りの学友達よりもずっと早くから、快楽の世界について体験済だった。
公には言われていないが、この社員寮の門限は午前零時である。
そんな公にされていない門限を守るような品行方正な社員達の中、セレナだけが夜な夜な門限を守らずに、男女問わず、その日のラブアフェアの相手を見つけ、享楽の世界を楽しんでいた。
そんな生活は、彼女の入社当時から続いている。
社員寮に戻る頃には、そんな日々はもう充分だと思っているはずなのに…また、月が昇ると同じ事を繰り返してしまう。
まるで、自分の血が夜の闇に反応するように、夜の街で快楽を求めて彷徨ってしまう。
セレナと関係を持った過去の人々は、口を揃えて吸い付くような肌だと言う。
クセになるような肌触りなのだそうだ。
自分も同じ感覚を味わいたいと思うのだが、今まで、そのような感覚を味わった事は無い。
指を唇で噛み、そろりと舌先で指先を舐めてみる。
しかし、指先だけでは、人々が言うような吸い付くような感覚を味わう事が出来ずに、独りひっそりと溜め息を吐いた。
目の前に拡がる真紅のバラの庭園を眺めながら、このバラ園を作った祖父の事を思い出していた。
月明かりに呼応するように、社員寮の庭に植えられているバラの花達は甘ったるい香りを滲ませ、何か、セレナの心をザワつかせるような雰囲気を漂わせていた。
「もぅッ、今日は凄くネチッこかったなぁ…。いくら脚フェチだからって、しつこ過ぎだってば!! 二度目は無いわね。」
社会人になっているとは言え、未婚の女性が帰るには、顔を顰めてしまう程度には月が西の方へと傾いていた。
パンプスの足音が鳴らないように、門の前で靴を脱ぎ、そろりそろりと寮の敷地を歩く。
バラの花が似合う洋館は、古くはあるが、会社の寮とするには、余りに趣きがある建物だった。
ここは、海外のアンティークな品物を扱う商社の寮だ。
セレナは、この商社の社員で、現在二十八歳になる。
見目麗しい彼女は、引く手数多で、夜遊びもひととおり経験済だった。
また、育った環境にも恵まれており、旧華族の血を引く家柄で、この商社を経営する血筋であった。
贅沢に慣れ過ぎている環境で育った彼女には、モラルというものは存在していない。
それは、彼女の責任だけでは無く、明らかに幼い頃から目にしてきた環境が大きく人格形成に影響を与えていると言っても良いだろう。
まだ成人する前から、充分過ぎる情報と目の当たりにする猥褻な行為に囲まれていた彼女は、周りの学友達よりもずっと早くから、快楽の世界について体験済だった。
公には言われていないが、この社員寮の門限は午前零時である。
そんな公にされていない門限を守るような品行方正な社員達の中、セレナだけが夜な夜な門限を守らずに、男女問わず、その日のラブアフェアの相手を見つけ、享楽の世界を楽しんでいた。
そんな生活は、彼女の入社当時から続いている。
社員寮に戻る頃には、そんな日々はもう充分だと思っているはずなのに…また、月が昇ると同じ事を繰り返してしまう。
まるで、自分の血が夜の闇に反応するように、夜の街で快楽を求めて彷徨ってしまう。
セレナと関係を持った過去の人々は、口を揃えて吸い付くような肌だと言う。
クセになるような肌触りなのだそうだ。
自分も同じ感覚を味わいたいと思うのだが、今まで、そのような感覚を味わった事は無い。
指を唇で噛み、そろりと舌先で指先を舐めてみる。
しかし、指先だけでは、人々が言うような吸い付くような感覚を味わう事が出来ずに、独りひっそりと溜め息を吐いた。
目の前に拡がる真紅のバラの庭園を眺めながら、このバラ園を作った祖父の事を思い出していた。
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