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初戦闘
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ようやくダンジョンへと足を踏み入れた。
しかしこの一週間、ダンジョンとの距離をおいて正解だったとも考えている。なぜならば自宅にダンジョンだ。
一度気になるとその緊張と恐怖から眠れないなんてザラ。寝ているうちにガパリと冷蔵庫が開き、ヌルリと大きな化け物が冷蔵庫から這い出てきてオレを頭からガブリ!なんて悪夢にハッと目を覚ますなんてことが幾度もあった。
なにせ6畳一間、冷蔵庫のすぐ隣で寝ているのだから…。
しかしその甲斐あってか次第に恐怖にも慣れ、ダンジョンに潜る心構えもできたような気がする。
さらに戦闘区域には立ち入らなかったものの、すでに先週購入した部材類は前室に搬入済み。ここに物を置いておいても問題ない事もしっかり確認済みだ。
なのでさてと、まずは前室に準備しておいた装備を身に付ける。バイク用のヘルメット類のほかに塩ビパイプで造った下半身を覆う部分鎧も身に付け、屈伸して不具合がないかをしっかりと確かめる。うん、何度も作り直して調整しておいたから、まったく問題はない。
見た目的には貧乏くさくて少しアレかもしれないが、どうせ誰も見ていないのだ。だから何も気にする必要はない。
準備ヨシ!では早速、強くなるためにもモンスターとの戦闘へレッツゴー!
と、扉を開け高さ4メートル幅4メートルほどの石造り通路を進むと、すぐにスライムを発見。すわ戦闘だと、すぐさま戦闘態勢に入る。
具体的には背負って持って来ていた青い蓋付ポリバケツのゴミ箱を降ろし、蓋をあけて置いておく。お次は防鳥ネットを先端に括り付けた2本の物干し竿を両腕に構えてソッと近づき、それでスライムを掬い上げるとゴミ箱に放り込んだ。
そして即、蓋をする。
「ぴゅぎいぃぃ!」
ポリバケツに閉じ込められたスライムが中で激しく暴れる。
ふふふ…スライムを入れたポリバケツのなかには、強力酸性のトイレ洗剤をたっぷり原液で入れておいたのだ。そう、つまりは酸攻撃。しかしスライムは元気に暴れる。うむむ…もしかしたらスライムに対して酸攻撃は効果が薄いのか?
…1分経過。むぅ、やはり2分経っても3分経ってもスライムは元気。依然として健在を保っている。
それでも肉厚なポリプロピレンで出来たゴミ箱をそう簡単には破壊できないようで、その点にはひとまず安心。そうして4分を過ぎたあたりから次第に攻撃が弱まり、静かになっていった。
さてどうなったかとそっとゴミ箱の蓋を取って中を確認してみると、青いスライムが緑色をした強力酸性トイレ洗剤に浸かっていた。だが多少疲れたのか静かにはなっているものの、酸でやられたりはしていないようだ。そして蓋が開いたことに気付くと、また激しく暴れ出してしまう。
「ぬぅッ?ならばコレはどうだッ!」
わずかに開けた隙間から容器を握り潰し塩素系漂白剤をドバドバ流し込むと、強くバケツの蓋を押さえ込む。
『(じゅわぁわぁぁぁ!)』
「ぴゅぎいぃぃ!ぴゅぎぎぃぃ!!」
お、今度は効いたようだ!隙間から洩れた塩素と酸が混じり合った嫌な刺激臭が鼻をつくが、我慢我慢…。
ホントは順番に試したかったけどスライムが暴れるから焦ってつい酸と塩素を混ぜてしまった。これ、混ぜると塩素ガスが発生するから危ないんだよね…。
と…ここでようやくスライムが死んだのか、ポリバケツが静かに。
うん、我ながら非常にエグイ攻撃法。だがなにもモンスターと向こうを張って斬り合ったりする必要は、まったくもって全然ないというのがオレの考え。なにせソロでダンジョンモンスターに挑むのだから、敵は可能な限り効率よく倒すに限る。うむ、これはその為の実験だ。
前もってモンスターは人間を見れば即襲いかかってくるという情報はネットで得ている。
ならば挟み撃ちにされた時にオレがニ対一は卑怯だから待ってくれッなどと頼んでも、モンスターはひとつも待ってくれはしないだろう。だからこれも、ひとつも非人道的な事ではないのだ。
静かになってからも充分に時間を空け、さらに念押しのつんつん確認を終えた後でポリバケツの蓋を開けてみると、スライムの姿は影も形も無くなっていた。代わりにエアーガンの弾に使うBB弾のようなモノが一粒、底に沈んでいるのが確認できた。
「ホッ…。どうやら倒せたか!」
スライム撃破成功だ。
強力トイレ用酸性洗剤にしばらく浸かっていてもピンピンしていたスライムだったが、塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムには敵わなかったようだ。でもまぁ酸がまったく効いていないようだったし、先に塩素を試すべきだったな。
ただ結果は中和が起きてしまい効果が半減するとは思ったけど入れて正解。それでも充分効果的だったということか。
塩酸と塩素を混ぜたことで塩素ガスも発生したはず。だが原生生物のアメーバみたいな存在のスライムが、肺呼吸をしているとは考えにくい。なのでやはり決め手は、塩素系漂白剤に含まれている強アルカリの次亜塩素酸ナトリウムだろう。コイツは脂肪やたんぱく質を強力に溶かしてしまうからな。
さて、底に沈んだモノをトングで拾い上げてみると、それは赤い半透明な石。まぁ倒したスライムのドロップだろう。用意していたペットボトルの水で漱ぐと、ダンジョン初の戦利品としてポケットに納めた。
……。
「ぴゅぎいぃぃぃぃ!!」
そしてまたスライムを捕まえるとゴミ箱に放り込む。先ほど使用した液体は捨てて、今度は初めから塩素。次亜塩素酸ナトリウム攻撃だ。布巾の消毒やシミ落としの為には、塩素系漂白剤は普通は水で薄めて使うモノ。だが今回は対モンスターということで、原液そのままを使用している。
ゴミ箱の中がすぐに静かになったので蓋を開けてみると、スライムが原型を失い核だけがぷかぷかと漂白剤のなかを漂っている。それをトングでつついて破壊すると、ぽふっ!と煙があがってスライムが溶けた分の液体の体積が減り、また赤い半透明のBB弾が現れた。
「また同じか…」
トングで拾い上げ、洗うのも面倒なので水のペットボトルにそのままぽちょんと落とす。これで2匹のスライムを倒したわけだが、ステータスを確認してみてもレベルは上がってはいない。
「ふむ…もう少し狩らないとダメかな?」
だが2度スライムを倒したことで、だいぶコツは掴めた。スライムに対する次亜塩素酸ナトリウムの攻撃力も申し分なし。ならばジャンジャンと狩って行こう!
……。
こうして…12匹のスライムを倒した。
タモでスライムを捕獲しては、ポリバケツに放り込む簡単なお仕事です。スライムの攻撃によるダメージもまったく受けない完封勝利。精々が自分で扱った薬剤で、鼻と喉をすこし痛くしたくらいだ。
そろそろいいかなとステータスを呼び出して確認してみると、いつのまにかレベルが3になっていた。
特別気にはしなかったが、ゲームみたいなファンファーレによるレベルアップ演出もなければ、システムメッセージ的なモノが脳内に聞こえてくるような事もなかった。ついそうだったらいいなぁなどと考えてしまうのは、すっかりその手のゲームに毒されているせいだろう。
「よし、ではじっくりとステータスを確認する為にも一度戻るとするか…」
うむ、ひとまず初陣を無事飾れたことで良しとしよう。物干し竿を肩に担ぐとゴミ箱をずるずると引き摺り、オレは前室へと引き返すのだった。
しかしこの一週間、ダンジョンとの距離をおいて正解だったとも考えている。なぜならば自宅にダンジョンだ。
一度気になるとその緊張と恐怖から眠れないなんてザラ。寝ているうちにガパリと冷蔵庫が開き、ヌルリと大きな化け物が冷蔵庫から這い出てきてオレを頭からガブリ!なんて悪夢にハッと目を覚ますなんてことが幾度もあった。
なにせ6畳一間、冷蔵庫のすぐ隣で寝ているのだから…。
しかしその甲斐あってか次第に恐怖にも慣れ、ダンジョンに潜る心構えもできたような気がする。
さらに戦闘区域には立ち入らなかったものの、すでに先週購入した部材類は前室に搬入済み。ここに物を置いておいても問題ない事もしっかり確認済みだ。
なのでさてと、まずは前室に準備しておいた装備を身に付ける。バイク用のヘルメット類のほかに塩ビパイプで造った下半身を覆う部分鎧も身に付け、屈伸して不具合がないかをしっかりと確かめる。うん、何度も作り直して調整しておいたから、まったく問題はない。
見た目的には貧乏くさくて少しアレかもしれないが、どうせ誰も見ていないのだ。だから何も気にする必要はない。
準備ヨシ!では早速、強くなるためにもモンスターとの戦闘へレッツゴー!
と、扉を開け高さ4メートル幅4メートルほどの石造り通路を進むと、すぐにスライムを発見。すわ戦闘だと、すぐさま戦闘態勢に入る。
具体的には背負って持って来ていた青い蓋付ポリバケツのゴミ箱を降ろし、蓋をあけて置いておく。お次は防鳥ネットを先端に括り付けた2本の物干し竿を両腕に構えてソッと近づき、それでスライムを掬い上げるとゴミ箱に放り込んだ。
そして即、蓋をする。
「ぴゅぎいぃぃ!」
ポリバケツに閉じ込められたスライムが中で激しく暴れる。
ふふふ…スライムを入れたポリバケツのなかには、強力酸性のトイレ洗剤をたっぷり原液で入れておいたのだ。そう、つまりは酸攻撃。しかしスライムは元気に暴れる。うむむ…もしかしたらスライムに対して酸攻撃は効果が薄いのか?
…1分経過。むぅ、やはり2分経っても3分経ってもスライムは元気。依然として健在を保っている。
それでも肉厚なポリプロピレンで出来たゴミ箱をそう簡単には破壊できないようで、その点にはひとまず安心。そうして4分を過ぎたあたりから次第に攻撃が弱まり、静かになっていった。
さてどうなったかとそっとゴミ箱の蓋を取って中を確認してみると、青いスライムが緑色をした強力酸性トイレ洗剤に浸かっていた。だが多少疲れたのか静かにはなっているものの、酸でやられたりはしていないようだ。そして蓋が開いたことに気付くと、また激しく暴れ出してしまう。
「ぬぅッ?ならばコレはどうだッ!」
わずかに開けた隙間から容器を握り潰し塩素系漂白剤をドバドバ流し込むと、強くバケツの蓋を押さえ込む。
『(じゅわぁわぁぁぁ!)』
「ぴゅぎいぃぃ!ぴゅぎぎぃぃ!!」
お、今度は効いたようだ!隙間から洩れた塩素と酸が混じり合った嫌な刺激臭が鼻をつくが、我慢我慢…。
ホントは順番に試したかったけどスライムが暴れるから焦ってつい酸と塩素を混ぜてしまった。これ、混ぜると塩素ガスが発生するから危ないんだよね…。
と…ここでようやくスライムが死んだのか、ポリバケツが静かに。
うん、我ながら非常にエグイ攻撃法。だがなにもモンスターと向こうを張って斬り合ったりする必要は、まったくもって全然ないというのがオレの考え。なにせソロでダンジョンモンスターに挑むのだから、敵は可能な限り効率よく倒すに限る。うむ、これはその為の実験だ。
前もってモンスターは人間を見れば即襲いかかってくるという情報はネットで得ている。
ならば挟み撃ちにされた時にオレがニ対一は卑怯だから待ってくれッなどと頼んでも、モンスターはひとつも待ってくれはしないだろう。だからこれも、ひとつも非人道的な事ではないのだ。
静かになってからも充分に時間を空け、さらに念押しのつんつん確認を終えた後でポリバケツの蓋を開けてみると、スライムの姿は影も形も無くなっていた。代わりにエアーガンの弾に使うBB弾のようなモノが一粒、底に沈んでいるのが確認できた。
「ホッ…。どうやら倒せたか!」
スライム撃破成功だ。
強力トイレ用酸性洗剤にしばらく浸かっていてもピンピンしていたスライムだったが、塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムには敵わなかったようだ。でもまぁ酸がまったく効いていないようだったし、先に塩素を試すべきだったな。
ただ結果は中和が起きてしまい効果が半減するとは思ったけど入れて正解。それでも充分効果的だったということか。
塩酸と塩素を混ぜたことで塩素ガスも発生したはず。だが原生生物のアメーバみたいな存在のスライムが、肺呼吸をしているとは考えにくい。なのでやはり決め手は、塩素系漂白剤に含まれている強アルカリの次亜塩素酸ナトリウムだろう。コイツは脂肪やたんぱく質を強力に溶かしてしまうからな。
さて、底に沈んだモノをトングで拾い上げてみると、それは赤い半透明な石。まぁ倒したスライムのドロップだろう。用意していたペットボトルの水で漱ぐと、ダンジョン初の戦利品としてポケットに納めた。
……。
「ぴゅぎいぃぃぃぃ!!」
そしてまたスライムを捕まえるとゴミ箱に放り込む。先ほど使用した液体は捨てて、今度は初めから塩素。次亜塩素酸ナトリウム攻撃だ。布巾の消毒やシミ落としの為には、塩素系漂白剤は普通は水で薄めて使うモノ。だが今回は対モンスターということで、原液そのままを使用している。
ゴミ箱の中がすぐに静かになったので蓋を開けてみると、スライムが原型を失い核だけがぷかぷかと漂白剤のなかを漂っている。それをトングでつついて破壊すると、ぽふっ!と煙があがってスライムが溶けた分の液体の体積が減り、また赤い半透明のBB弾が現れた。
「また同じか…」
トングで拾い上げ、洗うのも面倒なので水のペットボトルにそのままぽちょんと落とす。これで2匹のスライムを倒したわけだが、ステータスを確認してみてもレベルは上がってはいない。
「ふむ…もう少し狩らないとダメかな?」
だが2度スライムを倒したことで、だいぶコツは掴めた。スライムに対する次亜塩素酸ナトリウムの攻撃力も申し分なし。ならばジャンジャンと狩って行こう!
……。
こうして…12匹のスライムを倒した。
タモでスライムを捕獲しては、ポリバケツに放り込む簡単なお仕事です。スライムの攻撃によるダメージもまったく受けない完封勝利。精々が自分で扱った薬剤で、鼻と喉をすこし痛くしたくらいだ。
そろそろいいかなとステータスを呼び出して確認してみると、いつのまにかレベルが3になっていた。
特別気にはしなかったが、ゲームみたいなファンファーレによるレベルアップ演出もなければ、システムメッセージ的なモノが脳内に聞こえてくるような事もなかった。ついそうだったらいいなぁなどと考えてしまうのは、すっかりその手のゲームに毒されているせいだろう。
「よし、ではじっくりとステータスを確認する為にも一度戻るとするか…」
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