うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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プレゼントとシャーク来襲

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オッス、オラ鳴人!

美人女子大生たち三人と、海水浴の旅行に来たんだけっどもよ!浴衣姿の瀬来さんがオラの手を引いて布団に向かったもんだから…そりゃもうドキドキしちまったぁ!でも…それはサプライズで、本当は三人でマッサージをプレゼントしてくれるって言うんだぁ!

スッゲェ、わくわくすっぞぉ♪



「じゃあ。いくよ師匠…」
「うん…(どきどき)」

『すっ…ぐっ…ぐっ』

おお、瀬来さんがオレの背中に乗った。さきほどオレの寝る位置を調整していたのは、部屋の境にある長押なげしに掴まる為だったようだ。

(おお、これは…)

以前に瀬来さんがチャレンジして失敗した足踏みマッサージじゃないか。

「ほなコォチ、うちも失礼するでェ…よいしょ♪」

『ぐっ…くっ…』

なるほど、瀬来さんは背中。仁菜さんは瀬来さんの肩に掴まってバランスを取りながら、腰を担当してくれるのか。

「コーチ、わたしは足の裏に乗りますね。えいっ」

あ…、かわいい。小さな瑠羽の可愛い足が、オレの土踏まずに乗ってくる。

ふむ…今のオレたちの状態を横から見て漢字で表すのなら、ちょうど『皿』みたいな感じか。でも瀬来さんが長押に掴まっているから、どちらかというと『血』かもしれない。まぁいずれにしても、上に乗る人間が一名多いか。

「じゃあ師匠、マッサージしていくよぉ♪(ふみふみ…ぐっ…ぐっ…)」
「おお…気持ちいい!」

身体の全体重がかかっているので、グイグイくる。ツボを捉えたマッサージではないが、勢いの良い瀬来さんらしいパンチの効いたマッサージだ。言うなれば、瀬来キックはパンチ力といったところだろうか。

「コォチ、腰の方はどうやぁ?ココを(ぐりぐり…)こないにしたらええ感じやろ?(ぐりぐり…)」
「おわっ…!?す、すごい…!」

腰に乗った仁菜さんがつま先立ちになり、腰のくぼみにそのつま先をぐりぐりと…。あぅ…!に、仁菜さん!そんなトコ…ぐりぐり…ぐりぐりしちゃらめぇええ!!

「(ふみふみ…ふみふみ…)コーチ、どうですか?気持ちイイですか?」

おっといかん。仁菜さんの激しい攻めに、危うく変なスイッチが入ってしまう所だった。

「ああ…、瑠羽の足踏みマッサージは優しくて、とっても癒されるよ(はぁ…)」

優しい瑠羽の足踏みマッサージは、どこまでもソフトで柔らか。ここだけは直接足の裏同士が触れあっている為、普段は恥ずかしいとほとんど手を繋いだことのないオレと瑠羽だが、今だけは仲良く手を繋いでいるみたいだ。

(それにしても…、こんなに可愛くて美人な女子大生三人に踏まれているなんて。幸せすぎて明日死んでしまうんじゃないかと心配になるくらいハッピーだ)

「どう?(ぐっ!)師匠(ぐっ!)気持ち…(ぐっ!)いいでしょ!(ぐっ!)」

瀬来さんもつま先立ちになり、肩甲骨の間で軽く跳ねてグイグイ。

「おっ!おっ!おっ!おっ!…」

「次は、こんなんもどうやぁコォチ♪(グイグイッ、ずるぅ~~。グイグイッ、ずるぅ~~)」
「ふぉぉおお…!??」

仁菜さんは腰からお尻の上に足を移し、オレの尻を足の裏全体で揉み潰す様に動かしていく。そ、それ股間にも刺激と圧迫感がくるから…マジでヤバイ。

「(ふむふみ…ふみふみ…)コーチ、今度はふくらはぎに少し乗りますね(ふむふみ…ふみふみ…)」

小刻みに足の位置を変えながら、瑠羽の足がオレのふくらはぎを上下する。はぁ…これもこれでたまらん。

(美人女子大生たち三人による足踏みマッサージ、最高じゃないか!)

「(コンコンコン!がちゃ、ずかずか…)おいジャングぅ!…ってウェ!お、おまえ何やってんだよ…??」



蕩けてマッサージを受けていると、なぜか突然頭上で口の悪い女子高生シャークの声がする。つかコイツ…、ノックして扉開けて部屋に入ってくるまで、全くのノーウェイトだったよな?

なんと、口の悪い女子高生のシャーク襲来。そういえば浜辺で会った時に、あとで来るとか来ないとか言ってたんだっけ。

「ちょっとぉ…何よあなた、急に来ていきなり失礼でしょ!」

お、礼儀知らずなシャークに対し瀬来さんがきつい口調で咎めた。そうだ、この口の悪いJKに礼儀というモノを教えてやってくれ瀬来さん。

「いや、アタシが用があるのは、アンタじゃなくてジャングだから。なぁジャング、いつまでも女に踏まれてないで起きろよ!」
「まッ…!?」

って、シャークも瀬来さんをあっさり弾くなよ。仕方ない、オレが相手するか。

「…シャーク。今は、せっかく三人が旅のお礼にってマッサージのプレゼントをしてくれてるところなんだ。話ならあとで聞くから、もうすこし待ってくれ。それくらいは、いいだろ」

「ハン!なんだよ、そんなに女に踏まれるのが好きなら、アタシも踏んでやるぜ!(げしっ)」

おうふ…。期せずして文字通りの『血』が完成したな。ってオレ、シャークに頭踏まれてるけど。

「コ、コーチになにするんですかぁ!!」
「せやでぇ。いくら仲良い言うても、人の頭を足蹴にしたらあかんよぉ…」

むむ、なんだか頭上では一触即発のムード。でもみんなオレの上に乗ってるから、動けないじゃんオレ。

う~ん…、お、シャークも裸足か。

聞こえるかMなオタ友よ。オレは今、美人女子大生三人と口の悪い女子高生の、計四人もの女性に踏まれているぞ。きっと、お前なら泣いて喜ぶシチュエーションだろう。お前はいっつもそういう薄い本ばかり買っていたものな…。

まぁMなオタ友は死んで星になった訳でもなく、普通に最近会ってないだけなのだが。だがオレの感じた快感が、多少なりとも届いただろうか。まぁ無理か、オレもアイツもニュータイプじゃないし。

「ちょっとぉ!いい加減師匠の頭を踏むのをやめなさいよ!(ドスドス!)」

ぐぇ、案じてくれるのはいいが、瀬来さんもオレの上で地団駄踏まないで。

「ハッ!アンタだってジャングのこと踏んでんじゃん!おんなじだろ?何が悪いのさ(ぐりぐり…!)」

あ~…オレ、めっちゃシャークに後頭部ぐりぐりされてる…。まぁいいけど。痛くないうえ、なんなら程よく気持ちいいまである。まぁ男に足蹴にされたなら、怒髪天に激怒するところ。けど相手が年若い女の子というだけで、なぜこうも許せてしまうんだろう…。

でもま、このままだと瀬来さんとシャークの乱闘にも発展しかねないか。ではそろそろ事態の収拾に動き出すとしよう。

「ムゥゥ、なぁシャークよ…。オレは今、シャワーと称して冷たい消防用水を浴びせかけられる〇ョン・ランボーと同じ気持ちを味わっているぞ…」
「ナッ…!?」

そう言うと、オレを足蹴にしているシャークの素足から、ぷるぷると動揺が伝わってきた。

「そうだ。もしオレが〇ョン・ランボーなら、1時間半後にはお前の住むこの街はすっかり火の海だ…」
「お、おい…ジャング、冗談だろ…(あせあせ)」

「だが…おまえにはイカ焼きを奢ってもらったからな。だから教えてやろう…。オレという爆弾を止めるキーワードは…『ごめんなさい』だ」
「えッ…あ…ッ?うん、ご…ごめんなさい…」

「そうだ。あまり調子に乗ると…手酷いしっぺ返しを喰らうことになる。胆に銘じておけよ(ぺろりっ)」
「ヒャアァ!?」

すかさず頭をずらして足の裏を舐めると、シャークは思いのほか可愛らしい声をあげてみせた。ふふふ…頭を踏まれた仕返しに、女子高生の足の指をぺろぺろしてやったぜ。ざまぁみろ。

…。

と、そんな一悶着の後、ひとまずシャークの話を聞くのに5人でテーブルにつく。

非常に残念なことに、至宝のマッサージタイムがシャークの襲来によりオジャンになってしまった。だが代わりに現役女子高生の足の指をぺろぺろ出来たことで、オレはまんざらでもなかった。しかしそれを一番前で目撃した瀬来さんだけは、微妙な顔でオレと目を合わせないようにしている。

参ったな、変なところを見られてしまった。すばやく、かつさりげなくやったつもりだったのに…。

「だからアタシは、ジャングにだけ話があるっつってんだろ!」
「そんなのダメです!ふたりきりになんてさせられませんッ!」

そして、今もなおオレにだけ話があるというシャーク。でもそんな事はさせないと拒否する瑠羽。いちおう一触即発のムードだけは回避できたものの、いまだ剣呑な空気は続いていた。

「なぁ…、シャークちゃんだっけ?瑠羽はコォチの彼女なんやから、それを言う権利はあるでぇ。ほんで、何をシャークちゃんはコォチに話したいんや?」
「う…それは…」

仁菜さんから理由を訊かれると、言葉を濁すシャーク。だがオレはシャークと瑠羽たちとの会話から、このシャークと呼ばれる女子高生の性格を理解し始めていた。

うん、シャークはかつてのオレとよく似ている。まだいじめられる前の、負けん気が強すぎて周囲とうまく付き合えなかった小学生の頃のオレと、そっくりだ。

さきほどテーブルに移る前に、『なんで頭を踏んだんだ?』と問うたら、『悩みを相談したかったのに、ジャングが美人を侍らせているのに腹が立った』と、いうような事を言葉少なに話していた。

『それでついカッとなって、頭を踏んでしまった』とも。

ほぉ、可愛い。いや、見た目とかそういうのじゃなくて、その性根がだね。周囲に負けまいと必死に虚勢を張っているところとか、そのせいで人付き合いが物凄くヘッタクソなところとか。

それにコイツも、初心で奥手のようだ。

コレがもし隠れてパパ活とかしちゃうような性的に擦れた感じの女子高生だったら、きっとオレがマッサージを受けている光景にも動じずに『ふ~ん』てな感じで流していたことだろう。

そんなところもコイツはオレと同じと感じさせて、口が悪いながらも好感が持てたのだ。

で、そういったことを自分なりに噛み砕いて説明すると、仁菜さんと瑠羽は理解を示してくれた。

「でもさぁ…、そんなんで簡単に許しちゃっていいのぉ?(ぷぅ)」

しかし瀬来さんだけは、それでもプンスコと頬をふくらませている。そしてその眼は『なにか明確な罰を与えるべきだ』と訴えている。よし、ではこうするか。

「シャークよ、今回の件は『貸しイチ』だからな。忘れるなよ?」
「?…ああ!解ったぜジャング!アタシはジャングにひとつ『借り』がある!」

ふふふ。このミリオタ女子高生の思考は、一般人のそれとは違う。だから戦争映画に出てくる兵士たちのやりとりのようにしてやった方が、話が早いのだ。

て、瀬来さん。まだ難しい顔してシャークを睨んでるけど、年下なんだしそれくらいで勘弁してやろうよ。
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