うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

文字の大きさ
305 / 660

特異迷宮入場免許申請2

しおりを挟む
「おい、おい起きろよ。起きないのか?そうかよし、起きないのなら…こうだッ!」
「ふががっ!?イダダダダ…!!」

「どうだ、目が覚めたか?じゃあアタシは朝練に行くからな?ちゃんと起こしたからな!」
「ぐむむ…。お~痛てぇ~…。るりのヤツぅ、無防備の兄にむかって朝から鼻フックかましてくるとは、まったくなんて妹だ…」

痛む鼻をさすりつつ階段を降りると、顔を洗ってリビングへと。すると香ばしく焼けたパンの香りとバター、それに一際上質な珈琲の香りが迎えてくれる。

「あら、どないしたん?鼻のあたま真っ赤やでぇ?」
「おはよう静姉ェ、これはるりのヤツにやれたんだよ。あいつめ」

「ふふ、それはお寝坊さんなお兄ちゃんが悪いんやない?ほら、はよせんと瑠羽ちゃん迎えにくるで」
「おっとそうだった。サッサと食べないと」

「もぉ、サッサとなんて…。愛情込めて作ったんやから、ちゃんと味わって食べてくれへんとお姉ちゃんさみしいわぁ」
「ああいや!そう言う意味じゃないんだ。いつも感謝してるよ静姉ェ、いただきます!」

「ふふ、鳴はええ子やなぁ~」

そう言うと、静姉ェは子供にするようにしてオレの頭を撫でてくる。

「もぉ~、オレももう高校生になったんだから、頭なんか撫でないでくれよぉ」
「いくつになっても鳴はウチの可愛い弟やもん。ええやなぁい」

「参ったなぁもぉ~」

と今度は玄関が開き、幼馴染の声が聞こえてきた。

「おはようございまぁす。鳴人ちゃ~ん、学校いこう!」
「あ、ほら瑠羽ちゃん迎えにきたで」

「うん、ごちそうさま。じゃあ行って来るよ」
「ほなふたりとも気をつけてな」

「「はい、いってきまーす」」

…。

「でね、昨日も図書館の帰りに空き地に寄ったら、可愛い子猫がいてね」
「(やぁ~ん!四国四国ぅ~~ッ!!)」

(ん、なんだこの声は??)

と、思う間もなく目の前の十字路をノーウェイトでこちらに勢いよく曲がってきた女の子と、正面衝突してしまう。

『ドガッ!』
「うわッ!?」
「キャアア!?」

しかもかなりの速度で走っていたらしく、ぶつかった衝撃でこちらまで転んでしまった。

「な、鳴人ちゃんだいじょうぶ!?」
「イタタ、一体なんだったんだ…?あ!あれはイチゴのおパンツ!!」

目の前には衝突の衝撃で同じように転んだ女の子が、スカートのなか全開というあられもない姿で倒れていたのだった。

「な…!?おまん何を見ちょるがぜよ!!」

するとガバリを身を起こした女の子が、恥ずかしかったのか涙目でこちらを睨んでくる。

「う…じゃっどん!急いちょったのかも知れんが、いきなりぶつかってきたのはもはんの方でごわす!」
「な、鳴人ちゃん、なんで西郷さんみたいになってるの?」

「…と、いかんぜよ!こんなことしちょる場合じゃなか!今は四国からの追手に追われちゅうき、スマンがこれで失礼するぜよ。じゃ!!」

そう言うとその女の子は、また猛ダッシュで走り去ってしまった。

「参ったなぁ、なんだったんだあれは…?」
「だいじょうぶ?怪我してない?」

「ああうん、どこも怪我してないよ。ありがとう瑠羽」
「ううん。それにしても、この辺じゃ見ない制服だったね」

「でも珍しいのは制服だけじゃなくて、具足やなかに鎖帷子も着込んでたみたいだったぞ?」
「へぇ~、ずいぶん変わった子だったね」

「そうだな~」

……。

『キーンコーンカーンコーン』

「気を付けぇ、礼!」
「よろこべ男子ぃ!今日はきさまらに朗報だ!なんと今日は本クラスに、かわいい転校生さまの登場だぁ!!」

「「「うおぉぉおおお~!!」」」

「ねぇ鳴人ちゃん、転校生だって。どんな子だろうね?」
「ああ。でも担任の口ぶりだと、どうも女子生徒みたいだなぁ」

「では入りたまえ!転校生入場!」

「しつれいしまぁす!…はじめまして、四国から来ました瀬来ま…アッ、今朝の覗き魔!!」
「ナッ!?おまえはイチゴおパンツ…いやもとい暴走女!!」

「なんだおまえたち、もう知り合いなのか?じゃあ瀬来は江月の隣の席だ。あ、教科書も見せてもらえ」
「「ええぇ~~~ッ!!」」

…。

「―であるからして、武器の保管にはくれぐれも―」

(うぬ…?なんだ、居眠りしてしまっていたのか。なんかもうこれ以上ないくらいにベッタベタの夢を視ていた気がするが…)

身体測定が終わると、そのまま2時間ほどの講義が行われていた。なんか法律の話ばかりされてつまらなかったので、つい居眠りをしてしまっていたようだ。

しかもこの教本はどうやら狩猟免許を基にしたうえ急いで作ったらしく、そこここに誤植が。だがそれによるとこの免許交付の他にも警察へ武器所持許可申請手数料が¥15000もしたり、申請のための医師の診断書で¥3000ほどがかかるらしい。

ておい、ここでもまた、金取りまくりだな。

つまりオレがエクスカリバールを武器として所持許可申請しようとした場合には、まず医者に行って「こいつ頭のおかしいヤベェ奴じゃないですよ」って診断書を書いてもらって、それと登録する武器を持って警察に行き、所持許可申請をしないといけない訳だ。

う~む、なんともメンドクサイ。

「また武器を携行する際にはこのような専用のケースが販売されるので、必ず入れて持ち歩くように」

そう言って教官が手に持って掲げたのは、電動ドリルなんかを収納しとくような樹脂製の頑丈なケース。防犯の為に鍵付であり、しかも真っ赤というド派手カラーリングでとても目立っている。うむむ、そこでもまた専用とかいって金を取るつもりか。

するとここで前の方に座っていたスキンヘッドの男性が、質問の為か手をあげた。

「はい、なんですか?」
「そのサイズですと剣などなら入るでしょうが、槍などの長物の場合はどうすればいいのでしょう?」

て…あれ?なんだ、質問してるの雲海さんじゃない。なに?薙刀でも持って武蔵坊にでもなるつもり??

「ああはい、そういった槍などの穂先の部分だけをロックするケースも、順次用意される予定です」
「そうですか、ありがとうございます」

なるほどな。でも雲海さん錫杖使ってたんだし、アレ使えばいいのに。

でも刃物が許されるのなら、やっぱり高い攻撃力が欲しいか。うん、なんか如来ジャベリンとかの方が、ただの錫杖よりは強そうだもんな。

そう、特異迷宮入場免許証を持つ者は、武器の携行が許されるそうだ。

しかも銃刀法で規制されている刃物の制限を、まるっと取っ払った形で。しかしそれ故に武器は厳重に管理し、もし何か遭った場合には重く罰せられるのだとか。

だがこれにより、ダンジョンの中でなら刀を履いて歩いていても良いという。ふむむ、これには心躍る者が少なくないだろう。

しかしその一方で、銃器や弓のような飛び道具に関しては完全にNG。

ま、そもそも日本で銃を手に入れるのだって大変だし、飛び道具は誤射の危険性が非常に高い。そういった理由なのだろうが、ダンジョン能力者ともなれば普通にモノを投げただけでも、相当な威力で投げることが可能。

それについても質問の手があがったが「人のいる場所では行わないように」という回答だった。

ま、そうだよね。銃器に関しては「そういうの使いたいのなら自衛隊に入りなさい」って話だし。ボウガンとか弓なんかに関しても、果たしてダンジョン能力者の力に耐えられるモノがあるのかどうか。

う~ん、普通にはないだろうし、意味を喪失してしまうかな。

だってオレが岩塩投げただけでも、普通に時速300キロ400ロキロは余裕で超えちゃってるだろうし。そういった力に、弓自体が耐えられるかっていうのがネックになってきちゃう。まぁマジックアイテム的におもくそ丈夫な魔弓みたいなのでもあれば、また話は違うんだろうけど。

それでも強力な武器には違いないから、使いたいと考える者も多いだろうな。

「え~、ではこれで講義の方を終わります。次は面接がありますので、移動をお願いします」
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...