348 / 660
ウラ!
しおりを挟む
瀬来さんと仁菜さんは、オーラを操るという感覚の取得に苦戦していた。
まぁ自分の殻を破るなどといっても、言葉でいえば簡単でもそれをいざ実践するとなればなかなかどうして思うようにはいかないもの。なにせ大人になるにつれ自身のブレイクスルー体験など、そうそう起きるものでもないのだから。
とはいえ人生とは、小さなブレイクスルーの積み重ね。
たとえば赤ん坊が初めてその足で立ちあがった日も。初めて自転車に乗れたり鉄棒で逆上がりが出来た日も、忘れてしまっているだけでそれらは全て得難いブレイクスルー。
新たな経験を積むことで獲得した視点や感覚。それこそが成長でありブレイクスルー。
しかしこれを得るには、やはりどうしたって過去の自分からの脱却が必要なのではないだろうか。それをオレは、失意の底で知覚した…。
たとえばどしゃぶりの雨に打たれた時。必死に雨に耐えながらもどうにかして身を、衣類を守ろうとするだろう。しかし下着まで完全に濡れてしまった時に、それはもはや意味を失う。
パンツびっしょりになった時点で、失うものが無くなるからだ。
つまりなにかを護ろうと必死になっている時には、逆にそれらが重石となって思考を縛り付けてしまう。だがいっそパンツびっしょりになってしまえば、その先にあるのはもはやなんでもこいで破れかぶれのフリーダム。
ふぅむ。ま、この解釈が適切かどうかは不明だが、つまりは自身を縛り付けている固定観念を打ち砕かない事には、先には進めないということ。
そして彼女たちの場合、その思考や価値観はまさに今時のイケてる女子大生。なのでそんな彼女たちに厨二臭くオーラだなんだといっても、通じる訳がないとみた。
そこでオレは、もっとふたりに心を解放するようにと勧めてみた。
「精神を研ぎ澄ませたりと細かいことはもうここまでだ!これから先はフリータイム!ふたりとも、自然のなかで好きなように、おもいきり暴れてごらん!!」
…。
人が大勢の人間と社会生活を送る為には、自身を戒める倫理道徳というものが必要。しかしこの倫理道徳や固定概念といったものが、心の自由度を妨げるのも確か。
オレが独りダンジョンで暴れていた時。痛烈な悲しみを覚えると同時に、そんな虚しさのなかにもどこか解放されたような高揚があった。
うむ、それこそが縛られるもののない魂。フリーダムソウル。自由な魂でなければ、きっとオーラは操れない。
かつてアダムとイヴは、知恵の実を口にしてしまったが為に楽園を追われたという。
が、どうしてそれが神にバレてしまったのかというと、ふたりがイチジクの葉っぱで股間を隠すようになったから。つまり「アッ!おまえらなに股間隠しとんねん!ハッ…さては知恵の実食うたやろッ!!」ってな感じ。
アダムとイヴは知恵の実を口にしたことで羞恥心を獲得し、裸でいることに耐えられなくなってしまったのだ。
これは原罪などと呼ばれる。が、神が怒り悲しんだのは、ふたりが知恵の実を食べてしまったことによって知恵に縛られ、自由で無垢な心を失ってしまった事を嘆いたのではなかろうか。
まぁそれはともかく瞑想だ精神修練だなどと畏まっていても、それに疲れたりつまらなくなってしまっては逆効果。
そうさ、好きこそもののグッドネス。オレが飽きることなく身体を鍛えたり出来たのも、ダンジョンでの冒険がすこぶる楽しく、自身を鍛えるために費やした努力がどんどんとカタチとなって返ってくることが嬉しかったから。
そうだ、ともあれ魂のバイヴレーション!とにかく心の赴くままにゆけ!さぁふたりとも、気の向くままにビートでシャウトだ!
「わーお!わーお!わおーッ!!」
瀬来さんが大声をあげ、骨を振り回しながら樹上を駆け回る。
「高級車なんて!高級車なんて大キライやぁ~!!」
仁菜さんはどういうわけかハイパーエクスカリバールで倒木を打ち砕いている。
普段は胸に秘めた鬱憤を吐き出しているようだ。その衝撃は凄まじく、倒木がみるみるまに粉砕されていく。うむむ、普段冷静な仁菜さんからは想像できないお姿。
(だが、それこそが嬉しいな。ふたりがこんなにも赤裸々な心をみせてくれているのだから…)
彼女たちには前もって「遠慮は無用。なにせ男でありながら女性の姿に変わってしまった恥ずかしい姿のオレを、ふたりはその優しさで受け止めてくれただろう?だからオレも、ふたりがどんなにおかしな真似をしても、絶対にだいじょうぶだ」と言い含めた。
ゆえに彼女たちの行動は、そう言ったオレを信じてくれてのこと。
「ほら、江月さんもいっしょにやろ!」
樹から降りてきた瀬来さんが、受け取るようにと手にした骨ハンマーをオレに差し出す。
「せやでぇ。うちらにだけ恥ずかしい真似させといて、あとで笑い話にでもしたら承知せんから…。ふふ、でもアタマ真っ白にして暴れてこい言われた時は、なにいうとるんのやろ?って思ったけど、やってみると意外と楽しいもんやねぇ」
ハイパーエクスカリバールをふりまわし、ストレスを発散した仁菜さんも集まってきた。
「「さぁ!いっしょに!」」
そこでオレも骨ハンマーを受けとり、そのままクルリと回してみせる。
「お…。よし、ではいっちょやるか!」
こうしてオレ達は、陽の暮れるまでズンビビウバウバ!ウラウラベッカンコ!したのだった。
まぁ自分の殻を破るなどといっても、言葉でいえば簡単でもそれをいざ実践するとなればなかなかどうして思うようにはいかないもの。なにせ大人になるにつれ自身のブレイクスルー体験など、そうそう起きるものでもないのだから。
とはいえ人生とは、小さなブレイクスルーの積み重ね。
たとえば赤ん坊が初めてその足で立ちあがった日も。初めて自転車に乗れたり鉄棒で逆上がりが出来た日も、忘れてしまっているだけでそれらは全て得難いブレイクスルー。
新たな経験を積むことで獲得した視点や感覚。それこそが成長でありブレイクスルー。
しかしこれを得るには、やはりどうしたって過去の自分からの脱却が必要なのではないだろうか。それをオレは、失意の底で知覚した…。
たとえばどしゃぶりの雨に打たれた時。必死に雨に耐えながらもどうにかして身を、衣類を守ろうとするだろう。しかし下着まで完全に濡れてしまった時に、それはもはや意味を失う。
パンツびっしょりになった時点で、失うものが無くなるからだ。
つまりなにかを護ろうと必死になっている時には、逆にそれらが重石となって思考を縛り付けてしまう。だがいっそパンツびっしょりになってしまえば、その先にあるのはもはやなんでもこいで破れかぶれのフリーダム。
ふぅむ。ま、この解釈が適切かどうかは不明だが、つまりは自身を縛り付けている固定観念を打ち砕かない事には、先には進めないということ。
そして彼女たちの場合、その思考や価値観はまさに今時のイケてる女子大生。なのでそんな彼女たちに厨二臭くオーラだなんだといっても、通じる訳がないとみた。
そこでオレは、もっとふたりに心を解放するようにと勧めてみた。
「精神を研ぎ澄ませたりと細かいことはもうここまでだ!これから先はフリータイム!ふたりとも、自然のなかで好きなように、おもいきり暴れてごらん!!」
…。
人が大勢の人間と社会生活を送る為には、自身を戒める倫理道徳というものが必要。しかしこの倫理道徳や固定概念といったものが、心の自由度を妨げるのも確か。
オレが独りダンジョンで暴れていた時。痛烈な悲しみを覚えると同時に、そんな虚しさのなかにもどこか解放されたような高揚があった。
うむ、それこそが縛られるもののない魂。フリーダムソウル。自由な魂でなければ、きっとオーラは操れない。
かつてアダムとイヴは、知恵の実を口にしてしまったが為に楽園を追われたという。
が、どうしてそれが神にバレてしまったのかというと、ふたりがイチジクの葉っぱで股間を隠すようになったから。つまり「アッ!おまえらなに股間隠しとんねん!ハッ…さては知恵の実食うたやろッ!!」ってな感じ。
アダムとイヴは知恵の実を口にしたことで羞恥心を獲得し、裸でいることに耐えられなくなってしまったのだ。
これは原罪などと呼ばれる。が、神が怒り悲しんだのは、ふたりが知恵の実を食べてしまったことによって知恵に縛られ、自由で無垢な心を失ってしまった事を嘆いたのではなかろうか。
まぁそれはともかく瞑想だ精神修練だなどと畏まっていても、それに疲れたりつまらなくなってしまっては逆効果。
そうさ、好きこそもののグッドネス。オレが飽きることなく身体を鍛えたり出来たのも、ダンジョンでの冒険がすこぶる楽しく、自身を鍛えるために費やした努力がどんどんとカタチとなって返ってくることが嬉しかったから。
そうだ、ともあれ魂のバイヴレーション!とにかく心の赴くままにゆけ!さぁふたりとも、気の向くままにビートでシャウトだ!
「わーお!わーお!わおーッ!!」
瀬来さんが大声をあげ、骨を振り回しながら樹上を駆け回る。
「高級車なんて!高級車なんて大キライやぁ~!!」
仁菜さんはどういうわけかハイパーエクスカリバールで倒木を打ち砕いている。
普段は胸に秘めた鬱憤を吐き出しているようだ。その衝撃は凄まじく、倒木がみるみるまに粉砕されていく。うむむ、普段冷静な仁菜さんからは想像できないお姿。
(だが、それこそが嬉しいな。ふたりがこんなにも赤裸々な心をみせてくれているのだから…)
彼女たちには前もって「遠慮は無用。なにせ男でありながら女性の姿に変わってしまった恥ずかしい姿のオレを、ふたりはその優しさで受け止めてくれただろう?だからオレも、ふたりがどんなにおかしな真似をしても、絶対にだいじょうぶだ」と言い含めた。
ゆえに彼女たちの行動は、そう言ったオレを信じてくれてのこと。
「ほら、江月さんもいっしょにやろ!」
樹から降りてきた瀬来さんが、受け取るようにと手にした骨ハンマーをオレに差し出す。
「せやでぇ。うちらにだけ恥ずかしい真似させといて、あとで笑い話にでもしたら承知せんから…。ふふ、でもアタマ真っ白にして暴れてこい言われた時は、なにいうとるんのやろ?って思ったけど、やってみると意外と楽しいもんやねぇ」
ハイパーエクスカリバールをふりまわし、ストレスを発散した仁菜さんも集まってきた。
「「さぁ!いっしょに!」」
そこでオレも骨ハンマーを受けとり、そのままクルリと回してみせる。
「お…。よし、ではいっちょやるか!」
こうしてオレ達は、陽の暮れるまでズンビビウバウバ!ウラウラベッカンコ!したのだった。
47
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~
虎柄トラ
ファンタジー
下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。
意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。
女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。
敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。
剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。
一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。
快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

