うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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【麻痺】

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【雷】のスキルを確認するために、一度地下4層へと戻り山ゴブリンと戦ってみることに。

これは同じ【雷】のスキルを持つ電撃鼠が相手では、もしかしたら耐性を持っていたり、【雷】のスキル同士の効果をぶつけあった際にショートのようなことが起きてダメージが返ってきてしまう危険性を考えてのこと。

そうして地下5層へとおりる真っ黒付近で様子をうかがっていると、ちょうど槍持ちの山ゴブリン2体がこちらに向かってきた。

「お、どうやらきたようだぞ」
「ほんなら試してみるさかい、フォローよろしゅうなコォチ」

先ほどから粘液ムチをふるって電撃をのせる練習をしていた仁菜さんが、マスクをかぶり直して前へと歩みでていく。

「よし、まかされた。ほかのことは心配せずに集中してやってごらん」
「おおきに」

「しっかりね、シズ」

オレと瀬来さんはそれぞれ両サイドの壁際に分かれ、背後から仁菜さんのフォローにあたる。

とはいえ地下4層にいる山ゴブリンどもも手練れた様子で、ジリジリとしか近づいてこない。仁菜さんも真剣に間合いを測っているのでこの戦い、なかなか先が長そうだ。

そこでいつでも粘液ロープを生み出せるよう魔力を練りながら、オレもソレに【麻痺】の効果をのせられるようスキルの複合使用を試みてみる。

うん、スキルの複合使用に関しては、常々3人に教えていること。

粘液に強い酸性を帯びさせて、ひっついたらちょっとやそっとでは剥がれない恐ろしい強酸粘液を生み出したり。【塩】と【図工】を合わせて細かな細工物を作ったりと、スキルは組み合わせて使ってこそ、ナンボってなモンですよ。

ただ【麻痺】のスキルについては、組み合わせどころか単品でもほとんど使ったことがなかった。

というのも、あんまり使い勝手がよくなかったため。まず麻痺の効果を発揮させるにも対象に触れていなければならず、その効果も100%とはいかないのだ。そうなるとソロで戦っている時にそんなアテにならないスキルで一手を消費してしまうよりも、確実に敵を追い詰められる手で攻めた方がいいという結論に至ってしまう。

たとえばわざわざ接敵してまでスキル【麻痺】で対象を麻痺させるよりも、サッサと粘液あびせかけた方がよっぽど手っ取り早かったりするためだ。粘液であれば対象の動きを封じたうえ、窒息でダメージにも繋げられる。

そんな感じでスキル【粘液】が【麻痺】の上位互換的位置付けだったので、今まで日の目をみることがほとんどなかったスキルである。

あとはまぁ、巨大蛾がドロップする毒鱗粉にも同じ効果があるっていうのにもね。

ただコチラもシビレ薬的に使えるものの、毒なので管理が難しいし、敵に投げつけるにしても巧い事四散させなければ十分な効果を発揮してくれない。ラップに包んだうえでガチャガチャのカプセルに詰めてみたりもしたけど、コレだと敵にぶつけてもぜんぜん散ってくれなくてまったくダメだった。

かといって四散しやすいようにすると、今度は脆くなって手元で崩れてしまったりと、とにかく扱いがメンドクサイのだ。戦闘中に自分が毒鱗粉でしびれてしまっては、笑い話にもならないし。

「ヤッ、電撃粘液スタンミューカスッ!!)


と、そうこうするうちに仁菜さんが近づいてきた山ゴブリンに対して、粘液ムチの攻撃を放ったぞ。

「「ゲギャ」」

しかしコレは狙っていたのがバレバレで、たやすく躱されてしまう。そしてそのまま左右に散った山ゴブリンが、姿勢を低くして突っ込んでくる。

「おっと、だがそれもバレバレだ。ミューカスロープッ!!」

槍を構えて迫ってくる山ゴブリンの肩口めがけ、生み出した2本の粘液綱を伸ばし叩きつける。

「「ゲェピッ!?」」

すると「え、こんな所まで届くんですか!?」といった驚きと苦痛の表情を浮かべる山ゴブリンども。いやいや、コレくらいで驚いてもらっては困りますな。

(それ、スキル【麻痺】ッ!)
「「ゲビビャビャーッ!?」」

さらに粘液ロープを媒体に麻痺の効果を魔力にのせ伝播させてみると、山ゴブリンどもはびっくりマ〇オさんポーズでそろって硬直した。

「えっ!なんでシズじゃなくて、江月さんが電撃つかってるの!?」

うん、瀬来さんがひどく驚いてるけど「実はコレ、ずっと使ってなかった【麻痺】のスキルなんだよ」って言ったら、信じてくれるかな?
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