うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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ghost story

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今日も一日が終わった。

朝から畑仕事に精をだし、穴の空いていた鶏小屋の修理やホームセンターに買い物に出かけていたら、もう夕暮れだ。

だが時間が経つのが速いと感じるのは、それだけ楽しいからだろう。

そしてマサくんユキくんの楽しい夏の思い出作りのために、ホームセンターで売っていた一番大きな袋の花火も買ってきた。

うむ、物価高の昨今なので、これは大奮発だ。

でもね、こういう楽しい思い出ってプライスレスじゃん?オレには淋しくてつまらない思い出しかないからさ、「こういう楽しい思い出があったら良かったのにな~」という思いもつい重ねてしまい、ふたりにプレゼントさせてもらった。

「ほら、花火買ってきたぞ。夕飯後にみんなでやろう!」
「「わぁ~、花火や!」」

「コォチ、おおきになぁ」
「ああ、いやいや。いいんだよこれくらい」

花火をもらって喜ぶふたりに、仁菜さんも嬉しそうに顔を綻ばせている。うんうん、ええんやで。そういうことをするのも、大人の役目ってもんだ。


……。


そうして午後9時。

いつも寝るのが早いお爺さんと、朝早くから農作業をガンバって手伝ったツインズは就寝タイム。そこでダンジョン能力者で体力に余裕のある者達だけが残り、新宅の前の庭に輪になって座っていた。

そしてその中心には、太い蝋燭だけが一本ポツリと灯されている。

そう、花火のあとでもっと夏らしいことをしようという話になり、これから怪談をすることになったのだ。そこでこうして丸太を椅子代わりに、順に怪談話を披露していく。

『部屋に異変を感じたと思ったら、窓から怖い顔が覗いていた』とか。『廃病院に肝試しにいったグループのひとりがその時変な声を聞き、その後におかしくなって消えてしまった』とか。まぁ恐ろしくもありきたりな怪談が続き、いよいよオレの番が回ってきた。

(むぅ、これは困ったぞ…)

だがオレの話そうと思っていた怪談話は、先に披露されてしまった。ま、こういうのはパターンだからして、細部は違ってても大筋が似てしまうのは否めないのだが。

「ほら次、江月さんの番よ?」
「む、そうだなぁ~」

「ふふ、コォチはどないな怖い話するんやろなぁ」

「なぁおい、スゲェ怖いの頼むぞジャング」
「わ、私は怖い話よりももっとピクシーちゃんたちのお話が聞きたいです…」

「う~む、ではどんな話にするか」

ぶっちゃけ、オレは怖い話をたくさん知っている。それはファンタジー好きなオタとして、そういった方面も調べたりするからだ。

だがここで、ひとつ大きな問題がある。

口下手なオレは語りも恐ろしく下手クソなので、長い話をすればすぐにダレて飽きられてしまうだろう。しかし怖くて面白い話というのは、大抵紆余曲折もあるものなので長い話が多い。

といってそんな話を短くまとめてしまうと、せっかくの怖い話も味気ないモノになってしまう。

「どうしたんだよジャング?もぉ早くしろって!」

そういって隣に座ってるシャークが、バシバシと殴ってくる。もちろんグーパンチだ。おまえねぇ。自分の兄達に対してもそういう態度なのだろうが、オレはおまえのお兄さんじゃないんだぞ?

「ヨシ…、ではだ。ここにいるのは全員ダンジョン能力者だから、この話にしよう」
「お、なに話すか決まったのか!?」

怪談話が好きなのか、話し始めるというとシャークは楽しそうに目を輝かせている。

「うむ…。これは、オレ自身の身に実際に起きた事なんだが…」

そう言って、順にその場にいる全員の眼をみつめていく。

「オレがダンジョンで初めてステータスを取得した時、運が3しかなかったんだ…」

「は…?」
「え…?」

すると疑問の声が口をついた後、数秒してドッと笑いが巻き起こった。

「ぎゃははは!う、運が3てッ!ひ、低すぎるぎゃははは!!」
「えぇ~やめてよもぉ江月さんてば!それじゃ笑い話じゃない~!」

「こらこら、お爺さんたちが寝てるんだから、そんな大きな声で笑うんじゃないよ」
「で、でも3てのはねぇよ…!く、くひひひひ…ッ!」

「え、江月さん…。それじゃぜんぜん怖い話になってませんよ?」
「ふふ、そうやねぇ」

だが、こうして笑いが起きてしまうということも、まぁ想定内だ。

「ハハハ、怖くなかったか。でもね…、キミらは本当にそう思うのかい??」

そうして今度はさっきよりもさらに圧を籠めた眼で、オレは順繰りと全員の眼をみつめていったのだった。

ズゴゴゴゴゴゴ…
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