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Death March 3
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そうしてそのまま公園の北側に向かおうとしたのだが、状況は芳しくなかった。というか案の定、深刻な事態。
「ハァ、ハァ…!た、たすかった…!」
「状況は!?」
「わからない…!とにかく逃げるのに必死で…!」
途中でさらに1名の警官を救出。が、見るからに体力を消耗していて、これではとても護衛無しでの脱出は無理そう。
「なぜこの公園に?この辺なら周りより一段も二段も低くなった、遊歩道が幾らでもあるだろう!」
今まで頑張って囮をしていた相手に言う事ではないが、つい感情的になってしまう。うん、川だったのを潰して公園や遊歩道にしたような場所が、この辺りには数多くあったはず。そういった場所にゾンビを誘導してやれば、その高さを利用し比較的安全に隔離することも可能だったろう。
「そ、そこに誘導するまでに住宅地や信号があれば、無理だろう!信号で車を停めるにも!ゾンビがバラけ収容がつかなくなって!」
するとそういった対応もしようとしていたと回答が。だがそれは、そこに辿り着くまでにゾンビがバラけてしまい上手くいかなかったらしい。
「しかし!どうしてこんな、てんでバラバラに!?」
「さ、最初はちゃんとしてたんだ!でも、そのうち入れ替わりが上手くいかなくなって…!」
さらに感じていた疑問をぶつけてみると、囮をしていた当人の口からも憤った返答が。どうやらリレーのように交代しつつ囮を行っていたようだが、これもまた途中でミスがあり失敗してしまったようだ。
(ああ…。にしても、思ったより数が多いぞ…)
こうしてる間にも、ユルユルと集まり包囲網を狭めてくるゾンビ。
ゾンビの状態によって歩く速度もまた違う。なので、公園の敷地内に万遍なくといった具合に散らばってしまっている。これでは逃げる囮役も、逃げ場がなくて困ったことだろう。
さらには南側だって、まだ完全に制圧できた訳ではない。それに加えバラけてしまい人の形をなさなくなったゾンビが、あちこちトラップみたいに転がっている。
もしこのままこの場を離れたら、囮のいなくなったことでゾンビどもが外へと流れ出てしまう。
「とにかく!まずは脱出するから掴まれ!」
「すまない!」
そこで救出した警官をこの場から逃がす為、そして公園内からゾンビを流出させぬ為に塩竜巻を連発。これにより、かなりの魔力を消耗してしまった。まだまだ戦えなくもないが、このさき救出の度に同じことをしていては、それこそ埒が明かない。
そんな焦燥を抱いたまま暗がりのなか植栽を突っ切り公園の端まで来ると、そこで警戒にあたっていた警官をみつけ声をかける。
「おい、手を貸してくれ!」
するとおっかなビックリといった様子でポリカーボネイトの盾から顔だけを覗かせた警官が、ようやくオレが自分の同僚に肩を貸していることに気がつき、慌てて近づいてきた。
「あ!おい、だいじょうぶか!?」
そうしてここまで肩を貸して連れてきた疲労困憊の囮警官をガードレールに寄りかからせると、盾持ち警官に無線で応援を呼んでもらうよう話す。
「応援を呼んでくれ、オレひとりじゃどうにもならん!」
疲労困憊の囮警官も最初は防刃ベストや連絡用の無線を持っていたようだ。が、走るのに邪魔でそれらを捨ててしまったらしい。
「(ピュザ!)こちら―6、対応中の準職と合流。応援の要請あり―、増援の手配可能か?どうぞ」
『―了解。現在―、流出阻止の為、―で対応中。現場PMの人員で対応されたし』
そこへ停まっていたパトカーからも警官がやってきて、無線で連絡を取り始めてくれた。
と、ここで口の端にのぼった準職とは準国家公務員のことで、今の場合はオレを指す。が、発見されたダンジョンからの流出を止めるのにも人員が必要だと、上は応じてくれない様子。
「待て、オレの塩があれば戦えない人間でも戦力になるんだ!そう伝えてくれ!」
「え~、対応中の準職から提案あり。塩があれば、戦えるとのこと。塩があれば戦えるとのこと。どうぞ」
『―了解。しかし現在、動ける余剰はない。動員されているPMで対応されたし。―6にあっては、現場にて警戒と情報収集の継続を願いたい。以上』
「ええい、事務方だって!ダンジョン能力者じゃなくてもいいんだ!それくらいの人間は署に残ってるだろう!もういい、オレが直接行って話してくる!」
「あ、おい!この場はどうするつもりだ!?」
と、駆け出そうしたオレを年配警官が呼びとめる。
「すぐ戻ってくる!それともアンタらが、オレといっしょに公園へ入ってくれるか!?」
「い、いや!我々もここを離れる訳には…」
「そうか。だが…そうだな。アンタらにも塩を渡しておこう。使い方は鬼は外とおなじ、ただゾンビにぶつけるだけでいい」
「本当に、そんなことでいいのか…??」
「時間が惜しい、詳細は囮役の彼に聞いてくれ。ここまでオレの戦い方を見てる」
そうガードレールに持たれてぐったりしている囮役警官に眼を向けると、もうこれで話は終わりとダッシュで警察署へと駆けだした。
…。
現状のまま単独で公園の北側に向かったとしても、囮役の救出は困難。
ゾンビはダメージを受けても構わず迫ってくるので、数がいると前にいるのの影になってたヤツが、ダメージを受けぬまま近づいてくる。これのせいでドンドンと間合いを詰められてしまう。
するとソイツ等を倒すのにさらに塩を生み出し続けていなければならず、先ほどの救出時も危ないところだった。
聖なる塩もその効果を発揮すれば、ゾンビが溶け落ちるのと同時に消滅してしまう。そんなランチェスターの法則が、ここでは痛いほどに効いていた。
(なんにせよ、もっと人数が必要だ。人を守ったまま戦うにしろ、せめてオレがゾンビを引き受けている間、囮役を運んでくれる人手が欲しい…!)
そこで先ほどのふたりのように塩を渡せば戦力になってくれると、残っている警官に協力してもらおうと再び警察署の前に戻ると大きな声をあげる。
「手を貸してくれ!救出に人手がいる!反撃もできる!武器はゾンビを倒せる塩だッ!バケツでもゴミ箱でもいい!とにかく入れ物を持って集まってくれ!!」
しかし警察署の前にいた警官はオレの言っている言葉の意味が解らなかったらしく、おかしなヤツが戻ってきておかしなことを叫んでいるといった顔をしている。が、コチラは急いでいる。それに構わず魔力を練り上げると、その場にドンと聖なる塩を生み出した。
「わ、何やってんだアンタ!」
「はやく解れ!これが武器だ!量を生み出すのに効果時間は短い!急がないと30分と持たんぞ!?」
しかしそうしていても何事かと署から人が出て来てはくれるが、やはりおかしな恰好のヤツがおかしなことを言っているとしかみていない様子。
「おい、早くしろ!仲間が危険なんだろう!?」
それにいったいどうしたら伝わるものかと焦れていると、隣の消防署からさきほど助けた消防隊員が駆けつけてくれた。
「コレは…!さっきゾンビを倒していたモノですか!?」
「お!そうだ!ようやく話の通じる相手が!彼らに解かるよう説明してやってくれないか」
「わかりました!」
すると助けた消防隊員からすでに報告を受けていたのか、さらに隣の消防署から複数の消防職員が駆け足でやってくる。そしてそのなかから隊長らしい年配の人が前に出ると、塩の山を一瞥しオレに話しかけてきた。
「コレは、塩か。仮にコレを水に混ぜたとしても、ゾンビに対し同様の効果が得られるか?」
(おぉ、なんという理解の速さ!)
その質問に、オレはきっと満面の笑みを浮かべていたことだろう。蟲王マスクをすっぽり頭から被ってるから、それは誰にも分からないだろうが。
「消防車での散布か!やれる、やれるぞ!3%!海水程度の塩分濃度までなら、水で薄めても充分効果があるはずだ!」
「よし!全員聞いたな!すぐ準備にかかれ!!」
「「ハッ!」」
隊長が指示を出すと、隊員たちが駆け足で消防署に戻っていく。助かる。警察よりも消防の方がよほど話が早かった。
「では先行して囮の救出に向かう! できたら公園北側、北方面から放水を始めてくれないか」
「わかった、救出をたのむ!」
…。
しかしそうして公園北側に到着すると、聞こえてきたのは男の悲鳴。
「ぎゃああ!いやだぁ!」
見ればゾンビだかりがソコココに出来ていて、公園に植えられていた樹木が何本も折れたり倒れたりしている。どうやら囮役が木のうえに逃れたり、力尽きてゾンビに捕まったりしてしまったようだ。
そこで再び塩の竜巻でゾンビどもを蹴散らすと、そのまま駆けこんでいって中からまだ息のある人間を助け出す。
「生きてるか!?もう大丈夫だ!」
「ぐぅうぅう…!」
助け出したのは、辛うじて男と解る。が、服は引き裂かれたうえ自身の血とゾンビの腐乱汁で全身赤黒く、怪我の状態はまるで分からない。
「気張れ!死ななきゃゾンビにはならん!生きろ!」
肩を貸し、足にまとわりついてくるまだ動く肉を蹴散らしながら腐肉の沼を脱出。他にもゾンビが集団でうずくまってるのが視界に映るが、そちらはもう悲鳴も聞こえこない。
「クッ、どっからこんなに湧いて出た!」
さらに塩の竜巻で、進行方向を塞ごうとするゾンビどもを蹴散らす。
(いくらなんだって、数が多過ぎる。これも地下でダンジョンが繋がっている影響なのか!)
こんな時、自身の持つ戦力をフルに活用できないのがもどかしい。
この場に眷属たちやピクシーたちを投入出来れば、どれだけ戦いが楽だろうか。ゴキたちだって岩塩三日月を背負わせれば、短時間なら十分戦力になってくれるというのに。
だがそれをするには、まだ日本の法律が追いついていない。
もし今そんな真似をしてしまえば、銃の不法所持と同じように罰せられ、モンスターカードだって取り上げられてしまうだろう。
しかしそうして自力で道を開いていると、視界の端の方から公園の外灯に照らされた土の色が次第に変わっていくの視えた。それが、ようやく消防の放水が始まったのだとオレに教えてくれたのだった。
「ハァ、ハァ…!た、たすかった…!」
「状況は!?」
「わからない…!とにかく逃げるのに必死で…!」
途中でさらに1名の警官を救出。が、見るからに体力を消耗していて、これではとても護衛無しでの脱出は無理そう。
「なぜこの公園に?この辺なら周りより一段も二段も低くなった、遊歩道が幾らでもあるだろう!」
今まで頑張って囮をしていた相手に言う事ではないが、つい感情的になってしまう。うん、川だったのを潰して公園や遊歩道にしたような場所が、この辺りには数多くあったはず。そういった場所にゾンビを誘導してやれば、その高さを利用し比較的安全に隔離することも可能だったろう。
「そ、そこに誘導するまでに住宅地や信号があれば、無理だろう!信号で車を停めるにも!ゾンビがバラけ収容がつかなくなって!」
するとそういった対応もしようとしていたと回答が。だがそれは、そこに辿り着くまでにゾンビがバラけてしまい上手くいかなかったらしい。
「しかし!どうしてこんな、てんでバラバラに!?」
「さ、最初はちゃんとしてたんだ!でも、そのうち入れ替わりが上手くいかなくなって…!」
さらに感じていた疑問をぶつけてみると、囮をしていた当人の口からも憤った返答が。どうやらリレーのように交代しつつ囮を行っていたようだが、これもまた途中でミスがあり失敗してしまったようだ。
(ああ…。にしても、思ったより数が多いぞ…)
こうしてる間にも、ユルユルと集まり包囲網を狭めてくるゾンビ。
ゾンビの状態によって歩く速度もまた違う。なので、公園の敷地内に万遍なくといった具合に散らばってしまっている。これでは逃げる囮役も、逃げ場がなくて困ったことだろう。
さらには南側だって、まだ完全に制圧できた訳ではない。それに加えバラけてしまい人の形をなさなくなったゾンビが、あちこちトラップみたいに転がっている。
もしこのままこの場を離れたら、囮のいなくなったことでゾンビどもが外へと流れ出てしまう。
「とにかく!まずは脱出するから掴まれ!」
「すまない!」
そこで救出した警官をこの場から逃がす為、そして公園内からゾンビを流出させぬ為に塩竜巻を連発。これにより、かなりの魔力を消耗してしまった。まだまだ戦えなくもないが、このさき救出の度に同じことをしていては、それこそ埒が明かない。
そんな焦燥を抱いたまま暗がりのなか植栽を突っ切り公園の端まで来ると、そこで警戒にあたっていた警官をみつけ声をかける。
「おい、手を貸してくれ!」
するとおっかなビックリといった様子でポリカーボネイトの盾から顔だけを覗かせた警官が、ようやくオレが自分の同僚に肩を貸していることに気がつき、慌てて近づいてきた。
「あ!おい、だいじょうぶか!?」
そうしてここまで肩を貸して連れてきた疲労困憊の囮警官をガードレールに寄りかからせると、盾持ち警官に無線で応援を呼んでもらうよう話す。
「応援を呼んでくれ、オレひとりじゃどうにもならん!」
疲労困憊の囮警官も最初は防刃ベストや連絡用の無線を持っていたようだ。が、走るのに邪魔でそれらを捨ててしまったらしい。
「(ピュザ!)こちら―6、対応中の準職と合流。応援の要請あり―、増援の手配可能か?どうぞ」
『―了解。現在―、流出阻止の為、―で対応中。現場PMの人員で対応されたし』
そこへ停まっていたパトカーからも警官がやってきて、無線で連絡を取り始めてくれた。
と、ここで口の端にのぼった準職とは準国家公務員のことで、今の場合はオレを指す。が、発見されたダンジョンからの流出を止めるのにも人員が必要だと、上は応じてくれない様子。
「待て、オレの塩があれば戦えない人間でも戦力になるんだ!そう伝えてくれ!」
「え~、対応中の準職から提案あり。塩があれば、戦えるとのこと。塩があれば戦えるとのこと。どうぞ」
『―了解。しかし現在、動ける余剰はない。動員されているPMで対応されたし。―6にあっては、現場にて警戒と情報収集の継続を願いたい。以上』
「ええい、事務方だって!ダンジョン能力者じゃなくてもいいんだ!それくらいの人間は署に残ってるだろう!もういい、オレが直接行って話してくる!」
「あ、おい!この場はどうするつもりだ!?」
と、駆け出そうしたオレを年配警官が呼びとめる。
「すぐ戻ってくる!それともアンタらが、オレといっしょに公園へ入ってくれるか!?」
「い、いや!我々もここを離れる訳には…」
「そうか。だが…そうだな。アンタらにも塩を渡しておこう。使い方は鬼は外とおなじ、ただゾンビにぶつけるだけでいい」
「本当に、そんなことでいいのか…??」
「時間が惜しい、詳細は囮役の彼に聞いてくれ。ここまでオレの戦い方を見てる」
そうガードレールに持たれてぐったりしている囮役警官に眼を向けると、もうこれで話は終わりとダッシュで警察署へと駆けだした。
…。
現状のまま単独で公園の北側に向かったとしても、囮役の救出は困難。
ゾンビはダメージを受けても構わず迫ってくるので、数がいると前にいるのの影になってたヤツが、ダメージを受けぬまま近づいてくる。これのせいでドンドンと間合いを詰められてしまう。
するとソイツ等を倒すのにさらに塩を生み出し続けていなければならず、先ほどの救出時も危ないところだった。
聖なる塩もその効果を発揮すれば、ゾンビが溶け落ちるのと同時に消滅してしまう。そんなランチェスターの法則が、ここでは痛いほどに効いていた。
(なんにせよ、もっと人数が必要だ。人を守ったまま戦うにしろ、せめてオレがゾンビを引き受けている間、囮役を運んでくれる人手が欲しい…!)
そこで先ほどのふたりのように塩を渡せば戦力になってくれると、残っている警官に協力してもらおうと再び警察署の前に戻ると大きな声をあげる。
「手を貸してくれ!救出に人手がいる!反撃もできる!武器はゾンビを倒せる塩だッ!バケツでもゴミ箱でもいい!とにかく入れ物を持って集まってくれ!!」
しかし警察署の前にいた警官はオレの言っている言葉の意味が解らなかったらしく、おかしなヤツが戻ってきておかしなことを叫んでいるといった顔をしている。が、コチラは急いでいる。それに構わず魔力を練り上げると、その場にドンと聖なる塩を生み出した。
「わ、何やってんだアンタ!」
「はやく解れ!これが武器だ!量を生み出すのに効果時間は短い!急がないと30分と持たんぞ!?」
しかしそうしていても何事かと署から人が出て来てはくれるが、やはりおかしな恰好のヤツがおかしなことを言っているとしかみていない様子。
「おい、早くしろ!仲間が危険なんだろう!?」
それにいったいどうしたら伝わるものかと焦れていると、隣の消防署からさきほど助けた消防隊員が駆けつけてくれた。
「コレは…!さっきゾンビを倒していたモノですか!?」
「お!そうだ!ようやく話の通じる相手が!彼らに解かるよう説明してやってくれないか」
「わかりました!」
すると助けた消防隊員からすでに報告を受けていたのか、さらに隣の消防署から複数の消防職員が駆け足でやってくる。そしてそのなかから隊長らしい年配の人が前に出ると、塩の山を一瞥しオレに話しかけてきた。
「コレは、塩か。仮にコレを水に混ぜたとしても、ゾンビに対し同様の効果が得られるか?」
(おぉ、なんという理解の速さ!)
その質問に、オレはきっと満面の笑みを浮かべていたことだろう。蟲王マスクをすっぽり頭から被ってるから、それは誰にも分からないだろうが。
「消防車での散布か!やれる、やれるぞ!3%!海水程度の塩分濃度までなら、水で薄めても充分効果があるはずだ!」
「よし!全員聞いたな!すぐ準備にかかれ!!」
「「ハッ!」」
隊長が指示を出すと、隊員たちが駆け足で消防署に戻っていく。助かる。警察よりも消防の方がよほど話が早かった。
「では先行して囮の救出に向かう! できたら公園北側、北方面から放水を始めてくれないか」
「わかった、救出をたのむ!」
…。
しかしそうして公園北側に到着すると、聞こえてきたのは男の悲鳴。
「ぎゃああ!いやだぁ!」
見ればゾンビだかりがソコココに出来ていて、公園に植えられていた樹木が何本も折れたり倒れたりしている。どうやら囮役が木のうえに逃れたり、力尽きてゾンビに捕まったりしてしまったようだ。
そこで再び塩の竜巻でゾンビどもを蹴散らすと、そのまま駆けこんでいって中からまだ息のある人間を助け出す。
「生きてるか!?もう大丈夫だ!」
「ぐぅうぅう…!」
助け出したのは、辛うじて男と解る。が、服は引き裂かれたうえ自身の血とゾンビの腐乱汁で全身赤黒く、怪我の状態はまるで分からない。
「気張れ!死ななきゃゾンビにはならん!生きろ!」
肩を貸し、足にまとわりついてくるまだ動く肉を蹴散らしながら腐肉の沼を脱出。他にもゾンビが集団でうずくまってるのが視界に映るが、そちらはもう悲鳴も聞こえこない。
「クッ、どっからこんなに湧いて出た!」
さらに塩の竜巻で、進行方向を塞ごうとするゾンビどもを蹴散らす。
(いくらなんだって、数が多過ぎる。これも地下でダンジョンが繋がっている影響なのか!)
こんな時、自身の持つ戦力をフルに活用できないのがもどかしい。
この場に眷属たちやピクシーたちを投入出来れば、どれだけ戦いが楽だろうか。ゴキたちだって岩塩三日月を背負わせれば、短時間なら十分戦力になってくれるというのに。
だがそれをするには、まだ日本の法律が追いついていない。
もし今そんな真似をしてしまえば、銃の不法所持と同じように罰せられ、モンスターカードだって取り上げられてしまうだろう。
しかしそうして自力で道を開いていると、視界の端の方から公園の外灯に照らされた土の色が次第に変わっていくの視えた。それが、ようやく消防の放水が始まったのだとオレに教えてくれたのだった。
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