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Rescue Project
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陽気の良い昼下がり。本日の仕事を終えたファングレディの3人―万智・瑠羽・静絵は、事務所に戻るとマネージャーと共に会議室に集まるよう言われた。
最近は個別に動く事も多くなったことでそれぞれに新人マネージャがつけられていたが、それらを仕切る統括マネージャーとして未だ面倒をみてくれている組苑に呼ばれたのだ。
「ただいま~!」
「「おつかれさまです」」
ファングレディのリーダーとなった万智を先頭に会議室に入ると、テーブルの上へプリントを並べていた組苑が顔をあげる。
「ああ、おかえりなさい。それよりアナタたち、今日はだれも怪我させてなぁい??」
「だ…だいじょうぶよもぉ~!それより組苑さん、今日はなんのおはなし?」
その問いに、やや苦笑いを浮かべた万智がはぐらかすように答える。
彼女はバラエティ番組への出演で、力比べの腕相撲で相手の腕を圧し折ってしまうという大ポカをやらかしていた。幸い相手もダンジョン能力者だったため回復薬の効きも良かったことから事なきを得たが、下手をしたら大変な損害を被るところ。
ほかにも当人は軽くのつもりでも「ヤダぁもう」などと背を叩いた瞬間、となりに並んでいた芸人がステージの床に息も出来ぬ苦悶の表情で崩れ落ちるなど、色々とやらかしていた。
そんな万智曰く、「ハァ…。江月さんと同じつもりでツッコミ入れると、とんでもないことになるわね…」と、江月に鍛えられた恩恵とその弊害により、戦闘とはまったく関係のない場面でリジェネキャンディが大量に消費されていたのだった。
「ふぅん、それならいいんだけど…。じゃ、みんな座って頂戴、いまから次の企画の話をするから」
そうして3人とそのマネージャーたちが席に着くと、その前にプリントが配られる。
「…屋久島、救済プロジェクト。ですか…?」
と、プリントの一番上に書かれた文言を口にして、瑠羽が首を傾げる。
「そ。まぁみんなも知っての通り、今はほかの芸能プロダクションでも、能力者アイドルをどんどん売り出してるわよね?」
「せやねぇ。うちも番組で会うと、よくレベル訊かれたりすることあるわ」
静絵も配られたプリントを手に取り、自身の近況を口にする。
「そうね。国の後押しもあって、各テレビ局もやっきになってダンジョンブームを生みだそうとしてる。そして規制も緩んできてるから、ダンジョン内の撮影もだいぶ許されてるの」
それを聞いて、万智が結論を急いで口を開く。
「じゃあ早い話、私達にダンジョンへ行ってモンスター倒してこいって話?」
「ま、そこはマッチュの言う通りなんだけど。でもそれだと、もう他もやってるから芸がないでしょ?そこでウチは、交通の便から対処の後回しになってる離島に能力者アイドルを送り込んで、その救済をドキュメンタリーとして撮るのよ~!」
「「「えぇ~!」」」
ちょっとダンジョンに潜ってモンスターを倒し、『ホラ、ダンジョンてそんなに怖くないでしょ?だからみんなで駆除を始めよう!』といった感じの撮影は、これまでにも何度かあった。しかし組苑の言い出した内容はかなり本格的な駆除対策らしく、また大がかりなモノらしい。
そんな内容に驚く面々の顔を見渡しながら、組苑が再び説明を続ける。
「ふふ…。アナタたちも芸能活動にはだいぶ慣れたけど、チカラが有り余ってたんじゃテレビ局のスタジオなんか窮屈でしょう?なら、いっそのこと島をおびやかすモンスターを丸ごと退治するくらい、アナタたちなら余裕なんじゃない?」
そう言われ、普段はノリの良いお調子者でも、いざ戦闘となれば痛い目もシンドイ思いもそれなりに経験してきている万智が、不安そうに瑠羽と静絵に眼を向けた。
「う~ん…、チカラが有り余ってると言われればそうなんだけど…。私たちだけで大丈夫かしら?」
「もちろんアナタたちだけって訳じゃないわ。地元のダンジョン能力者とも協力するし、コチラから一緒に連れて行くバックアップも大勢いる。なによりアナタたちに大怪我されたんじゃ、それこそ会社に大損害じゃない」
「まぁ、それはそうですけど…」
「心配しなくても、安全には充分留意するわ。でもその分、ヤラセではないけど多少は編集で誤魔化す部分は出てくると思う。けど、そういったことも含めて、企画としては面白いしとてもやり甲斐はあるんじゃない?」
そういった意見が出ることは想定済みだったのか組苑は説明を終えると会議テーブルの上で手を組み、確認のため3人の顔を順に見やっていく。
「ん~…うちは、ええと思うよ。ここんとこ肩張るような仕事ばっかりやったから、ここらでちょっと息抜きしたいと思うとったとこやし」
「私も、良いと思います。島でたいへんな思いをしてる人がいるなら、少しでもその助けになれれば」
そうしっかりとした意見を受け、万智もふたりに頷き返す。
「うん、わかったわ。じゃあ私達ファングレディで、島のモンスターを駆逐しちゃいましょ!」
「「おー!」」
だが、そうして盛り上がる3人の傍らで、それぞれに付けられた一般人の女性新人マネージャーたちは、「えらい人達につけられてしまった…」と、青い顔で表情を凍りつかせていたのだっちゃ。
最近は個別に動く事も多くなったことでそれぞれに新人マネージャがつけられていたが、それらを仕切る統括マネージャーとして未だ面倒をみてくれている組苑に呼ばれたのだ。
「ただいま~!」
「「おつかれさまです」」
ファングレディのリーダーとなった万智を先頭に会議室に入ると、テーブルの上へプリントを並べていた組苑が顔をあげる。
「ああ、おかえりなさい。それよりアナタたち、今日はだれも怪我させてなぁい??」
「だ…だいじょうぶよもぉ~!それより組苑さん、今日はなんのおはなし?」
その問いに、やや苦笑いを浮かべた万智がはぐらかすように答える。
彼女はバラエティ番組への出演で、力比べの腕相撲で相手の腕を圧し折ってしまうという大ポカをやらかしていた。幸い相手もダンジョン能力者だったため回復薬の効きも良かったことから事なきを得たが、下手をしたら大変な損害を被るところ。
ほかにも当人は軽くのつもりでも「ヤダぁもう」などと背を叩いた瞬間、となりに並んでいた芸人がステージの床に息も出来ぬ苦悶の表情で崩れ落ちるなど、色々とやらかしていた。
そんな万智曰く、「ハァ…。江月さんと同じつもりでツッコミ入れると、とんでもないことになるわね…」と、江月に鍛えられた恩恵とその弊害により、戦闘とはまったく関係のない場面でリジェネキャンディが大量に消費されていたのだった。
「ふぅん、それならいいんだけど…。じゃ、みんな座って頂戴、いまから次の企画の話をするから」
そうして3人とそのマネージャーたちが席に着くと、その前にプリントが配られる。
「…屋久島、救済プロジェクト。ですか…?」
と、プリントの一番上に書かれた文言を口にして、瑠羽が首を傾げる。
「そ。まぁみんなも知っての通り、今はほかの芸能プロダクションでも、能力者アイドルをどんどん売り出してるわよね?」
「せやねぇ。うちも番組で会うと、よくレベル訊かれたりすることあるわ」
静絵も配られたプリントを手に取り、自身の近況を口にする。
「そうね。国の後押しもあって、各テレビ局もやっきになってダンジョンブームを生みだそうとしてる。そして規制も緩んできてるから、ダンジョン内の撮影もだいぶ許されてるの」
それを聞いて、万智が結論を急いで口を開く。
「じゃあ早い話、私達にダンジョンへ行ってモンスター倒してこいって話?」
「ま、そこはマッチュの言う通りなんだけど。でもそれだと、もう他もやってるから芸がないでしょ?そこでウチは、交通の便から対処の後回しになってる離島に能力者アイドルを送り込んで、その救済をドキュメンタリーとして撮るのよ~!」
「「「えぇ~!」」」
ちょっとダンジョンに潜ってモンスターを倒し、『ホラ、ダンジョンてそんなに怖くないでしょ?だからみんなで駆除を始めよう!』といった感じの撮影は、これまでにも何度かあった。しかし組苑の言い出した内容はかなり本格的な駆除対策らしく、また大がかりなモノらしい。
そんな内容に驚く面々の顔を見渡しながら、組苑が再び説明を続ける。
「ふふ…。アナタたちも芸能活動にはだいぶ慣れたけど、チカラが有り余ってたんじゃテレビ局のスタジオなんか窮屈でしょう?なら、いっそのこと島をおびやかすモンスターを丸ごと退治するくらい、アナタたちなら余裕なんじゃない?」
そう言われ、普段はノリの良いお調子者でも、いざ戦闘となれば痛い目もシンドイ思いもそれなりに経験してきている万智が、不安そうに瑠羽と静絵に眼を向けた。
「う~ん…、チカラが有り余ってると言われればそうなんだけど…。私たちだけで大丈夫かしら?」
「もちろんアナタたちだけって訳じゃないわ。地元のダンジョン能力者とも協力するし、コチラから一緒に連れて行くバックアップも大勢いる。なによりアナタたちに大怪我されたんじゃ、それこそ会社に大損害じゃない」
「まぁ、それはそうですけど…」
「心配しなくても、安全には充分留意するわ。でもその分、ヤラセではないけど多少は編集で誤魔化す部分は出てくると思う。けど、そういったことも含めて、企画としては面白いしとてもやり甲斐はあるんじゃない?」
そういった意見が出ることは想定済みだったのか組苑は説明を終えると会議テーブルの上で手を組み、確認のため3人の顔を順に見やっていく。
「ん~…うちは、ええと思うよ。ここんとこ肩張るような仕事ばっかりやったから、ここらでちょっと息抜きしたいと思うとったとこやし」
「私も、良いと思います。島でたいへんな思いをしてる人がいるなら、少しでもその助けになれれば」
そうしっかりとした意見を受け、万智もふたりに頷き返す。
「うん、わかったわ。じゃあ私達ファングレディで、島のモンスターを駆逐しちゃいましょ!」
「「おー!」」
だが、そうして盛り上がる3人の傍らで、それぞれに付けられた一般人の女性新人マネージャーたちは、「えらい人達につけられてしまった…」と、青い顔で表情を凍りつかせていたのだっちゃ。
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