うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

文字の大きさ
627 / 660

The glamorous life of Nakihito Egetsu 2

しおりを挟む
オレの眷属はオシャレ貝ミミックの貝姫だけでなく、あと4体いる。

テイムしたモンスターはピクシーはじめ大勢いるが、血と共に生命エナジーを分け与えたモンスターは眷属となる。

その1体が同じく空間のスキルを操る怪猿、晴天。しかしコイツの空間庫には投擲用カチカチウンチが大量にストックされてるので、荷物持ちには不適格。とてもじゃないがウンチと同じトコに、物を仕舞いたくはない。まぁ、料理好きなヤツではあるのだが。

そして宇宙からやってきた化け物クリーチャーとの呼び声が高い、格闘蛙の雨天。まぁそう言ってるのはシャークだけ。でもなんだかんだでシャークや結月ちゃんのいい練習相手にもなってやる気の良い奴だ。飛んでる虫やピクシーを見ると、そわそわ落ち着きがなくなるのが弱点だけど。

そしてさらに、象の如く馬鹿デカパワフルに成長してしまったのが大蛞蝓の濃霧。オレの眷属となったことで塩にも耐性を有した大ナメクジで、衝突したらまず車の方が大破するといった頑丈さの持ち主。

いや、ホラさ。運動エネルギーの伝達とか抵抗とかって、接する面積によって大きく変わるジャン?

それでいくと濃霧は床との接地面全てが足。接地面がフルフットであり抵抗。しかもそれプラス、水分たっぷりの重厚ボディに粘液のスキルまで有している。これでは同程度の力の持ち主が勝負を挑んだとて、逆立ちしたって勝ちようがない。ま、コイツの向こうを張れるとしたら、巨大カタツムリとかウムウシとか、そういった近縁種のモンスターだけだろう。


そんな彼らはオレの睡眠中、冷蔵庫ダンジョンに放してある。

ま、これも間引きもかねた自由時間という訳。しかし出先で彼らのチカラが必要になる事もあるかもしれないので、出掛ける時には迎えに行く。


しかしそうして冷蔵庫ダンジョンに潜っていくと、最近ちょっと困ったことになっているのが地下2層。

ここにいるのは巨大ゴキたち。以前にはその短い寿命が判明し、テイムしたゴキたちもここに放してやった。すると長らく放置していたテイムゴキたちが再びダンジョンに支配されてしまい、またモンスターに戻ってしまったのだ。

そうなるとオレも面白くない。ちょっと育ってトゲトゲしてるのとかが、命令を受け付けなかったりするのだ。そこで通りがかって見かける度にそうしたゴキたちをテイムし直していたのだが、今日はそのうちの1体に随分変わったヤツをみつけた。

「あれ、なんだ?どうしたおまえ、なんでそんなに前脚尖ってんだ?」

発見した巨大ゴキは肩部が上に盛り上がり、前脚が鎌のように尖っている。それは明らかに、戦闘的な成長を遂げた姿。

ただ頭部にはたいした変化はなく、鎌もカマキリと呼ぶにはまだ短く横向き。なので、どっちかといえばタガメゴキといったところ。それでも体当たりしか攻撃手段を持たなかったゴキに、こうした変化。これは大きな、いや、とても目覚ましい進化といえるのではなかろうか。

「ダンジョンモンスターに戻ったりまたテイムされたりといった状態が、こうした変化を生んだのだろうか。転職しまくって、キャリアアップでもしたのか?」
「…」

「ふぅむ、まぁいい。そんな上昇志向あふれるおまえはテイムし直すから、またよろしくな」

…。

その後もダンジョンを降りて行き、濃霧・晴天・雨天と順に回収していく。彼らも以前にいた場所が一番居心地がいいのか、大抵は決まった階層にいる。

しかしこの冷蔵庫ダンジョンが発生元でないのが、人喰い家守の月光。

でもヤモリなだけに地下8層で巨大蛾を喰ってるか、9層で巨大カマドウマを喰ってるかの二択。 コイツも恐竜並みにデカいモンスターだから、普通に食費を賄っていたらとんでもない出費になったろう。

(お、いたいた。アイツもデカい癖にジッとしてると気配を感じさせないからな。探すの大変なんだよ…)

曲がり角の先を見詰めた状態で壁に張り付き、ジッと動かずにいる月光。

そこで魔力を発しカードになるよう指示をだす。しかしあろうことか、月光はその指示を無視。まだ獲物を狙っている様子で、音もなく前に出た。

(ム、もう充分食ったろうに。オレの指示を無視するとは)

放してやった時間を考えれば、もうすでにたらふく食べたはず。にもかかわらず出した指示を無視するなら、これは再度上下関係を叩き込まねばならない。そうした我儘を許してやるには、コイツは危険すぎる。なにせ放っといたら人喰っちゃうんだから。

だが人喰いだからといって、虐待や差別はしない。

コイツも生き物、喰わなきゃ死んじゃうんだし。その獲物が人間だったからといっても、今の地上では致し方ないことだろう。現に獲物のいるダンジョンでは、こうして蛾とかカマドウマを喰ってるんだし。

そこで地を蹴って急接近すると、月光の尾に向け強かに飛び蹴り。蹴りつけ壁との間に、尾を挟みこむ。そしてどんな獲物を狙っていたのかと角の先を確認すると、すぐさま声をあげた。

「待て月光、ソイツは食うな!」

その制止に、寸でのところで大きく開かれた月光の顎がピタリと止まる。しかしその圧だけで腰が抜けたのか、喰われる寸前だった獲物はフラフラとその場にへたりこんだ。

さっきは指示を無視した月光が、バツの悪そうな目で後ろに下がる。そうして広くなった通路の奥。逃げ場のない袋小路には、全身が蛾人間といった姿のモンスターが残された。

(…明らかに巨大蛾ではないな。とするとモスマン?いや、しかしあの女性的なフォルムから察するに、モスマンでなくモスレディーといったところか)

ともあれ巨大蛾しかいない階層に、蛾みたいな人間。これはどう考えてもレア風味なモンスター。パッと見にも、全体的に白くてちょっと綺麗だし、怪人ぽい雰囲気もポイントが高い。ならコイツもテイムして、優秀なら眷属にするのもアリだろう。

「あ~、ゴホン。災難だったようだな。まぁ、チンピラに絡まれたところを助ける自作自演みたいになってしまった感は否めないか。が、他意は無い。その点は理解してほしい」

相手の思考レベルは不明。それでも人型でありかつ女性でもあるようなので、普段よりかなり紳士的にふるまう。

「ともあれ、これも何かの縁。衣食住は保障するし、仲間も大勢いる。いっしょに来ないか?」
「…!」

しかしその問いかけには、身を退られて逃げようとするといった態度で拒否られてしまった。まぁ襲われた直後にそんなこと言われてもって話だよな。どこまで通じてるかは知らんけど。

「ふむ、そうか。なら、この場は去ろう。しかしいずれにしろ、ココはオレ達の狩場。間違いなく再びまみえることになるのは、覚悟しておいてほしい」

女性に対し無理強いはしない。ジェントルメンなオレはそれだけ告げると、月光を連れその場を後にした。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...