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駿相重ねて婚姻同盟
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今川義元が無事に甲斐の姫と結婚したことで、弟の今川氏豊も相模で北条氏綱の娘を娶り結婚した。これは親族の娘を養子として迎えたものらしい。
ただ、これにも裏話があり、氏豊が北条家に滞在中、歌が得意という事で請われ和歌を披露したそうな。
するといつからか、氏豊の元に慕う想いを籠めた和歌が届くようになったとか。氏豊も母・寿桂尼寄りの性格で公家タイプ。もっといってしまえば、瓜実顔の和歌オタ。正直なところ、とても戦場に連れてはいけないような奴だ。
でも見る相手によってはそれが知的で雅に映ったらしく、好意を寄せてくれる女性が現れたらしい。これに氏豊もまた歌で想いを綴ってくれるなんて、なんて素敵な女性なのだろうと熱をあげた。
そんないつの時代だよって言いたくなるような文通めいた交際の結果、恋に見境を失った氏豊は北条氏綱殿にどうしてもこの女性にお会いしたいと直談判。
いや、やることやってくれたからいいんだけどさ。何しに相模に行ったんだよ、おまえって感じ。
だけれども相手からすれば、兄の為に単身相模に乗り込んできた男。度胸が違うと見えたのだろう。それが今度は愛の為に燃えてる姿を見て、『やっぱやるなおまえ!』と感動して当人同士を合わせたそうな。
そしたら、会ったのに一切言葉を交わさずただ黙々と和歌の交換をしあい、もらった和歌をお互い独りでブツブツ言いながら喜んでたらしい。
傍から見ればひどく奇妙な光景。しかしそれでも二人が相当馬が合うというのは周囲に伝わったらしく、もうこのふたり結婚でいいんじゃね?的にOKもらえたという。
なんてことになってるらしい。が、本人同士はともかく、その実は武田と今川の接近を警戒し、北条でも今川とさらなる誼を通じておこうという算段なのだろう。
ま、小田原との交易の量も増えてるし、北条との交渉兼物流担当おまえな。屋敷ももらえたそうだし、新生活の為に頑張ってほしい。
史実だと氏富は尾張タイガー信秀に城を騙し取られちゃうやられ役みたいな人生だったから、今の方がよっぽど幸せだよ。
…。
一方、駿府・遠江は好景気に沸いていた。
暇で飢えてるから、悪事に走る。しかし働いたら働いただけ儲かって生活が豊かになるのなら、そうそう悪事に走る事もない。忙しければそんな暇もないしな。道理である。安定して飯が食えるのなら、誰もがその生活を手放したくはない。
そんなわけで駿府・遠江では犯罪率が低下し、当主である今川義元は名君であると評判は上がっていた。
物騒だった武田も、今川に対しては大人しくなった。
樹を切って駿府に送るだけで、それが米や魚や塩となって返ってくるのだから、人を斬るより楽だと思ったのかもしれない。まぁ実際、楽なのだと思う。樹は切り倒す方向さえ間違わなければいいし、人のように斬り返しても来ない。樹を切る方が楽に決まっている。
しかし甲斐では、それらがスーパー武田姫様パワーとして喧伝されていた。
つまり色々送られてくるのは武田の姫様が、今川の当主をメロメロの骨抜きにしてくれたお陰。それをやってのけた武田とその姫様はスゴイよねという事。
ま、その辺はどうでもいい。
今川的には武田の牙がこちらに向かず、蓄財を削り食糧を依存させること。そうすることで、気付かぬ間に首根っこを押さえつける。
今川は補給基地として機能してあげるから、他とは好きなだけやり合ってくださいと応援。こちらも野心家な信虎が、そう簡単に大人しくなるなどと思ってはいない。
徐々に徐々に、ソッと気付かぬようにその力を削いでゆくまで。
ただ、これにも裏話があり、氏豊が北条家に滞在中、歌が得意という事で請われ和歌を披露したそうな。
するといつからか、氏豊の元に慕う想いを籠めた和歌が届くようになったとか。氏豊も母・寿桂尼寄りの性格で公家タイプ。もっといってしまえば、瓜実顔の和歌オタ。正直なところ、とても戦場に連れてはいけないような奴だ。
でも見る相手によってはそれが知的で雅に映ったらしく、好意を寄せてくれる女性が現れたらしい。これに氏豊もまた歌で想いを綴ってくれるなんて、なんて素敵な女性なのだろうと熱をあげた。
そんないつの時代だよって言いたくなるような文通めいた交際の結果、恋に見境を失った氏豊は北条氏綱殿にどうしてもこの女性にお会いしたいと直談判。
いや、やることやってくれたからいいんだけどさ。何しに相模に行ったんだよ、おまえって感じ。
だけれども相手からすれば、兄の為に単身相模に乗り込んできた男。度胸が違うと見えたのだろう。それが今度は愛の為に燃えてる姿を見て、『やっぱやるなおまえ!』と感動して当人同士を合わせたそうな。
そしたら、会ったのに一切言葉を交わさずただ黙々と和歌の交換をしあい、もらった和歌をお互い独りでブツブツ言いながら喜んでたらしい。
傍から見ればひどく奇妙な光景。しかしそれでも二人が相当馬が合うというのは周囲に伝わったらしく、もうこのふたり結婚でいいんじゃね?的にOKもらえたという。
なんてことになってるらしい。が、本人同士はともかく、その実は武田と今川の接近を警戒し、北条でも今川とさらなる誼を通じておこうという算段なのだろう。
ま、小田原との交易の量も増えてるし、北条との交渉兼物流担当おまえな。屋敷ももらえたそうだし、新生活の為に頑張ってほしい。
史実だと氏富は尾張タイガー信秀に城を騙し取られちゃうやられ役みたいな人生だったから、今の方がよっぽど幸せだよ。
…。
一方、駿府・遠江は好景気に沸いていた。
暇で飢えてるから、悪事に走る。しかし働いたら働いただけ儲かって生活が豊かになるのなら、そうそう悪事に走る事もない。忙しければそんな暇もないしな。道理である。安定して飯が食えるのなら、誰もがその生活を手放したくはない。
そんなわけで駿府・遠江では犯罪率が低下し、当主である今川義元は名君であると評判は上がっていた。
物騒だった武田も、今川に対しては大人しくなった。
樹を切って駿府に送るだけで、それが米や魚や塩となって返ってくるのだから、人を斬るより楽だと思ったのかもしれない。まぁ実際、楽なのだと思う。樹は切り倒す方向さえ間違わなければいいし、人のように斬り返しても来ない。樹を切る方が楽に決まっている。
しかし甲斐では、それらがスーパー武田姫様パワーとして喧伝されていた。
つまり色々送られてくるのは武田の姫様が、今川の当主をメロメロの骨抜きにしてくれたお陰。それをやってのけた武田とその姫様はスゴイよねという事。
ま、その辺はどうでもいい。
今川的には武田の牙がこちらに向かず、蓄財を削り食糧を依存させること。そうすることで、気付かぬ間に首根っこを押さえつける。
今川は補給基地として機能してあげるから、他とは好きなだけやり合ってくださいと応援。こちらも野心家な信虎が、そう簡単に大人しくなるなどと思ってはいない。
徐々に徐々に、ソッと気付かぬようにその力を削いでゆくまで。
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