大人の初恋

yuri

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会社

新入社員

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 次の日会社に行くと事務のおば様達がざわついている。
「何かあったんですか?」
と聞くと
「新入社員よ!しかも男の子!」
「こんなことなら、お化粧キチンとしてくれば良かった」
「本当よ。係長も言ってくれれば気合い入れて来たのに」
各々おのおの話し始める。
おば様達がはしゃぐのも無理はない。
事務に男の人が入社してくるのは係長ぶりらしい。
中途採用で、前の仕事も事務をしていたらしい。
前の会社が経営不振ふしんが続いた為、将来を見据みすえてこの会社に転職したらしい。
年齢は25歳。
おば様達がそう話していた。
おば様達の情報収集能力に感心していると、係長が本人を連れてやってきた。


 「林 蓮(れん)です。前職も事務をしてたっす。25歳です。皆さん色々教えてください。宜しくお願いします」
凄く元気な挨拶だ。何だか色々と熱そうだな。と思いながら聞いていると、係長から
「色々教えてあげて。」
と肩をトントンとされた。
「宜しくお願いします」
と私に向けてもう一度挨拶をされた。
「宜しくお願いします」
と返す。
しかし私もまだ入社1年目。新人が新人に色々教えて良いものなのか?と思いながらも、とりあえず会社内を案内することにした。



 通路を通っていると元請けのおじ様と渚とすれ違った。
LINEを返して無かったことを思い出したが、何事もなかったように会釈をする。
白髪交じりのおじ様に
「お疲れ様」
と言われ、小太りのおじ様に軽く会釈をされた。
渚はというと無視だ。
LINEを返してないとはいえ、会社で取る態度ではない。
その時、私の後ろから
「お疲れ様です」
と大きな、そして元気な声が聞こえた。蓮さんだ。
白髪交じりおじ様は少し笑いながらも再び
「お疲れ様」
と言ってくれ、小太りのおじ様はうるさそうにはしていたものの、
「お疲れ様」
と返してくれた。
渚も流石にこれには会釈を返していた。
元請けの人達が遠くに行くのを確認した蓮さんは、
「何だか偉そうな人達っすね。一番若い人なんて、礼儀を知らなさそうだし!ちょっとムカついたっす」
やっぱり真っ直ぐで熱い感じなんだなと思いながら
「ありがと。彼のチョッと面食めんくらった感じ。少しスッキリしました。」
「いえ。挨拶をしただけっす」
「それと敬語はやめてほしいです。わたし23歳なので年下なので」
「いや。年下でもこの会社では先輩です」
「私もまだ入社1年目だし、敬語を使われると気を使います」
「じゃあお互いタメ口はどうすっか?」
「じゃあ、そうしましょ」
「ため口と言うことで、了解っす。」
「言ってるそばから敬語だしー」
「徐々にね」
と少し談笑だんしょうしながら再び社内を案内する。


 一通り案内を終えたので事務所に戻ることにした。
戻ってくるなりおば様達が蓮さんに集まって来た。
あっという間に囲まれて質問攻めされていた。
私はそっとその場から離れて自分の仕事に取りかかる。
蓮さんに仕事を教えようとも思ったが、今日の所は、おば様達に任せようかな。と思い自分の仕事にとりかる。


 お昼になり私はお茶をみに給湯室きゅうとうしつに向かう。
お茶を汲んでいると隣に誰かがきた。
横を見ると直美がいた。
「結奈ちゃんもお茶を汲みに来たの?」
見れば分かるのではないかと思いながらも、
「今日入った新入社員の人が、給湯室の場所分からないかと思って。私の分とついでに皆の分もね。」
「そうなんだ。結奈ちゃん、やけに新入社員の人を気にかけてるのね。もしかして次はその人狙ってたりして」
相変わらずトゲのある言い方をする。それに次はとは一体どういう意味だろうか。そう思いながらも
「そんなことは無いけど、直美ちゃんにはそう見えた?」
と言うと直美は黙った。
お茶を汲み終えた私はその場を後にする。
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