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1章 ギャルゲーの悪役子息に転生しました。

異世界転生した

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貴族らしい豪華な寝室だ。天蓋付きのふかふかのベッドに、美しく磨かれたサイドテーブル。飴色の床に、たっぷりとしたワインレッドのビロードのカーテン。今、その寝室で一人の子供が生まれていた。

「おぎゃーおぎゃーおギャー」

生まれたばかりの赤ん坊が、元気に暴れて泣き出している。何度も尊い光景だろうか。

「おめでとうございます。奥様元気な男の子です」

喜びと感動の涙を流して喜ぶメイド。いつもは鉄仮面とあだ名されるほどの無表情が、すっかり崩れ落ちてしまっている。

「本当に、本当に」

口に手を当てて驚きを表現している夫人。いろいろと驚きすぎて、それ以外声が出ないのだろう。この夫婦は、結婚してかなり立つが、なかなか子供ができずに、周囲に第二夫人を進められている最中に、まるで神からの贈り物のように、子どもができたのだ。嫡男となれる男じゃなくてもいい、強いステータスを持っていなくてもいい、健康じゃなくてもいい、とりあえず生まれてきてくれと思っていたら、5体満足健康な男この子が生まれたのだ。驚かないはずもない。

「でかしたぞ、マリエール」

絞り出すように、銀髪紫目の偉丈夫がそう言った。何年も、何年も、子供が欲しいと思い続けていのだ。その念願がようやくかなった。これで、うれしく思わない父親はいないだろう。

「ありがとうございます、旦那様」

そういいつつ宝玉のような桃色の瞳は、しっかりと一人息子に注がれている。

「奥様旦那様おめでとうございます。さぁお名前を付けて差し上げましょう」

感涙の涙を流していたメイドは、我に返って主人たちに進言した。よく見ると、嫌よく見ないでもよくわかるが、この赤子は非常に整った顔立ちをしている。まぁ、この夫妻の顔立ちの麗しさからすれば子どもが麗しいのは、当たり前かもしれないが、とりあえず整った顔立ちをしているのだ。そのような顔立ちをしている子は、神に愛されている。と、この国の宗教ではされている。なので、神々に連れされれないように、という意味を込めて名前という首輪をはめるのだ。

「そうだな。よしフェルディナンドだ。こいつの名前はフェルディナンド・ディ・カルリオンだ」

銀髪の偉丈夫も、メイドの言いたいことはわかったらしい。子供ができてからずっとマリエールと考え続けていた名前の中で、この子に一番しっくりくるものを付けたのだ。この名前の意味は古代の言葉で、最高の幸福。二人は子供ができた瞬間から幸せになってくれそうな名前を探すために、古代語のほとんどをマスターした。美形なうえに、半端ないスペックを持っているのだ

「良い名前ですね旦那様。フェル、お母様とお父様よ よろしくね」

ふわりと愛らしい顔に微笑みを浮かべると、絶対に幸せになってほしいと彼女も願った。


ここは・・・・・・?

宮野涼の意識が覚醒した。彼は、友人である斗真と話していたら居眠り運転のトラックにひかれて、高校生だというのに、ぽっくりといってしまったのだ。今の状況は、涼にとって大変不可解の状況であった。そう、体が勝手に赤ちゃんのように泣いているのだ。彼は、高校生でしかもほとんど表情が変わらない、俗にいう無表情というやつであった。なのに、わんわん勝手に体が泣いている。そして涼は、ひとつの可能性を導き出した。

まさかまさか最近のネット小説にありがちな転生ってやつか

と。あのトラックは、涼の後頭部を思いっきり強打した。そう、まるで卵をつぶすように。その状況で、生きれるはずがないだろうと考察した。なので、自分が意識を保てているのは、あほくさい話だがそれ以外ありえないだろうと思った。

ネット小説のことだと思っていたが、意外と現実でもあるらしい。またしても、意識が落ちようとしている……。一応聞き取れたのは、自分の名前が、フェルディナンドだけである。




3か月後

ココハイセカイデシタ

そう、ここには魔法という涼が住んでいた世界にはないものが存在したのだ。

彼が目を開けたとき彼の父が

「魔眼持ちだ。でかしたぞマリエール。これでカルリオン家は安泰だ」

と言っていた。自分の目は、珍しい目の色をしていてその色の目を持つ人が成功しているのだろうと思っていたが、違ったらしい。
なかなか鮮明に見えず、目が悪い人の気持ちを味わっていたこの頃、最近やっと鮮明に目が見え始めたときなんか空中でふわふわしている人間とか動物とかが見えた。涼は、最初子供の情操教育とかなんとかかんとかのCGかと思っていた。しかし、全く違ったのだ。そう、この空中でふわふわしている生き物?達は、普通に生きていて意思があるらしい。CGなのに、なぜじゃべれるんだろうや、表情が変わるのだろうと、思ってたら人型のそれが話しかけてきてびっくりして、返事をアウと返すと、取り囲まれてしまった(30分前)。もともとそこまで、生き物とかかわることが得意ではない涼は、すっかり参ってしまい、返事をするのをできるだけやめておこうと決意したのだ。だが、収穫は大きい。ここが異世界だ、ということが分かったからだ。現在の科学技術にこんなことないし地球にはふわふわ浮いている生き物などいなかった。

『君すごいね』

どゆこと?量が思えるのは、ただそれだけである。空中にふわふわ浮いている奇妙な生き物が、涼に話しかけてきた。まだ涼は、0歳3か月。話すことのできる言葉は、あうあうと鳴き声だけ。意味不明という意味で首を傾けてみた。

『すごい人からの加護を持っているよ』

淡い黄緑の目をキラキラとさせて、涼と目を合わせる。妙な気迫を感じて、頭の中に警報が鳴り響く。

「あう?」

この少年は、やばい。9歳か十歳、それ以下かもしれないが、涼は、本能でそう感じ取った。

『僕たちの事が見えていて声も聞こえてるみたいだしね』

クスクスって感じに笑う少年。彼らのことは、涼以外、感じることはできないのだろうか?

『まぁまだわかっていないみたいだけど僕からも贈り物をあげるよ』

謎が多い。贈り物?本当にもらってよいものなのか?得体のしれない雰囲気の少年から、何かをもらって大丈夫なのかと不安を覚えるが、まだ話せないので断れない。仕方なく、少年の双眸をわずかな反抗の意味を込めて、見返した。

『ほらえーどうするんだったけ確かそう思いだした』

人になにかをくれるのなら、もう少し考えてほしい。この少年は、実はかなり残念な性格なのではないかと考察した。得体のしれない雰囲気は、演技なのかもしれない。

『我が名はシルフ。4大精霊であり風を統べるもの。我が統べるものよこの赤子に祝福を与えん』

少年がそういった時、なんか緑がかかった風みたいなのが吹き出してきて涼を包み込んだ。ふわっとした感触があって絶対にCGなんかじゃないって断言できる。じゃあこれは‥‥‥?

『フフフ、君に魔法を授けたよ。それじゃ幸せに。かわいい愛し子君。』

魔法?あー魔法。え?魔法。

これで、俺が異世界転生をしてしまったことが分かった。
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