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第7話
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言葉を覚え、オーブを使い、兵士たちの訓練が行われる。
訓練場に集まった美女兵士たちは全員、ローブの上に軽量化された鎧と兜を着込み、レイピアを携えて整列している。兵士長に任命されたナノだけは、大型剣のクレイモアを背負っていた。
レイピア剣術の基本は「突く」ことだが、戦士は「斬る」戦い方を教えていた。
剣を扱うことにかけてはオレの次に達者な戦士曰く、
「これだけ鋭い切れ味があるレイピアだ。突くよりも斬撃のほうが与えるダメージが大きい」
らしい。
また戦士は、兵士長のナノにクレイモア剣術も指南する。長い刀身を使った戦い方は、戦士の武器「斧槍ハルバード」に似たところがあるようで、ナノも戦士の指導を熱心に聞いていた。
そんな姿を、オレはマーヤと一緒に眺める。
「あの二人、仲がいいよな」
「勇者、羨ましいんですか?」
「なんかアイツのほうがハーレムっぽいことしてる気がするんだ」
美女兵士たちに囲まれて、ナノと楽しそうに稽古して、デレデレしやがって。
「戦士さんはデレデレしていませんよ。一生懸命やってます」
「いや、アイツはデレデレしてる。あのゴリマッチョな身体を見てみろよ」
いつも以上にムキムキした筋肉。盛り上がった上腕二頭筋、テカテカした大胸筋、はちきれそうな腹横筋。
「あれは、かなり仕上げてきてるぞ」
あの筋肉、魔王と戦った時よりも活き活きしてるじゃないか。くそ、あの筋肉バカに美味しいシチュエーションを取られたか。
「勇者、あなたは他人に教えるのは向いていませんから」
「どうして」
「あなたの剣は、誰にも真似できません」
「……ふむ、まあ……そうだな」
なんか、うまく丸め込まれたような気もするが。
それからマーヤは「アリエテ兵団(男兵士たち)の訓練も視察してきます」と言って、別の訓練場に行ってしまった。そっちは任せるよ、オレは男には興味ないから。
訓練場の隅っこに座って、ナノやアオイ、ユッカたちが剣を振るう姿を眺める。
ナノは上達が速い。もともとセンスがあるようで、戦士が教える剣術をどんどん吸収していく。背が高くてスタイルがいいから、大型剣のクレイモアが様になってるな。
アオイには俊敏さがある。瞬発力と勢いがあるから、切り込み隊長になれるかもしれないな。ツンとした表情に細身のレイピアがよく似合っている。
「で、ユッカは……」
細剣のレイピアを、神主さんが笏を持つように両手で掲げ、へっぴり腰で素振りをしていた。
相手の剣を受け止める練習でも、
「あひ~……怖いですぅ」
とか言って逃げ出す始末。あれじゃ魔物と戦うのは無理だな。最弱魔物のスライムすら倒せないぞ。
「ユッカは近衛兵にして正解かもしれないな」
まあ最初は誰でも下手なもんだけどな。あの戦士だって、オレと出会った頃はスライムをやっと倒せるくらいに弱かったっけ。ゴリマッチョな筋肉もなくてヒョロっとしたヤツがいつしか魔王に挑み、今では兵士たちに剣を教えるまでに強くなったんだ。
オレが昔の戦士を思い出していると、
「勇者様」
汗を拭いながら、ポニーテールを揺らしてナノが近寄ってきた。
「わたくしと、お手合わせをお願いできませんか」
大剣クレイモアをビュっと振るい、それから軽く会釈をする。お手合わせって、オレと試合するってこと?
「世界を救った勇者様の剣、ぜひ拝見したいと」
「いや、でもオレ手加減とか苦手だからさ」
「手加減は無用です。わたくしが勝てないのは承知のうえですが、本気で打っていただきたい」
本気でって言われてもさ、そんなことしたら死んじゃうよ。
「ですが、達人の技を見ることが上達の秘訣かと」
向上心はわかるけどね、たぶんオレの一振りでそのクレイモアごと粉砕しちゃうんだよ。って言っても聞いてくれそうにないな。
「じゃあ、こうしよう。オレと戦士がやってみるからさ、それを見てみるってのはどうだ」
「なに!? 俺がやるのか?」
オレとナノの話を聞いていた戦士が慌てて叫ぶ。
「だってオレとナノじゃマズいだろ」
「た、たしかにそうだが……勇者と俺でも無理だと思うぞ」
「大丈夫だって、できるだけ手加減するから」
というわけで、オレと戦士の模範試合が行われることになった。訓練中の兵士たちも手を止めて集まってくる。
「勇者様と戦士様が試合するの?」
「魔王を倒した二人の剣だって、すごい試合になるんじゃない?」
「どちらが強いんでしょうね、楽しみですわ」
思いがけず注目を集めているが、きっとみんなが想像するような試合にはならないぞ。
訓練場に集まった美女兵士たちは全員、ローブの上に軽量化された鎧と兜を着込み、レイピアを携えて整列している。兵士長に任命されたナノだけは、大型剣のクレイモアを背負っていた。
レイピア剣術の基本は「突く」ことだが、戦士は「斬る」戦い方を教えていた。
剣を扱うことにかけてはオレの次に達者な戦士曰く、
「これだけ鋭い切れ味があるレイピアだ。突くよりも斬撃のほうが与えるダメージが大きい」
らしい。
また戦士は、兵士長のナノにクレイモア剣術も指南する。長い刀身を使った戦い方は、戦士の武器「斧槍ハルバード」に似たところがあるようで、ナノも戦士の指導を熱心に聞いていた。
そんな姿を、オレはマーヤと一緒に眺める。
「あの二人、仲がいいよな」
「勇者、羨ましいんですか?」
「なんかアイツのほうがハーレムっぽいことしてる気がするんだ」
美女兵士たちに囲まれて、ナノと楽しそうに稽古して、デレデレしやがって。
「戦士さんはデレデレしていませんよ。一生懸命やってます」
「いや、アイツはデレデレしてる。あのゴリマッチョな身体を見てみろよ」
いつも以上にムキムキした筋肉。盛り上がった上腕二頭筋、テカテカした大胸筋、はちきれそうな腹横筋。
「あれは、かなり仕上げてきてるぞ」
あの筋肉、魔王と戦った時よりも活き活きしてるじゃないか。くそ、あの筋肉バカに美味しいシチュエーションを取られたか。
「勇者、あなたは他人に教えるのは向いていませんから」
「どうして」
「あなたの剣は、誰にも真似できません」
「……ふむ、まあ……そうだな」
なんか、うまく丸め込まれたような気もするが。
それからマーヤは「アリエテ兵団(男兵士たち)の訓練も視察してきます」と言って、別の訓練場に行ってしまった。そっちは任せるよ、オレは男には興味ないから。
訓練場の隅っこに座って、ナノやアオイ、ユッカたちが剣を振るう姿を眺める。
ナノは上達が速い。もともとセンスがあるようで、戦士が教える剣術をどんどん吸収していく。背が高くてスタイルがいいから、大型剣のクレイモアが様になってるな。
アオイには俊敏さがある。瞬発力と勢いがあるから、切り込み隊長になれるかもしれないな。ツンとした表情に細身のレイピアがよく似合っている。
「で、ユッカは……」
細剣のレイピアを、神主さんが笏を持つように両手で掲げ、へっぴり腰で素振りをしていた。
相手の剣を受け止める練習でも、
「あひ~……怖いですぅ」
とか言って逃げ出す始末。あれじゃ魔物と戦うのは無理だな。最弱魔物のスライムすら倒せないぞ。
「ユッカは近衛兵にして正解かもしれないな」
まあ最初は誰でも下手なもんだけどな。あの戦士だって、オレと出会った頃はスライムをやっと倒せるくらいに弱かったっけ。ゴリマッチョな筋肉もなくてヒョロっとしたヤツがいつしか魔王に挑み、今では兵士たちに剣を教えるまでに強くなったんだ。
オレが昔の戦士を思い出していると、
「勇者様」
汗を拭いながら、ポニーテールを揺らしてナノが近寄ってきた。
「わたくしと、お手合わせをお願いできませんか」
大剣クレイモアをビュっと振るい、それから軽く会釈をする。お手合わせって、オレと試合するってこと?
「世界を救った勇者様の剣、ぜひ拝見したいと」
「いや、でもオレ手加減とか苦手だからさ」
「手加減は無用です。わたくしが勝てないのは承知のうえですが、本気で打っていただきたい」
本気でって言われてもさ、そんなことしたら死んじゃうよ。
「ですが、達人の技を見ることが上達の秘訣かと」
向上心はわかるけどね、たぶんオレの一振りでそのクレイモアごと粉砕しちゃうんだよ。って言っても聞いてくれそうにないな。
「じゃあ、こうしよう。オレと戦士がやってみるからさ、それを見てみるってのはどうだ」
「なに!? 俺がやるのか?」
オレとナノの話を聞いていた戦士が慌てて叫ぶ。
「だってオレとナノじゃマズいだろ」
「た、たしかにそうだが……勇者と俺でも無理だと思うぞ」
「大丈夫だって、できるだけ手加減するから」
というわけで、オレと戦士の模範試合が行われることになった。訓練中の兵士たちも手を止めて集まってくる。
「勇者様と戦士様が試合するの?」
「魔王を倒した二人の剣だって、すごい試合になるんじゃない?」
「どちらが強いんでしょうね、楽しみですわ」
思いがけず注目を集めているが、きっとみんなが想像するような試合にはならないぞ。
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