青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第二章 燃え上がる日々

第一話 呼び出し

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 野球部の部室での出来事があってから、貴哉は野球部、もとい不良グループの仲間入りを果たした。教室でも恵弥たちと喋っている。放課後も一緒だ。そしてある日の昼休み、担任の前田先生に職員室へ呼び出された。

「先生、何?」
「貴哉、あんた最近何かされてない?」
「何かって何?」
「ほら、金銭巻き上げとか、パシりにされたりとか?」
「先生、俺がそんなことされると思ってんの?」
「思ってるから言ってるの!」

 先生が声を荒げる。

「あんた、小学校の時はとっても大人しくて勉強もできる子だったんでしょ?」
「だからなんだよ?」
「ちゃんと今のうちから将来のこと考えないと、損するのはあんた自身だよ?」
「先生、何が言いたいのか分かんねぇよ。」
「....とにかく、何かあった時は先生の所に相談に来なさい。いつでも待ってるから。」
「はいはい。もう帰るね。」

 そう言って貴哉は職員室から出た。するとそこには伯亜がいた。

「おう、伯亜、どうした?お前も呼び出しか?」
「そ、そんな訳ないでしょ!」
「じゃあ、なんだ?自首か?」
「じ、自首?」
「そう、何か悪いことして自首。」
「そ、そんなこと!」
「冗談だよ。」

 貴哉はへらへら笑う。伯亜は少々ブスッとして言う。

「僕、貴哉くんのことが心配だったんだよ?」
「心配?なんでだよ?」
「だって、だって....」

 伯亜が少々涙ぐむ。貴哉は今日、なぜ自分が呼び出されたのか全く理解していない。しかし、伯亜には呼び出された理由が分かる。先生から言われたことも、あらかたの想像はついていた。そして何より、貴哉自身が危害を加えられていないか、はたまた悪の道に進んでいないか、それが何より心配だった。

「僕だって、僕だって....」

 伯亜はそれ以上言えない。貴哉は狼狽える。どうしていいのか分からない。

「あぁ、待て待て!泣くな!俺は大丈夫だから!」
「でもぉ....」

 その時だ。職員室の向かいにある、訓告室の扉が開いた。ここは生徒指導室より軽めの指導をする場所で、反省文を書かされたり、軽いお説教などで使われる。そこから見慣れた顔が出てきた。尚也、優也、そして奏と裕明だ。伯亜が震える声で喋る。

「....裕明くんたちとも貴哉くん遊んでるよね?」
「あぁ、そうだけど?」

 伯亜はそれを聞いてさらに泣きそうになる。貴哉だけじゃなく、まさか尚也たちもなのか。先日の廊下での出来事の次の日から彼らは吹奏楽部に来ているが、基本的に部活以外で彼らと会わない。自分の知らない所でどんな目に遭ってるというのだ。考えれば考えるほど、怖くて涙が溢れてくる。
 貴哉がそんな伯亜をなだめようとしていると、尚也が貴哉たちに気付いた。近付きながら話かけてくる。

「あー、貴哉が伯亜泣かしてる。」
「泣かしてねぇよ。それより、珍しいメンバーだな。何があったんだよ。」
「....」

 聞いた途端に尚也がそっぽを向いた。次は優也が喋り出す。

「ごめんね、尚也は今機嫌が悪いの。」
「見りゃ分かるよ。」
「だから、僕が説明するね。」
「おぉ、そうか。」
「清掃のグループ決めの時さ、僕たちと奏たちが同じグループになったの。」
「ほうほう、それで?」
「というのもね、奏たちと僕たちが余ったから僕たちが声かけたんだ。」
「....」

 今度は奏がそっぽを向く。彼も機嫌が悪いようだ。裕明も同じだ。

「それで、僕たち仲良くなってね、一緒に行動するようになったの。そしたら今日、担任の宮川先生に呼び出されたの。」
「お前らも大変だな....」
「本当だよ、あのメガネ野郎!」

 裕明が吐き捨てる。すると、再び訓告室のドアが開いた。宮川先生だ。

「おい裕明、誰がメガネ野郎だ?」
「うるせぇ、関係ねぇだろ?」
「なんだその口の聞き方は!ちょっと来なさい!」
「なんでだよ!?」
「いいから来なさい!」

 裕明は再び連行された。残された5人は最初はポカンとしていたものの、徐々に笑いが込み上げてきた。さっきまで涙ぐんでいた伯亜もだ。

「馬鹿だねぇ、裕明!宮川先生が地獄耳だって有名な話じゃん。」

 優也が笑いながら喋る。すると、尚也が笑いながら貴哉たちに語りかける。

「あいつ、さっきもさ、お前らこの2人から金とってないか、って聞かれた時にさ、こいつらから取るぐらいなら先生から取るよ、って言ってゲンコツされてたんだよ?」

 それを聞いて貴哉がより一層笑い転げる。伯亜も可笑しくて笑っている。

(ずっと心配してたけど、この調子ならなんともなさそうだ。そもそも貴哉くんが悪くなるわけないじゃんか。僕も馬鹿だなぁ。)

 伯亜も一安心し一緒になって笑い転げていると、職員室の扉が開いた。前田先生だ。

「あんたたち!職員室の前で騒ぐんじゃないよ!」
「はーい。」

 みんなで適当な返事をして教室に向かって歩き始める。

「尚也くん、優也くん!」
「どした?」
「今度、吹奏楽部の1年生で遊びに行こうよ!」
「おぉ、それもいいね。」
「あー、楽しそうだね。」

 伯亜はもっとこの2人と仲良くしたいと思った。

「襟足くん、今度、裕明くんと一緒に僕の家おいでよ!」
「誰が襟足くんだ、俺には奏って名前があるんだよ。」
「そうだったね、奏くん!」

 思えば裕明とは近頃全然喋ってなかった。従兄弟なんだから、もっとお互いのことは知らないといけない。この襟足くん、もとい奏のことももっと知りたい。

 そして誰より、これからもずっと一緒にいたい男が目の前にいる。

「貴哉くん!これからもずっと友だちだよ。」
「....当たり前だろ。」

つづく
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