青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第二章 燃え上がる日々

第五話 上級生

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 貴哉たちが学校の裏にある神栄公園についた。彼らが向かうのは、公園の奥の、高台になっている場所にあるよく分からないオブジェの下だ。周囲は壁で囲われており、外から見えずらくなっている。オブジェの隣に赤瓦の屋根の付いたベンチがある。そこに3年生の中心メンバーが座っていた。

「あ、こないだの鬼剃りがいる。」
「馬鹿、将紘先輩だろ。」

 和人が貴哉を注意する。すると、春樹が

「おい貴哉、お前、敬語は使えるな?」
「敬語?まぁ、使おうと思えば。」
「絶対使え!分かったな?」
「....あぁ。」

 先程までの春樹と雰囲気が違う。貴哉もそれぐらいは分かるようになった。

「おい、お前ら!走れや!」

 貴哉たちに気付いた将紘が叫ぶ。

「まずいな、みんな走るぞ。」

 和人が言うとみんな小走りでオブジェの方へ向かう。

「お前ら!上級生待たすとはいい度胸だなぁ?おう?」
「やめとけ、今日ぐらい大目に見てやれや。おい、お前ら!あそこの前で横一列に並べや。」

 いきり立つ将紘を祐士が諌めながら指示を出す。オブジェの下の舞台には柄の悪い集団が集っている。その中心で、恵弥、恭典、音也は大人しく正座している。まるで、しつけられている犬のようだ。

「おい、全員揃ったぞ!整列しろ!」

 祐士の指示で全員が動き出す。3年生は舞台から向かって右側、2年生は舞台から向かって左側に縦で並ぶ。そして1年生は恵弥たちを中心に横一列で並んだ。そして、3年生の強者ターリー、幹部は3段ある舞台の階段の2段目に座り、祐士は3段目に座る。重苦しい沈黙が続く。

(なんだこの緊張感は....)

 貴哉は怖じ気づいている。すると、隣にいる裕明が小声で話かけてきた。

「おい貴哉、みんなお前見てるぞ。」
「なんでだよ?」
「お前がただ突っ立ってるからだよ!両手は後ろだ。」

 確かによく見ると、階段にいる3年生中心メンバー以外はみな両手を後ろに回しているので、貴哉は促されるまま両手を後ろに回すことにした。それを見て、将紘が立ち上がり仕切り出す。

「おし、じゃあ、始めるぞ。まずは出欠だ。3年は20名全員いるから、おい、恵太!」
「はい!」

 2年生の列の最前列の男が元気よく返事をした。玉元 恵太たまもと けいた、2年生の強者チューバーで恵弥の兄にあたる。

「2年生は17名、全員います!」
「よおし、そうかそうか、優秀だ。おい海翔!」
「はい!」

 恵太の隣にいた、ガタイのいい男が返事する。大城 海翔おおしろ かいと、2年生の幹部だ。

「前回はインフルエンザだかなんだが知らねぇがよぉ、しょうもねぇことで休みやがって?あぁ?」
「はい!大変失礼しました!」
「取り敢えず前来いや。」
「はい!失礼します!」

 海翔が列を離れ、将紘の方へ向かう。すると、将紘は海翔の顔面を殴りつけた。しかし、海翔は全く動じない。

「今度やったらまじ殺すからな。」
「ご指導、ありがとうございました!」

 海翔は一礼して列に戻る。

(頭おかしいんじゃねぇのこいつら....)

 貴哉はドン引きしている。

「さぁて、次は待ちに待った1年生たちの自己紹介だ。俺から見て右側のハゲ、お前から始めろ!」

 ハゲとは春樹のことだ。春樹は声高々に発言する。

「はい!1年生の高田 春樹です!よろしくお願いします!」
「よし、次!」

 春樹が一礼した後は順番に自己紹介を済ませていく。中心メンバーの3人はそれも加えて発言する。そしてついに、1番左にいた貴哉の番になった。

「よし、次!」
「は、はい!1年生の!い、池宮城 貴哉です!よろしくお願いします!」

 ぎこちない挨拶とお辞儀をした。将紘が仕切る。

「今年の1年生は9人か。おい、恵弥!」
「はい!」
「小学校の時もっと野球部は人数いたろ?そいつらはどうした?」
「はい!声をかけたのですが、みなハンドやバドミントンに入るようです!」
「あぁ!?」

 将紘が恵弥に蹴りを入れる。

「どうなってんだ!お前らの学年はよぉ!こんなんじゃよその学校に笑われちまうだろうが!」
「いいえ!そんなことは僕たちがさせません!」
「本当にできんのか!?」
「はい!やってみせます!」

 恵弥は全く動じずに答えた。

「そうかそうか、じゃあちゃんとやるんだぞ?いいな!?」
「はい!」
「おい!恵太!こっち来い!」

 次は恵太を呼び出し、同じように蹴りとばした。

「お前らの代は後輩にどんなしつけしたんだこら!おかげで見てみろ!お前の弟たちがこんな苦労する羽目になってんだぞこら!」
「おい、将紘!やめろ!」

 今まで黙っていた祐士が座りながら叫んだ。

「なってしまったものは仕方ないじゃねぇか。もういいよ。それよりよぉ、俺はずっと気になってることがあるんだ。」
「何だよ?」
「その貴哉とかいうチビのことだ。」
(えっ?)

 貴哉は焦る。今から何をされるか。あらかたの想像はついているからだ。
 

つづく
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