青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第二章 燃え上がる日々

第十二話 女という生き物 2

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「ねぇ、あんたたち。ちょっと来なさいよ。」

 最初に話かけてきたのは真咲だ。促されるまま近づく。

「ふーん、ねぇ麗花、香織と揉めたってのはこの2人?」
「はい。」
「へぇー、私はてっきりもっとゴツいのかと思ったよ。」

 真咲は2人の顔をまじまじと見つめる。そして、

「あ~ん!もう!可愛いじゃない!」

 いきなり2人を抱き締めた。身長の問題で、ちょうど真咲の胸が2人の顔に当たる。鈴美が後ろから真咲を掴み引き離す。

「ちょっと、あんたキモいよ。」
「何よ、あんただって可愛いと思ってるでしょ?」
「そ、それはそうだけど....」
「それよりさ、貴哉はどっち?」
「....俺だよ、あ、いや、です。はい。」
「あ~ん、もう、敬語のたどたどしさが可愛い~。」

 すると麻耶が貴哉と伯亜の後ろに周り込んできた。何やら誇らしげだ。

「でしょ!だから言ったじゃない!この子は私に似て可愛いのよ。」
「いや、別にあんたには似てないわ。」
「ちょっと、どういうこと!」
「いや、お前がどういうことだよ。」

 貴哉が割って入ってきた。貴哉と伯亜は混乱しているようだ。

「みんなあんたに感謝してんのよ。」
「感謝?」
「そう。香織をぶちのめしてくれたからね。」

 真咲と鈴美、麗子がそれに同調する。

「事情は分からないけどさ、きっと香織が悪さしたんでしょ?よくやったよ。」
「本当、久しぶりに胸がスカッとしたよ。」
「私たちはあいつ殴れないもんね~。」

 このやり取りに、貴哉と伯亜は恐怖すら覚えた。女とはこうも陰湿なものなのか。

「でも本当、うちの貴夜とは大違いに可愛いわ~。」
「え?」

 真咲の言葉に貴哉がキョトンとした。すると、1人の女が前に出てきた。

「ちょっとお姉ちゃんどういう意味?」
「だって本当のことじゃない。あ、そうそうこの子、私の妹でね、名前が貴夜っていうの。」
「村上 貴夜よ。よろしくね。」
「そういえば自己紹介まだじゃないの。早くヒーローたちに自己紹介しましょう。」

 真咲が促す。

「ヒーローたちって、僕は何にもしてないですよ....」
「いいのよいいのよ、可愛いから!」
「うぅ....」
「やだぁ、照れてる~。」

  こうして自己紹介が始まる。その間にも何度か「可愛い可愛い攻撃」があった。

「それにしても、今日なにがあったのよ?」
「うぅ、それは....」
「俺が説明しますよ。」

 貴哉が事の顛末を喋る。すると麗花が口を開いた。

「何それ、あの×××が悪いじゃん。心配して損したわ。」
「×××ってお前....」
「私、最近のあいつ気に入らないんだよねぇ。」

 こうして再び悪口大会が始まった。男2人はドン引きだ。しばらくして、鈴美が質問した。

「ちなみに部室では何されたの?」
「そうそうそれ!何か変なことされなかった?」

 真咲が同調するが、貴哉はその言葉をそっくりそのまま返したい気分だ。取り敢えず説明する。

「何それ!あの金玉そんなこと言ったの?」
「き、きんたま?」

 麻耶の言葉に貴哉がキョトンとする。

「そう。あの人、玉城 朱里っていうのよ。だから金玉。」

 さっぱり理解できない。そして今度は金玉、もとい朱里への悪口大会が始まる。女の口から下品な言葉が発せられてるこの状況に男2人は早く帰りたくなった。

「じゃあ、俺トイレ行くから、また....」
「あぁ、待って僕も行く!」

 真咲がいきなり話しかける。

「え?貴哉、トイレで何するの?」
「そりゃあ、おし....」
「え?××××?」

 鈴美が真咲の頭を叩く。そして、貴哉たちはひきつった顔のまま別れを告げた。

「いや~、あの2人最高!しかも今聞いたみんな?貴哉今、おしっこって言おうとしたじゃん?あ~、もう可愛い!」
「....あんたは最低だけどね。どんな性癖してんのよ。それにしても貴哉、あの顔で俺とか言ってるから笑いそうになるんだけど。」
「いや、あの子お家ではまだ僕って言うしなんなら未だにママって言うわよ。」

 麻耶のまさかのカミングアウトに、真咲と鈴美、麗子が悶える。1年生を3人も笑いながら可愛いを連呼している。よっぽどツボに入ったようだ。

「あの子たちもしかしたらさ、女の子たちに囲まれて照れちゃったんじゃないの~。もしかして今頃、本当に××××してたりして!」
「黙れ変態!」

 鈴美が再び真咲の頭を叩いた。

 一方その頃、貴哉と伯亜はトイレで並んで放尿していた。

「伯亜、俺は女性恐怖症になりそうだよ。」
「僕もだよ。多分、今日部活行けないや。」
「久しぶりに一緒に帰るか。」
「うん。」
「いくらなんでも金玉はねぇよな。」
「うん。でも....」
「でも、なんだよ?」
「朱里先輩と真咲先輩、綺麗だなぁ。」
「へ?」
「はぁ、またハグされたいなぁ....」

 伯亜がうっとりしはじめた。排尿し終わってもボケっとしている。貴哉も考え始めた。

(でもまぁ、鈴美先輩、美人だったなぁ。はぁ、どちらかと言えばあの人に抱き締められたい....)

「あのー、お二人さん?何してるの?」

 隣の便器に並んだ者が声をかけてきた。裕也だ。2人は正気に戻る。さっさと適当に相づちを売って帰ろうとしたが、裕也がまた声をかける。

「お二人さん、自分の下半身見なよ?そんなんで教室戻ったら学校生活おしまいだよ?」

 2人とも余計なことを考えたせいで興奮していたのだ。

「誰にも言わないから個室で治めてきなよ。」

 こうして、2人は裕也の優しさに救われた。

 しばらくして、ようやく教室に戻ってきた。

「はぁ、何だか疲れたなぁ。」
「本当、多分、次の数学は僕寝てると思うよ。」
「あっ!見つけた!」

 教室に明良が入ってきた。午後から学校に来て、どうやら貴哉を探していたらしい。

「おう、来てたのか。」
「まぁ、午後からね。それより、恭典から聞いたけど、香織と一悶着あったんだって?」
「まあな。」

 すると明良が貴哉に近づき、耳元で囁いた。

「今回は香織が悪いみたいだけど、次椅子なんか投げたら例えお前でも承知しねぇからな。」
「....ふははははは!」

 貴哉が少し間をおいて、突然笑い出した。

「な、何笑ってんだよ!」
「お前、やっぱり女らしくねぇや!」
「なっ!?」
「安心したよ!明良、お前はずっとそんな感じでいてくれよな!」
「ふ、ふ、ふざけんな!」

 明良と貴哉のじゃれ合いはチャイムが鳴るまで続き、結局明良は熱が再発してその夜寝込んでしまった。

つづく


 
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