青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第二章 燃え上がる日々

第十五話 香織の決意※百合未遂

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 香織は教室で暴れた後、麗花に強引に保健室へ連れていかれた。その後、病院で検査することになりそのまま早退した。次の日の昼休み、桃子と朱里により、バレー部の部室に呼び出された。
 桃子と朱里が椅子に座り、香織は2人の前で正座している。桃子が問いかける。

「怪我はなんともなかったの?」
「....はい、なんとか....」
「私、さっきからあんたの歩き方気になるんだよね。」
「え?」
「ちょっと立って歩いてみなさいよ。」

 桃子に促され、そのまま立ち上がり少し歩いてみる。

「....やっぱりまだ痛むのね。」
「....はい。」
「それじゃ、しばらく練習は無理そうね。今度の大会まであんたマネージャーやりな。」
「マネージャー?」
「そう。キーパー用意したりとか、今は1年生が交互にやってることしばらくはあんたがやりな。」
「....はい。」

 香織の声が悔しさで滲んでいる。朱里が口を開く。

「あんたさぁ、そんな顔してるけど今回の事件、話聞いたら全部あんたが悪いんじゃないの?」
「....でも....」
「でも、何よ?」
「貴哉は私に椅子なんか....」

 朱里が立ち上がる。

「だからあんたが悪いんでしょうが!椅子で殴られたから何よ!?自分の蒔いた種ぐらい受け入れなさいよ!この馬鹿女!」
「朱里、やめな。」

 桃子が立ち上がって朱里をとめる。

「でも香織、朱里の言うとおりよ。私はあんたに結構期待してたのよ。それがこんなことになるなんて、私は残念よ。」

 それだけ言って桃子は部室から出ようとした。朱里も後に続く。すると、香織が口を開く。

「あの、桃子先輩....」
「ん?」
「私のこと殴らないんですか?」
「は?」

 実は昨日、桃子と朱里は話し合い、もう後輩を殴るのはやめることにしたのだ。

「あんたみたいな怪我人殴ってなんになるのよ?それこそ、あんたと同じ八つ当たりじゃない。」
「....私、今日、桃子先輩に殴られたかったんです....」
「キモい。どういう趣味してんのよ。」

 桃子が冷たく突き放す。すると、香織は頭を下げ始めた。

「お願いします!私を殴ってください!じゃないと私、踏ん切りがつかないんです!」
「は?」
「私、今のダメな自分と決別したいんです!強い女になりたいんです!そのためには!桃子先輩、あなたに殴られなきゃ、また、ダメな自分に戻ってしまいそうな気がするんです....」
「要は自分への戒めってことね。」

 桃子は香織の元へ近づき、頭を上げるよう促す。

「あんたのダメなとこ3つ、聞きたい?」
「....はい!」
「まず真面目すぎ。次にプライド高すぎ。最後に理想高すぎ。」
「....」
「まぁ、どれも本当は悪いことじゃないんだけど、あんたの場合はそれで自分自身が雁字がらめになってるの。そんなんじゃあんたも辛いでしょ?」
「....」
「ここで私があんた殴れば、あんたは満足かもしれないわ。でも、今のままじゃまた同じことするわよ?」

 桃子が香織の股に手を添える。

「いっ....」
「やっぱりまだ痛いんでしょ?その怪我治ったら、ボクシング教えるわ。」
「え?」
「と言っても、私も独学だから道具も全部自家製でまだまだ修行中なんだけどさ、一緒に強くなろうね。」

 香織の目から涙が溢れる。

「ひっぐ...ありがとうごじゃいまふ....」

 桃子は笑いながら香織を優しく抱き締める。優しく唇を重ねようとする。すると、今まで黙っていた朱里が口を開く。

「やめなよ、桃子。」
「何よ?」
「その子、そんな性格じゃおそらくファーストキスまだでしょ?」
「え、そうなの?」
「....はい。」

 香織が恥ずかしそうに答えた。桃子はキョトンとしている。今の2年生たちはみなファーストキスは小学校までに誰かに捧げている。桃子たちより上の代もそうだった。というより、バレー部で未だに貞操を守っているのは桃子ぐらいだ。

「だからさ、初めては好きになった人の為にとっておかせましょうよ。」
「それもそうね....」
「うぅ....」

 香織が赤くなる。それを見て、桃子と朱里はなんだか笑いが込み上げてきた。

つづく
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