青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第二章 燃え上がる日々

第十四話 貴哉の決意

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 貴哉と香織の事件が起こった次の日。放課後、野球部の部室にいつものメンバーが集まった。貴哉は前日、学校が終わったと同時に伯亜と帰ったため来ていなかったので、前日に起こったことをみんなに話している。

「そしたらあいつ、立ち上がっていつかお前殺す!とか言い出してさ....」

 みんな笑っている。逆ギレだの自業自得だのひどい言いぐさだ。

「なぁ、奏。お前だったらどうするよ?」

 裕明がずっと静かにしている奏に話を振る。

「....俺は、ちょっと興奮するかな....」

 その言葉に全員が笑う。

「おいおい、真顔で何言ってんだよ!ちなみにどっちの意味で興奮するんだよ?殴れるから?それとも殴られ、いっでぇ!」

 奏が無言で裕明の太ももに拳を突き刺した。それを見た他のメンバーもゲラゲラ笑う。

「それで昼休みはさぁ、」

 貴哉は昼休みの出来事も話しだした。

「そしたら桃子と朱里先輩って人がいきなりハグしてきてさぁ。」
「なんだと?」

 すると、和人がいきなり真顔になる。貴哉の隣にやってきて肩を組んできた。

「なぁ、貴哉?お前はどっちにハグされたんだ?」
「....桃子の方だけど?」
「そうかそうか....」

 今度は足まで絡めてきた。そして、

「羨ましいじゃねぇか、こんちくしょう!!」

 コブラツイストをかけられた。

「いででででで!な、何すんだよ!」
「和人!いいぞ!やっちまえ!」

 健二が何やら煽っている。他のメンバーはさっきまでよりも笑顔な気もする。

「痛い!恭典!助けて!」
「はははっは!おい、和人!もうちょっと強めにやれ。」
「な、恵弥!助けて!」
ユーシッタイヤーざまぁみろ....」
「音也!音也!」
「死ね。」
「ちくしょおおお!」

 僻みのコブラツイストから解放され、貴哉は息を切らしながら床に倒れ込む。すると、奏が近付いてきた。

「....貴哉、大変だったな。」
「ぜぇぜぇ....は....?」
「....次は俺の番だ。」

 そう言うと、奏は貴哉を持ち上げそのまま後ろに倒れた。ブレンバスターだ。全員が立ち上がりそれを避ける。

「おい、馬鹿!こんな狭い部屋でブレンバスターなんかするじゃねぇよ!」

 和人に続いて全員が文句を言い始める。

「うるせぇぞお前ら!」

 しまいには隣の部室でたむろしていた将紘たち3年生が怒鳴り混んでくる始末。

「お前ら今日は出て行け!」

 全員、追い出されてしまった。仕方がないので、今日はもう解散することにした。校門へ向かいながら、責任の擦り付け合いをしている。

「お前ら、いい加減にしろ!」

 恵弥が叫ぶ。

「さっきからやれあいつのせいだ、こいつのせいだ騒いでるけどよ、そもそもの原因は貴哉だろうが!こいつが女とハグした話なんかするから!」

 真面目な話かと思えば、やはり恵弥も若干ふざけている。すると、

「ぶははははははっ!」

 いきなり貴哉が笑い出した。みんなキョトンとしている。

「ど、どうした?」
「いや、わりぃわりぃ。あまりにもお前らが最高なもんで。」
「はぁ?」
「俺、決めたよ。お前らとずっとつるむ!そんで、この空間は誰にも壊させやしねぇ!なんかあったら俺は闘う!」

 貴哉は昨日の女子バレー部がその場にいない者の悪口を繰り広げる光景が頭から離れなかった。だからこそ、この裏表のないメンバーといるのが楽しくて仕方ないし一緒にいれるのがとても幸せだ。絶対に壊したくない空間、そう思えた。

「まぁ、よく分からねぇが、それには俺も同感だな。」

 恵弥が笑う。そして、他のみんなも同意する。

「その為にはもっと、強くならねぇとな貴哉!」
「あぁ!もちろんだ!」
「ただし!今日のことはまだ許さん!お前ら!引っ捕らえろ!」

 貴哉は逃げ出した。残りの8人で貴哉を追いかける。足の遅い貴哉はすぐに捕まり、もみくちゃにされる。

「お前ら!校門の前で何やってるんだ!」

 校舎の方から怒鳴り声がする。宮川先生だ。恵弥が答える。

「鬼ごっこだよ!」
「8人で1人を追いかける鬼ごっこがあるか!全員来なさい!」

 その後、いじめの疑いまでかけられるほどのお説教になった。しかし、9人全員、誰もそれを認めなかったため結局解放された頃には完全下校時刻になっていた。全員でぶつくさ文句を言いながら校門を出る。

(こいつらと一緒にいれるならこうなってもいい、って思えるのはなんでだろうな。)

 貴哉はそう思いながら、みんなと宮川先生への文句を垂れ流していた。
 
つづく
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