青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第三章 始まる闘い

第十一話 麗花の思い※百合注意

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 その後も香織たちは王さまゲームを続けた。そして、麗花が実は恵弥に片思いしていることなど、様々な新事実が発覚し大盛況のうちに幕を閉じた。そして12時を回った頃、ようやく眠りについた。
 しばらくして、香織は毛布の中で圧迫感を感じて目が覚めた。

「香織、起きてる?」

 圧迫感の正体は麗花だった。麗花が毛布の中に入ってきたのだ。

「....お陰様で起きたわよ。」
「えへへ。」
「何よ?言っとくけど私、そんな気ないわよ?」
「そ、そんなんじゃないわよ。」
「じゃあ何よ?」
「まぁ、そのままで聞いてよ。」

 2人は毛布の中で会話する。

「あんた、結構ノリいいんじゃないの。」
「は?」
「だって、普通×××しろなんて言われたらその時点で怒っちゃうわよ。」
「....蹴られたいの?」

 香織が少々ムキになる。

「私が雰囲気壊さないために我慢してたのに何言ってんのよ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ香織ちゃん。」
「キモい。黙れ。さっさと戻れ。」

 それだけ言って香織は再び寝ようとする。

「香織、私ね、本当はあの時、すぐにでもあんたに怒って欲しかったのよ。」
「え?」

 香織が何を言ってるのか分からない、と言った表情になる。

「本当に×××してきたら、私どうしようかと思ったわ。」
「何言ってんだか分かんないんだけど?」
「むーちゃんの足舐めた時なんて私心の中ではドン引きだったもん。」
「だから、何が言いたいのよ?」

 香織が少々苛立っている。

「っていうかさ、3回連続で私に回ってくるとは限らないじゃない?もし私以外だったらどうしてたのよ?」
「んー、考えてなかった!」
「....」

 香織は呆れて何も言えない。

「あんた本当に計画性ないわね。だから彼氏できないのよ。」
「ちょっと!それは関係ないじゃないの。」
「取り敢えず私寝たいからさっさと戻って。」

 香織が寝ようとすると、麗花が止める。

「待って、まだ話は終わってないわ。」
「話って何よ?あんたに彼氏ができない話?」
「違う!もうそれ引っ張らないで!」

 香織は渋々付き合うことにする。

「近頃のあんたはね、我慢しすぎなのよ。」
「は?」
「見てて分かるわ。あんたが周りに不満だらけなことぐらいね。何年あんたと友達やってると思ってんのよ。」
「....」

 香織は全て見透かされていたような気分で恥ずかしくなる。

「その癖、私には今みたいにはっきり文句言うんだからさ、本当もう困っちゃうわ。」
「....ごめん。」

 香織はばつが悪そうだ。麗花は一息ついて話を続ける。

「香織、不満があるんならさ、もっと怒りなよ。こないだみたいや八つ当たりじゃなくて、ちゃんと怒るべき人にさ。」
「....でも....」

 香織だって出来ればそうしたい。しかし、そんなことしたら孤立無援になることぐらい目に見えている。きっと、さっきまで共に盛り上がった1年生たちはみな自分の敵に回るに違いない。そんな気がするのだ。しかし、麗花は香織の考えていることが分かっているようだ。

「あんた、1年生全員が敵に回ると思ってんでしょ?」
「....!?」
「図星みたいね。全く、あんた何にも分かってないのね。」

 麗花が呆れたように語る。

「あんたね、むーちゃんが昨日、学校で泣いてたの分かるわよね?なんでか理由聞いた?」
「階段で転んだんじゃ....」

 麗花が目を丸くする。

「呆れた!あんたそれ本当だと思ってんの!?」
「....じゃあ、何なのよ?」
「むーちゃんはね!2年生に文句言ったのよ。」
「文句?」
「香織にもっと優しくして下さい!ってね。そしたら、そのまま4対1で言葉のサンドバッグよ。」
「....え?」

 今度は香織が目を丸くする。

「そ、そんなことが....」
「それ聞いたフェイが2年生の教室まで飛んで行って結局それも返り討ちよ。」
「....」
「香織、あんたは自分で自分の首絞めてるのよ?周りはこんなにあんたのこと思ってるのに、自分で殻の中に閉じ込もってでどうすんの?」

 香織は何も言えなくなる。心の中で驚きと申し訳なさ、恥ずかしさが入り乱れている。

「でも安心したわ。」
「え?」
「今日のあんた、足舐めんのと×××の時以外はすっごい楽しそうだったじゃん。」
「....!?」
「完全に自分の殻に閉じ込もってた訳じゃないみたいだから、私....私....」

 麗花の目から涙が溢れる。

「なんであんたが泣くのよ。」
「だって....だって....嬉しかったんだもん....」
「馬鹿ねぇ....」

 そう言う香織も泣きそうである。自分がムカついていた相手が、姉を敵に回すぐらいに、自分を思っていてくれただなんて。そんなことも全く気付かず、自分はただ彼女たちへの不満を募らせていたことが恥ずかしい。

「麗花、お願い。もう泣かないで。」
「ひっぐ....じゃあ、香織、約束して....」
「約束?」
「うん....もう1人で抱え込まないって....もう勝手に....うぅ....周りの人を悪く言わないって....」

 麗花は必死で思いの丈を伝える。

「....分かったわ。今までごめんね。」

 香織は泣きそうなのを堪えながら麗花の頭に手を添える。

「麗花、目閉じな。」
「....え?」
「早く。」

 麗花が促されるままに目を閉じた。

「....愛してるわ。約束のキスよ。」

 そう言うと、香織は麗花の唇を奪った。そしてそのまま、麗花を抱き締める。

(え、嘘、この子何考えてるの....)

 麗花は驚きを隠せないでいるが、満更でもないのでそのまま身を委ねた。そして、2人ともその状態で眠りに落ちた。

 時は流れ、朝が来る。最初に起きたのは明良だ。

「....みんなー、朝よー。」

 1人1人を起こして回る。そして、おかしな体勢の香織と麗花を発見した。

「ちょっと!あんたたち!人ん家で何してんの!」

 香織と麗花がようやく目覚めた。麗花の顔が赤くなる。

「....いやん、恥ずかしい....」
「照れてんじゃないわよ!」

 明良のチョップが飛んでくる。

「ちょっと!痛いじゃないの!」

 2人のやり取りを香織は静かに眺めている。

「....取り敢えず、時間もないし4人でシャワー浴びてきなよ。」
「4人?」
「私は弟と入るから。」

 その言葉に4人が固まる。

「そんなこと桃子先輩だってしないわよ....」
「別にいいじゃないの!私が好きでやってるんだから!」
「えぇ....」
「何よ、私はむしろあんたたちの関係に引いてるんだけど?」
「うぅ、それは....」

 明良が何も言えなくなった麗花を尻目に香織に話しかける。

「っていうか香織、さっきからあんたずっと黙ってるけど、起きてる?」

 しかし、香織は反応しない。

「おーい、香織ちゃーん。」

 明良が呼び掛ける。すると、

「....ぐすっ....」
「え?」
「うぇぇ....」

 香織が泣き出した。昨晩の話を思い出し、涙が溢れてきたのだ。4人は狼狽える。

「うぅ....みんな....ごめんね....私....私....」
「え、いや、あの、香織ちゃん?」

 明良はなんとか宥めようとする。

「いや、あの、私は別にそんなに怒ってるわけじゃ....」
「そうよ、キスぐらいで明良が怒るわけ....」
「そぉーじゃなぁいー!」

 宥めようとした明良と貴夜に構わず、香織は泣き叫ぶ。その後、どうにかこうにかして香織を風呂場まで連れていくことに成功し、なんとか学校には間に合った。

つづく

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