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第3話:待ち合わせ
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花火にとって終業式は思いのほか長く感じられた。
終業式が終わって、HRがあって、その後夏野と出かける。予定では14時には解散になるはずで、そこからは夏野と花火の時間になる。彼にとって時間の経過がこんなにゆっくりに感じられたのは初めてかもしれない。
どきどきが止まらない。目の前では校長先生の長い話や、生徒代表の言葉、校歌斉唱といった様々なプログラムがあったが、どれも花火の心を動かすことはなく、ただただ視線の先に見える時計が時刻を刻む様子のみが花火の視線を支配していた。
終業式やらHRやら何やらが終わって、担任の「それでは高校生活最後の夏休みを楽しんでください」という言葉でHRは締めくくられた。
その言葉を最後に、花火は夏野の方に視線を向ける。夏野も視線をわずか夏野によこす。昨日のようにはっきりとはこっちを見てくれなかった。それは気まずいからなのか、はたまた花火と同じ感情を夏野も抱いているのだろうか。後者だったらいいな、そう花火は思いながら荷物をまとめ、教室を後にする。教室を出る直前、夏野に一言だけ残す。
「じゃあ、俺先に校門の方に行ってるから」
心の中のどきどきや心臓バクバクを悟られぬよう、なるべく不愛想にそう言い放った。少し嫌味っぽかったかな、声震えてなかったかな、そんな不安を感じながら花火は言葉を紡いだ。
「......うん、あたしも後で行く」
夏野が答える。夏野が自分に沿う言葉を返してくれるのすらうれしくて。クラスメイトだし、昨日だって普通に会話をしていたじゃないか、と言われるかもしれないが、昨日までとは明らかに違う相手への心象の変容があるのだ。
よく考えたら、別に同じ教室だし、何なら席も隣なんだから別れていく必要ないのでは、と思ったがなってしまったものはしょうがない。あとはなるようにでもなれ、そんなある種投げやりのような気持で花火は自分の行動を冷静になって悔いたり、はたまたこれからのデートに胸を躍らせたりしていた。
LINEの通知が鳴る。スマホを取り出す。
紫音『がんばりなよ』
太陽『結果報告、楽しみにしてる!』
そう言って二人はマックで食べてる二人の写真が届いた。花火は照れくさそうに笑い、返信する。
花火『ありがとう。頑張ってくる』
そして一言、太陽から一言が添えられた。
太陽『楽しんで来い』
花火は朗らかに笑い、スマホを閉じた。
「お待たせ」
スマホから目線を外し、声の先に視線を移した。
そこには、今まで3年間一緒にいる時間を作るのを悩んで、どうやったら仲良くなれるかを考え続けた対象がいた。
夏野は髪をいじりながら、花火に目線を合わせ、時々そらしながら
「ごめん、暑い中待たせちゃって」
上目遣いでそう言った。花火は目の前に本当に夏野がいるという事実で、遅くなったことなどどうでもよかった。
夏野が今は自分のためだけにこの場に時間を割いてくれている。吹奏楽部の仲間と遊びに行ったりとか予定はほかにも作ることもできたはず。その彼女が今はあえて、自分のために時間を割いてくれている。その事実に花火は多幸感に包まれていた。
「いや、全然いいよ。行こうか」
花火は努めて冷静にそう返した。
「うん」
夏野は短くそう答えた。花火と夏野のデートはこうして、静かな始まりを迎えた。
終業式が終わって、HRがあって、その後夏野と出かける。予定では14時には解散になるはずで、そこからは夏野と花火の時間になる。彼にとって時間の経過がこんなにゆっくりに感じられたのは初めてかもしれない。
どきどきが止まらない。目の前では校長先生の長い話や、生徒代表の言葉、校歌斉唱といった様々なプログラムがあったが、どれも花火の心を動かすことはなく、ただただ視線の先に見える時計が時刻を刻む様子のみが花火の視線を支配していた。
終業式やらHRやら何やらが終わって、担任の「それでは高校生活最後の夏休みを楽しんでください」という言葉でHRは締めくくられた。
その言葉を最後に、花火は夏野の方に視線を向ける。夏野も視線をわずか夏野によこす。昨日のようにはっきりとはこっちを見てくれなかった。それは気まずいからなのか、はたまた花火と同じ感情を夏野も抱いているのだろうか。後者だったらいいな、そう花火は思いながら荷物をまとめ、教室を後にする。教室を出る直前、夏野に一言だけ残す。
「じゃあ、俺先に校門の方に行ってるから」
心の中のどきどきや心臓バクバクを悟られぬよう、なるべく不愛想にそう言い放った。少し嫌味っぽかったかな、声震えてなかったかな、そんな不安を感じながら花火は言葉を紡いだ。
「......うん、あたしも後で行く」
夏野が答える。夏野が自分に沿う言葉を返してくれるのすらうれしくて。クラスメイトだし、昨日だって普通に会話をしていたじゃないか、と言われるかもしれないが、昨日までとは明らかに違う相手への心象の変容があるのだ。
よく考えたら、別に同じ教室だし、何なら席も隣なんだから別れていく必要ないのでは、と思ったがなってしまったものはしょうがない。あとはなるようにでもなれ、そんなある種投げやりのような気持で花火は自分の行動を冷静になって悔いたり、はたまたこれからのデートに胸を躍らせたりしていた。
LINEの通知が鳴る。スマホを取り出す。
紫音『がんばりなよ』
太陽『結果報告、楽しみにしてる!』
そう言って二人はマックで食べてる二人の写真が届いた。花火は照れくさそうに笑い、返信する。
花火『ありがとう。頑張ってくる』
そして一言、太陽から一言が添えられた。
太陽『楽しんで来い』
花火は朗らかに笑い、スマホを閉じた。
「お待たせ」
スマホから目線を外し、声の先に視線を移した。
そこには、今まで3年間一緒にいる時間を作るのを悩んで、どうやったら仲良くなれるかを考え続けた対象がいた。
夏野は髪をいじりながら、花火に目線を合わせ、時々そらしながら
「ごめん、暑い中待たせちゃって」
上目遣いでそう言った。花火は目の前に本当に夏野がいるという事実で、遅くなったことなどどうでもよかった。
夏野が今は自分のためだけにこの場に時間を割いてくれている。吹奏楽部の仲間と遊びに行ったりとか予定はほかにも作ることもできたはず。その彼女が今はあえて、自分のために時間を割いてくれている。その事実に花火は多幸感に包まれていた。
「いや、全然いいよ。行こうか」
花火は努めて冷静にそう返した。
「うん」
夏野は短くそう答えた。花火と夏野のデートはこうして、静かな始まりを迎えた。
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