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13.お友達って素敵です。
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ラインハートとイーサンがやってきたのは、それから3日後だった。
今回は事前にきちんと連絡があったため、クロエのお化粧もばっちりだ。
とはいえ、前日も前々日もお見合いという名の「財産に群がる輩、迎え撃ち会」が開催されていたため、連続の厚化粧ではある。
「その顔も、だんだん見慣れてきちゃった」
フィンはそう言って笑うので、少しだけ不安になった。
「不美人って3日で慣れる、っていうけれど……お二人に会うの2回目なのよね」
ブスに慣れちゃったら、作戦としては陳腐化してしまう。
あんまりまめに会わない方がいいかしら、と見つめていた手鏡をフィンに取り上げられた。
「大丈夫! 慣れたところでブスはブスだよ」
「ありがとう。いえ、ありがとうもおかしいような」
「ほらほら、二人とも待ってるよ!」
ぐいぐい押されて自室から出る。フィンはいつもの愛らしい笑顔でクロエを送り出し、そのままクロエの自室に残った。このまま昼寝でもするのだろう。
今日は天気がいい、ということで庭園にある四阿に。
ラインハートとイーサンは並んで立ち上がり、クロエににこやかに会釈した。
「お邪魔してます、クロエ」
「……」
じっとこちらを見つめるラインハートとは対照的に、イーサンは落ち着かなげにあたりを見渡していた。
もしかして、綺麗なクロエを探しているのかしら。と汚いクロエは察したけれど、特にそれに触れることはしないで丁寧に礼をした。
「ようこそ、わが家へ」
嬉しそうな笑顔を浮かべているラインハートの着ているモスグリーンのジャケットには見覚えがあった。兄が無事にラインハートに返してくれたらしい。
ただ、あれを掛けてもらったのは「クロエではない」ので、そこには何も触れないことにする。
それはそうと。
「イーサン様、先日いただいたお手紙の件ですが、」
「え!?」
イーサンよりも先に、ラインハートが大きな声を出して友人を振り返った。
「イーサン、クロエに手紙出したの!?」
「お、おう、」
その勢いに気圧されたように頷くイーサン。
少し不貞腐れたような表情でクロエを見つめるラインハートに、思わず笑みが漏れた。
「お誘いなどではございませんでしたよ?」
「そう?」
「イーサン様、すでにお返事させていただいておりますが、わたくしには姉妹はおりません」
こくこくと数回頷いて、イーサンはニコッと笑った。
「うん、返事ありがとう。そうだよな、分かってはいた!」
「どういうこと? 僕、イーサンと義兄弟にはなりたくないんだけど」
「何の話しだよ」
「親戚付き合いまでしたいとは思わないんだけど」
「何か怒ってるのか?」
仲良く揉め始めた二人を微笑ましく眺めていると、少し羨ましくもある。
クロエには兄と弟、従兄もいるが、同性の友人と呼べる人がいない。もしそんな友人がいたとしたら、今こんな状況ではなかったかもしれない。
厚化粧でお見合いゲームなんかせずに、友人と遊びに出かけた先で見つけた男性に思いを寄せて、みたいなアナスタシア先生の描く恋物語が自分にもあったのかも。
「――ね、クロエ?」
今回は事前にきちんと連絡があったため、クロエのお化粧もばっちりだ。
とはいえ、前日も前々日もお見合いという名の「財産に群がる輩、迎え撃ち会」が開催されていたため、連続の厚化粧ではある。
「その顔も、だんだん見慣れてきちゃった」
フィンはそう言って笑うので、少しだけ不安になった。
「不美人って3日で慣れる、っていうけれど……お二人に会うの2回目なのよね」
ブスに慣れちゃったら、作戦としては陳腐化してしまう。
あんまりまめに会わない方がいいかしら、と見つめていた手鏡をフィンに取り上げられた。
「大丈夫! 慣れたところでブスはブスだよ」
「ありがとう。いえ、ありがとうもおかしいような」
「ほらほら、二人とも待ってるよ!」
ぐいぐい押されて自室から出る。フィンはいつもの愛らしい笑顔でクロエを送り出し、そのままクロエの自室に残った。このまま昼寝でもするのだろう。
今日は天気がいい、ということで庭園にある四阿に。
ラインハートとイーサンは並んで立ち上がり、クロエににこやかに会釈した。
「お邪魔してます、クロエ」
「……」
じっとこちらを見つめるラインハートとは対照的に、イーサンは落ち着かなげにあたりを見渡していた。
もしかして、綺麗なクロエを探しているのかしら。と汚いクロエは察したけれど、特にそれに触れることはしないで丁寧に礼をした。
「ようこそ、わが家へ」
嬉しそうな笑顔を浮かべているラインハートの着ているモスグリーンのジャケットには見覚えがあった。兄が無事にラインハートに返してくれたらしい。
ただ、あれを掛けてもらったのは「クロエではない」ので、そこには何も触れないことにする。
それはそうと。
「イーサン様、先日いただいたお手紙の件ですが、」
「え!?」
イーサンよりも先に、ラインハートが大きな声を出して友人を振り返った。
「イーサン、クロエに手紙出したの!?」
「お、おう、」
その勢いに気圧されたように頷くイーサン。
少し不貞腐れたような表情でクロエを見つめるラインハートに、思わず笑みが漏れた。
「お誘いなどではございませんでしたよ?」
「そう?」
「イーサン様、すでにお返事させていただいておりますが、わたくしには姉妹はおりません」
こくこくと数回頷いて、イーサンはニコッと笑った。
「うん、返事ありがとう。そうだよな、分かってはいた!」
「どういうこと? 僕、イーサンと義兄弟にはなりたくないんだけど」
「何の話しだよ」
「親戚付き合いまでしたいとは思わないんだけど」
「何か怒ってるのか?」
仲良く揉め始めた二人を微笑ましく眺めていると、少し羨ましくもある。
クロエには兄と弟、従兄もいるが、同性の友人と呼べる人がいない。もしそんな友人がいたとしたら、今こんな状況ではなかったかもしれない。
厚化粧でお見合いゲームなんかせずに、友人と遊びに出かけた先で見つけた男性に思いを寄せて、みたいなアナスタシア先生の描く恋物語が自分にもあったのかも。
「――ね、クロエ?」
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