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act.2
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こうして湊は浅葱の案内の元、自分の教室である中等部棟、三階、3年A組の教室へ訪れると、教室中が何やら騒がしかった。
「おぉ?!柊木が来たぞ」
「あ?!湊君だ」
やっぱり湊はどこへ行っても注目の的だった。が、今回教室内で1番注目されていたのは、湊よりも教室の左後方、窓際の席を陣取っていた女生徒だった。
「ん?何?何?」
多くの生徒たちに囲まれる中心人物。湊は生徒たちを掻き分けるように自分の席へ向かうと、そこには思いもよらず、黒髪長髪を背中まで下ろした妹の由貴が机の上に両足を組むように乗っけて、悪い態度と膨れた表情でこちらを睨んできた。
「おっそい!!お兄!!」
「ゆ、由貴さん…?」
「どこ行ってたの!!!」
「ちょっと、学食に…」
何でこんなにも由貴は怒ってるんだろうか。特急バスに乗って置いてったからか?それとも昨日夜更かししたからか?
「由貴の鞄を返して!!!」
「あぁ、鞄ね…鞄…カバン…かばん?!」
「え?…まさか」
「無いっ!!!!!!!!」
由貴の鞄がねーーーーー???!!!
---------------------
湊はそれ以降の授業にも出席せず、校内中を駆け回っては必死に由貴の鞄を探す。
「あれぇ?どこだよ。バスから降ろされた時はあったよな?そのあと芝の噴水前に行って…浅葱さんに連れられて『ビンテージ・バグ』へ行って…」
思い当たる節は全て探し回ったが由貴の鞄は一向に見つからない。他に行ったところが思い当たらない湊は、盗みの可能性が頭をよぎる。
「そうだな。盗まれたんだよな。じゃなきゃおかしいよな。校庭か学食で盗まれたに違いない。誰だ??由貴の鞄を盗んだやつは!俺の可愛い妹の私物を盗むような下劣なやつは取っ捕まえて締め首にしてやる!!」
校庭を駆け回る兄を中等部棟の二階の教室窓から見下ろす由貴。
(ばーーーか)
由貴は兄を罵りながら自分の机の横にかけられた鞄とその脇につけられた雪だるまのぬいぐるみに目を落とす。湊が駆け回っている間に、学院事務に落とし物として届いていたらしい。
最近になって見違えるほどに性格が変わる湊に、振り回されながらも自分のために頑張る兄の背中に見惚れてしまう由貴だった。
さらに遠く、足を踏み入れたことのない棟の隅々まで学院中を探し回る湊は、気づけば人工芝で埋め尽くされた高く広い観客席に囲まれたドーム状のグラウンドへ足を運んでいた。
「どこだここ。サッカー場?にしてはゴールがないか…。」
「ここで何してる!」
ハッ?!
背中越しに語気の強い注意を受ける湊は、すぐに後方へ振り返る。そこには、黒いスラックスに青いニット服を着た茶色短髪の高身長青年が立っていた。
「すいません!道に迷ってしまって!」
「ん?黒ローブ…中等部か。ここは普段は立ち入り禁止なんだぞ。」
「そうだったんですね…知らなくて…すいません」
「知らない?ここが何をする場所かも?」
「はい…」
ーー赤ネクタイ?3年か。そうなると編入…生…なのかね。
「ここはスピリッツオーブの試合場だよ」
「スピリッツオーブ?」
ーーなんだスピリッツオーブって。芝のグラウンドを使うスポーツか?
「本当に何も知らないんだな。ユグドラシル大陸じゃ有名だろ。お前名前は?」
「たち…いや、柊木 湊です」
ーー柊木?!湊だと。まさか…。
「フッ…湊、この後の講義は?」
「無い…と思います」
「と思います?ハッハッハッ。テキトーなやつだな。まぁいいや、暇ならちょっと来いよ。良いもの見せてやる…あぁっと、そういや俺の名前がまだだったな。晴蓮=理亜志(17)高等部2年だ。よろしく」
「よろしくお願いします」
--案外礼儀正しいやつじゃねーの。てか毎度、英語圏の奴らは、名前がバグっとる。
湊は、ヘレンに導かれるままに高等部の敷居に足を踏み入れていく。そして、ヘレンに付いて行った先にあった場所は、ルミナリエ魔術学院高等部にのみ存在する五芒星寮の一つ、青を基調とした『ストームシェード』寮の談話室であった。
「ここは…」
「高等部に上がったらもしかしたら入ることになるかもしれない寮だな。でも今は入っちゃダメ。ちょっとそこで待ってろ。荷物を取ってくるから」
ーーストームシェード寮…。高等部に上がったら寮生活必須とか?ホームシック起こすかも…。現実世界ではなく、あの温かい柊木家の方にだ。
程なくしてヘレンは寮からでっかな茶色のカバンを持ってきて湊に渡す。
「何が入ってるんですか?」
「スピリッツオーブの道具だよ。実際に肌で体感してみるのが早いだろ」
二人は茶色の大きなカバンをもって、再び芝のグラウンドへ向かう。そして、ヘレンの指示でカバンを芝の上に置き、ヘレンは腰から一本の杖を抜く。
「さぁ、杖を構えて」
「杖?」
「杖だよ。あるだろ?」
「無いですけど…。あぁーでももしかしたら教室のカバンに入ってるかも」
「バカ言え。ローブの内ポケットは?」
ーーローブの内ポケット?そんなところ…あっ…。
湊は、ヘレンに言われるがままに黒いローブの内ポケットに手を突っ込むと、何やら細い棒状のものが手に吸い付く感覚を覚える。
「あぁ…あった」
「さぁ、開けるぞ…"リペクト"ッ!」
"リペクト"物の鍵や拘束を開ける『解呪魔法』の内の解除呪文の類である
カチャッ!!カチャッ!!
00101111010111011010
ヘレンは魔法で茶色の大きなカバンにかかっていた二つの金具の拘束を外し、そのままカバンの上を操って中を開ける。
そして、茶色の大きなカバンの中には、赤いクッション性のある布と、一つはそれに押し込まれた手のひらサイズの透明な水晶体のようなものが入れられていた。
「その透明で丸っこいのがスピリッツオーブだ。俺たち選手はそれが欲しくて欲しくて堪らないんだ。」
「この横のカップみたいなのは…」
湊は、スピリッツオーブの横に押し込められた小さな優勝カップのような物に指を刺す。
「それはアーティファクト。それを一個、魔法で壊せばチームに5点が入る。"フローテス"アーティファクト!」
10110111001001110101
ヘレンは浮上呪文でアーティファクトをカバンから取り出し、湊の前へゆっくり置く。
("セクシオ")
ヘレンは何やら小声で呪文を湊に吹き込む。その後、その行為を疑問視する湊に、アーティファクトへ目配せをして誘導する。
それに応えるように湊は自分の杖をアーティファクトへ向けて、同じように言葉を放つ。
「セクシオ!」
ビュァン!!!!!!バコンッ!!!
カタカタカタカタカタカタッ!!!
「?!」
01101011110010101100
湊は、いや、光は人生で初めて魔法という物に触れる。後に知ることとなる"セクシオ"。中等部で学ぶ光を媒介とした攻撃魔法であり、その力は先ほどの優勝カップを木っ端微塵にするほどだった。
しかし、それよりも湊が疑問に思ったのは、呪文を放った際に浮かび上がった0と1の数字が無数に並んだ羅列だった。
「この数字は?」
「数字?どれだ?」
「この、空中に浮いてる赤い…え?」
「何も無いだろ…。おかしなこと言うやつだな(笑)」
ーー俺だけに…見えてるのか。
"セクシオ"を放った瞬間に大量に現れた0と1の2種で構成された数字の羅列。今は綺麗さっぱり消えてしまったが、短時間だけ自分の視界を埋め尽くすほどに赤い数字が広がっていた。これは嘘でも何でも無い。一体何だったのか。
「さぁ、本題だ。行け、スピリッツオーブ"○○○○"」
「えぇ?今なんて?」
「わざと聞こえない声で言ったんだよ、ほら?飛び立つぞ」
ココココッスワァ~。
先ほどまでぴくりとも動かなかったただの水晶が、ヘレンの言葉一つで宙へ浮かび、その透明な体を黄色く染めていく。
スピリッツオーブ、起動するのに一つの呪文を用入り、その呪文を受ければ止まる性質を持つ。
「これを手にはめろ!」
「あっ!!」
ヘレンは湊に二つの青いグローブを投げ渡し、湊はそれをキャッチする。
「これは?」
「魔法の耐性が強いスピリッツオーブ専用のグローブだよ。このオーブは少々厄介でね。7つの属性に変化する性質を持っているんだ。色的に今は雷だな。手を伸ばしてみん」
湊は青いグローブを手にはめ、黄色く色づくオーブに指を伸ばすと、オーブは水晶体の中で強い光を放ち、湊のグローブに黄色い稲妻を放つ。
バチンッ!!
「うわぁ?!」
「ハッハッハッハッハッハッ!!驚いたか。ちょっとピリッとはしただろ。でも本番はこんなもんじゃないぞ。グローブだったから良かったものの、顔や皮膚が露出した場所に喰らったら痛いじゃ済まないからな」
「危険ですね」
「でも、奥深い。だからやめられない。ハハッ。ほら湊、杖を構えて」
ヘレンに言われ、湊はまたしてもオーブ目掛けて杖を構える。
しかし、標的となる対象のスピリッツオーブは稲妻を放つと同時にものすごい速度で逃げ回る。
「さぁ、よーくオーブに狙いを定めて~。一緒に口にするんだ。"アルテトラス"」
「速すぎる…狙えません」
「落ち着いて…深呼吸すんだ。落ち着いて目をよーく凝らせば、自ずとスピリッツオーブはゆっくり見えてくる…」
スゥーーーーー、ハァーーーー。
ゆっくり、目を凝らして、スピリッツオーブを追いかける。ゆっくり、ゆっくり。
「さぁ、狙って…狙って…今!!!!」
「"アルテトラス"!」
ビュン!!!!
湊の魔法が当たったスピリッツオーブは、宙で動きを止め、まるで宇宙空間に放り出された物のようにゆっくりと無重力のように傾く。
「やるじゃないか。」
「これは?」
「『拘束魔法』の一種で遅延呪文"アルテトラス"。本来は相手の速度を1/10程度に遅延させるのが限界なんだけどな~、君の力はその範疇を超えてるらしい。コントロールもね。才能がエース向きだ」
「エース?」
「グローブをはめた状態でオーブを掴んで」
ゆらゆらと地に落ちてくるオーブをグローブ越しに鷲掴む湊。
「はい、これでストームシェード100点!!なんてな。つまり、『エース』はスピリッツオーブを捕まえる専門。さっきのアーティファクトを壊す奴が『ブレイカー』、その他にも役職は4種類ある。」
1.エース
チーム内で唯一、スピリッツオーブを捕まえ指定の場所へ運ぶことを許された存在であり、1発100点という一発逆転も狙える大役を任され、チーム随一の機動力を必要とされる、言葉通りのエース。
2.ブレイカー
マップ上に点在するアーティファクトを壊して回り、スピリッツオーブ獲得以外でポイントを稼ぐアタッカー。アーティファクト一つにつきチームに5点が加算される。攻撃魔法に長け、相手のガーディアンやアークテクトを翻弄する役目を担う。
3.スカウト
フィールド上を飛び交うスピリッツオーブや点在するアーティファクト、争奪エリア、敵の拠点の位置を探知・察知し、各々の役職に共有する得点奪取の要・ゲームメイカーともいえる鷹の目の持ち主。
4.ガーディアン
守備全般の要であり、自エースの守護と相手エースへの妨害。そして、争奪エリアに侵入し、そこを長時間守護することでその時間×1点がチーム加算される、守備専門とは言えどもブレイカー同様に点を取る役割を担う者。
5.アークテクト
スピリッツオーブの届け先である自チームの拠点を作成することがメインであり、マップ上に最大3箇所の拠点が設営可能であり、スピリッツオーブを持ったエースを待つ者。その他にも防御ゾーンや魔法罠などを駆使して、相手の妨害にも一躍買う役目を担う。
6.メンター
語源はメンテナンスケアであり、スポーツ『スピリッツオーブ』で使用する杖やほうき、その他道具に課せられた制限の中で、エネルギーの補充や『回復魔法』による仲間のケアを主とする役割を担う者。
そしてエースを省いた五つの役職のうちで、自由枠が三枠与えられる、各々のチームの戦略によって好きなように役職の人員を増やすことができる。
攻撃型ならばブレイカーを増やし、守備型ならガーディアンやアークテクトを、索敵や探知をメインとした情報戦を制すならスカウトを増やすなど、戦略の幅は無限大に広がる。
そして試合は、最大9人対9人の計18人で行われ、試合ごとに魔法書を介した異空間に創成される不特定数の浮遊島を舞台に、ほうきやそれに追随する飛行道具を用いて、島中を駆け回るスピリッツオーブと点在するアーティファクト、争奪エリアの争奪戦を繰り広げ、90分の制限時間の中でより多くの得点を重ねたチームの勝利となる。
公平性を記すため、個人個人の魔法道具は使用できず、支給されるスタンダードロッド(杖)、ほうき、グローブ、通信機、防護服等々のみの使用が義務付けられ、それぞれには制限も設けてある。
まずスタンダードロッドで放てる出力には限界があるというもの。もちろん人を殺めるほどの出力を出すことは、どんな凄腕の魔法使いといえども難しい。そして、使えば使うだけ杖の出力は衰え、90分まるまる魔法を放出することはできない。それはほうきも同様に、使えば使うだけ空を飛ぶエネルギーは薄れて行き、飛べなくなれば浮遊島を飛んで渡ることは難しくなる。
それらのエネルギー供給やメンテナンスのためのメンターの存在があるわけだ。
それぞれの選手はこの制限された状況の中で得点をを加算させていく必要がある。
「ちょっとは興味を持ったか?」
「だいぶね!」
「なら、今度参加してみるか?」
「え?!俺が?!」
「あぁ。今期のスピリッツオーブも、2月と3月の2戦を残すのみだしな。多分順位もあんま変わんねーから誰が出ても大差ないんだよ」
スピリッツオーブは五芒星寮による総当たり戦となり、4月から3月までの年通しの内、夏休みと冬休み期間を空けた計10戦20試合開催され、どれも月の丁度真ん中で2試合開催される。そして、勝ち点3、同点1、負け点0を重ねて行き、全12戦でその大なり小なりでランキングをつけていく。
現在1月分までの計16試合が終了し、
1位がインフェルノ(赤)15点、
2位がシャドウウィスパー(紫)13点、
3位が我らがストームシェード(青)8点、
4位がウィンドウィスプ(緑)6点、
5位がファースト(黄)4点という結果となった。
そして第9戦の…
ストームシェードVSファースト
シャドウウィスパーVSウィンドウィスプ
第10戦の…
ストームシェードVSインフェルノ
シャドウウィスパーVSファースト
が控えていた。
優勝候補筆頭であるインフェルノとシャドウウィスパーの試合がまだ残っているため、正直ストームシェードが食い込むことはないと悟っていたヘレンは、記念試合として湊を誘ってみた。
「本当に俺なんかで…」
「お前15歳だろ?」
「はい…」
「じゃあ何の問題もないだろ。やりたいならやりたい。やりたくないならやりたくない。答えは二つしかねーぞ」
スピリッツオーブ…やってみたい!
こっち世界に来て、初めて魔法に触れた日。現実の世界では一生経っても味わえなかった快感。自分の存在が誰か一人にでも認められたような感覚がそこにあった。
今この瞬間は、想像以上に胸が高鳴っていた。
「おぉ?!柊木が来たぞ」
「あ?!湊君だ」
やっぱり湊はどこへ行っても注目の的だった。が、今回教室内で1番注目されていたのは、湊よりも教室の左後方、窓際の席を陣取っていた女生徒だった。
「ん?何?何?」
多くの生徒たちに囲まれる中心人物。湊は生徒たちを掻き分けるように自分の席へ向かうと、そこには思いもよらず、黒髪長髪を背中まで下ろした妹の由貴が机の上に両足を組むように乗っけて、悪い態度と膨れた表情でこちらを睨んできた。
「おっそい!!お兄!!」
「ゆ、由貴さん…?」
「どこ行ってたの!!!」
「ちょっと、学食に…」
何でこんなにも由貴は怒ってるんだろうか。特急バスに乗って置いてったからか?それとも昨日夜更かししたからか?
「由貴の鞄を返して!!!」
「あぁ、鞄ね…鞄…カバン…かばん?!」
「え?…まさか」
「無いっ!!!!!!!!」
由貴の鞄がねーーーーー???!!!
---------------------
湊はそれ以降の授業にも出席せず、校内中を駆け回っては必死に由貴の鞄を探す。
「あれぇ?どこだよ。バスから降ろされた時はあったよな?そのあと芝の噴水前に行って…浅葱さんに連れられて『ビンテージ・バグ』へ行って…」
思い当たる節は全て探し回ったが由貴の鞄は一向に見つからない。他に行ったところが思い当たらない湊は、盗みの可能性が頭をよぎる。
「そうだな。盗まれたんだよな。じゃなきゃおかしいよな。校庭か学食で盗まれたに違いない。誰だ??由貴の鞄を盗んだやつは!俺の可愛い妹の私物を盗むような下劣なやつは取っ捕まえて締め首にしてやる!!」
校庭を駆け回る兄を中等部棟の二階の教室窓から見下ろす由貴。
(ばーーーか)
由貴は兄を罵りながら自分の机の横にかけられた鞄とその脇につけられた雪だるまのぬいぐるみに目を落とす。湊が駆け回っている間に、学院事務に落とし物として届いていたらしい。
最近になって見違えるほどに性格が変わる湊に、振り回されながらも自分のために頑張る兄の背中に見惚れてしまう由貴だった。
さらに遠く、足を踏み入れたことのない棟の隅々まで学院中を探し回る湊は、気づけば人工芝で埋め尽くされた高く広い観客席に囲まれたドーム状のグラウンドへ足を運んでいた。
「どこだここ。サッカー場?にしてはゴールがないか…。」
「ここで何してる!」
ハッ?!
背中越しに語気の強い注意を受ける湊は、すぐに後方へ振り返る。そこには、黒いスラックスに青いニット服を着た茶色短髪の高身長青年が立っていた。
「すいません!道に迷ってしまって!」
「ん?黒ローブ…中等部か。ここは普段は立ち入り禁止なんだぞ。」
「そうだったんですね…知らなくて…すいません」
「知らない?ここが何をする場所かも?」
「はい…」
ーー赤ネクタイ?3年か。そうなると編入…生…なのかね。
「ここはスピリッツオーブの試合場だよ」
「スピリッツオーブ?」
ーーなんだスピリッツオーブって。芝のグラウンドを使うスポーツか?
「本当に何も知らないんだな。ユグドラシル大陸じゃ有名だろ。お前名前は?」
「たち…いや、柊木 湊です」
ーー柊木?!湊だと。まさか…。
「フッ…湊、この後の講義は?」
「無い…と思います」
「と思います?ハッハッハッ。テキトーなやつだな。まぁいいや、暇ならちょっと来いよ。良いもの見せてやる…あぁっと、そういや俺の名前がまだだったな。晴蓮=理亜志(17)高等部2年だ。よろしく」
「よろしくお願いします」
--案外礼儀正しいやつじゃねーの。てか毎度、英語圏の奴らは、名前がバグっとる。
湊は、ヘレンに導かれるままに高等部の敷居に足を踏み入れていく。そして、ヘレンに付いて行った先にあった場所は、ルミナリエ魔術学院高等部にのみ存在する五芒星寮の一つ、青を基調とした『ストームシェード』寮の談話室であった。
「ここは…」
「高等部に上がったらもしかしたら入ることになるかもしれない寮だな。でも今は入っちゃダメ。ちょっとそこで待ってろ。荷物を取ってくるから」
ーーストームシェード寮…。高等部に上がったら寮生活必須とか?ホームシック起こすかも…。現実世界ではなく、あの温かい柊木家の方にだ。
程なくしてヘレンは寮からでっかな茶色のカバンを持ってきて湊に渡す。
「何が入ってるんですか?」
「スピリッツオーブの道具だよ。実際に肌で体感してみるのが早いだろ」
二人は茶色の大きなカバンをもって、再び芝のグラウンドへ向かう。そして、ヘレンの指示でカバンを芝の上に置き、ヘレンは腰から一本の杖を抜く。
「さぁ、杖を構えて」
「杖?」
「杖だよ。あるだろ?」
「無いですけど…。あぁーでももしかしたら教室のカバンに入ってるかも」
「バカ言え。ローブの内ポケットは?」
ーーローブの内ポケット?そんなところ…あっ…。
湊は、ヘレンに言われるがままに黒いローブの内ポケットに手を突っ込むと、何やら細い棒状のものが手に吸い付く感覚を覚える。
「あぁ…あった」
「さぁ、開けるぞ…"リペクト"ッ!」
"リペクト"物の鍵や拘束を開ける『解呪魔法』の内の解除呪文の類である
カチャッ!!カチャッ!!
00101111010111011010
ヘレンは魔法で茶色の大きなカバンにかかっていた二つの金具の拘束を外し、そのままカバンの上を操って中を開ける。
そして、茶色の大きなカバンの中には、赤いクッション性のある布と、一つはそれに押し込まれた手のひらサイズの透明な水晶体のようなものが入れられていた。
「その透明で丸っこいのがスピリッツオーブだ。俺たち選手はそれが欲しくて欲しくて堪らないんだ。」
「この横のカップみたいなのは…」
湊は、スピリッツオーブの横に押し込められた小さな優勝カップのような物に指を刺す。
「それはアーティファクト。それを一個、魔法で壊せばチームに5点が入る。"フローテス"アーティファクト!」
10110111001001110101
ヘレンは浮上呪文でアーティファクトをカバンから取り出し、湊の前へゆっくり置く。
("セクシオ")
ヘレンは何やら小声で呪文を湊に吹き込む。その後、その行為を疑問視する湊に、アーティファクトへ目配せをして誘導する。
それに応えるように湊は自分の杖をアーティファクトへ向けて、同じように言葉を放つ。
「セクシオ!」
ビュァン!!!!!!バコンッ!!!
カタカタカタカタカタカタッ!!!
「?!」
01101011110010101100
湊は、いや、光は人生で初めて魔法という物に触れる。後に知ることとなる"セクシオ"。中等部で学ぶ光を媒介とした攻撃魔法であり、その力は先ほどの優勝カップを木っ端微塵にするほどだった。
しかし、それよりも湊が疑問に思ったのは、呪文を放った際に浮かび上がった0と1の数字が無数に並んだ羅列だった。
「この数字は?」
「数字?どれだ?」
「この、空中に浮いてる赤い…え?」
「何も無いだろ…。おかしなこと言うやつだな(笑)」
ーー俺だけに…見えてるのか。
"セクシオ"を放った瞬間に大量に現れた0と1の2種で構成された数字の羅列。今は綺麗さっぱり消えてしまったが、短時間だけ自分の視界を埋め尽くすほどに赤い数字が広がっていた。これは嘘でも何でも無い。一体何だったのか。
「さぁ、本題だ。行け、スピリッツオーブ"○○○○"」
「えぇ?今なんて?」
「わざと聞こえない声で言ったんだよ、ほら?飛び立つぞ」
ココココッスワァ~。
先ほどまでぴくりとも動かなかったただの水晶が、ヘレンの言葉一つで宙へ浮かび、その透明な体を黄色く染めていく。
スピリッツオーブ、起動するのに一つの呪文を用入り、その呪文を受ければ止まる性質を持つ。
「これを手にはめろ!」
「あっ!!」
ヘレンは湊に二つの青いグローブを投げ渡し、湊はそれをキャッチする。
「これは?」
「魔法の耐性が強いスピリッツオーブ専用のグローブだよ。このオーブは少々厄介でね。7つの属性に変化する性質を持っているんだ。色的に今は雷だな。手を伸ばしてみん」
湊は青いグローブを手にはめ、黄色く色づくオーブに指を伸ばすと、オーブは水晶体の中で強い光を放ち、湊のグローブに黄色い稲妻を放つ。
バチンッ!!
「うわぁ?!」
「ハッハッハッハッハッハッ!!驚いたか。ちょっとピリッとはしただろ。でも本番はこんなもんじゃないぞ。グローブだったから良かったものの、顔や皮膚が露出した場所に喰らったら痛いじゃ済まないからな」
「危険ですね」
「でも、奥深い。だからやめられない。ハハッ。ほら湊、杖を構えて」
ヘレンに言われ、湊はまたしてもオーブ目掛けて杖を構える。
しかし、標的となる対象のスピリッツオーブは稲妻を放つと同時にものすごい速度で逃げ回る。
「さぁ、よーくオーブに狙いを定めて~。一緒に口にするんだ。"アルテトラス"」
「速すぎる…狙えません」
「落ち着いて…深呼吸すんだ。落ち着いて目をよーく凝らせば、自ずとスピリッツオーブはゆっくり見えてくる…」
スゥーーーーー、ハァーーーー。
ゆっくり、目を凝らして、スピリッツオーブを追いかける。ゆっくり、ゆっくり。
「さぁ、狙って…狙って…今!!!!」
「"アルテトラス"!」
ビュン!!!!
湊の魔法が当たったスピリッツオーブは、宙で動きを止め、まるで宇宙空間に放り出された物のようにゆっくりと無重力のように傾く。
「やるじゃないか。」
「これは?」
「『拘束魔法』の一種で遅延呪文"アルテトラス"。本来は相手の速度を1/10程度に遅延させるのが限界なんだけどな~、君の力はその範疇を超えてるらしい。コントロールもね。才能がエース向きだ」
「エース?」
「グローブをはめた状態でオーブを掴んで」
ゆらゆらと地に落ちてくるオーブをグローブ越しに鷲掴む湊。
「はい、これでストームシェード100点!!なんてな。つまり、『エース』はスピリッツオーブを捕まえる専門。さっきのアーティファクトを壊す奴が『ブレイカー』、その他にも役職は4種類ある。」
1.エース
チーム内で唯一、スピリッツオーブを捕まえ指定の場所へ運ぶことを許された存在であり、1発100点という一発逆転も狙える大役を任され、チーム随一の機動力を必要とされる、言葉通りのエース。
2.ブレイカー
マップ上に点在するアーティファクトを壊して回り、スピリッツオーブ獲得以外でポイントを稼ぐアタッカー。アーティファクト一つにつきチームに5点が加算される。攻撃魔法に長け、相手のガーディアンやアークテクトを翻弄する役目を担う。
3.スカウト
フィールド上を飛び交うスピリッツオーブや点在するアーティファクト、争奪エリア、敵の拠点の位置を探知・察知し、各々の役職に共有する得点奪取の要・ゲームメイカーともいえる鷹の目の持ち主。
4.ガーディアン
守備全般の要であり、自エースの守護と相手エースへの妨害。そして、争奪エリアに侵入し、そこを長時間守護することでその時間×1点がチーム加算される、守備専門とは言えどもブレイカー同様に点を取る役割を担う者。
5.アークテクト
スピリッツオーブの届け先である自チームの拠点を作成することがメインであり、マップ上に最大3箇所の拠点が設営可能であり、スピリッツオーブを持ったエースを待つ者。その他にも防御ゾーンや魔法罠などを駆使して、相手の妨害にも一躍買う役目を担う。
6.メンター
語源はメンテナンスケアであり、スポーツ『スピリッツオーブ』で使用する杖やほうき、その他道具に課せられた制限の中で、エネルギーの補充や『回復魔法』による仲間のケアを主とする役割を担う者。
そしてエースを省いた五つの役職のうちで、自由枠が三枠与えられる、各々のチームの戦略によって好きなように役職の人員を増やすことができる。
攻撃型ならばブレイカーを増やし、守備型ならガーディアンやアークテクトを、索敵や探知をメインとした情報戦を制すならスカウトを増やすなど、戦略の幅は無限大に広がる。
そして試合は、最大9人対9人の計18人で行われ、試合ごとに魔法書を介した異空間に創成される不特定数の浮遊島を舞台に、ほうきやそれに追随する飛行道具を用いて、島中を駆け回るスピリッツオーブと点在するアーティファクト、争奪エリアの争奪戦を繰り広げ、90分の制限時間の中でより多くの得点を重ねたチームの勝利となる。
公平性を記すため、個人個人の魔法道具は使用できず、支給されるスタンダードロッド(杖)、ほうき、グローブ、通信機、防護服等々のみの使用が義務付けられ、それぞれには制限も設けてある。
まずスタンダードロッドで放てる出力には限界があるというもの。もちろん人を殺めるほどの出力を出すことは、どんな凄腕の魔法使いといえども難しい。そして、使えば使うだけ杖の出力は衰え、90分まるまる魔法を放出することはできない。それはほうきも同様に、使えば使うだけ空を飛ぶエネルギーは薄れて行き、飛べなくなれば浮遊島を飛んで渡ることは難しくなる。
それらのエネルギー供給やメンテナンスのためのメンターの存在があるわけだ。
それぞれの選手はこの制限された状況の中で得点をを加算させていく必要がある。
「ちょっとは興味を持ったか?」
「だいぶね!」
「なら、今度参加してみるか?」
「え?!俺が?!」
「あぁ。今期のスピリッツオーブも、2月と3月の2戦を残すのみだしな。多分順位もあんま変わんねーから誰が出ても大差ないんだよ」
スピリッツオーブは五芒星寮による総当たり戦となり、4月から3月までの年通しの内、夏休みと冬休み期間を空けた計10戦20試合開催され、どれも月の丁度真ん中で2試合開催される。そして、勝ち点3、同点1、負け点0を重ねて行き、全12戦でその大なり小なりでランキングをつけていく。
現在1月分までの計16試合が終了し、
1位がインフェルノ(赤)15点、
2位がシャドウウィスパー(紫)13点、
3位が我らがストームシェード(青)8点、
4位がウィンドウィスプ(緑)6点、
5位がファースト(黄)4点という結果となった。
そして第9戦の…
ストームシェードVSファースト
シャドウウィスパーVSウィンドウィスプ
第10戦の…
ストームシェードVSインフェルノ
シャドウウィスパーVSファースト
が控えていた。
優勝候補筆頭であるインフェルノとシャドウウィスパーの試合がまだ残っているため、正直ストームシェードが食い込むことはないと悟っていたヘレンは、記念試合として湊を誘ってみた。
「本当に俺なんかで…」
「お前15歳だろ?」
「はい…」
「じゃあ何の問題もないだろ。やりたいならやりたい。やりたくないならやりたくない。答えは二つしかねーぞ」
スピリッツオーブ…やってみたい!
こっち世界に来て、初めて魔法に触れた日。現実の世界では一生経っても味わえなかった快感。自分の存在が誰か一人にでも認められたような感覚がそこにあった。
今この瞬間は、想像以上に胸が高鳴っていた。
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