断罪

宮下里緒

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十二話 夢見るロリコン

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-事件真相-

あの日つまり今より二週間前の今日、鳩山静希は偶然家の近所で遊んでいた田畑早苗を発見し、衝動的に誘拐、家に連れ帰った。

もちろん連れて帰るまでの間騒がれないように口を手で塞いでいたが計画性のない犯行ゆえ素手で抱えたまま連れて帰るという形をとるに至る。

その間、誰にも目撃されなかったことは鳩山にとっては幸運であり早苗にとっては何よりの不運だったのだろう。

とにかく、うまく早苗を家に連れて帰ることに成功した鳩山は彼女を自身のベッドに放り投げると彼女が逃げ出さないよう家の千錠を開始した。

しかしこの際彼は興奮のあまり致命的なミスを犯してしまう。

そう、彼女、早苗の体の自由を封じることを怠ってしまったのだ。

気づけば早苗は今にも窓を開けて逃げ出そうとしていた。

鳩山の家は平屋であり五歳の子供でも窓からなら十分、逃げ出すことができる。

思わぬ状況に焦った鳩山は無我夢中で早苗を窓から引き離し、少しのあいだ寝てもらおうと軽く首をしめた。

けれど首を絞めて人の意識を奪うなんていう行為、素人にうまくいくはずもなく、早苗は苦しそうな顔をするものの一向に意識を失う気配は見せなかった。

それどころかその口からは『ママ、ママ』と声が漏れ出していた。

その声はとてもか細いもので家の外どころか家にいても途絶えてしまうほど小さなものだったが、このことがより鳩山をパニックにさせ、自分でも気づかないうちに手に込める力が強くなっていき、しばらくしたら唐突にボキッともゴキともつかぬ奇妙な音が部屋に響き渡った。

その何とも言えない不気味な音で、混乱状態だった鳩山の頭に少しだけ冷静さが戻った。

あの音はなんだ?

まさか誰かに見られたか?

不安にかられながら辺りを見回すが人の気配は一切ない。

思い過ごしかと胸を撫で下ろし視線を下に向けたところで初めてその異変に気づいた。

ズッシリと両腕にかかる少女の体重、それがなんだか先ほどより重くなったように感じる、それに先程まであった抵抗が一切ない、手はだらりとぶら下げ、足にもそれどころか全身に力が入っていないようで、それにこの匂い、早苗は失禁していた。

その異常な様に鳩山は再び激しく動揺する。

「さ、早苗ちゃん!!」

必死になって揺すってみるもののやはり反応は何一つとしてない、首だけがグラグラと揺れるだけだ。

それはまるで大きな人形のようでこの異様な有り様に鳩山は恐怖を覚えた。

頭によぎる最悪の可能性、それを否定しつつ鳩山は早苗の口元に手をかざしてみた。



呼吸はなかった。



次に胸に耳を当ててみる。



鼓動はない。



顔面は蒼白で、口からはヨダレを垂ら目は白目を向き涙が流れている。

いつもの可憐な早苗からは想像できないほど汚らしいその姿、それがここに居るのはもう早苗ではなくただのしたいだという事実をより鮮明に伝えてくれた。



「あ、ああ、あああああああああああああああ!!!!」



(そのあとのことは正直あまりよく覚えていない、というよりそんな余裕すらなかった。

ただ必死なって彼女を布団にくるみ車に乗せ、近くの山まで運びスコップで穴を掘りそこに捨てた。

家に戻ると彼女の尿を拭き取り部屋を換気し、尿を拭き取ったタオルはほかのゴミとまとめて近所のゴミ捨て場へと運んだんだ。)



これがあの事件の真相だ



-真相終了-



(あのあとも何度かさなえちゃんの両親の姿を見たっけ。なんか今にも倒れそうなほど疲れきっていたけど、正直そんな辛気臭い顔をされても困る。確かにさなえちゃんを殺したのは僕だけどこっちも被害者なんだ。僕だって殺したくて殺したわけじゃないんだから。それに彼女が死んでしまったせいで僕は自分の夢から大きく遠ざかってしまった、そのことを考えると本当に泣きたくなる)



彼、鳩山静希の望み、彼からすればとても些細なもので人から見ればとて積まなく醜悪なもの。

それは、幼い少女を一度でいいから犯すというものだった。



(そののぞみもあと少しで叶いそうだったのに。もう少しで早苗ちゃんとやれたのに)

最近の鳩山の頭はそればかりだ。

あの事件を思い出すたびに後悔ばかりする。



しかも、死体が見つかってしまってはもちろん警察も本腰に動き出すだろう、正直な話鳩山には警察から逃げ切る自信など欠片もない。

しかも急いで死体を処理したため早苗の体のいたるところには証拠が残ったままだろう、このままではどうあがいても鳩山は近いうちに捕まることになる。

(それは、嫌だ!)

鳩山は心の内でそう叫ぶ。

捕まることが怖い、もちろんそれもある、だがそれ以前に。

そう、今捕まってしまえば、あの夢が叶えられなくなってしまうのだから。

(せめて捕まる前に夢を叶えないと)

そう誓う。

だが、誰でもいいというわけじゃない。

ヘタをすればこれが最初で最後になる可能性すらあるのだから。

狙うなら絶世の美少女これに限る。

(そうだよ、どうせやるなら質が良くないとな)

そんな身勝手すぎる願望を抱く鳩山の次のターゲットは既に決まっていた。

そう、これまた彼には運が良く彼の近くには生粋の美少女がいた。

金城百合。

彼女は鳩山がこれまで見てきた少女たちの中でもダントツといっていいほどの美貌の持ち主であった。

あれほどの子にはおそらく今を逃せば二度と出会うことはかなわないだろう、なら迷う必要はないだろう。

残された時間もあまりない、鳩山は早速動くことを決めたのだった。

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