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第13話
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過去の旅から戻り、学園祭の現実へと帰る。
「うっ……」
少し眩暈がして、ふらっと倒れそうになる。
「ど、どうしたの? 保健室行く?」
「だ、大丈夫だから……ホノカ」
「ウチのこと名前で……まさか、戻ったの?」
驚いた様子で、ホノカが聞いてくる。
「う、うん」
「よかった。本当に……ううっ」
ホノカが今にも泣きだしそうな表情で抱き着いてくる。
「泣かないでよね」
「だ、だって、怖かったんだもん」
我慢できなかったのか、ホノカが泣き出してしまう。
「ごめんね。心配かけて」
「ううん。謝るのは、こっちの方だよぉ……」
でも、肝心な箇所が分からない。
「……ボクって、どうして記憶がなくなったの?」
「えっ?」
少しの沈黙の後、ホノカが口を開く。
「あ、あのね、それは――」
『ピ~ンポ~ンパ~ンポ~ン~迷子のお知らせです。姫野マリン、姫野マリンさん、親御さんの志島真琴さんが本部にてお待ちです……』
放送のチャイムが鳴り、予期せぬことで話が遮られてしまった。
「大事な時に……お姉ちゃん、また何かしたのかな? ご、ごめんね。ちょっと行ってくる。ナギくんはどうする?」
「ここで待っとくよ。あんまり人がいないし、静かだし」
「分かった。すぐに戻って来るから……戻ってきたら、一緒に学園祭楽しもうね」
そう言って涙をさっと拭って笑顔を見せた後、ホノカはすぐに走り去っていった。
「どうしようかな……」
1人になったボクは、ボーっと3階の窓から景色を眺めて立ち尽くしていた。下ではわちゃわちゃと学園祭を楽しんでいる声が小さく聞こえる。看板を持って宣伝している生徒や、一緒に楽しそうにしている先生もいて凄く楽しそう。
「松さん、ここにお店は無いっすって」
「俺の勘が言っているのだ。『こっちに何かあるよ~』って」
そんな静かに空気をぶち壊すような、学ランを着た3人組のはしゃぐ声が廊下に響き渡る。メガネをかけた背の低い男、厳つい太った男、爽やか糸目の男と、それぞれ違っている。共通点は同じ学ランで、髪型が揃って坊主ってことくらいかな。
「たく、やめとけ。方向音痴でもありバカでもある松に失礼だろ。こういう時は、大人なしく迷子に付き合ってやるんだよ。それでも気付かない様子を見て、『可哀そうねぇ~』とでも思っとくんだよ」
「梶さん……勉強になります!」
「いや、お前が一番失礼だろ」
3人組がボクの方に向かって歩いてくる。絡まれたら面倒だし、移動しよう。
「いでぇっ!」
隣を通り過ぎようと歩くと、メガネの男がぶつかってくる。
「す、すみません」
「うぎゃあああああっ!」
すると、メガネの男が肩を押さえて、情けないうめき声を上げて倒れこむ。
「たく⁉」
「い、いでぇぇぇぇっ! これ、折れてる! 絶対そう! 超いてぇもん!」
そんな訳ないだろ。少し当たっただけ……
「てめぇ、どうしてくれるんだ?」
「えっ、い、いや……」
「治療費だよ。払えねぇのか? せっかくの楽しい学園祭なのによ~」
な、なんだよ、この3人組……
松って呼ばれていた厳つい男は、かなりガタイが良い。「本当に高校生かな?」って思えるほどに。
「ツレ怪我させてよぉ、どうしてくれんだ?」
「うぅっ……」
厳つい男がぐいっと胸倉を掴み、軽々とボクの身体が持ち上がる。
「生徒会の仕事が終わって、ライブ終わりのたかちゃんに会おうとしたら……」
ボクが抵抗しようとすると、背後から声が聞こえた。
「離せよ。ソイツに喧嘩、吹っ掛けんのは止めとけ」
振り返るとあった姿にボクは安堵する。金髪、ピアス、モデルみたいな体格……勅使河原くん? で、でも、どうしてこんなところに……
いつもと雰囲気が全然違う。普段の優しい目つきからは、怖さや怒りを感じる。
「誰だてめぇ?」
厳つい男が勅使河原くんにガンを飛ばし、ボクの胸倉を放す。ようやく解放される。
「俺のダチに、手出してんじゃねーよ」
「はぁ? コイツがぶつかって来たんだろうがっ!」
「その制服、風林のヤツか。あんま学校で騒ぎを起こすなよ。せっかくの楽しい学園祭なのによ……迷惑だ。さっさと帰って、そのツラ二度と見せんな」
「んだ、ごらぁっ!」
厳つい男が勅使河原くんの言葉にカチンときたのか、怒声を上げる。
「こ、これ以上はマズいですよ。松さん……」
「我慢ならねぇんだよ。こっちは舎弟やられてよぉ。頭に乗りやがって……っ!」
メガネの男の静止を無視して、厳つい男が右拳を振り上げて勅使河原くんの顔面目掛けて殴りかかる。
「……っ⁉」
勅使河原くんは、体勢を崩しながらなんとか間一髪で躱す。
その刹那、厳つい男が左ポケットからスタンガンを取り出す。それに全く気が付かなかったようで、無防備な右脇腹に当たった瞬間、鈍い悲鳴を上げて倒れた。
「卑怯とは言うまいな」
「て、勅使河原くん!」
呼びかけても反応が無い……
「流石、松さん! 悪童日本一ですよ!」
「悪童ってなんだよ?」
「え、えっと……とにかく悪いヤツって意味ですよ!」
「がははははっ! 良いじゃないか。「悪童の松」みたいなかんじの通り名みたいで」
勝利の余韻に浸ってか、しょうもない会話なのに馬鹿みたいに笑っている。
「それより……コイツどうする? たく、お前が決めろよ」
再度、ボクの胸倉を厳つい男が掴む。すると、さっきまで痛がっていたメガネの男が何事も無かったように、すっと立ちあがる。
「ちと、痛めつけねぇとな。松さん、やっていいですか?」
拳の骨をポキポキと鳴らして、ボクを挑発してくる。
「まぁ、待てって。今日は総長の誕生日。皆で、パーティにしよう」
「……皆でサンドバッグパーティとか?」
「それだ! ちょうど誕生日プレゼント忘れてたんだよ……喧嘩好きの総長なら喜んでくれるだろ。だったら……」
そう言った後、厳つい男がスタンガンをポケットに閉まい、ボクを軽々と担ぐ。
「お、下ろせよ!」
必死に手足をバタつかせて子どもみたいに抵抗するが、効果が無いようだ。
「大人しくせぇ」
「き、君たち、何を……」
騒ぎを聞いたのか、先生らしき年配の男性が駆けつけてきた。
しかし、そんな先生の横を、3人組の男たちは談笑しながら悠々と通り過ぎる。
「き、君達……」
彼らの姿を見て怖くなったのか、弱弱しく注意する先生の足は震えていた。
「おい、ジジィ。退職金が惜しいなら、さっさと帰れ」
メガネの男が鋭いガンを飛ばすと、先生が怖気づいて腰を抜かす。
「は、離せ!」
再度、手足をバタつかせる。その直後、抵抗虚しく、ボクの身体に電流が走る。徐々に意識が薄らぎ、瞼が重くなっていく。どこに運ばれるんだろう……そんなことが頭に過ると、視界が暗闇に染まる。
ホノカ……ごめん。学園祭、一緒に楽しめそうにないや……
「うっ……」
少し眩暈がして、ふらっと倒れそうになる。
「ど、どうしたの? 保健室行く?」
「だ、大丈夫だから……ホノカ」
「ウチのこと名前で……まさか、戻ったの?」
驚いた様子で、ホノカが聞いてくる。
「う、うん」
「よかった。本当に……ううっ」
ホノカが今にも泣きだしそうな表情で抱き着いてくる。
「泣かないでよね」
「だ、だって、怖かったんだもん」
我慢できなかったのか、ホノカが泣き出してしまう。
「ごめんね。心配かけて」
「ううん。謝るのは、こっちの方だよぉ……」
でも、肝心な箇所が分からない。
「……ボクって、どうして記憶がなくなったの?」
「えっ?」
少しの沈黙の後、ホノカが口を開く。
「あ、あのね、それは――」
『ピ~ンポ~ンパ~ンポ~ン~迷子のお知らせです。姫野マリン、姫野マリンさん、親御さんの志島真琴さんが本部にてお待ちです……』
放送のチャイムが鳴り、予期せぬことで話が遮られてしまった。
「大事な時に……お姉ちゃん、また何かしたのかな? ご、ごめんね。ちょっと行ってくる。ナギくんはどうする?」
「ここで待っとくよ。あんまり人がいないし、静かだし」
「分かった。すぐに戻って来るから……戻ってきたら、一緒に学園祭楽しもうね」
そう言って涙をさっと拭って笑顔を見せた後、ホノカはすぐに走り去っていった。
「どうしようかな……」
1人になったボクは、ボーっと3階の窓から景色を眺めて立ち尽くしていた。下ではわちゃわちゃと学園祭を楽しんでいる声が小さく聞こえる。看板を持って宣伝している生徒や、一緒に楽しそうにしている先生もいて凄く楽しそう。
「松さん、ここにお店は無いっすって」
「俺の勘が言っているのだ。『こっちに何かあるよ~』って」
そんな静かに空気をぶち壊すような、学ランを着た3人組のはしゃぐ声が廊下に響き渡る。メガネをかけた背の低い男、厳つい太った男、爽やか糸目の男と、それぞれ違っている。共通点は同じ学ランで、髪型が揃って坊主ってことくらいかな。
「たく、やめとけ。方向音痴でもありバカでもある松に失礼だろ。こういう時は、大人なしく迷子に付き合ってやるんだよ。それでも気付かない様子を見て、『可哀そうねぇ~』とでも思っとくんだよ」
「梶さん……勉強になります!」
「いや、お前が一番失礼だろ」
3人組がボクの方に向かって歩いてくる。絡まれたら面倒だし、移動しよう。
「いでぇっ!」
隣を通り過ぎようと歩くと、メガネの男がぶつかってくる。
「す、すみません」
「うぎゃあああああっ!」
すると、メガネの男が肩を押さえて、情けないうめき声を上げて倒れこむ。
「たく⁉」
「い、いでぇぇぇぇっ! これ、折れてる! 絶対そう! 超いてぇもん!」
そんな訳ないだろ。少し当たっただけ……
「てめぇ、どうしてくれるんだ?」
「えっ、い、いや……」
「治療費だよ。払えねぇのか? せっかくの楽しい学園祭なのによ~」
な、なんだよ、この3人組……
松って呼ばれていた厳つい男は、かなりガタイが良い。「本当に高校生かな?」って思えるほどに。
「ツレ怪我させてよぉ、どうしてくれんだ?」
「うぅっ……」
厳つい男がぐいっと胸倉を掴み、軽々とボクの身体が持ち上がる。
「生徒会の仕事が終わって、ライブ終わりのたかちゃんに会おうとしたら……」
ボクが抵抗しようとすると、背後から声が聞こえた。
「離せよ。ソイツに喧嘩、吹っ掛けんのは止めとけ」
振り返るとあった姿にボクは安堵する。金髪、ピアス、モデルみたいな体格……勅使河原くん? で、でも、どうしてこんなところに……
いつもと雰囲気が全然違う。普段の優しい目つきからは、怖さや怒りを感じる。
「誰だてめぇ?」
厳つい男が勅使河原くんにガンを飛ばし、ボクの胸倉を放す。ようやく解放される。
「俺のダチに、手出してんじゃねーよ」
「はぁ? コイツがぶつかって来たんだろうがっ!」
「その制服、風林のヤツか。あんま学校で騒ぎを起こすなよ。せっかくの楽しい学園祭なのによ……迷惑だ。さっさと帰って、そのツラ二度と見せんな」
「んだ、ごらぁっ!」
厳つい男が勅使河原くんの言葉にカチンときたのか、怒声を上げる。
「こ、これ以上はマズいですよ。松さん……」
「我慢ならねぇんだよ。こっちは舎弟やられてよぉ。頭に乗りやがって……っ!」
メガネの男の静止を無視して、厳つい男が右拳を振り上げて勅使河原くんの顔面目掛けて殴りかかる。
「……っ⁉」
勅使河原くんは、体勢を崩しながらなんとか間一髪で躱す。
その刹那、厳つい男が左ポケットからスタンガンを取り出す。それに全く気が付かなかったようで、無防備な右脇腹に当たった瞬間、鈍い悲鳴を上げて倒れた。
「卑怯とは言うまいな」
「て、勅使河原くん!」
呼びかけても反応が無い……
「流石、松さん! 悪童日本一ですよ!」
「悪童ってなんだよ?」
「え、えっと……とにかく悪いヤツって意味ですよ!」
「がははははっ! 良いじゃないか。「悪童の松」みたいなかんじの通り名みたいで」
勝利の余韻に浸ってか、しょうもない会話なのに馬鹿みたいに笑っている。
「それより……コイツどうする? たく、お前が決めろよ」
再度、ボクの胸倉を厳つい男が掴む。すると、さっきまで痛がっていたメガネの男が何事も無かったように、すっと立ちあがる。
「ちと、痛めつけねぇとな。松さん、やっていいですか?」
拳の骨をポキポキと鳴らして、ボクを挑発してくる。
「まぁ、待てって。今日は総長の誕生日。皆で、パーティにしよう」
「……皆でサンドバッグパーティとか?」
「それだ! ちょうど誕生日プレゼント忘れてたんだよ……喧嘩好きの総長なら喜んでくれるだろ。だったら……」
そう言った後、厳つい男がスタンガンをポケットに閉まい、ボクを軽々と担ぐ。
「お、下ろせよ!」
必死に手足をバタつかせて子どもみたいに抵抗するが、効果が無いようだ。
「大人しくせぇ」
「き、君たち、何を……」
騒ぎを聞いたのか、先生らしき年配の男性が駆けつけてきた。
しかし、そんな先生の横を、3人組の男たちは談笑しながら悠々と通り過ぎる。
「き、君達……」
彼らの姿を見て怖くなったのか、弱弱しく注意する先生の足は震えていた。
「おい、ジジィ。退職金が惜しいなら、さっさと帰れ」
メガネの男が鋭いガンを飛ばすと、先生が怖気づいて腰を抜かす。
「は、離せ!」
再度、手足をバタつかせる。その直後、抵抗虚しく、ボクの身体に電流が走る。徐々に意識が薄らぎ、瞼が重くなっていく。どこに運ばれるんだろう……そんなことが頭に過ると、視界が暗闇に染まる。
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