Revolution Calling!俺と黒猫が異世界秩序改変に挑戦する話

猿型茄子

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飛ぶ練習をしよう

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洞窟を出ると、川が流れていた。埼玉県の秩父の長瀞みたいに、川の両岸は岩畳
になっている。岩畳の幅は15メートル位で、その後ろに藪と林が15メートル
位の奥行で上流から下流までずっと広がっている、その後は高さ20メートル位
の崖だ。ここの廻りは全て崖に囲まれているようだ。俺の居た洞窟の入り口は
岩畳から5メートル位上の岩棚の上にある。

川に行きたいが、高さ5メートルの岩棚から降りるのに躊躇してしまう。
降りるのはいいが、登れるのか?と考えていると、岩棚の端に傾斜の緩い所
があったので、取り合えず岩畳の河原に降りてみた。

川は割と水量が多いようだ。川幅は7メートル位か?川の水は澄んでいる。
水を手で掬ってみると結構冷たい。ここは、南の孤島のはずだが、今いる場所は
標高が高いのかもしれない。左手の下流方向を見てみると、100メートル位先
で川と言うか、景色が途切れているので滝なんだろうな。
下流に行って、滝の上から下を見てみると、落差50メートル位の滝だ。これは
空を飛べないと下には行けないな。

今度は川の上流に向かって歩く。ずっと岩畳の河原だね。下流の滝から上流に
400メートル程進むとまた滝。
落差20メートル程上から複数の川が落ちて、滝壺が深そうな渕を作ってる。

廻りは切り立った崖だし、これ、俺閉じ込められてる?飛べないと外に出れないんだけど。ロップ君に、この状況について相談してみよう。

「なあロップ君?俺は今、この滝と崖で塞がれた環境に閉じ込められてるんだが、どうすればいいんだ?飛べる様になるにはどの位かかる?」

ロップは不満そうに答えた。
「レイ様、何言ってるんすか?これこそ最初の修行にもってこいの環境っすよ!
こんなに恵まれた環境ないっすよ!魔物とか居なさそうだし、綺麗な川もあるし!コウエイ様なんて、転生後にいきなり魔物の襲撃を受けながら、泥水を飲んで、
虫とか食べながら、不眠不休で飛ぶ練習をしたっすよ!レイ様は甘いっす」

そうか反省。コウエイ様は、ゲテ村以上のサバイバーだったみたいだ。
コウエイ様の遺産で黄色の箱の携帯食料もあるしな。
取り合えず飛ぶ練習をしよう。土下座してロップ様に教えていただこう!
「ロップ様!さーせんした!ウジ虫のような俺に、どうやったら飛べるようになるか教えて頂けませんか?」

ロップ様がぷわぷわ浮かんで俺を見てる。
「なんすか?その卑屈な態度。でもコウエイ様もたまにそんな感じだったっす。
なんか懐かしいっすね。レイ様は、コウエイ様と似た感じがするっすよ。
コウエイ様の時とは環境が違うっすけど、取り合えず、コウエイ様がある程度飛べる様になったのは5日目位っすかね?」

廻りの環境確認は中止して、取り合えず岩棚の上に戻った。先ずは飛べなくては話にならない。滝壺で釣りをしてみたかったが後にしよう。俺は食事しなくても取り合えずは大丈夫らしいし、飛べるまでは黄色の箱の携帯食料で頑張ろう。
感謝します。コウエイ様。

「ロップ君、飛べる様になるには、具体的にどうすればいいんだ?」

「まず魔力の認識っすね。使徒の人達は成体で転生するから、アドバンテージがあるっすよ。何か身体の感覚で違和感がないっすか?」

「確かに洞窟で目覚めた時から、下腹部の辺りでぐるぐる熱いものが動いてる感覚があるな。これの事か?」

ロップが、笑顔でズビシっと俺を指さす。
「そうっす!コウエイ様が言ってた事と同じっすね。そこが魔力の貯蔵庫っすよ。他の転生者は赤ちゃんから始めるので、魔素があるこちらの世界と、魔素が無い前の世界の感覚との違いをなかなか認識出来ないらしいっす。魔素はこの世界の
構成要素で、転生者の方々の世界では無い要素らしいっすね」

そうか、あんまり自意識が無い赤ん坊からの転生だと、成長すると魔素がある世界の感覚に慣れて、違和感に気付けないのかもな。ロップが腕をぐるぐる回して楽しそうに説明を続ける。しかし、この黒猫可愛いいな。

「その、ぐるぐる熱いものを身体に循環させるようにイメージするっす。
コウエイ様は気功のイメージとか言ってたっす」

気功って、前の世界でもうさん臭かったんだけどね。でも下腹部に感じる熱いものは、丹田と呼ばれていた場所じゃないか?
とりあえず、ぐるぐる熱いのを循環、循環、循環!ぐるぐる熱い何かをを身体全体に血が巡る様な感じでイメージしてみる。
待つこと、数秒程。...なんか分るぞ!身体に今までとは違うパワーを感じる!

「おお!ロップ君、感じるぞ。これが魔力か!でも魔素と魔力ってどう違うんだ?」

「魔素はこの世界に存在する構成要素っす。生き物は、多かれ少なかれ、魔素を吸収して生きてるっす。魔力は吸収した魔素を変換して身体に蓄えたものっすよ。
魔法はこの力を使って発動するっす」

魔素って酸素みたいなもんか?やっぱファンタジー世界だな、
オラ、ワクワクしてきたぞ!

「魔力の感覚は大体分ったけど、次はどうすればいいんだ?」

ロップがぴょんぴょん跳ねてる。何この可愛い生き物。

「ある程度魔力を循環させたら、身体のどこか一点に魔力を集めて、魔力を放出するイメージをしてくださいっす。コウエイ様は、呼吸を極限まで止めて、
ぶはあって息を吐き出す感じって言ってたっす。
ただ全ての魔力を放出すると気絶するっすよ。極限の一歩手前の感覚を覚えてくださいっす」

やってみよう。循環する魔力を右手に集めるイメージをしてみる。あ、なんか右手がジンジン熱くなってきたぞ。もう耐えられない!ぶはあ。

あ、前に突き出した右手から何かの圧力が大量に放出された。そして脱力感。
視界が暗転する。

「....レイ様!レイ様!」
目を開けると、黒猫が寝ている俺の顔をペシペシ叩いていた。
肉球が気持ちいいね。ただ身体の脱力感が酷い。

「全ての魔力を放出すると気絶するって言ったじゃないっすか!
....まあコウエイ様も何度もしてたっすけどね。さっきの感覚を忘れないでくださいっすよ!アレの一歩手前の感覚を忘れないでくださいっす!」

どうやら俺は全ての魔力を放出して気絶したらしい。

「まだ一つ、覚えてもらう事があるっすよ。魔素の吸収っす。今、レイ様は
魔力が枯渇してる状態っす。
これから、意図的に魔素を吸収する方法のアドバイスをするっす。
ただこれは、うまく説明出来ないかもしれないっす。
そもそも、魔素は普通にしてれば吸収されて魔力に変換されるっすよ。ただそんなに急激に取り込まれる事はないんで、魔力が枯渇すると、種族とか個人差もあるっすけど、補充には数日かかるっすよ」

何!じゃあ俺は数日は、この脱力感のままか?それじゃあ、魔法ってポンポン使う事は出来ないよね。

「ただ、コウエイ様は魔力の回復が異様に早かったっす。前の日に魔力を使い果たして倒れこんでも、次の朝にフラフラで起きてきて、変な踊りをしたら昼頃に
はピンピンしてたっすね。何でしょう。あの変な踊り?
コウエイ様は、らじお体操第1って言ってたっす。激しい戦いの後には、もっと
変な、らじお体操第2もやってたっす」

何だその、ラジオ体操の効果!
「....俺も今からラジオ体操をやってみる」

第1から、第2までフルにやってみた。確かにすごい勢いで魔力が補填されてる
感覚がある。すごいなラジオ体操!だが黒猫は肉球を叩いて爆笑している。

「あはは。コウエイ様そっくりの踊りっす。宴の時も余興でよくやってたっすよ」

そんなに面白いかラジオ体操って?つーか宴会の余興でやるなよ。コウエイ様。
「....あのな、俺もやってみたが凄い勢いで魔力が補填されてる感じがあるぞ。これは画期的な事なんじゃないか?だれも真似しようとしなかったのか?」

「サーシャさんだけはコウエイ様と一緒に踊ってたっすけど、サーシャさんは、
特に何も言ってなかったっすよ」

....これはいずれ検証しようと思う。
だが俺はラジオ体操を朝の日課にしようと決意した。
「で、飛べるようになるためには、どういう修練をすればいいんだ?」

「今までやった事、全てっすよ、魔力の認識、循環、集中、放出、変な踊り。
魔力の認識は、自分の魔力量を確認する必須行為っす。慣れれば、廻りの魔力の気配とかも分るようになるっす。魔力の循環は慣れれば意識しなくても、常に魔力を身体に循環させる事が出来るっす。常にパワーアップっすよ。
魔力の集中は、身体の一部に魔力を集中する事っす。レイ様が飛ぶ為には、魔力量を認識して、魔力を常に循環させて、魔力を翼に集中する事っす。
魔力の放出は、魔力量の増強に必要っす、魔力の消費量によって、徐々に総魔力量が増えるっす。ただ、完全に枯渇すると先程のレイ様の様に気絶するっす。
コウエイ様も最初は魔力を回復するのに何日か掛かってたっすね。
変な踊り(笑)を朝にやり始めてから、異様にタフになったっすね。変な踊りは有効かもしれないっす」

ラジオ体操を、変な踊りって言うな!夏休みのスタンプカードが懐かしい。

「....じゃあ俺は、魔力の認識、循環、集中、極限近くまでの放出、ラジオ体操を繰り返せばいいんだな?」

「そうなるっすね。取り合えずしばらくやってみて、後はトライ&エラーっすよ。あとリバーシしましょうよ」

新しい世界で、いきなり修行タイム。
俺は岩棚で、黄色い携帯食をかじりながら、魔力の認識、循環、翼への集中、
極限近くまでの放出、ラジオ体操を繰り返した。
ロップがリバーシをしようと、しつこかったが、無視して修行を続行した。
そして4日目!俺はフワリと宙に浮く事が出来た!

「おお!ロップ、俺は飛べたぞ!どうだ!」

「ふ~ん、まあまあっすね。そんなの当たり前っすよ」

ロップは寝転んでこっちを見ようともしない。どうやらリバーシの誘いをずっと断っていたので不貞腐れたらしい。少しロップ君の機嫌を取らねばなるまい。

「ねえ?ロップ君、今夜はリバーシのグランドチャンピオン決定戦だよ?
つまりお前と俺。凄絶な戦いが予想されるな」

ロップが嬉しそうにぴょこんと飛びあがった。
「ふふん、パイノワールさん以外には負けた事のないボクに挑戦って事っすか?
何がグランドチャンピオンっすか、100万年早いっすよ!」

....その後、俺はロップに完敗し続けたが、再戦を続けた。
ふふふ、ロップ君。劉邦も負けっぱなしだったが、最後に垓下の戦いで項羽に勝利して覇者になったんだよ。つまり、100回負けても最後に勝てば勝者になるということなのだよ。

18戦目でロップの方が音を上げた。
「もういいっす。レイ様は弱すぎてつまんないっす」

ふふふ、ロップ君。アゴがタプタプしたバスケ監督が言っていたのだよ。諦めたらそこで終わりってな!勝負を放棄した方が負けなのだよ、
俺は精神的に勝利し、リバーシのグランドチャンピオンの栄冠を得たのだった。
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