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会合の前に色々あったのです
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さて昼前だ、ココエラさんも連れて来ているし何を食おうか?
緑カサゴの干物が数枚と大量の緑ゴンズイの干物。
村で需要があるか、まずココエラさんに味を見て貰おう。
畑の側の空き地でポータブルストーブで干物を炙り始めた。ロップにはバケツに4枚程入れて与えた。
「ワシにも頂けるのですかな?ありがたい事ですじゃ。おお、美味そうな匂いですな!使徒様。これが海の魚の匂いですか!」
「そうですね、川の魚とはちょっと風味が違うと思いますよ。まずお試し下さい」
俺は焼きあがった緑カサゴの干物と緑ゴンズイの干物をココエラさんに差し出した。たちまち雁木小僧化して頭からバリバリ頭から食い始めた。
婆ちゃんアンタもか!本当にバリバリ音がするんだよ!
エーラとリリが物欲し気な目で見ているので、次々に焼き上げて皿に乗せて差し出していると。気が付けば大勢の村人がこちらを取り囲んで見ている。
この雰囲気は辛い。う~ん大体70人位か?ゴンズイの干物は100匹以上作ったから、一人一匹なら味見程度で放出してもいいんじゃねーかな?
「ココエラさん、彼らにご馳走したいんだけど、どうでしょうか?」
「使徒様、ご馳走になったワシから言うのも心苦しいんじゃが、一応ワシは使徒様を案内するという行為に対して対価を得ているという認識じゃ。
だが、使徒様が無制限に施しをすれば、この村の民は使徒様に頼り切ってしまう
じゃろう。それはこの村にとっても使徒様にとっても良くない事じゃとワシは思いますのじゃ」
正論だ!その通りだ。ココエラさんの提言は非常に為になる。俺もずっとこの島にいる訳ではない。俺が無制限な食べ物製造機になったら、俺がいなくなった時にこの村は崩壊するだろう。まずは以前はこの村で賄えていたが、魔物の影響で得られなくなった物のみの提供を考えよう。塩と魚を除いて海でしか得られない物の提供は限定するべきだろう。そして提供した物に対しては対価を要求した方が良いだろうな。やはり根本的な解決方法はバシリスクの討伐だ。
夜は狩人衆の責任者も来るだろうから詳しく話を聞いてみよう。
エーラとリリが食事中に周りを囲んでいる鬼人族のヒソヒソ話が聞こえてくる。
俺は耳がいいのだ。
『ココ婆様と一緒にいる、あの赤い魔物はなんだ?狩人衆はなんで狩らないんだ?』
『なんか黒いケモノが立って踊ってるぞ!魔物じゃないのか?なんで、ココ婆様は一緒にメシを食ってるだ?』
ここまではいい。俺やロップは明らかに不審者だからな。だが!
『角無しリリと一本角エーラが一緒にいるぞ。半端者どうし仲良くなったのか?
ココ婆様のお情けで暮らしているだけなのに、ココ婆様に馴れ馴れしいよな』
気にいらないが、長年染み込んだ差別意識は根深いのだろう。保留。
『あー、角無しリリだ!後で石を投げに行こうぜ!』
『オレ肥溜めからウンコ掬ってくるよ。ココ婆ちゃんがいなくなったら掛けてやろうぜ!ギャハハ』
ガキ共には制裁決定だな。俺は下らないイジメはゼッタイ許さないのだ。
『エーラがやっと戻ったか、最近アイツは独りで狩りをしていたからな、オトリがいなくて困ったぜ。次は強引に俺達に同行させようぜ!』
『でもエーラもいつまでも五体満足でいられねーだろ?次の狩りくらいで姦っちまった方がいいんじゃねーの?角はともかく見た目はいいんだしよ』
『弓が得意な奴は今何人集められる?あの赤いヤツを背後から狙え!ココ婆様が離れたら一斉射撃しろ!なんならココ婆様が一緒でも構わねえ』
うん!分かったよ。コイツらは救う必要はない!
俺がゴゴゴゴと殺気を高めていると。
「使徒様!おやめくだされ!皆、気絶しておる!殺気を収めて下され!」
俺は無感覚で生命魔法のスタンを広範囲に撒き散らしていたのか?
ココエラさんが息を上げながら俺を宥めた。廻りを見るとココエラさんと
タンバリンで踊っているロップ以外は気絶している。リリ、エーラすまん!
ロップが駆け寄って来て教えてくれた。
「レイ様、あんまり不用意に覇気を撒き散らすのは控えた方がいいっすよ」
あれ?魔法じゃなかったの?
「ココエラさん、俺は使徒なので色々な感覚に優れています。先程、物凄く醜悪な鬼人族の本音を聞きました。はっきり言って殺意を覚えましたよ。
俺はこの村を助けたいとは到底思えなくなりました。あとは自分達でなんとかしてください。俺はリリとエーラを連れて今すぐ出ていきますよ。俺はいずれこの島を離れる予定です。大陸には他にも鬼人族の集落があるでしょう。二人はそこに預けた方がマシだと思います」
「使徒様!堪忍してほしいですじゃ。何卒何卒!」
ココエラさんが地面に頭を擦りつけて懇願している。俺もココエラさんとは、
ちょっとしか話していないが、結構好きなタイプの婆ちゃんだ。
「ココエラさんと俺を殺そうとした連中がいたんだけど、殺しちゃっていいですか?なんか弓が得意な連中を集めて俺を射殺そうとしてたみたいなんですけど」
と言ってる間に弓がたくさん飛んできた。アホだな。こんなの使徒の俺には、
キャッチボールの球だぞ、全部掴んでそっと置いた。矢が勿体ないだろ?
だが土下座しているココエラさんを狙った矢も混じっている、どこからだ?
ああ、10メートル位離れたあの林の中からだね、ふふふ射程距離内なのだよ。
パラライズからの状態異常てんこ盛りだ!林の中でひっくり返っている鬼人族、
計7人ををキツクキツク縛りあげて連行する事になった。
だがその前にリリに意地悪をしようとしたクソガキ達は肥溜めに漬けておいた。
ウンコが大好きなんだろ?俺は子供には優しいのだ。
エーラをオトリにしようとしたり、強姦しようしようとした狩人衆は顔だけ憶えておく、こんなヤツラでもいないと村に食べ物が無くなるだろう。
耐えろ!俺!
さて村長宅についた。現在16時。
殺人未遂犯を連行したから結構時間が掛かった。
取り合えず俺達はココエラさんの私室に案内された。
殺人未遂犯達は、離れた建物に閉じ込め見張りを配置したらしい。
ロップがいつの間にかリバーシを取り出してエーラにルールを教えている。
今はそんな空気ではないだろ!空気を読めポンコツコンビ!
しばらくして戻って来たココエラさんは、意気消沈している。
「こんな事になるとは、使徒様、申し訳ないですじゃ」
「あの7人の殺人未遂犯達はどうなりますか?ココエラさんを狙った矢もありましたよ。捻り殺してもいいですか。俺、結構怒ってるんです」
「使徒様、堪えてくだされ。この通りですじゃ」
老婆に頭を下げられるのは俺も辛い。だがあの矢の中には明らかにココエラさんを狙った矢もあった。
「何故あの連中を庇うんですか?殺人未遂というか、俺がいなかったら殺人罪になってましたよ。貴方が被害者で」
「狩人衆は今、村を支えるのに必要なんじゃよ。彼らが村に獲物を収めなくなったら村は終わりじゃ」
「でも農産物もあるでしょう?狩人衆にも芋とかは必要じゃないんですか?」
「狩人は自給自足できるんじゃよ。村の外の野草とかも食えるでな。彼等にしてみれば自分達が村に肉をめぐんでやってるという意識なんじゃろう。
あの魔物が出る前はそんなことはなかったんじゃけど、今は狩人の発言権が強いんじゃよ」
「でもエーラは村に少しでも肉を持って行こうとしてましたよ」
「エイエラは優しい子ですじゃ。狩人衆が肉を出し惜しみするようになると、
独りで狩りをするようになったんですじゃ。他にも数人そういう狩人はおるが、
大半は増長して手が付けられなくなっておるのです」
うーん?バシリスク退治に狩人の手を借りようと思っていたが、難しいかもしれない。ならば、あれを試してみるか?実はダイアベアを倒した時に閃いた方策があるのだ。だが、それには村の鍛冶職人の協力が必要だ。
リリから聞いた話では、ドルロフという鍛冶職人がいるはずだ。
「今日の会合にはドルロフと言う方は来ますか?」
「ドルロフ?ああ、変わり者の鍛冶職人ですな。ヤツは呼ばれてないですじゃ。
鍛冶職人衆の代表としてはデゼロフという男が呼ばれておりますよ。
狩人衆とは非常に昵懇な男ですじゃ」
やっぱ狩人も自給自足できるとは言っても、装備のメンテは必要だろうしな。
鍛冶職人とはズブズブの癒着関係なんだろう。
ロップとエーラのリバーシ対決を観戦していたリリを呼んだ。リリがお手伝いする位だからドルロフさんは、あまりリリをイジメない人なのだろう。
「リリ、ドルロフさんはどういう人だ?」
「ん、器を焼いてたギギロフおじちゃんと似たような感じだ。オラが失敗すると
怒られるけんども、良く働いた時は多めに食べ物くれただよ。あんまりしゃべらないけど、オラ、ドルロフおじちゃんもギギロフおじちゃんも好きだよ。
食べ物をくれなくなる前に、二人ともこんなオラに謝ってくれただよ」
ギギロフ&ドルロフはいい人らしい。是非接触しよう。
ココエラさんが割り込んだ。
「ギギロフなら会合に来ますぞ。陶工衆の頭ですからな」
よし、まずはギギロフさんと接触してみよう。
「取り合えず出席者を教えて貰えますか?」
「そうじゃのう、まずワシの息子のゴレロフ、それと....」
鬼人族の名前は大体〇〇ロフとか△△エラとかで紛らわしい。
俺は収納袋からノートとボールペンを出して書き留めた。ついでにそれ以外の
鬼人族も整理した。
まず会合出席者は、
・ゴレロフ:村長兼、自警団団長。ジャ〇アン。
・ココエラ:村の最長老。ジャ〇アンの母ちゃん。
・ゲドルフ:狩人頭。
・ベルルフ:漁師頭。
・デゼロフ:鍛冶頭。狩人衆とべったり癒着。
・ギギロフ:陶工頭。いい人っぽい。
・ワイルフ:木工頭。
・キーロフ:炭焼き頭。炭は是非欲しい!
・ティエラ:畑守頭。
そして今まで知りえた鬼人族は
・ゼゼロフ:故人。コウエイ様の近衛隊長。
・ケルロフ:故人。バシリスクにやられた人
・ドルロフ:鍛冶職人。変人らしいがいい人っぽい。
・リリエラ:俺が最初に拾った子。癒し系。
・エイエラ:エーラ。ヒャッハーなポンコツ
....ややこしいな。もっと違う名前付けろよ。
キーパーソンと思われる、狩人衆頭ゲドルフについて聞いてみよう。
「ゲドルフというのはどういう人物なのですか?」
「そうですなあ?ワシよりもエイエラに聞く方が良いと思いますのう。
エイエラ!ちょっとこっちに来てくれぬか?」
ココエラさんがエーラを呼ぶと涙目でやって来た。何があった?
振り返るとロップがムカつく勝利の舞を踊っている。おそらくリバーシでロップに負けて悔しかったのだろう。子供か!
「エーラ姉ちゃん、ゲドルフっていうのはどんな人なんだ?」
エーラを姉ちゃんと呼ぶ俺をココエラさんは不審な目で見ている。
俺だって変だと思ってるんだよ。そんな目で見ないで!
「ゲドルフ?アタシあのオッサン大嫌いだよ。大抵狩人は数人で遠征するんだ。
人員を決めるのはあのオッサンだ。普通は遠征部隊の役割は、勢子と待子と物見
だ。でもアタシが遠征に参加する時は、勢子がいなくて、アタシがオトリになるんだ。ヤツラは雑用も全部アタシに押し付けて呑気に酒まで飲んでた!
それに獲物も村に出し渋り始めて、偉そうに振る舞い始めたんだ。
それでアタシは嫌気がさして独りで狩りをするようになったのさ!」
勢子は獲物の追い立て役だったな?待子は待ち伏せ役だろう、物見は偵察と周囲
警戒なんだろうな。勢子はそれなりに人数が必要だろうから、エーラ独りが獲物をトレイン出来ればコスパは良いのだろう。取り合えず狩人衆頭ゲドルフとそれに癒着している鍛冶衆頭のデゼロフは敵と認定しよう。
「でもアタシと同じ考えの狩人も何人かいるんだ。今日、アタシの黒熊を解体してくれた連中がいただろ?あれはアーロフが中心になって、ゲドルフに反抗して村に貢献してる狩人組だ。アタシの同志だぜ!」
アーロフ、また固有名詞が増えたよ勘弁してくれ。ノートにメモしておく。
「ココエラさん、会合はどういう流れで進むんですか?」
「今回は使徒様のご紹介が主旨なので各代表が集まった後に衆議堂に入場して頂き、僭越ながらワシが使徒様をご紹介させていただきますじゃ、その後は昼間していただいた話をお願いしますじゃ」
「7人の殺人未遂犯達の話をしてもいいですか?というか、ゲドルフという男とサシで話をさせて貰えませんか?」
この時の俺の心境を思い出すと凄く恥ずかしい。ヘタレの俺が何故ここまで高揚していたのだろう?気付かないうちに何か変な物を食べていたのかも知れないな。
ココエラさんは慌てて、俺に縋りついた。
「ちょ!使徒様、落ち着いて下され!狩人衆との軋轢は村の内部の問題ですじゃ!使徒様が介入すると余計に混乱しますのじゃ!堪忍してくだされ!」
まあ内政干渉になってしまうんだろうな。前世でも俺の国の教科書の内容を変えろとか言ってくる国があったな。確かにこの村の法治の自主性は尊重しなければならない。
「分かりました。ただし、確実に俺とココエラさんを狙っていた事案だとゴレロフ村長にお伝えください」
「ご心配は無用、もう伝えてありますのじゃ。ゴレロフも腹を括ったようだで、
今日の会合はゲドルフと徹底的に戦うと息巻いておったですよ。元々ゴレは村で五本の指に入る猛者じゃ。何故かワシの前ではヘタレじゃが、立派に鬼人族の長を務めておるじゃよ。そもそもゲドルフなんぞがゴレに敵う訳ないんじゃよ」
うん、多分ヘタレるのはココエラさんがゴレロフさんより強いからだと思いますよ。全然話してはいないしリリへの扱いについては思う所はあるがゴレロフさんに協力しよう。
「ちょっと質問があるのですが、ロップはともかくエーラとリリは会合に参加できるのですか?」
ココエラさんは悲しそうな顔をして俺に詫びた。
「残念ながら、エイエラとリリエラとロップ様には別室で待ってもらうしかないですのう、あくまで代表者だけの会合なんですじゃ。例外を認めると皆が随伴者を連れて来て収集がつかなくなるでのう」
それは理解できる。ずらずら側近を引き連れて来たら、マフィアの会合みたいになっちゃうよね。でも食事はどうなるんだろう?村が困窮しているなら出来るだけ自前で用意したい。
「ココエラさん、食事はどうなりますかね?俺とロップはどうでもいいですけど、これからエーラとリリに晩飯をを作ってもいいですか?」
「いや食事はこちらで用意させてもらいますじゃよ。会合の方も無事終われば酒宴になりますかの」
鬼人族の料理は興味あるな。それに酒!何の酒だろう?コノワタを試してみよう!
暫くすると侍女がやってきた。
「皆様、お集まりです。衆議堂の方へご案内します」
ココエラさんの後について、俺は衆議堂に向かった。
緑カサゴの干物が数枚と大量の緑ゴンズイの干物。
村で需要があるか、まずココエラさんに味を見て貰おう。
畑の側の空き地でポータブルストーブで干物を炙り始めた。ロップにはバケツに4枚程入れて与えた。
「ワシにも頂けるのですかな?ありがたい事ですじゃ。おお、美味そうな匂いですな!使徒様。これが海の魚の匂いですか!」
「そうですね、川の魚とはちょっと風味が違うと思いますよ。まずお試し下さい」
俺は焼きあがった緑カサゴの干物と緑ゴンズイの干物をココエラさんに差し出した。たちまち雁木小僧化して頭からバリバリ頭から食い始めた。
婆ちゃんアンタもか!本当にバリバリ音がするんだよ!
エーラとリリが物欲し気な目で見ているので、次々に焼き上げて皿に乗せて差し出していると。気が付けば大勢の村人がこちらを取り囲んで見ている。
この雰囲気は辛い。う~ん大体70人位か?ゴンズイの干物は100匹以上作ったから、一人一匹なら味見程度で放出してもいいんじゃねーかな?
「ココエラさん、彼らにご馳走したいんだけど、どうでしょうか?」
「使徒様、ご馳走になったワシから言うのも心苦しいんじゃが、一応ワシは使徒様を案内するという行為に対して対価を得ているという認識じゃ。
だが、使徒様が無制限に施しをすれば、この村の民は使徒様に頼り切ってしまう
じゃろう。それはこの村にとっても使徒様にとっても良くない事じゃとワシは思いますのじゃ」
正論だ!その通りだ。ココエラさんの提言は非常に為になる。俺もずっとこの島にいる訳ではない。俺が無制限な食べ物製造機になったら、俺がいなくなった時にこの村は崩壊するだろう。まずは以前はこの村で賄えていたが、魔物の影響で得られなくなった物のみの提供を考えよう。塩と魚を除いて海でしか得られない物の提供は限定するべきだろう。そして提供した物に対しては対価を要求した方が良いだろうな。やはり根本的な解決方法はバシリスクの討伐だ。
夜は狩人衆の責任者も来るだろうから詳しく話を聞いてみよう。
エーラとリリが食事中に周りを囲んでいる鬼人族のヒソヒソ話が聞こえてくる。
俺は耳がいいのだ。
『ココ婆様と一緒にいる、あの赤い魔物はなんだ?狩人衆はなんで狩らないんだ?』
『なんか黒いケモノが立って踊ってるぞ!魔物じゃないのか?なんで、ココ婆様は一緒にメシを食ってるだ?』
ここまではいい。俺やロップは明らかに不審者だからな。だが!
『角無しリリと一本角エーラが一緒にいるぞ。半端者どうし仲良くなったのか?
ココ婆様のお情けで暮らしているだけなのに、ココ婆様に馴れ馴れしいよな』
気にいらないが、長年染み込んだ差別意識は根深いのだろう。保留。
『あー、角無しリリだ!後で石を投げに行こうぜ!』
『オレ肥溜めからウンコ掬ってくるよ。ココ婆ちゃんがいなくなったら掛けてやろうぜ!ギャハハ』
ガキ共には制裁決定だな。俺は下らないイジメはゼッタイ許さないのだ。
『エーラがやっと戻ったか、最近アイツは独りで狩りをしていたからな、オトリがいなくて困ったぜ。次は強引に俺達に同行させようぜ!』
『でもエーラもいつまでも五体満足でいられねーだろ?次の狩りくらいで姦っちまった方がいいんじゃねーの?角はともかく見た目はいいんだしよ』
『弓が得意な奴は今何人集められる?あの赤いヤツを背後から狙え!ココ婆様が離れたら一斉射撃しろ!なんならココ婆様が一緒でも構わねえ』
うん!分かったよ。コイツらは救う必要はない!
俺がゴゴゴゴと殺気を高めていると。
「使徒様!おやめくだされ!皆、気絶しておる!殺気を収めて下され!」
俺は無感覚で生命魔法のスタンを広範囲に撒き散らしていたのか?
ココエラさんが息を上げながら俺を宥めた。廻りを見るとココエラさんと
タンバリンで踊っているロップ以外は気絶している。リリ、エーラすまん!
ロップが駆け寄って来て教えてくれた。
「レイ様、あんまり不用意に覇気を撒き散らすのは控えた方がいいっすよ」
あれ?魔法じゃなかったの?
「ココエラさん、俺は使徒なので色々な感覚に優れています。先程、物凄く醜悪な鬼人族の本音を聞きました。はっきり言って殺意を覚えましたよ。
俺はこの村を助けたいとは到底思えなくなりました。あとは自分達でなんとかしてください。俺はリリとエーラを連れて今すぐ出ていきますよ。俺はいずれこの島を離れる予定です。大陸には他にも鬼人族の集落があるでしょう。二人はそこに預けた方がマシだと思います」
「使徒様!堪忍してほしいですじゃ。何卒何卒!」
ココエラさんが地面に頭を擦りつけて懇願している。俺もココエラさんとは、
ちょっとしか話していないが、結構好きなタイプの婆ちゃんだ。
「ココエラさんと俺を殺そうとした連中がいたんだけど、殺しちゃっていいですか?なんか弓が得意な連中を集めて俺を射殺そうとしてたみたいなんですけど」
と言ってる間に弓がたくさん飛んできた。アホだな。こんなの使徒の俺には、
キャッチボールの球だぞ、全部掴んでそっと置いた。矢が勿体ないだろ?
だが土下座しているココエラさんを狙った矢も混じっている、どこからだ?
ああ、10メートル位離れたあの林の中からだね、ふふふ射程距離内なのだよ。
パラライズからの状態異常てんこ盛りだ!林の中でひっくり返っている鬼人族、
計7人ををキツクキツク縛りあげて連行する事になった。
だがその前にリリに意地悪をしようとしたクソガキ達は肥溜めに漬けておいた。
ウンコが大好きなんだろ?俺は子供には優しいのだ。
エーラをオトリにしようとしたり、強姦しようしようとした狩人衆は顔だけ憶えておく、こんなヤツラでもいないと村に食べ物が無くなるだろう。
耐えろ!俺!
さて村長宅についた。現在16時。
殺人未遂犯を連行したから結構時間が掛かった。
取り合えず俺達はココエラさんの私室に案内された。
殺人未遂犯達は、離れた建物に閉じ込め見張りを配置したらしい。
ロップがいつの間にかリバーシを取り出してエーラにルールを教えている。
今はそんな空気ではないだろ!空気を読めポンコツコンビ!
しばらくして戻って来たココエラさんは、意気消沈している。
「こんな事になるとは、使徒様、申し訳ないですじゃ」
「あの7人の殺人未遂犯達はどうなりますか?ココエラさんを狙った矢もありましたよ。捻り殺してもいいですか。俺、結構怒ってるんです」
「使徒様、堪えてくだされ。この通りですじゃ」
老婆に頭を下げられるのは俺も辛い。だがあの矢の中には明らかにココエラさんを狙った矢もあった。
「何故あの連中を庇うんですか?殺人未遂というか、俺がいなかったら殺人罪になってましたよ。貴方が被害者で」
「狩人衆は今、村を支えるのに必要なんじゃよ。彼らが村に獲物を収めなくなったら村は終わりじゃ」
「でも農産物もあるでしょう?狩人衆にも芋とかは必要じゃないんですか?」
「狩人は自給自足できるんじゃよ。村の外の野草とかも食えるでな。彼等にしてみれば自分達が村に肉をめぐんでやってるという意識なんじゃろう。
あの魔物が出る前はそんなことはなかったんじゃけど、今は狩人の発言権が強いんじゃよ」
「でもエーラは村に少しでも肉を持って行こうとしてましたよ」
「エイエラは優しい子ですじゃ。狩人衆が肉を出し惜しみするようになると、
独りで狩りをするようになったんですじゃ。他にも数人そういう狩人はおるが、
大半は増長して手が付けられなくなっておるのです」
うーん?バシリスク退治に狩人の手を借りようと思っていたが、難しいかもしれない。ならば、あれを試してみるか?実はダイアベアを倒した時に閃いた方策があるのだ。だが、それには村の鍛冶職人の協力が必要だ。
リリから聞いた話では、ドルロフという鍛冶職人がいるはずだ。
「今日の会合にはドルロフと言う方は来ますか?」
「ドルロフ?ああ、変わり者の鍛冶職人ですな。ヤツは呼ばれてないですじゃ。
鍛冶職人衆の代表としてはデゼロフという男が呼ばれておりますよ。
狩人衆とは非常に昵懇な男ですじゃ」
やっぱ狩人も自給自足できるとは言っても、装備のメンテは必要だろうしな。
鍛冶職人とはズブズブの癒着関係なんだろう。
ロップとエーラのリバーシ対決を観戦していたリリを呼んだ。リリがお手伝いする位だからドルロフさんは、あまりリリをイジメない人なのだろう。
「リリ、ドルロフさんはどういう人だ?」
「ん、器を焼いてたギギロフおじちゃんと似たような感じだ。オラが失敗すると
怒られるけんども、良く働いた時は多めに食べ物くれただよ。あんまりしゃべらないけど、オラ、ドルロフおじちゃんもギギロフおじちゃんも好きだよ。
食べ物をくれなくなる前に、二人ともこんなオラに謝ってくれただよ」
ギギロフ&ドルロフはいい人らしい。是非接触しよう。
ココエラさんが割り込んだ。
「ギギロフなら会合に来ますぞ。陶工衆の頭ですからな」
よし、まずはギギロフさんと接触してみよう。
「取り合えず出席者を教えて貰えますか?」
「そうじゃのう、まずワシの息子のゴレロフ、それと....」
鬼人族の名前は大体〇〇ロフとか△△エラとかで紛らわしい。
俺は収納袋からノートとボールペンを出して書き留めた。ついでにそれ以外の
鬼人族も整理した。
まず会合出席者は、
・ゴレロフ:村長兼、自警団団長。ジャ〇アン。
・ココエラ:村の最長老。ジャ〇アンの母ちゃん。
・ゲドルフ:狩人頭。
・ベルルフ:漁師頭。
・デゼロフ:鍛冶頭。狩人衆とべったり癒着。
・ギギロフ:陶工頭。いい人っぽい。
・ワイルフ:木工頭。
・キーロフ:炭焼き頭。炭は是非欲しい!
・ティエラ:畑守頭。
そして今まで知りえた鬼人族は
・ゼゼロフ:故人。コウエイ様の近衛隊長。
・ケルロフ:故人。バシリスクにやられた人
・ドルロフ:鍛冶職人。変人らしいがいい人っぽい。
・リリエラ:俺が最初に拾った子。癒し系。
・エイエラ:エーラ。ヒャッハーなポンコツ
....ややこしいな。もっと違う名前付けろよ。
キーパーソンと思われる、狩人衆頭ゲドルフについて聞いてみよう。
「ゲドルフというのはどういう人物なのですか?」
「そうですなあ?ワシよりもエイエラに聞く方が良いと思いますのう。
エイエラ!ちょっとこっちに来てくれぬか?」
ココエラさんがエーラを呼ぶと涙目でやって来た。何があった?
振り返るとロップがムカつく勝利の舞を踊っている。おそらくリバーシでロップに負けて悔しかったのだろう。子供か!
「エーラ姉ちゃん、ゲドルフっていうのはどんな人なんだ?」
エーラを姉ちゃんと呼ぶ俺をココエラさんは不審な目で見ている。
俺だって変だと思ってるんだよ。そんな目で見ないで!
「ゲドルフ?アタシあのオッサン大嫌いだよ。大抵狩人は数人で遠征するんだ。
人員を決めるのはあのオッサンだ。普通は遠征部隊の役割は、勢子と待子と物見
だ。でもアタシが遠征に参加する時は、勢子がいなくて、アタシがオトリになるんだ。ヤツラは雑用も全部アタシに押し付けて呑気に酒まで飲んでた!
それに獲物も村に出し渋り始めて、偉そうに振る舞い始めたんだ。
それでアタシは嫌気がさして独りで狩りをするようになったのさ!」
勢子は獲物の追い立て役だったな?待子は待ち伏せ役だろう、物見は偵察と周囲
警戒なんだろうな。勢子はそれなりに人数が必要だろうから、エーラ独りが獲物をトレイン出来ればコスパは良いのだろう。取り合えず狩人衆頭ゲドルフとそれに癒着している鍛冶衆頭のデゼロフは敵と認定しよう。
「でもアタシと同じ考えの狩人も何人かいるんだ。今日、アタシの黒熊を解体してくれた連中がいただろ?あれはアーロフが中心になって、ゲドルフに反抗して村に貢献してる狩人組だ。アタシの同志だぜ!」
アーロフ、また固有名詞が増えたよ勘弁してくれ。ノートにメモしておく。
「ココエラさん、会合はどういう流れで進むんですか?」
「今回は使徒様のご紹介が主旨なので各代表が集まった後に衆議堂に入場して頂き、僭越ながらワシが使徒様をご紹介させていただきますじゃ、その後は昼間していただいた話をお願いしますじゃ」
「7人の殺人未遂犯達の話をしてもいいですか?というか、ゲドルフという男とサシで話をさせて貰えませんか?」
この時の俺の心境を思い出すと凄く恥ずかしい。ヘタレの俺が何故ここまで高揚していたのだろう?気付かないうちに何か変な物を食べていたのかも知れないな。
ココエラさんは慌てて、俺に縋りついた。
「ちょ!使徒様、落ち着いて下され!狩人衆との軋轢は村の内部の問題ですじゃ!使徒様が介入すると余計に混乱しますのじゃ!堪忍してくだされ!」
まあ内政干渉になってしまうんだろうな。前世でも俺の国の教科書の内容を変えろとか言ってくる国があったな。確かにこの村の法治の自主性は尊重しなければならない。
「分かりました。ただし、確実に俺とココエラさんを狙っていた事案だとゴレロフ村長にお伝えください」
「ご心配は無用、もう伝えてありますのじゃ。ゴレロフも腹を括ったようだで、
今日の会合はゲドルフと徹底的に戦うと息巻いておったですよ。元々ゴレは村で五本の指に入る猛者じゃ。何故かワシの前ではヘタレじゃが、立派に鬼人族の長を務めておるじゃよ。そもそもゲドルフなんぞがゴレに敵う訳ないんじゃよ」
うん、多分ヘタレるのはココエラさんがゴレロフさんより強いからだと思いますよ。全然話してはいないしリリへの扱いについては思う所はあるがゴレロフさんに協力しよう。
「ちょっと質問があるのですが、ロップはともかくエーラとリリは会合に参加できるのですか?」
ココエラさんは悲しそうな顔をして俺に詫びた。
「残念ながら、エイエラとリリエラとロップ様には別室で待ってもらうしかないですのう、あくまで代表者だけの会合なんですじゃ。例外を認めると皆が随伴者を連れて来て収集がつかなくなるでのう」
それは理解できる。ずらずら側近を引き連れて来たら、マフィアの会合みたいになっちゃうよね。でも食事はどうなるんだろう?村が困窮しているなら出来るだけ自前で用意したい。
「ココエラさん、食事はどうなりますかね?俺とロップはどうでもいいですけど、これからエーラとリリに晩飯をを作ってもいいですか?」
「いや食事はこちらで用意させてもらいますじゃよ。会合の方も無事終われば酒宴になりますかの」
鬼人族の料理は興味あるな。それに酒!何の酒だろう?コノワタを試してみよう!
暫くすると侍女がやってきた。
「皆様、お集まりです。衆議堂の方へご案内します」
ココエラさんの後について、俺は衆議堂に向かった。
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