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バシリスク討伐計画5(ガーデルマン君)
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帰宅途中に石河原でノビルを採取した。村での栽培用に小さい球根がもっと必要
だろう。50個程小さい球根をゲットした。親玉は元に戻しておく。
家に帰った俺は海遠征の準備を始めた。リリはわっくーと、くーわの為に
蟹を獲っている。リリは俺が何も言わなくても何か仕事を見つけて働いているな。
アホ猫とは偉い違いだ。さて今回はドルロフさんとベルルフさんがいる。
あとリリも。寝泊まりはテントでなんとかなるけど水は大丈夫かな?
なんだかんだで真水はいろいろ使うんだよな。まあ非常時は俺が飛んで汲みにくればいいか。取り合えず、面倒な水汲みをしておいた。持って行くものは基本的
には塩作り用でいいだろう。つまりデカい漬物樽を2個追加すればいい。
後は工具類を持って行こう、ドルロフさんのメンテナンス用だ。
それと剣スコップを2本追加した。練習用の砂山を造るのを二人に手伝ってもらおう。一応スニーカーをサイズをいろいろ持って行くか。ベルルフさん
は大丈夫だと思ったが。磯みたいな環境は川ではあまりないだろう。
あの人の性格だと無茶苦茶をやりそうだからな。後はゴーグルも持って行くか。
恐らくあの人は潜りたがるだろう。着替えも適当に持って行くか。
男物のハーフパンツとTシャツでいいだろう。例の如く遊び道具が紛れ込んでいるが、今回は見逃しておこう。
さて翌日。朝食を摂り、わっくーと、くーわにエサをやった後、俺は村に最高速で向かった。
村長宅に着いたのは7時ちょっと過ぎだ。既にドルロフさんとベルルフさん、
そしてティエラさんと村長婦人のダリエラさんが庭で待っていた。
「皆さん、お待たせしました。えーと、まずはティエラさんとダリエラさんの
要件ですね」
俺はティエラさんとダリエラさんに干しナマコの戻し方と、調理方法を教えた。
貴重な干しポレポレ茸もなんだかんだで提供する事になった。女子って怖いね。
俺は二人に干し牡蠣、煮干し、干しナマコ、干しポレポレ茸を提供した。
ティエラさんにはノビルの小さい球根を50個程渡しておいた。
現在8時。さて、海に行きますか。第一陣はベルルフさんとロップだ。
少し不安だが海に着いて爆走しそうなベルルフさんをロップに抑えて貰いたい!
最高速なら往復2時間位だ、凌いでくれ!ロップ。
俺達は北の石河原に向かい、その後湿地帯とマングローブ林を越えて干潟に辿り着いた。約50分。また速くなったかな。ベルルフさんは感動している様だ。
「使徒様!凄いですぞ。こんな光景が見られるとは!我が妹にも見せてやりたいですな。このどこまでも続く水平を!」
妹に話すのは勘弁して欲しいな。連れていけとか強請られると困る。俺は東の岬を越えて磯場に飛んで行った。
ベルルフさんを降ろした後、俺はキツク訓戒をした。
「いいですか。これからドルロフさんとリリを迎えに戻ります。ロップを残しておきますが、俺が戻るまでは何もしないでください。海には毒を持つ生き物が
沢山います。俺が戻った時に毒に当たっていたら強制送還です。二度と海へは
来れないと思ってください。そしてロップの指示には必ず従ってください」
「分かりましたぞ、ロップ殿の言いつけに従えばいいのですな」
「うにゃ!ボクに任せておけば安心っすよ」
俺は不安を抱えながら、ちょっ速でゴレロフさんの庭に戻った。
現在10時前。今日はドルロフさんとベルルフさんに海のレクチャーをして終わりそうだ。ドルロフさんに俺に跨っている時の留意点を説明していると。
「あ、レイ兄ちゃん!何してんだ?」
....何故一番会いたくないヤツがここに来る?
俺が慌てて対エーラ用の特効薬である、ココエラさんを探してキョロキョロしていると、
「レイ兄ちゃん何をキョロキョロしてんだ。アタシが見えないのか?」
「エーラ姉ちゃんこそ、何でここにいるんだ?狩りには行かないのか?」
「狩りは明日からだぜ。また北の森に行くんだ、あまり奥まで行かなくても
黒熊を釣りだす方法が分かったからな!今回は血抜きも出来るだけやるんだ」
ほっ。良かった。なら海遠征の件を話しても問題ないよな。
「そうか、頑張れよ。俺はまた海に行く、しばらく村には戻らないから村の皆に
美味しい熊肉を提供してやってくれよな」
途端にエーラが目を三角に吊り上げて俺に掴み掛ってきた。
「レイ兄ちゃん、また海に行くのか!アタシも行く!」
「いや、明日から狩りだろ?駄目だよ。俺は遊びで行くんじゃないんだよ!」
「やだ、アタシも海に行くんだ!泣くぞ、アタシが泣いてもいいのか!」
エーラが寝っ転がってジタバタ駄々を捏ね始めた。なんだコイツは!
リリはゴレロフさんと一緒に小鳥にエサをやっている。いつの間に来たんだ?
ゴリマッチョ。ずっと見ていたのか?仲裁しろよ無能村長!
「こりゃ、エイエラ!いい歳をして我儘言うでない!」
ドルロフさんが気を利かせてココエラさんを連れてきたようだ。
「....ココ婆ちゃん。だってアタシまた海に行きたいんだもん」
「お主には狩人としての仕事があるじゃろうが!駄々を捏ねるでない!」
「だって、だって、アタシ、レイ兄ちゃんと一緒にいたいんだもん!
びええええん」
出た。ギャン泣き!うるせーよ!
「使徒様、コヤツは身体は大きいが、まだまだ頑是無い童なんですじゃ。いずれ、手が空いた時にでも海に連れて行ってもらえませんかのう?」
うわー、面倒臭い依頼だな。なんで俺がポンコツの行楽に付き合わなければならないんだ?俺はコイツの父ちゃんじゃないぞ!
「はあ、分かりましたよ。日取りは決められないですが、また、そのうちに海に連れて行きますよ」
ポンコツがシュビッと起き上がった。
「本当か、レイ兄ちゃん!何時にする?明日から狩りだから、そうだなあ、
4日後くらいでいいよな?」
「落ち着け!日取りは決められないって言っただろ!それまでは、ちゃんと狩人
として働け!」
「....うん、分かったよ、レイ兄ちゃん。でも絶対アタシはまた海に行くんだからな!」
ポンコツはダッシュで駆け去って行った。なんだこの疲労感は。
俺はココエラさんに礼を言い。ドルロフさんとリリを連れて海へ向かった。
河口まで約50分、俺の頭上でドルロフさんが唸っている。
「使徒様、素晴らしい景色ですな。あの水の果てはどうなっているのでしょう?
ココエラ長老から別の陸地があるのは聞いておりますが、実際に見てみると感慨
深いものがありますな」
村をもっと海よりに移転した方がいいんじゃないかな?俺はそう思ってしまった。
そして東の磯場に向かう、ベルルフさんが心配だ、エーラのせいで大分時間が掛かったからな。
磯に到着すると今は干潮のようだ。現在12時。浅い潮溜まりの周りでベルルフさんとロップが座り込んでいる。
「うにゃ~。レイ様遅いっすよ!何してたんすか?」
「悪い、ちょっと色々あってな」
「ボクはベルルフさんと、この潮溜まりに蟹を集めてたっすよ!もっと褒めて欲しいっす」
俺は何もするなと言っておいたのだが、まあ蟹餌は必要だ。不問にしておこう。
「さて、もう昼です。残念ながら昼飯は黒芋です。晩飯は皆さんの頑張り次第で
美味しいものが食べられるでしょう!
今日の予定は、ドルロフさんとベルルフさんには海の注意事項を聞いてもらいます。リリとロップは牡蠣を採ってきてください」
「分かっただよ。オラ頑張るだ!行こうロップちゃん」
「うにゃ!」
「承知!漁師魂に火が付きましたぞ!」
「....分かりました。でもワシはあまり役に立ちませんぞ」
ドルロフさんは食材探しには向いてないかもな~。でも基本魔法の達人だよな?
塩作りを手伝ってくれるかもしれない。
よし、俺とドルロフさんは塩作り、ベルルフさんは釣り、リリとロップは
牡蠣採りか、ナマコ拾いを日課にしよう。
取り合えず、ドルロフさんとベルルフさんにハーフパンツとTシャツ、
スニーカーを渡して着替えてもらう事にした。この人達の服は臭いのだ、
今夜洗おう。
岩陰で着替えた二人が意気揚々とやって来た。
「使徒様!この服は快適ですな。この靴も凄いですぞ!」
「....このような素材は見た事ないですぞ。やはり星母神様の恩寵なのでしょうな」
興奮している二人を適当にいなして、黒芋で食事を済ませた後、ベルルフさんに
釣りの仕方を教えた。俺がまず緑カサゴを一匹釣り上げて、これ以外の魚が釣れたら俺を呼ぶように説明した。
「大体分かりましたぞ。では俺は釣りに行ってきますぞ!」
ベルルフさんは餌を投げられた犬の様にすっ飛んで行った。まあ漁師だし、
大丈夫だろう。
さあ、塩作りをしようか。漬物樽に海水を汲み入れ、基本魔法で気化を施していると、
「使徒様、それは多分ワシでも出来ますぞ」
だと思ってたよ、ドルロフさん!基本魔法の達人だからな。
「こちらの樽を任せて宜しいですか?」
「任せてくだされ」
樽が一つだと魔力を存分に込める事が出来る。十数分で濃縮液を作る事が出来た。俺がダッチオーブンで濃縮液を炊いている間にドルロフさんが2つの樽の海水を濃縮してくれている。
凄まじい効率化だ。出来た塩をドルロフさんに見せると、ちょっと舐めた後に、
「多分、塩を海水から直接抽出する事が出来ると思いますぞ、使徒様やらせてもらってもいいですか?」
凄いぞ、基本魔法マスター!俺は再び漬物樽に一杯の海水を汲んだ。受け皿としてタライを用意しておくと、ドルロフさんは右手を漬物樽に向けて差し出し、左手はタライに向けている。ドルロフさんの左手からはポロポロ塩がこぼれて行く、
これは凄い。20分程で6キロの塩が取れた!今日だけで24キロ取れそうだぞ。
漬物樽に海水を汲んで、ドルロフさんに作業の続行を頼んでいると、
ベルルフさんが大声で俺を呼んでいる、海サソリ君かな?だといいけどな。
俺が飛んで行くと、ジグヘッド仕掛けにウナギみたいな魚が絡んでいる。
ああ、これはウツボ君だね、緑色だけど。しかし良く蟹餌のジグヘッドでこんな
もの釣り上げたね。流石漁師と言うべきだろう。
「使徒様。こんな生き物は川にはいませんぞ。食べられるのですかな?」
「俺がちょっと味見をしてみます。毒がある可能性があるので。毒が無ければ
美味しいですよ、コレは」
前世では釣り人には嫌われていたウツボだが、俺とゲテ村にとってはご馳走
だったんだよ、ウツボは美味いんだ!
結構釣り人には酷い扱いを受けていたが、俺達は投げ捨てようとしている釣り人
達からウツボを貰って食べていたなぁ。
ぶっちゃけ、内湾で釣れる臭いスズキや黒鯛なんかよりウツボの方が美味いぞ。
ただ、南洋のウツボはシガテラ毒みたいな毒素を持っているって聞いた事がある。
俺はウツボ君を剣鉈で絞めて捌いた。内臓と身をちょっと味見してみる、
ゾクゾク感は無いな合格です、今日の晩飯決定だ。ただ尻尾の方は小骨が多いんだよね。まあ雁木小僧達は気にしないか。焼いて食おう。
「これは今日の晩飯にしましょう。美味いですよ~」
「....本当に食べれるんですか?まあ、引き続き釣りを頑張りますよ」
漁師頭なのに結構ドン引きしている。川にはウナギとかいないのかね。
しかし、このウツボは結構な大きさだ。1メートル位あるぞ、本当に良く
ジグヘッドで釣り上げたな!俺はウツボを切り分けてクーラーに仕舞った。
その後、俺はドルロフさんと塩作りを続けた。現在の俺は海水汲み係だ。
だってドルロフさんが凄いんだもん。
もう土嚢袋に2袋分塩が出来たよ。つまり48キロだ。流石にドルロフさんも
魔力切れの様なので、一息入れていると、ベルルフさんが大声で俺を呼んでいる。
これは海サソリ君かな?俺は剣スコップを持ってベルルフさんの所に駆け付けた。
「使徒様、アレはなんですか!」
来たー。海サソリ君ですよ!潮溜まりの底でじっとしている。しかもデカい、2メートル位の大物だ。またスイカ食いをしてやんよ!ぐふふ。
「ベルルフさん、アレはとても良いモノです。今日の晩飯は豪華なものになりますな。ぐふふ」
「そ、そうなんですか?俺にはアレが食べられるとは思えないんですが....」
俺はいつもの様に、背後から近寄って剣スコップで尻尾を切り離した。
今回は2メートル級だからカニミソの量も期待できるな。
今晩ドルロフさんとベルルフさんとの酒宴で肴にしよう。
ウネウネ動いている尻尾も引き上げて背ワタを抜く。尻尾を出刃でブロックに
切り分けクーラーに押し込めた。
もうクーラーはいっぱいだ。ベルルフさんが緑カサゴを10匹釣っていたしな。
カサゴのワタを抜いて、カニ網を海サソリがいた潮溜まりに放り込んでおく。
ベルルフさんには今日の釣りは十分だと伝えた。
「使徒様、その罠はどの位、魚が獲れるのですか?」
流石漁師、カニ網に目を付けたか。本来はカニ獲り用の網なんだけどね。
「明日分かりますよ。期待していてください。さて今日は十分に食料が獲れました。そろそろ宿営地に向かいましょう」
現在15時半。ロップとリリが戻って来た。
「レイ兄ちゃん、オラ頑張っただよ」
「うにゃ~、ボクもリリちゃんの応援を頑張ったっすよ。褒めて欲しいっす」
バケツにてんこ盛りの牡蠣だ。今日の晩飯はウツボの塩焼きと焼き牡蠣、
それと海サソリの塩茹でだな。
しかし、リリの応援って実質ロップは何もしてないって事だよな。まあいいや、
コイツの労働力には全く期待はしていない。
さあ、ビーチに行こう。まずはベルルフさんとロップだ。
西の岬を飛び越えてビーチを眺め下ろす。
「凄い光景ですな。水が青いですぞ!素晴らしい....」
ベルルフさんは感極まっているようだ。
二人を宿営予定地に残してとんぼ返りで磯に戻った。ドルロフさんとリリを
運んで西の岬を越えると、
「おお、白い砂、青くて果てしなく続く水。これが海なのですね」
ドルロフさんも感銘を受けたようだ。皆これをみれば感動するよね。
さて宿営準備だ。テントを設営して晩飯の準備だ。ドルロフさんとベルルフさん
にはスコップを渡して砂山の作成を依頼した。遊ばせはしませんよ!ふふふ。
リリには晩飯と明日の朝食用を除いた牡蠣の殻剥きを頼んだ。
俺は海サソリの頭を叩き割って、カニミソと魔石をゲットした。後は海サソリを
茹でておこうか。
しばらくして....
炭にも火が入ったので七輪を準備する。海サソリは既に茹でてある。あとは温め直すだけだ。
ドルロフさんとベルルフさんを呼んで夕餉の始まりだ。ドルロフさんとベルルフ
さんには"頂きます"と"ご馳走さま"の作法を教えておいた。
ドルロフさんは何か心に響くものがあったらしく、しばらく考えこんでいた。
「それでは皆さん、」
「「「「頂きま~す」」」」
皆、まずは海サソリに齧り付いた。だよね~、こんなの普通は食えないよ。
エビのスイカ食いとか普通は有り得ないからな。
でも俺はウツボの塩焼きに感動している。やっぱウツボは美味いね。
この皮とその下の脂が美味いんだよ。
「うんわ~、この魚、美味えなっす。オラこんな美味い魚食べたことねえだよ」
うん、リリ君は良く分かっているね。それを聞いたドルロフさんとベルルフさん
もウツボの塩焼きに手を伸ばした。あとロップも。
「これは素晴らしい魚ですな。明日も釣りますぞ!」
「....ワシは今まで鍛冶以外に生き甲斐を感じられない偏屈者でしたが、
今日の晩餐は先日の晩餐会以上にワシに衝撃を与えました。
使徒様ありがとうございます」
「うにゃ~、バリバリ」
瞬く間に1メートルのウツボが全て俺達の胃袋に収まってしまった。
ウツボは中々狙って釣れないんだよね。俺も食いたいから明日はもっとデカい針
とブラクリ仕掛けで釣って貰おう。
焼き牡蠣も好評だった。
「川にも貝はいるのですが、小さくて我々は食べ物としては見てなかったです。
しかしこれは美味い!酒が進みますな」
「これは美味いですな。リリ、これはお主が採って来たのだな。見事だぞ」
「えへへ、ドルロフおじちゃん、オラ頑張っただよ」
その後、夜は更けて、俺はドルロフさんとベルルフさんと酒を飲んだ。
人見知りのドルロフさんだったが、若いベルルフさんと意気投合したようだ。
漁具について色々意見を交わしている。俺が提供したカニミソも好評だった。
調子に乗ったロップがタンバリン踊りを披露したが、生温い微笑しか得られなかった。タンバリン芸人に謝れアホ猫!その後、リリが俺に笛を吹いてくれと
おねだりをしたので。アニソンとゲームBGMのメドレーを吹くとドルロフさん
とベルルフさんに大称賛を受けた。
「凄いですぞ、使徒様!こんなに美しい音は聞いた事がないですぞ!」
「....これ程、胸に迫る音色は初めて聞きました。使徒様、もっと聞かせてくだされ!」
えー、アニソンとゲームのBGM何だけど。仕方ない、アンコールを受けたので
80'sの洋楽メドレーを吹いた。勿論Guts n' mosesの"SWAT child onlineは
外せない。俺は大称賛だったが、ロップはむくれてゴロ寝をしている、
器の小さい猫だな。
夜の見張り番は俺とベルルフさんが交代で務める事になった。
別にずっと俺がやってもいいんだけどね。
先に俺が見張り番を勤め、起こすのを忘れた振りをしてベルルフさんを寝かせて
あげようと思っていたのだが、交代の時間前にベルルフさんが起きて来た、
律儀な人だね。では、そろそろ寝ようか。明日は投げ槍の訓練だ!
翌朝6時。俺がラジオ体操を終えると、皆起きて来た。海サソリで適当に朝食を
終えた後、磯に向かった。
リリ&ロップには牡蠣とナマコ拾いを頼んだ。ワイルフさんへのお土産用だ。
バケツを二つ渡しておいた。
ベルルフさんは引き続き釣りだ。ジグヘッドはやめて、丸セイゴ針にナツメ型
オモリのブラクリ仕掛けに変えた。エサは昨日の海サソリの肉の残りを使ってもらおう。俺はウツボをまた食いたいのだ。クーラーボックスを渡して後は任せた。
俺とドルロフさんは塩作りだ。まあ俺は海水汲み係なんすけどね。
午前中で塩を土嚢袋2袋分、つまり48キロも塩が作れた。凄いぜドルロフさん!
昨日の分と合わせて96キロ、俺が前回作った塩を二日で作ってしまった。
凄いな基本魔法。俺も練習しよう!
塩作りは今日はこの位でいいだろう。潮が引いて来たのでベルルフさんの様子を
見に行こう。
「使徒様、やりましたよ。ウツボですぞ」
流石、漁師頭!しかもワタ抜きもしてある。クーラーには10匹緑カサゴが
ワタを抜いた状態で入っていた。凄いね漁師頭。
その後、潮が完全に引いたので、カニ網を引き上げた。入っているのは例の如く
ゴンズイ君だ。
「ほう、この魚は似たようなのが川にもいますな。毒棘があるので我々漁師衆
には嫌われておりましたが、結構美味い魚でしたぞ」
「その通りです。この魚にも毒棘がありますが、食べると美味いのですよ!
特に顔の皮は絶品ですよ」
俺はバチバチ毒棘を切り飛ばした。ベルルフさんはワタを抜いてくれている。
昼飯はこれを炊くかな。
ゴンズイのワタを仕込んで、再びカニ網を放り込んだ。
ロップとリリが帰って来た。バケツにてんこ盛りの牡蠣とナマコだ。
よし昼飯の支度をするか。
昼飯はゴンズイの塩煮と焼き牡蠣だ。ウツボもいいけどゴンズイも美味いね。
ベルルフさんも顔にむしゃぶりついている、というか頭ごとバリバリ食べている。
ドルロフさんもだ。そういえば基本的に鬼人族は雁木小僧なんだよね。
昼飯を済ませて、俺達はビーチに戻った。ベルルフさん達には採って来た食材の
加工を頼んでおいた。
俺はこれから急降下爆撃の練習だ。先日ドルロフさんと
ベルルフさんに作って貰った砂山が標的になる。
肩にはロップを乗せている。アホ猫だがコイツは俺の相棒なのだ。
俺はカジキを持って空に向かった。
現在およそ300メートル上空。
「ガーデルマン君、後方の警戒は頼んだぞ!」
「....がーでるまんって誰っすか?」
「よし、行くぞ!わおーん!」
「わおーんって何すか?レイ様、変っすよ」
「うるさいぞ、ガーデルマン君!これはダイブブレーキの高貴な咆哮だ!」
待てよ?ルーデル閣下はダイブブレーキを使わなかったよな。俺は200メートルまで降下したがやり直した。
「どうしたっすか?レイ様」
「ガーデルマン君、やり直しだ。ルーデル閣下はダイブブレーキを使っていなかったんだ!」
「だから、がーでるまんとか、るーでる閣下って誰っすか?今日のレイ様は
おかしいっすよ」
俺は再び300メートルまで上昇し、急降下を始めた。高度50メートル!
今、必殺の急降下爆撃!
....槍は見事に外れ、砂山の横5メートルの所に突き刺さった。だが槍の周囲
3メートル位の砂が吹き飛とんで大穴を開けていた。
威力的には問題ないな。命中率を上げねばならない。槍の状態も問題ないようだ。
その後も急爆の練習を続け、10回中7回は砂山に命中させる事が出来る様に
なった。だがこれではダメだ。命中率9割を目指そう!
だろう。50個程小さい球根をゲットした。親玉は元に戻しておく。
家に帰った俺は海遠征の準備を始めた。リリはわっくーと、くーわの為に
蟹を獲っている。リリは俺が何も言わなくても何か仕事を見つけて働いているな。
アホ猫とは偉い違いだ。さて今回はドルロフさんとベルルフさんがいる。
あとリリも。寝泊まりはテントでなんとかなるけど水は大丈夫かな?
なんだかんだで真水はいろいろ使うんだよな。まあ非常時は俺が飛んで汲みにくればいいか。取り合えず、面倒な水汲みをしておいた。持って行くものは基本的
には塩作り用でいいだろう。つまりデカい漬物樽を2個追加すればいい。
後は工具類を持って行こう、ドルロフさんのメンテナンス用だ。
それと剣スコップを2本追加した。練習用の砂山を造るのを二人に手伝ってもらおう。一応スニーカーをサイズをいろいろ持って行くか。ベルルフさん
は大丈夫だと思ったが。磯みたいな環境は川ではあまりないだろう。
あの人の性格だと無茶苦茶をやりそうだからな。後はゴーグルも持って行くか。
恐らくあの人は潜りたがるだろう。着替えも適当に持って行くか。
男物のハーフパンツとTシャツでいいだろう。例の如く遊び道具が紛れ込んでいるが、今回は見逃しておこう。
さて翌日。朝食を摂り、わっくーと、くーわにエサをやった後、俺は村に最高速で向かった。
村長宅に着いたのは7時ちょっと過ぎだ。既にドルロフさんとベルルフさん、
そしてティエラさんと村長婦人のダリエラさんが庭で待っていた。
「皆さん、お待たせしました。えーと、まずはティエラさんとダリエラさんの
要件ですね」
俺はティエラさんとダリエラさんに干しナマコの戻し方と、調理方法を教えた。
貴重な干しポレポレ茸もなんだかんだで提供する事になった。女子って怖いね。
俺は二人に干し牡蠣、煮干し、干しナマコ、干しポレポレ茸を提供した。
ティエラさんにはノビルの小さい球根を50個程渡しておいた。
現在8時。さて、海に行きますか。第一陣はベルルフさんとロップだ。
少し不安だが海に着いて爆走しそうなベルルフさんをロップに抑えて貰いたい!
最高速なら往復2時間位だ、凌いでくれ!ロップ。
俺達は北の石河原に向かい、その後湿地帯とマングローブ林を越えて干潟に辿り着いた。約50分。また速くなったかな。ベルルフさんは感動している様だ。
「使徒様!凄いですぞ。こんな光景が見られるとは!我が妹にも見せてやりたいですな。このどこまでも続く水平を!」
妹に話すのは勘弁して欲しいな。連れていけとか強請られると困る。俺は東の岬を越えて磯場に飛んで行った。
ベルルフさんを降ろした後、俺はキツク訓戒をした。
「いいですか。これからドルロフさんとリリを迎えに戻ります。ロップを残しておきますが、俺が戻るまでは何もしないでください。海には毒を持つ生き物が
沢山います。俺が戻った時に毒に当たっていたら強制送還です。二度と海へは
来れないと思ってください。そしてロップの指示には必ず従ってください」
「分かりましたぞ、ロップ殿の言いつけに従えばいいのですな」
「うにゃ!ボクに任せておけば安心っすよ」
俺は不安を抱えながら、ちょっ速でゴレロフさんの庭に戻った。
現在10時前。今日はドルロフさんとベルルフさんに海のレクチャーをして終わりそうだ。ドルロフさんに俺に跨っている時の留意点を説明していると。
「あ、レイ兄ちゃん!何してんだ?」
....何故一番会いたくないヤツがここに来る?
俺が慌てて対エーラ用の特効薬である、ココエラさんを探してキョロキョロしていると、
「レイ兄ちゃん何をキョロキョロしてんだ。アタシが見えないのか?」
「エーラ姉ちゃんこそ、何でここにいるんだ?狩りには行かないのか?」
「狩りは明日からだぜ。また北の森に行くんだ、あまり奥まで行かなくても
黒熊を釣りだす方法が分かったからな!今回は血抜きも出来るだけやるんだ」
ほっ。良かった。なら海遠征の件を話しても問題ないよな。
「そうか、頑張れよ。俺はまた海に行く、しばらく村には戻らないから村の皆に
美味しい熊肉を提供してやってくれよな」
途端にエーラが目を三角に吊り上げて俺に掴み掛ってきた。
「レイ兄ちゃん、また海に行くのか!アタシも行く!」
「いや、明日から狩りだろ?駄目だよ。俺は遊びで行くんじゃないんだよ!」
「やだ、アタシも海に行くんだ!泣くぞ、アタシが泣いてもいいのか!」
エーラが寝っ転がってジタバタ駄々を捏ね始めた。なんだコイツは!
リリはゴレロフさんと一緒に小鳥にエサをやっている。いつの間に来たんだ?
ゴリマッチョ。ずっと見ていたのか?仲裁しろよ無能村長!
「こりゃ、エイエラ!いい歳をして我儘言うでない!」
ドルロフさんが気を利かせてココエラさんを連れてきたようだ。
「....ココ婆ちゃん。だってアタシまた海に行きたいんだもん」
「お主には狩人としての仕事があるじゃろうが!駄々を捏ねるでない!」
「だって、だって、アタシ、レイ兄ちゃんと一緒にいたいんだもん!
びええええん」
出た。ギャン泣き!うるせーよ!
「使徒様、コヤツは身体は大きいが、まだまだ頑是無い童なんですじゃ。いずれ、手が空いた時にでも海に連れて行ってもらえませんかのう?」
うわー、面倒臭い依頼だな。なんで俺がポンコツの行楽に付き合わなければならないんだ?俺はコイツの父ちゃんじゃないぞ!
「はあ、分かりましたよ。日取りは決められないですが、また、そのうちに海に連れて行きますよ」
ポンコツがシュビッと起き上がった。
「本当か、レイ兄ちゃん!何時にする?明日から狩りだから、そうだなあ、
4日後くらいでいいよな?」
「落ち着け!日取りは決められないって言っただろ!それまでは、ちゃんと狩人
として働け!」
「....うん、分かったよ、レイ兄ちゃん。でも絶対アタシはまた海に行くんだからな!」
ポンコツはダッシュで駆け去って行った。なんだこの疲労感は。
俺はココエラさんに礼を言い。ドルロフさんとリリを連れて海へ向かった。
河口まで約50分、俺の頭上でドルロフさんが唸っている。
「使徒様、素晴らしい景色ですな。あの水の果てはどうなっているのでしょう?
ココエラ長老から別の陸地があるのは聞いておりますが、実際に見てみると感慨
深いものがありますな」
村をもっと海よりに移転した方がいいんじゃないかな?俺はそう思ってしまった。
そして東の磯場に向かう、ベルルフさんが心配だ、エーラのせいで大分時間が掛かったからな。
磯に到着すると今は干潮のようだ。現在12時。浅い潮溜まりの周りでベルルフさんとロップが座り込んでいる。
「うにゃ~。レイ様遅いっすよ!何してたんすか?」
「悪い、ちょっと色々あってな」
「ボクはベルルフさんと、この潮溜まりに蟹を集めてたっすよ!もっと褒めて欲しいっす」
俺は何もするなと言っておいたのだが、まあ蟹餌は必要だ。不問にしておこう。
「さて、もう昼です。残念ながら昼飯は黒芋です。晩飯は皆さんの頑張り次第で
美味しいものが食べられるでしょう!
今日の予定は、ドルロフさんとベルルフさんには海の注意事項を聞いてもらいます。リリとロップは牡蠣を採ってきてください」
「分かっただよ。オラ頑張るだ!行こうロップちゃん」
「うにゃ!」
「承知!漁師魂に火が付きましたぞ!」
「....分かりました。でもワシはあまり役に立ちませんぞ」
ドルロフさんは食材探しには向いてないかもな~。でも基本魔法の達人だよな?
塩作りを手伝ってくれるかもしれない。
よし、俺とドルロフさんは塩作り、ベルルフさんは釣り、リリとロップは
牡蠣採りか、ナマコ拾いを日課にしよう。
取り合えず、ドルロフさんとベルルフさんにハーフパンツとTシャツ、
スニーカーを渡して着替えてもらう事にした。この人達の服は臭いのだ、
今夜洗おう。
岩陰で着替えた二人が意気揚々とやって来た。
「使徒様!この服は快適ですな。この靴も凄いですぞ!」
「....このような素材は見た事ないですぞ。やはり星母神様の恩寵なのでしょうな」
興奮している二人を適当にいなして、黒芋で食事を済ませた後、ベルルフさんに
釣りの仕方を教えた。俺がまず緑カサゴを一匹釣り上げて、これ以外の魚が釣れたら俺を呼ぶように説明した。
「大体分かりましたぞ。では俺は釣りに行ってきますぞ!」
ベルルフさんは餌を投げられた犬の様にすっ飛んで行った。まあ漁師だし、
大丈夫だろう。
さあ、塩作りをしようか。漬物樽に海水を汲み入れ、基本魔法で気化を施していると、
「使徒様、それは多分ワシでも出来ますぞ」
だと思ってたよ、ドルロフさん!基本魔法の達人だからな。
「こちらの樽を任せて宜しいですか?」
「任せてくだされ」
樽が一つだと魔力を存分に込める事が出来る。十数分で濃縮液を作る事が出来た。俺がダッチオーブンで濃縮液を炊いている間にドルロフさんが2つの樽の海水を濃縮してくれている。
凄まじい効率化だ。出来た塩をドルロフさんに見せると、ちょっと舐めた後に、
「多分、塩を海水から直接抽出する事が出来ると思いますぞ、使徒様やらせてもらってもいいですか?」
凄いぞ、基本魔法マスター!俺は再び漬物樽に一杯の海水を汲んだ。受け皿としてタライを用意しておくと、ドルロフさんは右手を漬物樽に向けて差し出し、左手はタライに向けている。ドルロフさんの左手からはポロポロ塩がこぼれて行く、
これは凄い。20分程で6キロの塩が取れた!今日だけで24キロ取れそうだぞ。
漬物樽に海水を汲んで、ドルロフさんに作業の続行を頼んでいると、
ベルルフさんが大声で俺を呼んでいる、海サソリ君かな?だといいけどな。
俺が飛んで行くと、ジグヘッド仕掛けにウナギみたいな魚が絡んでいる。
ああ、これはウツボ君だね、緑色だけど。しかし良く蟹餌のジグヘッドでこんな
もの釣り上げたね。流石漁師と言うべきだろう。
「使徒様。こんな生き物は川にはいませんぞ。食べられるのですかな?」
「俺がちょっと味見をしてみます。毒がある可能性があるので。毒が無ければ
美味しいですよ、コレは」
前世では釣り人には嫌われていたウツボだが、俺とゲテ村にとってはご馳走
だったんだよ、ウツボは美味いんだ!
結構釣り人には酷い扱いを受けていたが、俺達は投げ捨てようとしている釣り人
達からウツボを貰って食べていたなぁ。
ぶっちゃけ、内湾で釣れる臭いスズキや黒鯛なんかよりウツボの方が美味いぞ。
ただ、南洋のウツボはシガテラ毒みたいな毒素を持っているって聞いた事がある。
俺はウツボ君を剣鉈で絞めて捌いた。内臓と身をちょっと味見してみる、
ゾクゾク感は無いな合格です、今日の晩飯決定だ。ただ尻尾の方は小骨が多いんだよね。まあ雁木小僧達は気にしないか。焼いて食おう。
「これは今日の晩飯にしましょう。美味いですよ~」
「....本当に食べれるんですか?まあ、引き続き釣りを頑張りますよ」
漁師頭なのに結構ドン引きしている。川にはウナギとかいないのかね。
しかし、このウツボは結構な大きさだ。1メートル位あるぞ、本当に良く
ジグヘッドで釣り上げたな!俺はウツボを切り分けてクーラーに仕舞った。
その後、俺はドルロフさんと塩作りを続けた。現在の俺は海水汲み係だ。
だってドルロフさんが凄いんだもん。
もう土嚢袋に2袋分塩が出来たよ。つまり48キロだ。流石にドルロフさんも
魔力切れの様なので、一息入れていると、ベルルフさんが大声で俺を呼んでいる。
これは海サソリ君かな?俺は剣スコップを持ってベルルフさんの所に駆け付けた。
「使徒様、アレはなんですか!」
来たー。海サソリ君ですよ!潮溜まりの底でじっとしている。しかもデカい、2メートル位の大物だ。またスイカ食いをしてやんよ!ぐふふ。
「ベルルフさん、アレはとても良いモノです。今日の晩飯は豪華なものになりますな。ぐふふ」
「そ、そうなんですか?俺にはアレが食べられるとは思えないんですが....」
俺はいつもの様に、背後から近寄って剣スコップで尻尾を切り離した。
今回は2メートル級だからカニミソの量も期待できるな。
今晩ドルロフさんとベルルフさんとの酒宴で肴にしよう。
ウネウネ動いている尻尾も引き上げて背ワタを抜く。尻尾を出刃でブロックに
切り分けクーラーに押し込めた。
もうクーラーはいっぱいだ。ベルルフさんが緑カサゴを10匹釣っていたしな。
カサゴのワタを抜いて、カニ網を海サソリがいた潮溜まりに放り込んでおく。
ベルルフさんには今日の釣りは十分だと伝えた。
「使徒様、その罠はどの位、魚が獲れるのですか?」
流石漁師、カニ網に目を付けたか。本来はカニ獲り用の網なんだけどね。
「明日分かりますよ。期待していてください。さて今日は十分に食料が獲れました。そろそろ宿営地に向かいましょう」
現在15時半。ロップとリリが戻って来た。
「レイ兄ちゃん、オラ頑張っただよ」
「うにゃ~、ボクもリリちゃんの応援を頑張ったっすよ。褒めて欲しいっす」
バケツにてんこ盛りの牡蠣だ。今日の晩飯はウツボの塩焼きと焼き牡蠣、
それと海サソリの塩茹でだな。
しかし、リリの応援って実質ロップは何もしてないって事だよな。まあいいや、
コイツの労働力には全く期待はしていない。
さあ、ビーチに行こう。まずはベルルフさんとロップだ。
西の岬を飛び越えてビーチを眺め下ろす。
「凄い光景ですな。水が青いですぞ!素晴らしい....」
ベルルフさんは感極まっているようだ。
二人を宿営予定地に残してとんぼ返りで磯に戻った。ドルロフさんとリリを
運んで西の岬を越えると、
「おお、白い砂、青くて果てしなく続く水。これが海なのですね」
ドルロフさんも感銘を受けたようだ。皆これをみれば感動するよね。
さて宿営準備だ。テントを設営して晩飯の準備だ。ドルロフさんとベルルフさん
にはスコップを渡して砂山の作成を依頼した。遊ばせはしませんよ!ふふふ。
リリには晩飯と明日の朝食用を除いた牡蠣の殻剥きを頼んだ。
俺は海サソリの頭を叩き割って、カニミソと魔石をゲットした。後は海サソリを
茹でておこうか。
しばらくして....
炭にも火が入ったので七輪を準備する。海サソリは既に茹でてある。あとは温め直すだけだ。
ドルロフさんとベルルフさんを呼んで夕餉の始まりだ。ドルロフさんとベルルフ
さんには"頂きます"と"ご馳走さま"の作法を教えておいた。
ドルロフさんは何か心に響くものがあったらしく、しばらく考えこんでいた。
「それでは皆さん、」
「「「「頂きま~す」」」」
皆、まずは海サソリに齧り付いた。だよね~、こんなの普通は食えないよ。
エビのスイカ食いとか普通は有り得ないからな。
でも俺はウツボの塩焼きに感動している。やっぱウツボは美味いね。
この皮とその下の脂が美味いんだよ。
「うんわ~、この魚、美味えなっす。オラこんな美味い魚食べたことねえだよ」
うん、リリ君は良く分かっているね。それを聞いたドルロフさんとベルルフさん
もウツボの塩焼きに手を伸ばした。あとロップも。
「これは素晴らしい魚ですな。明日も釣りますぞ!」
「....ワシは今まで鍛冶以外に生き甲斐を感じられない偏屈者でしたが、
今日の晩餐は先日の晩餐会以上にワシに衝撃を与えました。
使徒様ありがとうございます」
「うにゃ~、バリバリ」
瞬く間に1メートルのウツボが全て俺達の胃袋に収まってしまった。
ウツボは中々狙って釣れないんだよね。俺も食いたいから明日はもっとデカい針
とブラクリ仕掛けで釣って貰おう。
焼き牡蠣も好評だった。
「川にも貝はいるのですが、小さくて我々は食べ物としては見てなかったです。
しかしこれは美味い!酒が進みますな」
「これは美味いですな。リリ、これはお主が採って来たのだな。見事だぞ」
「えへへ、ドルロフおじちゃん、オラ頑張っただよ」
その後、夜は更けて、俺はドルロフさんとベルルフさんと酒を飲んだ。
人見知りのドルロフさんだったが、若いベルルフさんと意気投合したようだ。
漁具について色々意見を交わしている。俺が提供したカニミソも好評だった。
調子に乗ったロップがタンバリン踊りを披露したが、生温い微笑しか得られなかった。タンバリン芸人に謝れアホ猫!その後、リリが俺に笛を吹いてくれと
おねだりをしたので。アニソンとゲームBGMのメドレーを吹くとドルロフさん
とベルルフさんに大称賛を受けた。
「凄いですぞ、使徒様!こんなに美しい音は聞いた事がないですぞ!」
「....これ程、胸に迫る音色は初めて聞きました。使徒様、もっと聞かせてくだされ!」
えー、アニソンとゲームのBGM何だけど。仕方ない、アンコールを受けたので
80'sの洋楽メドレーを吹いた。勿論Guts n' mosesの"SWAT child onlineは
外せない。俺は大称賛だったが、ロップはむくれてゴロ寝をしている、
器の小さい猫だな。
夜の見張り番は俺とベルルフさんが交代で務める事になった。
別にずっと俺がやってもいいんだけどね。
先に俺が見張り番を勤め、起こすのを忘れた振りをしてベルルフさんを寝かせて
あげようと思っていたのだが、交代の時間前にベルルフさんが起きて来た、
律儀な人だね。では、そろそろ寝ようか。明日は投げ槍の訓練だ!
翌朝6時。俺がラジオ体操を終えると、皆起きて来た。海サソリで適当に朝食を
終えた後、磯に向かった。
リリ&ロップには牡蠣とナマコ拾いを頼んだ。ワイルフさんへのお土産用だ。
バケツを二つ渡しておいた。
ベルルフさんは引き続き釣りだ。ジグヘッドはやめて、丸セイゴ針にナツメ型
オモリのブラクリ仕掛けに変えた。エサは昨日の海サソリの肉の残りを使ってもらおう。俺はウツボをまた食いたいのだ。クーラーボックスを渡して後は任せた。
俺とドルロフさんは塩作りだ。まあ俺は海水汲み係なんすけどね。
午前中で塩を土嚢袋2袋分、つまり48キロも塩が作れた。凄いぜドルロフさん!
昨日の分と合わせて96キロ、俺が前回作った塩を二日で作ってしまった。
凄いな基本魔法。俺も練習しよう!
塩作りは今日はこの位でいいだろう。潮が引いて来たのでベルルフさんの様子を
見に行こう。
「使徒様、やりましたよ。ウツボですぞ」
流石、漁師頭!しかもワタ抜きもしてある。クーラーには10匹緑カサゴが
ワタを抜いた状態で入っていた。凄いね漁師頭。
その後、潮が完全に引いたので、カニ網を引き上げた。入っているのは例の如く
ゴンズイ君だ。
「ほう、この魚は似たようなのが川にもいますな。毒棘があるので我々漁師衆
には嫌われておりましたが、結構美味い魚でしたぞ」
「その通りです。この魚にも毒棘がありますが、食べると美味いのですよ!
特に顔の皮は絶品ですよ」
俺はバチバチ毒棘を切り飛ばした。ベルルフさんはワタを抜いてくれている。
昼飯はこれを炊くかな。
ゴンズイのワタを仕込んで、再びカニ網を放り込んだ。
ロップとリリが帰って来た。バケツにてんこ盛りの牡蠣とナマコだ。
よし昼飯の支度をするか。
昼飯はゴンズイの塩煮と焼き牡蠣だ。ウツボもいいけどゴンズイも美味いね。
ベルルフさんも顔にむしゃぶりついている、というか頭ごとバリバリ食べている。
ドルロフさんもだ。そういえば基本的に鬼人族は雁木小僧なんだよね。
昼飯を済ませて、俺達はビーチに戻った。ベルルフさん達には採って来た食材の
加工を頼んでおいた。
俺はこれから急降下爆撃の練習だ。先日ドルロフさんと
ベルルフさんに作って貰った砂山が標的になる。
肩にはロップを乗せている。アホ猫だがコイツは俺の相棒なのだ。
俺はカジキを持って空に向かった。
現在およそ300メートル上空。
「ガーデルマン君、後方の警戒は頼んだぞ!」
「....がーでるまんって誰っすか?」
「よし、行くぞ!わおーん!」
「わおーんって何すか?レイ様、変っすよ」
「うるさいぞ、ガーデルマン君!これはダイブブレーキの高貴な咆哮だ!」
待てよ?ルーデル閣下はダイブブレーキを使わなかったよな。俺は200メートルまで降下したがやり直した。
「どうしたっすか?レイ様」
「ガーデルマン君、やり直しだ。ルーデル閣下はダイブブレーキを使っていなかったんだ!」
「だから、がーでるまんとか、るーでる閣下って誰っすか?今日のレイ様は
おかしいっすよ」
俺は再び300メートルまで上昇し、急降下を始めた。高度50メートル!
今、必殺の急降下爆撃!
....槍は見事に外れ、砂山の横5メートルの所に突き刺さった。だが槍の周囲
3メートル位の砂が吹き飛とんで大穴を開けていた。
威力的には問題ないな。命中率を上げねばならない。槍の状態も問題ないようだ。
その後も急爆の練習を続け、10回中7回は砂山に命中させる事が出来る様に
なった。だがこれではダメだ。命中率9割を目指そう!
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