《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_

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本編

第九話 遺影

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「陽……お願いがあるんだ」

 ある日の午後、僕は陽に静かに声をかけた。

「なんだよ、改まって」
「……写真を、撮ってほしいんだ」

 陽は目を見開いた。「写真?」

 僕は小さく頷いた。「もし僕がいなくなったとき……翔太に残る一枚になるから」

 陽はしばらく言葉を失っていた。やがて苦しそうに唇を噛み、カメラを構える。

 シャッターを押すたび、僕は微笑んだ。精一杯、優しい顔で。これなら翔太も安心できるはずだと信じて。

「……なあ遥、そんなこと言うなよ」陽の声は震えていた。
「ごめんね、陽。でも……僕は翔太の未来を願うだけだから」

 陽はシャッターを切りながら、こらえきれない涙を滲ませていた。

 撮られたその写真は、後に――翔太の胸を締め付ける“遺影”となる。
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