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第4話「ため息の理由」
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放課後のカフェ。
窓際の席に座った陸は、目の前のマグカップを弄びながら匠を見つめていた。
匠はスマホをいじりながら、ふっと小さく笑った。
その横顔があまりに自然で、陸の胸がひゅっと痛む。
――僕といるときは、そんなふうに笑わないのに。
「……誰とやりとりしてるの?」
思わず問いかけてしまう。
匠は顔を上げ、無表情のまま「別に」と答えた。
「別に」――そればかり。
本当は何を見ているのか、聞きたいのに喉が詰まる。
「……そっか」
笑顔を取り繕ったけれど、胸の中で黒い靄が広がっていく。
そのとき、隣の席から颯馬が顔を出した。
「お、やっぱり陸だと思った!」
颯馬は偶然通りかかって見つけたらしい。
「ここ座っていい?」
明るく問いかける颯馬に、陸は救われた気持ちで頷いた。
颯馬は注文したアイスコーヒーを飲みながら、陸の表情を覗き込む。
「なんか元気ないな。匠とケンカでもした?」
「……別に」
思わず匠の口癖を真似してしまい、自分でもおかしくなる。
颯馬は苦笑しながら、そっと声を落とした。
「無理すんなよ、陸」
その一言が、張りつめた胸を少しだけ緩めた。
でも、視線の端でスマホをいじる匠の姿が、やっぱり心に影を落としていた。
窓際の席に座った陸は、目の前のマグカップを弄びながら匠を見つめていた。
匠はスマホをいじりながら、ふっと小さく笑った。
その横顔があまりに自然で、陸の胸がひゅっと痛む。
――僕といるときは、そんなふうに笑わないのに。
「……誰とやりとりしてるの?」
思わず問いかけてしまう。
匠は顔を上げ、無表情のまま「別に」と答えた。
「別に」――そればかり。
本当は何を見ているのか、聞きたいのに喉が詰まる。
「……そっか」
笑顔を取り繕ったけれど、胸の中で黒い靄が広がっていく。
そのとき、隣の席から颯馬が顔を出した。
「お、やっぱり陸だと思った!」
颯馬は偶然通りかかって見つけたらしい。
「ここ座っていい?」
明るく問いかける颯馬に、陸は救われた気持ちで頷いた。
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「なんか元気ないな。匠とケンカでもした?」
「……別に」
思わず匠の口癖を真似してしまい、自分でもおかしくなる。
颯馬は苦笑しながら、そっと声を落とした。
「無理すんなよ、陸」
その一言が、張りつめた胸を少しだけ緩めた。
でも、視線の端でスマホをいじる匠の姿が、やっぱり心に影を落としていた。
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