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9.小競り合い
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もう疲れた…部屋に戻ろう…深夜なのにエキサイトしているレイモンド様とアビー様に挨拶をし執務室を出た。ゆっくり休みながらなら部屋まで戻れそうだ。数歩歩いて気が付いたら横にクロードさんがいた。「うっ!」両手で口を塞ぎ声を殺した。危ない!叫ぶとこだった。深夜に叫んだら大迷惑だ!
「春香様。お部屋にお戻りですか?」
「はい。クロードさんも遅いからお休み下さいね」
「お心遣いありがとうありがとうございます。よければお部屋までお送りしますよ」
「大丈夫です。ありがとう」
クロードさんは振り返り執務室に戻って行きます。まだお仕事が残っているのかなぁ?
挨拶したしゆっくり帰ろうと歩き出したら
「春香!」
振り返ると執務室からミハイルさんがこちらに向かってくる。
「ミハイルさんお休みな…」
「何故送らせてくれない!」
「えっと…大丈夫そうだし一人で考えたいし」
私をじっと見つめているミハイルさん。
「少し待って欲しい。俺は春香に会うまで女性に関心を持った事がない。いや感じていたのは煩わしさだけ。だから女性にどう好意を向けていいのかが分からない。森で春香を助けこの腕に抱いた時から俺の心は春香でいっぱいだ。しかし思うように伝えられない。情け無いなぁ…」
「えっと…まだ私も気持ちの整理がつきません。それに私も男性とどう接していいか分からない事が多いんです。だから初心者同士まずは友達から始めませんか?」
「それは遠回しに嫌という事か?」
「違います!友達から始めたら気取らす自分を出せる気がしてですね…」
すると拗ねたようで
「それは嫌だ…私は春香の特別になりたい」
「えっと…」
深夜の廊下で何してんだろう⁈もう早く帰って寝たいのに…ため息を吐いて
「全て早急すぎます。だから時間が欲しい…とりあえず今日は…おやすみなさい」
お辞儀して歩き出し
『もう帰る!帰らしてくれ…』
しかし歩き出すと手を取られて
「部屋まで送らせてくれ…頼む…」
「分かりました。よろしくお願いします」
拒否する方が面倒臭いよ。
ミハイルさんと手を繋いで深夜の廊下を歩く。
歩みが遅い私に合わせて歩いてくれるミハイルさん。時折りミハイルさんの視線を感じるが疲れていて答える気がしない。
猛烈に眠いし足が覚束無い。階段にさしかかり1段目に足をかけた時見事にバランスを崩した。
「うっわ!」
繋いだ手を引っ張られて流れるように抱き上げられた。
「部屋までこのままで…」
「すみません。よろしくお願いします」
もう断るのもしんどい。ミハイルさんは私を抱えて階段を上がって行く。やっぱり鍛えているからか息が乱れない。私もちょっと鍛えようかなぁ…
そんな事を考えていたら部屋に着いた。
部屋に入るとマリーさんが居てびっくり。起きて待っていてくれたのが嬉しくて、でも申し訳ないやらで気持ちが散らかってます。
ミハイルさんにお礼を言うと微笑み額にキスをして戻って行かれた。こうして長かった1日を終えたのでした。
「○¢□×…」
誰か近くで話してしている?まだ眠い…大きく温かい手が頬をなでている? 気持ちいい…
思わず頬に触れる手を取った。
「春香…」
目を覚ますと目の前に綺麗な顔のミハイルさん!
「!」
びっくりして固まる私をよそに抱きついてくるミハイルさん。
「旦那様と奥様にお知らせして参ります」
クロードさんいるの?抱きつかれて何も見えない!
ミハイルさんに絞められ…もとい抱きしめられて苦しい。ミハイルさんの背中を叩いてやっと解放された。公爵家の方々の抱擁は一歩間違うと絞め殺されるから注意が必要だ。
「おはようございます。でもなんで寝室にいるんですか?婚約者とはいえ勝手に寝室は駄目ですよ」
「しかし春香が!」
「はるかちゃーん!!」
凄い勢いでアビー様が入ってきてミハイルさんを押しのけた。アビー様に抱きつかれ呆然としていると
「良かったわ。そのまま起きなかったら私は立ち直れなかった。あの滋養強壮剤を作った薬師を絞め上げるところだったわ」
「えっと…状況説明をお願いします。私一人置いてきぼりです」
「・・・そりゃ心配しますね」
昨晩就寝して今は10時。どうやら半日以上眠っていたようだ。起こしても反応がなく呼吸も浅かっ為た医師に診てもらい、明日になっても目覚めない時は気付け薬を使う話までしてあったそうだ。
『どれだけ寝るねん!私!』
当の本人は睡眠ばっちりでお腹が大合唱している。
アビー様が夕食が食べれそうかと聞いてくれたので、大きく頷くと何故か頭を撫でられた。
自分で一番シンプルなワンピースを選び着替え準備OK!寝室を出たら部屋でミハイルさんが待っていて、一緒に行ってくれるみたいだ。
当たり前の様に手を差し伸べられる。少し戸惑ったがこの押問答する時間が無駄。だって今の私は腹ペコなのだ。ミハイルさんの手を取りダイニングルームに向かう。
ダイニングルームに向かう道すがら驚く話を聞く。お昼過ぎにまた宮廷医が往診に来た様で丁度寝ていたので、簡単に診察をして帰って行ったようだ。
やっぱり仮病を疑っていた。そして私の長寝は案外役に立っていた。色々話をしているけどミハイルさんの様子がおかしい⁈
「何かあったんですか?」
「・・・が届いたが言いたくない」
「えっ?何が届いたんですか?」
何度か聞いたらやっと教えてくれた。どうやらローランド殿下からドレスが届いたそうだ。それを着て来いって事?
ミハイルさんは不機嫌に欲しいものが無いか聞いてくる。欲しい物はある!でもこの世界には無い!スマホが欲しい!Bluetoothイヤホンが欲しい!
昔から音楽を聴きながらラノベを読むのが大好きだった。でもそん事言えるわけもなく、ミハイルさんに欲しいものはないと言うとがっかりされた。
そうこうしているうちにダイニングルームに着く。
部屋に入ると公爵家の皆さんに暖かく迎えられる。親を亡くしてからずっと一人だったからこの環境はこそばゆい… ミハイルさんに椅子を引いてもらい着席すると給仕が始まり目の前に沢山の料理が運ばれて来る。
あれだけお腹が空いていたのに凄い量の料理に胸やけしてきた。でも頑張って食べましたよ!昨日より
食事が終わったらジョシュさんが席まで来て手を差し伸べてラウンジでお茶に誘われた。
レイモンド様と話していたミハイルさんは焦って立上り
「ジョシュ!春香になんの用だ」
「兄上には関係ない。姉上に図書館での事を聞いておきたい」
「俺も行く」
「兄上。私は姉上と話したいので遠慮ください」
2人が睨み合いになった。間に挟まれ身の置き場がない。部屋に帰りたい… 部屋でヤドカリになりたい気分だ。
「ミハイルは私の執務室に来なさい。ジョシュ。春香は病み上がりだ、無理をさせない様に早めに部屋に送りなさい」
「はい。父上」
ジョシュさんに手を引かれダイニングルームを後にした。いつもは穏やかな雰囲気のジョシュさんは今日はなんだか怖い。本当はお茶なんて飲みたくない。でも私の我儘で図書館に連れてってもらって、騒動を起こして知らんぷりは出来ない。でも何を聞かれるんだろう⁈ 彼には言っていい事と駄目な事があるから気をつかうんだけど… ラウンジに着いてソファーに座ると侍女さんがお茶を入れてくれた。
ジョシュさんはソファーにゆったりと座り足を組んでまっすぐ見据えてきます。
今の私は圧迫面接を受ける学生のようだ。
「私は王宮騎士団で王族の警護する騎士です。姉上。図書館でローランド殿下とお会いしていますね」
「えっと…アクシデントがあり助けて頂いたのが、どうやら殿下だった様です。屋敷に帰るまで知らなかったんです」
「母上から連絡を受けて対処できましたが驚きましたよ。今日は朝から殿下の執務室に缶詰で姉上の事を色々聞かれ、挙句に姉上に送るドレス選びまで付き合わされ疲れ果てました。私も贈りたいのに…
父上から殿下の加護持ちの話はお聞きですか?」
「え…と…ちらっとだけ…」
ジョシュさんは大きな溜息を一つ吐いて
「殿下は優秀で公務も完璧にこなされ、剣術にも長けた素晴らしいお方だ。しかし迷い人以外と婚姻出来ない殿下は未だ迷い人と出逢われておられない。そんな殿下は令嬢達の憧れ的で、婚約者いるにも関わらず殿下に見そめられたい令嬢が後をたたない。
殿下はお優しくそんな彼女達を無碍になさらず、それを勘違いした令嬢達は殿下に心酔し婚約破棄するレディもいると聞きます」
『やっぱりハイスペックな男性はどこでもモテモテなんだ』
そして王城では殿下に見初めてもらいたい令嬢達の小競り合いが頻発し、ジョシュさんは私がその小競り合いに巻き込まれるのをは心配してくれている。まだその令嬢達に会った事はないけど、アビー様や公爵家の皆さんを見て分かるけど、この世界の美形率は高い。そんな彼女達が私をライバルと認識する事はないと思うんだけど…
でもジョシュさんが心配してくれた事は素直に嬉しい。そんなジョシュさんを安心させたくて
「恐らくお美しい令嬢達は私なんかライバルにする訳ないですよ。さっと殿下にお礼を言い直ぐ帰ってきます。それにジョシュさんが付き添ってくれるんでしょ⁈ 私心配なんかしてないですよ」
そう言うとジョシュさんは微笑み大きな手で頭を撫でてくれた。この後少しジョシュさんと話をする。
ジョシュさんはラノベに登場する王子の様に美丈夫で、その眼差しはとても色っぽく直視出来ない。
そして話し込んでいたらマリーさんが迎えにきた。
するとジョシュさんは立ち上がり手を差し伸べてくれる。手を重ねると引っ張られ抱きしめられた。
背が高いジョシュさんの立派なお胸に丁度耳が当たり、はやい鼓動を感じ私までドキドキしてきた。
「ジョシュさん?」
「兄上と合わない時は…」
「へ?」
聞き返すと腕をほどき微笑んで頬に口付けた。私はそれをお休みの挨拶と認識し
「明日はよろしくお願いします。ではおやすみなさい」
挨拶したのにジョシュさんは楽しそうに笑って、おやすみの挨拶をしてお部屋に戻られた。
何で笑ったのか分からなかったけど、機嫌よくなったからいいのかなぁ?
「春香様。お部屋にお戻りですか?」
「はい。クロードさんも遅いからお休み下さいね」
「お心遣いありがとうありがとうございます。よければお部屋までお送りしますよ」
「大丈夫です。ありがとう」
クロードさんは振り返り執務室に戻って行きます。まだお仕事が残っているのかなぁ?
挨拶したしゆっくり帰ろうと歩き出したら
「春香!」
振り返ると執務室からミハイルさんがこちらに向かってくる。
「ミハイルさんお休みな…」
「何故送らせてくれない!」
「えっと…大丈夫そうだし一人で考えたいし」
私をじっと見つめているミハイルさん。
「少し待って欲しい。俺は春香に会うまで女性に関心を持った事がない。いや感じていたのは煩わしさだけ。だから女性にどう好意を向けていいのかが分からない。森で春香を助けこの腕に抱いた時から俺の心は春香でいっぱいだ。しかし思うように伝えられない。情け無いなぁ…」
「えっと…まだ私も気持ちの整理がつきません。それに私も男性とどう接していいか分からない事が多いんです。だから初心者同士まずは友達から始めませんか?」
「それは遠回しに嫌という事か?」
「違います!友達から始めたら気取らす自分を出せる気がしてですね…」
すると拗ねたようで
「それは嫌だ…私は春香の特別になりたい」
「えっと…」
深夜の廊下で何してんだろう⁈もう早く帰って寝たいのに…ため息を吐いて
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お辞儀して歩き出し
『もう帰る!帰らしてくれ…』
しかし歩き出すと手を取られて
「部屋まで送らせてくれ…頼む…」
「分かりました。よろしくお願いします」
拒否する方が面倒臭いよ。
ミハイルさんと手を繋いで深夜の廊下を歩く。
歩みが遅い私に合わせて歩いてくれるミハイルさん。時折りミハイルさんの視線を感じるが疲れていて答える気がしない。
猛烈に眠いし足が覚束無い。階段にさしかかり1段目に足をかけた時見事にバランスを崩した。
「うっわ!」
繋いだ手を引っ張られて流れるように抱き上げられた。
「部屋までこのままで…」
「すみません。よろしくお願いします」
もう断るのもしんどい。ミハイルさんは私を抱えて階段を上がって行く。やっぱり鍛えているからか息が乱れない。私もちょっと鍛えようかなぁ…
そんな事を考えていたら部屋に着いた。
部屋に入るとマリーさんが居てびっくり。起きて待っていてくれたのが嬉しくて、でも申し訳ないやらで気持ちが散らかってます。
ミハイルさんにお礼を言うと微笑み額にキスをして戻って行かれた。こうして長かった1日を終えたのでした。
「○¢□×…」
誰か近くで話してしている?まだ眠い…大きく温かい手が頬をなでている? 気持ちいい…
思わず頬に触れる手を取った。
「春香…」
目を覚ますと目の前に綺麗な顔のミハイルさん!
「!」
びっくりして固まる私をよそに抱きついてくるミハイルさん。
「旦那様と奥様にお知らせして参ります」
クロードさんいるの?抱きつかれて何も見えない!
ミハイルさんに絞められ…もとい抱きしめられて苦しい。ミハイルさんの背中を叩いてやっと解放された。公爵家の方々の抱擁は一歩間違うと絞め殺されるから注意が必要だ。
「おはようございます。でもなんで寝室にいるんですか?婚約者とはいえ勝手に寝室は駄目ですよ」
「しかし春香が!」
「はるかちゃーん!!」
凄い勢いでアビー様が入ってきてミハイルさんを押しのけた。アビー様に抱きつかれ呆然としていると
「良かったわ。そのまま起きなかったら私は立ち直れなかった。あの滋養強壮剤を作った薬師を絞め上げるところだったわ」
「えっと…状況説明をお願いします。私一人置いてきぼりです」
「・・・そりゃ心配しますね」
昨晩就寝して今は10時。どうやら半日以上眠っていたようだ。起こしても反応がなく呼吸も浅かっ為た医師に診てもらい、明日になっても目覚めない時は気付け薬を使う話までしてあったそうだ。
『どれだけ寝るねん!私!』
当の本人は睡眠ばっちりでお腹が大合唱している。
アビー様が夕食が食べれそうかと聞いてくれたので、大きく頷くと何故か頭を撫でられた。
自分で一番シンプルなワンピースを選び着替え準備OK!寝室を出たら部屋でミハイルさんが待っていて、一緒に行ってくれるみたいだ。
当たり前の様に手を差し伸べられる。少し戸惑ったがこの押問答する時間が無駄。だって今の私は腹ペコなのだ。ミハイルさんの手を取りダイニングルームに向かう。
ダイニングルームに向かう道すがら驚く話を聞く。お昼過ぎにまた宮廷医が往診に来た様で丁度寝ていたので、簡単に診察をして帰って行ったようだ。
やっぱり仮病を疑っていた。そして私の長寝は案外役に立っていた。色々話をしているけどミハイルさんの様子がおかしい⁈
「何かあったんですか?」
「・・・が届いたが言いたくない」
「えっ?何が届いたんですか?」
何度か聞いたらやっと教えてくれた。どうやらローランド殿下からドレスが届いたそうだ。それを着て来いって事?
ミハイルさんは不機嫌に欲しいものが無いか聞いてくる。欲しい物はある!でもこの世界には無い!スマホが欲しい!Bluetoothイヤホンが欲しい!
昔から音楽を聴きながらラノベを読むのが大好きだった。でもそん事言えるわけもなく、ミハイルさんに欲しいものはないと言うとがっかりされた。
そうこうしているうちにダイニングルームに着く。
部屋に入ると公爵家の皆さんに暖かく迎えられる。親を亡くしてからずっと一人だったからこの環境はこそばゆい… ミハイルさんに椅子を引いてもらい着席すると給仕が始まり目の前に沢山の料理が運ばれて来る。
あれだけお腹が空いていたのに凄い量の料理に胸やけしてきた。でも頑張って食べましたよ!昨日より
食事が終わったらジョシュさんが席まで来て手を差し伸べてラウンジでお茶に誘われた。
レイモンド様と話していたミハイルさんは焦って立上り
「ジョシュ!春香になんの用だ」
「兄上には関係ない。姉上に図書館での事を聞いておきたい」
「俺も行く」
「兄上。私は姉上と話したいので遠慮ください」
2人が睨み合いになった。間に挟まれ身の置き場がない。部屋に帰りたい… 部屋でヤドカリになりたい気分だ。
「ミハイルは私の執務室に来なさい。ジョシュ。春香は病み上がりだ、無理をさせない様に早めに部屋に送りなさい」
「はい。父上」
ジョシュさんに手を引かれダイニングルームを後にした。いつもは穏やかな雰囲気のジョシュさんは今日はなんだか怖い。本当はお茶なんて飲みたくない。でも私の我儘で図書館に連れてってもらって、騒動を起こして知らんぷりは出来ない。でも何を聞かれるんだろう⁈ 彼には言っていい事と駄目な事があるから気をつかうんだけど… ラウンジに着いてソファーに座ると侍女さんがお茶を入れてくれた。
ジョシュさんはソファーにゆったりと座り足を組んでまっすぐ見据えてきます。
今の私は圧迫面接を受ける学生のようだ。
「私は王宮騎士団で王族の警護する騎士です。姉上。図書館でローランド殿下とお会いしていますね」
「えっと…アクシデントがあり助けて頂いたのが、どうやら殿下だった様です。屋敷に帰るまで知らなかったんです」
「母上から連絡を受けて対処できましたが驚きましたよ。今日は朝から殿下の執務室に缶詰で姉上の事を色々聞かれ、挙句に姉上に送るドレス選びまで付き合わされ疲れ果てました。私も贈りたいのに…
父上から殿下の加護持ちの話はお聞きですか?」
「え…と…ちらっとだけ…」
ジョシュさんは大きな溜息を一つ吐いて
「殿下は優秀で公務も完璧にこなされ、剣術にも長けた素晴らしいお方だ。しかし迷い人以外と婚姻出来ない殿下は未だ迷い人と出逢われておられない。そんな殿下は令嬢達の憧れ的で、婚約者いるにも関わらず殿下に見そめられたい令嬢が後をたたない。
殿下はお優しくそんな彼女達を無碍になさらず、それを勘違いした令嬢達は殿下に心酔し婚約破棄するレディもいると聞きます」
『やっぱりハイスペックな男性はどこでもモテモテなんだ』
そして王城では殿下に見初めてもらいたい令嬢達の小競り合いが頻発し、ジョシュさんは私がその小競り合いに巻き込まれるのをは心配してくれている。まだその令嬢達に会った事はないけど、アビー様や公爵家の皆さんを見て分かるけど、この世界の美形率は高い。そんな彼女達が私をライバルと認識する事はないと思うんだけど…
でもジョシュさんが心配してくれた事は素直に嬉しい。そんなジョシュさんを安心させたくて
「恐らくお美しい令嬢達は私なんかライバルにする訳ないですよ。さっと殿下にお礼を言い直ぐ帰ってきます。それにジョシュさんが付き添ってくれるんでしょ⁈ 私心配なんかしてないですよ」
そう言うとジョシュさんは微笑み大きな手で頭を撫でてくれた。この後少しジョシュさんと話をする。
ジョシュさんはラノベに登場する王子の様に美丈夫で、その眼差しはとても色っぽく直視出来ない。
そして話し込んでいたらマリーさんが迎えにきた。
するとジョシュさんは立ち上がり手を差し伸べてくれる。手を重ねると引っ張られ抱きしめられた。
背が高いジョシュさんの立派なお胸に丁度耳が当たり、はやい鼓動を感じ私までドキドキしてきた。
「ジョシュさん?」
「兄上と合わない時は…」
「へ?」
聞き返すと腕をほどき微笑んで頬に口付けた。私はそれをお休みの挨拶と認識し
「明日はよろしくお願いします。ではおやすみなさい」
挨拶したのにジョシュさんは楽しそうに笑って、おやすみの挨拶をしてお部屋に戻られた。
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