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11.ジークヴァルト 〜 前世 3 〜
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やっと王城に着き入場する為に並ぶ。するとさっきまで微笑んでいたエミリアの顔が曇る。彼女の視線を追うと彼奴がいた。纏わり付くような視線をエミリアに送っている。直ぐにエミリアと立ち位置を代わり彼奴の視線からエミリアを護る。そして暫く彼奴と睨み合いになる。
すると彼奴の順番が来て睨み合いが終わった。
入場しエミリアの親友のレジーナ嬢と合流し歓談していたら、エリアス殿下が入場され挨拶の列が出来る。エミリアの手を取り並び程なく順番が来た。
殿下に緊張しているエミリアは可愛らしい。誰もいなければ抱きしめるのに!
殿下は気さくにエミリアに話しかけ、それを見ていると嫉妬する自分がいる。今日はアカデミーでエミリアの味方になってもらう為に、エリアス殿下やマルクスにエミリアを会わすのが目的だ。
嫉妬しているのが殿下にバレバレで揶揄われる。仕方ないそれだけエミリアに惚れているのだから…
挨拶が終わると殿下がファーストダンスを踊り、次にエミリアをエスコートしダンスフロアのど真ん中に向かう。するとエミリアが
「アルフ!目立ちたく無いの!端がいいわ」
「いや!俺の婚約者が君だと言う事を知らしめたいんだ!だから目立つ所で踊る!」
こうして半ば強引にフロアのど真ん中で踊り出した。エミリアとのダンスは2人だけの世界だ。俺を見つめるエミリア。俺の瞳にはエミリアしか映らない。至福のひとときに酔っていた…
この後、とんでもない事態になるとも知らずに…
ダンスの後歓談していたらうちの従者が慌てて来た。どうやら父上が呼んでいる様だ。妙な胸騒ぎを覚えつつエミリアを連れて父上の元へ急ぐ。父上が視界に入り絶句する。
『何故父上がイグラス公爵とケインといるんだ!』
公爵は威圧的な態度で俺にエミリアとの婚約を解消しろと言って来た。高位貴族に歯向かえない父上は逃げ口上で本人の意思に任せると言った様だ。
父上が取引先の隣国の公爵家と交渉中なのを知った公爵が、隣国の公爵家への仲介を餌に俺らの婚約破棄を迫ってきた。更に俺に相手まで充てがうつもりだ。大公爵がやる事がやる事とは思えん!イグラス家は今の当主になってからいい噂を聞かないと、マルクスが話していたのを思い出した。叩けば色々出てきそうだ。
ふとエミリアを見ると顔色が悪く小刻みに震えている。
『つっ!』
ケインが纏わり付くような視線をエミリアに向けていた。彼奴に得体の知れない恐怖を感じていると公爵が
「子として家の為になるのが普通でしょう。親を思うなら分かるね」
と隠す事なく脅迫して来る。覚悟を決めた様な表情の父上に心揺らいだが、エミリアだけは譲れない!俺が侯爵家から抜ければいい。そして実力で地位を得てエミリアを迎えに行けばいいのだ!決心し発言しようとしたら…
エリアス殿下がお見えになり間に入ってくれた。殿下は真っ直ぐなお方で卑怯な事や嘘が何より嫌いだ。公爵のやり方やケインに嫌悪を抱いたのだろう。
殿下のお陰で解消しないと意思表示出来た。それにエミリアも同じ気持ちを確認でき愛を再確認する。
それにしてもケインは不気味な奴だ。見た目は男が見ても美麗な容姿だが、その裏に言いようの無い闇を感じる。見事にエミリアとの縁を断ち切ったエリアス殿下を彼奴すごい目で見ている。殿下はそれを鼻で笑いあしらって相手にもしない。
話は終わり殿下と一緒にエミリアを待つレジーナ嬢の元に向かう。気が張っていたエミリアはレジーナ嬢の顔を見た途端泣き出してしまった。レジーナ嬢に付き添われ落ち着くまで控室で休む事になった。すると殿下が…
「アルフ。彼奴はこれで終わる奴では無い。公爵は権力が無ければ気の小さな男だから、先ほどの事で暫くは静かになるだろう。やはり訓練所に入る前に俺に騎士の誓いを立て公表した方がいい」
「エリアス殿下…」
落ち着いたエミリアを殿下とマルクス、婚約者のケイミー嬢を会わせて交流をもった。
案外ケイミー嬢とエミリア、レジーナは気が合った様で、後日お茶会の約束をしていた。
この後殿下は見事にレジーナ嬢との距離を縮め、ダンスに誘い一曲踊っていた。流石です殿下!
この感じならエミリアの学園生活は安心できそうだ。
こうしてハプニングが有ったが無事殿下の誕生パーティーは終える事が出来た。
後日…
「アルフ聞いたか?」
「何をだ?マルクス」
「ケインが仮の婚約者を決めたそうだ」
「本当か⁉︎」
情報通のマルクスに入った話では、相手は隣国の侯爵令嬢で美しく才女らしい。マルクスはケインの従姉妹から直接聞いたから間違いないと言う。その令嬢はマルラン王国のアカデミーに留学してくるそうだ。
「信じられないなぁ…」
「公爵が隣国の利権のために結んだ縁組らしい。どうやら令嬢がケインにぞっこんの様だ」
一安心だとマルクスは言うが彼奴が簡単にエミリアを諦めるなんて考えられない。
それから5日後に訓練所に入る前に陛下の前で、殿下の騎士になる誓いを立てる。父上も兄上も殿下の騎士になる事を賛成してくれた。2人共エミリアを娘や妹の様に思ってくれ、エミリアを守れるならそうしなさいと応援してくれた。
訓練所入所まで準備が忙しい中、出来うる限りエミリアと逢瀬を重ねお互いの気持ちを確かめ合う。そして入所前日に王都外れの森にエミリアと散策に出かける。俺は今日エミリアに求婚するんだ。
本当は儀式が終わるまでは正式に求婚はしてはいけない。しかし…儀式が終わると求婚ラッシュが始まる。意中の女性に他の男が求婚する可能性がある。だから内密に先にするそうだ。エド兄もジョー兄もアカデミー入学前にしていた。だから俺も今日エミリアに…
木漏れ日が溢れる大きな木の下で跪きエミリアの手を取りプロポーズする。護衛の騎士には事前に話してあり、合図をすると距離をとってくれる。そうして…
エミリアは求婚を受けてくれた。鼓動がうるさくて鳥の囀りなんて聞こえ無い。柔らかいエミリアの頬を両手で包むと小さく可愛らしいエミリアの唇に俺の唇を重ねる。すると色白のエミリアの頬が赤くそまる。興奮した俺は柔らかい唇を感じたくて再度唇を重ねる。
俺が今まで生きて来た中で一番幸せな瞬間だった。冷静を装っているが、走り回り大声で歓喜上げたい!
明日訓練所に入所し辛い日々が始まるが、エミリアとの将来を思えば耐えれそうだ。
こうして俺は翌日訓練所に入所した。
すると彼奴の順番が来て睨み合いが終わった。
入場しエミリアの親友のレジーナ嬢と合流し歓談していたら、エリアス殿下が入場され挨拶の列が出来る。エミリアの手を取り並び程なく順番が来た。
殿下に緊張しているエミリアは可愛らしい。誰もいなければ抱きしめるのに!
殿下は気さくにエミリアに話しかけ、それを見ていると嫉妬する自分がいる。今日はアカデミーでエミリアの味方になってもらう為に、エリアス殿下やマルクスにエミリアを会わすのが目的だ。
嫉妬しているのが殿下にバレバレで揶揄われる。仕方ないそれだけエミリアに惚れているのだから…
挨拶が終わると殿下がファーストダンスを踊り、次にエミリアをエスコートしダンスフロアのど真ん中に向かう。するとエミリアが
「アルフ!目立ちたく無いの!端がいいわ」
「いや!俺の婚約者が君だと言う事を知らしめたいんだ!だから目立つ所で踊る!」
こうして半ば強引にフロアのど真ん中で踊り出した。エミリアとのダンスは2人だけの世界だ。俺を見つめるエミリア。俺の瞳にはエミリアしか映らない。至福のひとときに酔っていた…
この後、とんでもない事態になるとも知らずに…
ダンスの後歓談していたらうちの従者が慌てて来た。どうやら父上が呼んでいる様だ。妙な胸騒ぎを覚えつつエミリアを連れて父上の元へ急ぐ。父上が視界に入り絶句する。
『何故父上がイグラス公爵とケインといるんだ!』
公爵は威圧的な態度で俺にエミリアとの婚約を解消しろと言って来た。高位貴族に歯向かえない父上は逃げ口上で本人の意思に任せると言った様だ。
父上が取引先の隣国の公爵家と交渉中なのを知った公爵が、隣国の公爵家への仲介を餌に俺らの婚約破棄を迫ってきた。更に俺に相手まで充てがうつもりだ。大公爵がやる事がやる事とは思えん!イグラス家は今の当主になってからいい噂を聞かないと、マルクスが話していたのを思い出した。叩けば色々出てきそうだ。
ふとエミリアを見ると顔色が悪く小刻みに震えている。
『つっ!』
ケインが纏わり付くような視線をエミリアに向けていた。彼奴に得体の知れない恐怖を感じていると公爵が
「子として家の為になるのが普通でしょう。親を思うなら分かるね」
と隠す事なく脅迫して来る。覚悟を決めた様な表情の父上に心揺らいだが、エミリアだけは譲れない!俺が侯爵家から抜ければいい。そして実力で地位を得てエミリアを迎えに行けばいいのだ!決心し発言しようとしたら…
エリアス殿下がお見えになり間に入ってくれた。殿下は真っ直ぐなお方で卑怯な事や嘘が何より嫌いだ。公爵のやり方やケインに嫌悪を抱いたのだろう。
殿下のお陰で解消しないと意思表示出来た。それにエミリアも同じ気持ちを確認でき愛を再確認する。
それにしてもケインは不気味な奴だ。見た目は男が見ても美麗な容姿だが、その裏に言いようの無い闇を感じる。見事にエミリアとの縁を断ち切ったエリアス殿下を彼奴すごい目で見ている。殿下はそれを鼻で笑いあしらって相手にもしない。
話は終わり殿下と一緒にエミリアを待つレジーナ嬢の元に向かう。気が張っていたエミリアはレジーナ嬢の顔を見た途端泣き出してしまった。レジーナ嬢に付き添われ落ち着くまで控室で休む事になった。すると殿下が…
「アルフ。彼奴はこれで終わる奴では無い。公爵は権力が無ければ気の小さな男だから、先ほどの事で暫くは静かになるだろう。やはり訓練所に入る前に俺に騎士の誓いを立て公表した方がいい」
「エリアス殿下…」
落ち着いたエミリアを殿下とマルクス、婚約者のケイミー嬢を会わせて交流をもった。
案外ケイミー嬢とエミリア、レジーナは気が合った様で、後日お茶会の約束をしていた。
この後殿下は見事にレジーナ嬢との距離を縮め、ダンスに誘い一曲踊っていた。流石です殿下!
この感じならエミリアの学園生活は安心できそうだ。
こうしてハプニングが有ったが無事殿下の誕生パーティーは終える事が出来た。
後日…
「アルフ聞いたか?」
「何をだ?マルクス」
「ケインが仮の婚約者を決めたそうだ」
「本当か⁉︎」
情報通のマルクスに入った話では、相手は隣国の侯爵令嬢で美しく才女らしい。マルクスはケインの従姉妹から直接聞いたから間違いないと言う。その令嬢はマルラン王国のアカデミーに留学してくるそうだ。
「信じられないなぁ…」
「公爵が隣国の利権のために結んだ縁組らしい。どうやら令嬢がケインにぞっこんの様だ」
一安心だとマルクスは言うが彼奴が簡単にエミリアを諦めるなんて考えられない。
それから5日後に訓練所に入る前に陛下の前で、殿下の騎士になる誓いを立てる。父上も兄上も殿下の騎士になる事を賛成してくれた。2人共エミリアを娘や妹の様に思ってくれ、エミリアを守れるならそうしなさいと応援してくれた。
訓練所入所まで準備が忙しい中、出来うる限りエミリアと逢瀬を重ねお互いの気持ちを確かめ合う。そして入所前日に王都外れの森にエミリアと散策に出かける。俺は今日エミリアに求婚するんだ。
本当は儀式が終わるまでは正式に求婚はしてはいけない。しかし…儀式が終わると求婚ラッシュが始まる。意中の女性に他の男が求婚する可能性がある。だから内密に先にするそうだ。エド兄もジョー兄もアカデミー入学前にしていた。だから俺も今日エミリアに…
木漏れ日が溢れる大きな木の下で跪きエミリアの手を取りプロポーズする。護衛の騎士には事前に話してあり、合図をすると距離をとってくれる。そうして…
エミリアは求婚を受けてくれた。鼓動がうるさくて鳥の囀りなんて聞こえ無い。柔らかいエミリアの頬を両手で包むと小さく可愛らしいエミリアの唇に俺の唇を重ねる。すると色白のエミリアの頬が赤くそまる。興奮した俺は柔らかい唇を感じたくて再度唇を重ねる。
俺が今まで生きて来た中で一番幸せな瞬間だった。冷静を装っているが、走り回り大声で歓喜上げたい!
明日訓練所に入所し辛い日々が始まるが、エミリアとの将来を思えば耐えれそうだ。
こうして俺は翌日訓練所に入所した。
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