女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

文字の大きさ
56 / 193

56.ふくよか

しおりを挟む
今部屋に向ってるがなぜかキース様に抱っこされている。調子は戻って平気だと何度も断ったのに許してくれず、半ば強引に抱っこされてポールさんもクリスさんも最後は諦めた。目立つ私達を行きかう人の視線が集まる。

「キース様。私痩せたいので歩きたいんです。だから下ろしてほしいです」
「多恵様!これ以上痩せられると消えてしまいますよ。今のままで十分だしもう少しふくよかになられてもいいかと…」

人生で初めて太れと言われて感動した。でもやっぱり姫抱っこは刺激が強く、早く下ろしてほしい。


『あっ!』

やっと部屋の近くに来た。恥ずかしいのもあと少しと思っていたら、手前の廊下からトーイ殿下が現れた。思わず顔が引きつる。

「多恵殿!どうされました?」

驚いた表情をしたトーイ殿下が駆け寄って来る。

「書物庫で少し気分が悪くなったところをキース様に助けて頂いて、部屋まで送っていただきました。もう大丈夫なので自分で歩くと言ったのですが、キース様が意地悪して下ろしてくれません」

トーイ殿下は楽しそうに笑いながら

「キース殿。気持ちは分かるが下ろしてあげなさい。あまり悋気やきもちが過ぎると嫌われるぞ」
「ええ。そうですね」

やっと下ろしてもらい“ほっ”とする。その様子を見て楽しそうに笑うトーイ殿下。いつも通りトーイ殿下に安心する。殿下と立ち話をしていたら4刻の鐘の音が聞こえてきた。
すると廊下の向こうから交代の騎士さん2名と女性騎士さん…あっ!ミリアさんがこっちに来る。騎士が1名増えるって女性騎士だったんだ。事件以降ミリアさんに会う間が無くて気になっていたの!

「ミリアさん!」

嬉しくて走りだそうとしたらキース様に腕を取られ肩を抱かれた。

「キース様?」
「私が居るのをお忘れなく」
「えっ?あっはい?」

するとトーイ殿下が大きな溜息を吐き

「だから…それが悋気やきもちなのですよキース殿」 

トーイ殿下は苦笑している。そしてミリアさんが駆け寄り、手を取り合い再会を喜ぶ。そして遅れて今日の当番のデュークさんと新人さん? がやってきてご挨拶頂きました。やはり新人さんでマックスさんです。しっかり覚えますね!よろしく

「本日より今までの護衛に女性騎士が1名増えます。女性騎士は部屋の中や男性が付き添えい場所までも護衛いたします。多恵様が嫌がられることは致しませんので、思う所があれば遠慮なくおしゃって下さい」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」

挨拶を終え任務終了のポールさんとクリスさんに、先ほどの書物庫の件を内緒にしてほしいとお願いするも無理だと言われ、今晩アーサー殿下の訪問が決定してしまった。

肩を落としながら部屋に入るとサリナさんが迎えてくれる。キース様が一緒なのに違和感が無いの?

「多恵様お帰りなさいませ。閣下。本日は多恵様をお助けいただきありがとございます。昼食の用意が出来てございます。こちらへどうぞ」

食卓を見るときっちり2人分用意されている。なんで?城内の情報伝達の速さに驚かされる。もしかして密かに無線とか備わっているの?

そのままの流れでキース様と食事を共にする。緊張するかと思ったが意外に楽しかった。キース様は他国にもよく行かれるので話題が豊富。箱庭の男性は一見無口そうに見えるが話し上手な方が多い。

「多恵様はチョコラーテがお好きなようですが、リリスの箱庭でチョコラーテを取り扱う店は我が領地に1件とモーブル王国に1件しかありません。
チョコラーテの主材料のカカオスが第4女神の箱庭にしか無く、それを輸入し作られています。舞踏会が終わりましたらお店に行きましょう。店内でも食する事が出来ますよ」
「私の世界にもチョコラーテに似た食べ物があり大好きだったので嬉しいです。お忙しいでしょうからお暇な時にお付き合いください」

またお出掛けの予定が出来て嬉しい。正面に座るキース様は穏やかに微笑んでいたのに急にクスクス笑い出した? 訳が分からず首を傾げると

「多恵様は思われている事が全て表情に出ますね。今、外出予定が出来て嬉しかったのでは?」

当たり!思わず拍手してしまった。更に笑うキース様。ちょっと失礼になってきましたよ!

「キース様は特別な能力があるのですか?例えば人の心を読んだり…」

もしそうなら心に強固なシャッター付けないと!

「有れば貴女の今の悩みも理解出来るのですが!」

キース様鋭いから怖い。逃げたくてサリナさんに目配せすると

「閣下。ご歓談のところ申し訳ありませんが、多恵様はレッスンの用意がございますので、一旦退席させていただきます」

綺麗な礼をして私の手を取り立ち上がらせてくれた。私も礼をし退室する。

衣装部屋に入り大きく息を吐き

「サリナさん!ナイスフォローありがとう」
「お褒めいただき光栄でございます。書物庫で何かございましたか? キース様は多恵様を観察しておいでといいますか、探っている様にお見受けしますが…」

鋭いサリナさんに心の中で拍手を送る。

「やっぱりか…有るには有るけど、まだ私自身が整理出来ていなくて話せる状況ではないの」
「分かりました。お話されたい時はいつでもどうぞ。暫くはキース様との会話の時は私も注意し、お助け出来る様にしますので遠慮なく頼って下さい」

助っ人登場に気が楽になった。それにしてもこの件は誰に相談していいかも分からない。
近いうちにケニー様と会うのに大丈夫なの私!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

残念女子高生、実は伝説の白猫族でした。

具なっしー
恋愛
高校2年生!葉山空が一妻多夫制の男女比が20:1の世界に召喚される話。そしてなんやかんやあって自分が伝説の存在だったことが判明して…て!そんなことしるかぁ!残念女子高生がイケメンに甘やかされながらマイペースにだらだら生きてついでに世界を救っちゃう話。シリアス嫌いです。 ※表紙はAI画像です

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

子供って難解だ〜2児の母の笑える小話〜

珊瑚やよい(にん)
エッセイ・ノンフィクション
10秒で読める笑えるエッセイ集です。 2匹の怪獣さんの母です。12歳の娘と6歳の息子がいます。子供はネタの宝庫だと思います。クスッと笑えるエピソードをどうぞ。 毎日毎日ネタが絶えなくて更新しながら楽しんでいます(笑)

処理中です...