女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

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98.確執

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シリウスさんが帰り疲れ切ってソファーに沈んでいると、ケイティさんが昼食の準備をしてくれている。食欲ない…でも要らないって言ったら、余計にややこしくなるなから少しでも食べよう。
昼食はサラダとスープパスタとバケットだから、サラダは食べよう。
大半を残したらケイティさんにお小言をもらった。
最近サリナさんがお姉ちゃんで、ケイティさんがお母さんで、エレナさんが妹ちゃんになっているなぁ。

小言から解放されてオーランド様が来る5刻までのんびり過ごすが、舞踏会が差し迫っているからか、侍女の皆さんは慌ただしい。
私はやる事もなくソファーでぼんやりしていると座ったまま眠っていた。最近疲れが溜まっているせいか、気が付くと寝ている事が多い。
時間になりサリナさんに起こされた。気がつくとケイティさんは見あたらず交代の時間になっていたようだ。そしてあることに気づき

「サリナさん。最近エレナさん見ないけど他のお仕事?」
「最後に正式にご挨拶があると思いますが、エレナさんは縁談が進みお暇をいただく事になると思われます。多恵さんにお仕えするには1日勤務になる為、嫁ぐ準備が出来ない様で今は別の仕事に就いています」

思わず立ち上がり

「え!いつの間にそんな話になっていたの?お相手は?」

どうやらレオン元皇太子の事件の時に話が進み、お相手の家の事情で婚姻を急いでいるらしい。お相手は子爵家嫡男でグラント様の部下。グラント様が宰相になったら側近になる優秀な方らしい。どうやらグラント様が私の所にくる事が多く、連絡役で接点がありエレナさんが見染められた様だ。その男性は見る目がある!エレナさんは可愛らしく周りを明るく出来る子だもん! なんか姪っ子が嫁にいく様な感覚だ。複雑…

ケイティさんも婚約者いるし…ふとサリナさんの恋愛事情が気になり、軽い持ちで聞いてみたら

「私は生涯独身を通すつもりでございます。叶うなら多恵さんについていきたいのです」
「勿体無いよ!サリナさん美人で優秀だからどこかの跡取りとの縁が有りそうなのに…」

そう言うと困った顔をしたサリナさんは

「私の想う方には届きませんので、その方の幸せを遠くて見守れればそれで…」

淋しそうに笑うサリナさんにそれ以上聞く事が出来なかった。相手は既婚者か婚約者がいるか、はたまた身分違いか…サリナさんにも幸せ掴んで欲しいのに… 私に出来る事あるだろうか…

部屋に微妙な空気になっていたら、オーランド殿下の先触れが来た。サリナさんに促されソファーの横に立ちお迎え準備をする。

オーランド殿下がいらしゃった。お付きは騎士様で柔かな愛嬌のある感じの方だ。
ご挨拶をして着席するとサリナさんがお茶の準備に入る。なんだろう…お付きの騎士さんの視線をすごく感じる。ちょい不躾だなぁ…思わず

「私に対して何か思う所が有ればお聞きしますよ騎士様」

驚いたオーランド殿下が立ち上がり胸に手を当てて深々と謝罪されます。騎士さんは表情明るく勝手に納得している感じだ。意味わからん。

「多恵様。殿下発言許可を!」

オーランド殿下は視線を私に向けて聞いてきたので頷いた。

「私はオーランド殿下の護衛騎士でカイルて申します。殿下とは幼き時からの付き合いで俗に言う幼馴染です。多恵様に失礼な態度取り改めて謝罪いたします」
「謝罪お受けしました。間違っていたらごめんなさい。ワザと不躾な態度で私の反応を見たかったのではありませんか?」

カイルさんさ嬉しそうに笑い、ソファーに座る殿下の肩を叩きながら

「安心しました。殿下からは貴女は前乙女とは何もかも違うと聞いていました。我々は前乙女には感謝しておりますが、同じくらい忌み嫌っているのです。それ故ワザと失礼な態度を取り試したのです。
いゃーよかったなオーランド!俺は安心した」

意味が分からずキョトンとしていたら、背後から冷気を感じます。振り向くとサリナさんが氷点下の空気を纏い立っています。

「多恵様。発言許可を」
「えっとサリナさん冷静に失礼の無いようにね」

こういう時のサリナさん容赦無いからなぁ…ちょい心配

「多恵様に御面会をご希望されたのは殿下でございます。多恵様は女神の乙女で有らせられます。今後この様な発言を繰り返される様でしたら、お引き取り頂きます」
「サリナさんそんなに失礼じゃー無いし、私怒って無いよ!」
「多恵様はお優しい過ぎます!」

やばし!サリナさん過保護が暴走した。話題を変えないと!

「前の乙女のレベッカさんの伝記読みました。私が足元に及ばない程、素晴らしい功績を残されていますよね。そんな方を嫌うって理解出来ないのですが」
妖精王フィラから何もきいていませんか?」

「詳しく聞くきっかけがなくて…あ!でも前の乙女のせいでフィラのお母様が本当の番を得られなかったって言っていました」

オーランド殿下は苦々しい顔して話し出した。
前乙女のレベッカは前妖精女王シュリの番を略奪し、妖精達の信頼を失くし妖精の加護を失った原因を作った張本人らしい。
技術や知識は素晴らしいものを齎したが、妖精の加護を失くし自然の恵を失ったそうだ。
レッグロッドの問題はフィラと妖精達との和解。これは一筋縄ではいかないヤツだ。物理的な問題は知識と物で何となるけど、対人になると感情が入るから厄介だ。

「分かりました。詳しくは舞踏会後の話し合いの席の時に詳しくお聞きして、フィラからも聞きます」

重い空気を変えたくて殿下に宝飾品の話を振る。殿下は私の意図を汲み取ってくれた様で、明るく話してくれる。殿下はカイルさんから箱を受け取り私の前に置いた。許可を得て開けると鮮やかなルビーの首飾り、イヤリングと髪飾りが入っていた。

「素敵…」

私の要望通り小ぶりなデザインだ!一押しはエメラルドだけどこうやって見るとルビーもいい!

「早速着けて見せて下さい」

サリナさんが着けるのを手伝ってくれ、恐る恐るオーランド殿下に見せる。オーランド殿下は頬を赤らめて

「素敵です。こんなにルビーが似合う女性は初めてです。叶うなら毎日ルビーを着けた貴女を見ていたい…」

レッグロッドの男性も甘い言葉は得意らしい。
その後終始褒められて恐縮しながら、お茶をいただき6刻少し前に殿下は帰って行かれた。

サリナさんは終始カイルさんに冷たい視線を送っていたが私は気付いたぞ。カイルさんがサリナさんを見つめる視線が熱かった事を!ここに新たな恋が始まった様だ。
カイルさんサリナさんには想い人がいるよ。でも恋愛は何が有るか分からないって言うもんね。
サリナさんにとっていい縁で有ればいいけど…
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