女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

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102.苛立ち

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食事後ソファーに寝転がりケイティさんと目が合う。あ…怒ってる? でも次の来客が憂鬱でパリと出来ない。
ブルーな気分でいると誰か来たようだ。グリード殿下の先触れにしては早いし誰だろう…
するとケイティさんが気不味そうに

「シリウス様がお越しになりお話ししたいとの事です。いかがなさいますか?」

時計を見たらグリード殿下が来るまで30分強ある。こんな時に私は断れないのだ…迷い気味に頷きソファーの横に立ちお迎えをするとシリウスさんが入ってきた。心なしか顔が緩んでないかい?

「多恵様急に申し訳ない。この後殿下から話があると思うが、誤解を受けない様に先に話しておきたいのと…」
「はい?」

「それに貴女に少しでも早く会いたかった…」

えっと…シリウスさんが甘い言葉セリフ言うイメージ無かったから固まる。
背後から小さな悲鳴が上がり振り向くとマリカさんが口を手で覆い頭を下げ、その横で氷の様に冷たい表情のケイティさんがいた。
後でマリカさんの説教部屋行きが決まったようだ。
とりあえずシリウスさんに座っていただき、話を聞く事にした。

今城内で噂されている話は大半がデマである事と、ビビアン王女とグリード王弟殿下の為、伴侶候補になろうとしているのではないと再度熱弁する。
ふと隅に控えるケイティさんが視界に入ると、冷ややかな視線をシリウスさんに送っている。どうやら私の耳に入ってこないけど、ビビアン王女とモーブルは悪者のなっている様子。
しかしグリード殿下は飄飄としていて本心が読めないけど愛国心が強く、乙女である私との縁を軽視している様には思えない。またシリウスさんもどちらかと言うと脳筋タイプで人を欺けるタイプではないと思う。
怪しいのはビビアン王女だ。どちらにしてもビビアン王女に会って、王女の為人を見ないと何とも言えない。

「シリウスさんの言いたいことは分かりました。私も急に舞踏会にビビアン王女がお越しになると聞いて驚き、如何していいか分からないのです。今は状況を冷静に見ているところ。ですのでグリード殿下やシリウスさんの事は疑ってませんから安心してください」

シリウスさんの顔が綻び優しい微笑みを向けてくれる。普段笑わない人の微笑みは破壊的だ。
ここに来てから何度も思うけど、こんな素敵な殿方達に好意を向けられるのが不思議で仕方ない。
私が女神の乙女で無かったら見向きもされないだろう。異世界に転移して助けも無くこの箱庭の何処かでひっそりと暮らし、特殊趣味の男性と縁を持ち平民の生活をしていただろう。
この逆ハーレム状態は偏にリリスがおかげだと思う。八百長試合の様ですこし気がひけるけど。
するとシリウスさんは少し遠慮気味に

「脚が直られたのなら明日の舞踏会で是非1曲踊っていただきたい。私もダンスは何年かぶりで自信がありませんが、貴女と踊れるのなら何曲でも踊りましょう」

また背後でため息が聞こえる。意識をそちらにやるとやっぱりマリカさんだ。まだまだ経験不足なんだなぁ… こんな甘い言葉を聞いてもベテラン勢は表情一つ変えないもんなぁ…

話をしているとグリード殿下の先触れが来たと知らせがきた。はぁ~胃が痛い。フィラに頼んだら胃に効く薬草とかもらえるかしら…

シリウスさんは私の横に立ち腰に腕を回してくる。ふと見上げるとめっちゃいい笑顔。シリウスさんの頭にケモ耳が見えるのは気のせいだろうか…
こうしてグリード殿下をお迎えすると、グリード殿下は入室して開口一番

「シリウス。居ないと思ったら抜け駆けか?」

グリード殿下は意地悪そうな顔をしてシリウスさんを揶揄うと、シリウスさんは鼻で笑いソファーを勧めた。そしてマリカさんがお茶を入れてくれたタイミングでグリード殿下が人払いをした。
扉を少し開けてケイティさんとマリカさんは退室する。怖い何を言われるんだろう…

「まずは多恵様にお詫び申し上げます。城内で色々噂されており、多恵様にお耳には入っていると思います。モーブルもバスグルも貴女に悪意が無い事を分かっていただきたい。ビビアン王女は好奇心旺盛な方で行動力があり、昔から私も驚かされる事が多かった。まぁ…今回もですがね」

グリード殿下は溜息を吐きシリウスは呆れ顔です。どうやらビビアン王女は自由人のようだ。この手の人は悪気が無いからタチが悪い。私が一番苦手なタイプだ。

「彼女は本当に謝罪をしたいのだと思います。そしてあわよくば貴女とのコネクトが欲しいのでしょう」

そして殿下がバスグル国内の事を教えてくれる。
バスグルの現王が保守的で閉鎖的な為、アリアの箱庭の中でも最も国力が劣っている。それをビビアン王女はそれを憂いでいて、積極的に他国と交流し技術や文化を積極的取り入れているそうだ。
今回の訪問は王位を継承するにあたり、さらに他国との交流が目的だと思われる。

『確かにこの舞踏会はレッグロッドのオーランド殿下もいるから繋がりを持てるよね』

大凡の事情が分かってきたら殿下が身を乗り出し

「誤解しないでいただきたいのが、彼女は本当に自国を思っての行動なのです」

グリード殿下は凄くビビアン王女を庇います。横に座るシリウスさんは何とも言えない表情でグリード殿下を見ている。
この様子から二人は同じ意見ではないようだ。一体何を信じていいかもう分からない。
でも一つ言える事は

『だから何?』

て事。ボリスが言ってたように、困ってどうしようもないなら、その箱庭の女神アリアが異世界人を召喚すればいい。自分勝手なレオン元皇太子も、国を憂いでいるビビアン王女もしている事は同じだ。他国に召喚された便利な異世界人を利用しようとしているだけ。
バスグルは召喚に神力を使いこの箱庭の為に尽力するリリスの想いを知らない。知ろうとしていない。それに今のグリード殿下は友人を庇っているだけだ。

その事に少しムカつきついキツイ口調になる。

「明日ビビアン王女とお会いすればご挨拶はさせていただきますし、謝罪をされるならお受けします。そこからは互いの信頼が築けたのなら深い話もするでしょう。しかしそれは誰かに指示されたり強要されるものでは無い」
「「!」」

2人が焦った顔したが私の口は止まらず

「もしビビアン王女が国の代表として私に協力や援助を求むなら、私に直接交渉するのは筋違いです。私はリリスに召喚されこの箱庭の為に来たんです。
失礼な事を言います。どうしても異世界人の力が必要なら女神アリアが異世界人を召喚すればいい。
私はこのリリスの箱庭の為に来ているのです。則ちリリスの命で動いています。
一国の王女かもしれませんが女神に対して不敬ではありませんか? 前のベイグリーの妖精王の時は女神イリアから女神リリスに協力の願いがあったと聞いています。筋を通していただきたい。まして他国であるグリード王弟殿下が口添えすべき話ではありません」

グリード王弟殿下は立上り私の斜め前に跪き頭を深く下げ

「大変失礼な発言をし心からお詫び申し上げます。どうやら私はお優しい多恵様に甘えていたようです。今後は分を弁えます故お許しを」

慌てて謝罪するグリード殿下にキレてしまい叱責が止まらない。

「それにアルディアに対しても失礼です。大義名分が有れば相手の都合は関係なしですが⁈ 自由と奔放をはき違えていませんか? 正直その様な方とは付き合いをしたくない」

ダメだ…こうなるとエスカレートして自分を抑えられない。この箱庭の為に力を使い私を呼んだリリス。そのリリスの思いが軽視されている様に感じて腹ただしく思い、また感情的になりグリード殿下に当たってしまいそんな自分が嫌になり泣けてきた。

「多恵様!」

シリウスさんが立ち上がり駆け寄った瞬間、風が吹き体が浮いた。目の前が若葉色に染まり温かい腕に包まれる。誰って聞かなくても分かる…

「グリード…なぜ我が番が泣いているんだ?」
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