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104.協力
しおりを挟む「フィラ!明日の舞踏会ね!ビビアン王女対策でエスコートはフィラにお願いするけど、サポートにキース様が就くことになったの聞いている?」
「静かに…そんな話今はどうでもいい・・・」
「いや!明日の事で大切な事で!うわぁ!」
急に抱き上げられフィラはそのまま寝室に歩き出す。完全ピンチでフィラ暴走中。
ふとフィラの顔を見上げたらいつもと違う“男”の顔をしている。本当にヤバい…
扉の外からケイティさんが声をかけてきた。どうやら来客の様だ。
「ちょっと待って下さい。フィラ下ろして!」
「ダメだ。無視すればいい!」
「怒るよ!」
「…」
「明日エスコートしてくれるんでしょ!」
「…」
フィラの首に抱き付いて自分からフィラに口付けして
「お願い…」
初めてた見た。フィラの驚いた顔を
「すまなかった…」
そっと下ろしてくれて、ぎゅっと抱きしめて何も言わずに帰って行った。
フィラが帰った後、腰が抜けてその場座り込んでしまう。いつも優しい顔しか知らず、男の顔を見せられてどうしていいか分からない。
いつまでも返事が無く心配したケイティさんとポールさんが声をかけながら入って来た。
床に座り込んでいる私に驚き駆けより、ポールさんに起こしてもらいソファーまで運んでもらう事に…
色々経験済みのはずなのに、乙女の様に如何していいのか分からなくなった。
やっと落ち着いてきた。ケイティさんは何も聞いてこない。ありがたい…今は話せる状態では無い。
結局来客はケイティさんが断ってくれた。来客はナタリー様だった。ケイティさんにお詫びの手紙を代筆してもらう。今日は心身共に疲れた…
本当なら湯浴み後マッサージをする予定だったけど、湯浴みだけしてベッドに入りたい。
疲労困憊の私は湯浴みの手伝いもマッサージを断った。でもケイティさんは何も言わずいつも通り淡々と世話してくれる。その気遣いが本当にうれしい。
そして文と来客を全て断ってもらい寝室へ。ベッドの上で寝転がりてん君を呼ぶと、心配そうに鼻先を寄せてきた。大丈夫だと告げると、鼻息荒くフィラに怒りをぶつけ
『フィラ たえ いや した』
『えっと…そうだね』
『だから かんだ』
『え?噛んだ⁉︎』
どうやったか分からないけど、嫌がった私を感じたてん君は、フィラが帰る時に腕に噛み付いたらしい。そう自慢げに話すてん君はドヤ顔です。
そんなてん君を抱きしめ寝転がる。てん君の温もりと優しさを感じて深い眠りに落ちた。もう明日なんて来なければいいのに…
「キャァ!」
女性の悲鳴で目が覚めた。目の前に空色のもふもふの塊が居て前が見えない。
「うぅぅ!」
唸り声はてん君⁈体を起こすといつもより大きいてん君が私を庇っている。
「「「多恵様!」」」
凄い勢いで扉からケイティさんと騎士さんが飛び混み、そして床に転がるマリカさん。どうやらてん君を見て腰を抜かしたようだ。
「えっと…皆さんおはようございます。マリカさん大丈夫?」
ジュードさんの手を借り立ち上がったマリカさん。ケイティさんが最敬礼をし謝罪をする。
もう…声をかけれない位怒りに満ちているケイティさん。恐らく誰も止める事は出来ないだろう…でも…
「ケイティさん取りあえず落ち着いて!マリカさん怪我はない? マリカさんは聖獣を始めて見たのね。驚かせてごめんなさい。レオン元皇太子の一件以来一緒に寝ている事が多いから知っておいてね」
てん君を抱きかかえ思念で、お世話してくれている侍女さんだから大丈夫と宥め、これから会う事も多いから覚えておいてと話した。
起きるので一旦皆さんに寝室から出てもらう。時計を見たらもうすぐ4刻。お昼近くまで寝ていたようだ。
確か今日は予定が朝から沢山入っていたはずだけど… 洗面所で顔を洗い一人で着れるシンプルなワンピースを着て居間に行くとグラント様がいた。かっこよくソファーに座る姿は絵になる。
私に気付くと足早に来て優しく抱きしめてくれる。今日もぶれる事なくグラント様の腕の中は心地いい。
「昨日は大変だったようですね⁈ お疲れの様でケイティ嬢と相談し、朝の予定を全て調整しましたのでご心配なく」
「ありがとうございます。もうお昼なんて寝すぎですね…」
精神的にまだ復活していないから今はグラント様の優しさに癒してもらおう
「失礼致します。昼食をご用意いたしました。閣下もご一緒にどうぞ」
食卓を見ると三人分の食事が用意されている。後一人誰か来るの? グラント様に椅子を引いてもらい座ると誰か来たようだ。来たのはキース様。驚いて目が点になる…
颯爽と入室してきたキース様は、グラント様に会釈し横に来て挨拶をするかのようにキスをした。
「!」
「へ?」
グラント様は立ち上り私はフリーズする。
「グラント殿。私も多恵様に心を受け取っていただいた。我々は同じ女性を愛する者。争うのではなく多恵様の幸せの為に協力しよう。まぁ…多恵様に対す気持ちは負けませんがね」
何キース様来るなり宣戦布告してるんですか?!恐ろしい事しないで下さいよ。思わず睨んでしまう。
「多恵様はいきなり何を言うのかと怒ってらっしゃるのか? しかし可愛いだけですからね。他の男性が勘違いするので向けるのは私だけにして下さいね」
再度キスされて目を白黒させるしか出来ない私。するとグラント様がキース様と反対側に来て。
「ん?」
何をするのか分からず見上げたらグラント様にもキスをされた
「!!」
「多恵様の愛らしい唇が穢れた様なので消毒致しました。貴殿に言われなくても多恵様を幸せにします。協力はしないが邪魔をする気もない。
想う気持ちは痛いほど分かりますからね。しかし私も決して負けません」
頭上で激しく火花が散っています。助けて欲しくてケイティさんを見ると、部屋の隅でマリカさんを教育的指導中。お助けキャラがいません。ない頭を絞って…
「私はさっき起きて未だ食事をとっていなくて私腹ペコです。せっかく料理人の皆さんが作って下さったランチを美味しく食べたい。
お2人共喧嘩するならお引き取り下さい。一人で食べます」
少し怒り気味に言ってみた。だって今日のパンはブブ豆パンだよ!焼きたてで美味しいに決まっている。睨み合いを止めて2人は謝り席に着きます。やっとブブ豆が食べれる… 一口食べて幸せ~。でもキース様とグラント様は微妙な顔をされています。そうでしょうね。ブブ豆パンは庶民の味です。
明言は控えているけど、昨日の昼のグリード王弟殿下との面会を気遣い来てくれたようだ。気遣いながら楽しい話をしてくれるのは有り難い。
そこでふと思う。今はアルディアに問題解決にあたっていて、アルディアにお世話になっている。でも次にレッグロッドやモーブルの問題に取り掛かるなら、アルディアから動く事になる。そうしたらこうやってお2人と頻繁に会えなくなる。
そう思うとテンションが下がってきた。ぐいぐい好意を向けられて困っていたはずなのに、今はすっかりお2人に気を許して支えてもらっている。急に黙り込んだ私を二人は心配そうにみている。
「インフル対策のマスクも大方仕上がってきて後は領民への感染対策の指導のみ。アルディアの問題は近々解決します。だからリリスの願い通り次はモーブルかレッグロッドの問題に取り掛かる事になります。
そうしたらここを出る事になるんですね… 城の皆さんによくしていただいて、知らない間にすっかりここが私の居場所になっていた。なんか寂しいです」
私の発言で部屋が静まりかえる。きっとモーブルに行ってもレッグロッドに行ってもいい人ばかりなのは分かっている。だってリリスの箱庭の住人たちだから。分かっていても寂しい。
「多恵様。元の世界に戻られる訳ではありません。毎日は無理でも出来る限り会いに行きます。多恵様は魅力的ですから見張っていないと、害虫がいっぱいわいてくるので心配です」
「そんなの何処にいるんですか?」
グラント様がそう言い、そんな事ないと言うと次にキース様が
「まだアルディアには貴女が必要です。貴女がこの城を出て何処に行こうと寂しいと思った時は駆け付けましょう」
「ありがとう…」
お2人の気持ちが嬉しく泣けてきた。私は今滅茶苦茶弱っている様です。嬉しくてお2人に抱き付いてキスしたい気分だ。急に涙目になった私に驚いて駆け寄るグラント様とキース様。
立上り二人に抱き付いた。お2人共背が高いから木にぶら下がるナマケモノみたいな私。
そっと腕を解き手招きすると、二人共不思議そうな顔をして屈んでくれた。
「ありがとう…」
二人の頬に交互に口付けをした。初めの自分からのキスが死ぬほど恥ずかしく、俯いてもう二人の顔を見れない
「「多恵様」」
優しい二人の声が心地いいのと恥ずかしいのが混じり、きっと今私変な顔している。
「愛らしいお顔を見せて…」
「貴女の澄んだ瞳に私を映してほしい」
「…」
すると部屋の外の騎士さんが身支度の為の侍女さんが来たと知らせてくれたが返事出来ない。
「本当に変な事してごめんなさい。舞踏会までにいつも通りになるから今は勘弁してください」
するとキース様が両手で頬包み上に向かせて
「逃げないで…私たちを見て欲しい」
2人の優しい眼差しに少し落ち着いた。そしてぽつりぽつりと話しだす。
「初めはね…勝手に伴侶候補を決められて、陛下にキレたけど今は感謝してるんです。お二人で良かったて…」
少しの沈黙の後に2人は盛大な溜息をついた。そして少し呆れた口調で
「また無自覚に」とキース様?
「目が離せません!」グラント様も?
素直に感謝したのになんで私怒られているの?
納得いかない…
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